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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y32 |
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管理番号 | 1200632 |
異議申立番号 | 異議2007-900448 |
総通号数 | 116 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-09-14 |
確定日 | 2009-06-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5054657号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5054657号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5054657号商標(以下「本件商標」という。)は、「BILLABONG」の欧文字を標準文字により表してなり、平成18年10月12日に登録出願され、第32類「ミネラルウォーター,その他の清涼飲料,果実飲料,ビール」を指定商品として、同19年6月15日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するから、本件商標登録は、商標法第43条の2第1号の規定に基づき取り消されるべきである。」旨、申立て、甲第1号証ないし甲第52号証を提出している。 第3 取消理由の通知(要旨) 1 引用商標 申立人、他1名を傘下に有するオーストラリアの株式会社「Billabong International Limited」(以下、これらをまとめて「ビラボングループ」という。)は、「BILLABONG」の欧文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を、ビラボングループの統一商標として1973年に採択して以来現在まで使用している(甲第1号証)。 2 引用商標の著名性 (1)申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張の全趣旨によれば、引用商標の著名性について次の事実が認められる。 ア 引用商標は、サーフィン、スケートボード、スノーボード関連商品をはじめ、被服、履物、ファッションアクセサリー、運動用具、時計、宝飾類、財布、バッグ等さまざまなジャンルに属する多岐に亘る商品に使用されている(甲第1号証 証拠LS-10、甲第28号証)。 イ ビラボングループは、引用商標を冠した国際的なサーフィン大会、スノーボード大会を多数開催し、サーフィンやスノーボードの選手の後援もしている。上記大会は日本でも開催され、また、上記選手には日本人も含まれている(甲第35号証ないし甲第43号証)。 ウ インターネットで「BILLABONG」を検索すると、780万件以上ヒットし、その上位はビラボングループの商品又はサーフィン大会に関係するサイトであり、また、インターネットオークションサイトやインターネットショップにおいても引用商標を使用したビラボングループの商品が多く取り扱われている(甲第25号証及び甲第26号証)。 エ ビラボングループは、日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、北アメリカ、ヨーロッパ、ブラジル等に150店舗以上の直営小売店を有しており、特にニューヨークのタイムズスクエアには旗艦店を有している。日本では、主要都市に多く店舗が存在している。引用商標を付した商品は、100以上の国にわたる8000店以上の店舗において販売されている(甲第1号証 証拠LS-5)。 オ ビラボングループは、著名企業との提携による広告宣伝も行っており、実際に著名ブランド「COCA COLA」や「MONSTER」と提携した清涼飲料の販売も行われている(甲第1号証 証拠LS-21ないし24)。 カ 引用商標を使用した商品は、米国サーフィン映画の「ブルークラッシュ」(2002年制作)(甲第44号証)及び「ビラボン・オデッセイ」(2003年制作、2005年7月日本公開)においても紹介されている(甲第45号証)。 (2)小括 上記アないしカの認定事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、ビラボングループの業務に係る商品、とりわけサーフィン関連商品を表示する商標として日本国内及びオーストラリア、米国等の外国における需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。 3 本件商標と引用商標の類否 本件商標は、「BILLABONG」の欧文字よりなるから、その構成文字に相応して「ビラボング」の称呼を生ずる。 そして、本件商標「BILLABONG」の文字(語)は、「川の支流にある、大水の際にのみ満たされる水溜まり又は雨季以外は干上がっている川の水溜まり又は入り江」を意味するオーストラリア先住民の言葉であるものの、英和辞典にも搭載されていないものであって日本人には馴染みのない語であるから、取引者、需要者は特定の意味合いを有さない造語と理解するというべきである。 一方、引用商標「BILLABONG」は、本件商標と同一の綴りからなるものであるから、本件商標と同様に、「ビラボング」の称呼を生じ特定の意味合いを有さない造語と認められる。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、ともに特定の観念を生じない造語であるが、外観及び称呼を共通にする同一又は類似の商標である。 4 不正の目的 上記2及び3から、引用商標が日本国内及び外国で周知であること、引用商標と本件商標とが同一の綴りよりなり同一の外観及び共通の称呼を有すること、「BILLABONG」の文字(語)は日本人に馴染みのない語であること等の事実を認めることができる。 以上の事実を総合勘案すれば、本件商標は、その採択において引用商標と偶然一致したとは考え難いものであるから、商標権者は引用商標が第32類「ミネラルウォーター,その他の清涼飲料,果実飲料,ビール」を指定商品として登録されていないことを奇貨として、引用商標の名声、信用等にただ乗りして不正な利益を得る目的もって又はビラボングループに損害を与える目的等の不正の目的をもって、本件商標を登録出願し登録を受けたものと推認せざるを得ない。 5 むすび 以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものであり、その登録を取り消すべきものである。 第4 当審の判断 1 本件商標についてした取消理由の通知(上記第3)は妥当であって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。 2 取消理由の通知に対する商標権者の意見(要旨) (1)商標権者は、「オーストラリアにおいて、商標権者は、本件商標を要部とする商標『Billabong Natural Spring Water』について、『Spring Water』を指定商品として商標登録を受けている。また、商標権者は、オーストラリアにおいて、比較的小規模ながら当該商標登録の使用を行っており、徐々にではあるが、オーストラリア以外の各国、特に販売網を広げているところである。我が国における本件商標登録も、販売網を広げることの一環として行われたものである。したがって、本件商標登録の取得は、『不正な利益を得る目的』又は『不正の目的』でなされたものではない。」旨、主張し、乙第1号証を提出している。 しかしながら、引用商標は、日本国内及び外国で周知であること、引用商標と本件商標とが同一の綴りよりなり同一の外観及び共通の称呼を有すること、「BILLABONG」の文字(語)は日本人に馴染みのない語であること等の事実を認めることができる。 以上の事実を総合勘案すれば、本件商標は、その採択において引用商標と偶然一致したとは考え難いものであり、また、引用商標に係る商品と同一の商品を取り扱う同業者といい得る商標権者が引用商標の存在を知らなかったとは到底認め難いというべきである。 したがって、商標権者は、引用商標が第32類「ミネラルウォーター,その他の清涼飲料,果実飲料,ビール」を指定商品として登録されていないことを奇貨として、引用商標の名声、信用等にただ乗りして不正な利益を得る目的もって又はビラボングループに損害を与える目的等の不正の目的をもって、本件商標を登録出願し登録を受けたものと推認せざるを得ない。 したがって、この点についての商標権者の主張は採用しない。 (2)商標権者は、過去の登録例を挙げて、本願商標の登録は維持されるべき旨主張している。 しかしながら、商標権者の挙げる登録例は、本件商標とは商標の構成を異にするばかりでなく、商標を判断するに当たっては、各商標につき個別具体的に判断されるべきものであるから、商標権者が主張するような登録例があるからといって、本件商標についての判断が左右されることにはならない。 したがって、この点についての商標権者の主張は採用しない。 3 結語 結局、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録は商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2009-01-20 |
出願番号 | 商願2006-95055(T2006-95055) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Z
(Y32)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 岩崎 安子、武谷 逸平 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
佐藤 達夫 小川 きみえ |
登録日 | 2007-06-15 |
登録番号 | 商標登録第5054657号(T5054657) |
権利者 | マーティン ジョセフ ピーター マイヤーズ |
商標の称呼 | ビラボン、ビラボング |
代理人 | 宮崎 昭夫 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 野田 久登 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 石橋 政幸 |
代理人 | 緒方 雅昭 |