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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1200536 
審判番号 取消2008-300122 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-01-29 
確定日 2009-07-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4836307号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4836307号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4836307号商標(以下「本件商標」という。)は、「CHAMELEON」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年10月17日に登録出願、第9類「データテスト及び通信テストの分野で使用するコンピューター・コンピューター周辺機器および電子計算機用プログラム」を指定商品として、同17年1月28日に設定登録がなされたものである。
そして、同20年2月14日に本件審判の請求の登録がなされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人たる商標権者は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標を使用している事実を証拠により証明しなければならないとされる。
この点、被請求人は、本件審判請求が成り立たない理由として、本件商標につき、「商標権者によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品に使用されている」と述べる。
しかしながら、証拠として添付されている乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも、本件商標が、商標権者によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品に使用されていることを明確に示すものではない。以下その理由を書証ごとに述べる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、2008年5月2日にプリント・アウトされたと思われる、「カタパルト・コミュニケーションズ・コーポレイションのインターネットサイトから抜粋した2006年5月の製品カタログ」として示される書証である。
しかし、当該書証が、2006年5月にインターネットに掲載されたという明確な証拠は示されておらず、書証中の「May 15,2006」及びヘッダー部のURL中に示される「news/2006」という文字により、2006年5月に掲載されていた可能性を示唆するに留まるものである。
また、乙第1号証は、本件商標に係る製品に関するものではなく、被請求人の製品の一つであろうと思われる「DCT2000」に関する記事であると思われる。被請求人が同記事を2006年5月に掲載していたとしても、それは、「DCT2000」に係る記事であり、本件商標を付した製品に係るカタログではない。
また、乙第1号証から、当該製品が本件商標を付した製品に付随して用いられるものであることは推測されるが、それは2006年5月以前に本件商標を付した製品が販売されていたことを示唆する可能性があるに留まり、本件審判請求の登録前3年以内に当該製品が販売され、本件商標が使用されていることを明確に示すものではない。
また、乙第1号証は、英語のみにより構成される記事である。乙第1号証に示されるURLを参考に、被請求人のサイトにアクセスすると、商品に係るページとしては、英語のページと日本語のページとが並存している(甲第1号証)。この構成からすると、通常、被請求人は、日本市場に向けた商品については、日本語のページを作成し、そのサイトに掲示しているのではないかと推測される。
しかしながら、乙第1号証は、英語のページのみの抜粋である。この点に鑑みれば、乙第1号証は、本件商標を付した製品が日本の需要者向けに広告されたものであると認められるに足りるものではなく、日本国内において本件商標が使用されていたことを十分に示すものではない。
なお、日本からもアクセスが可能なサイトであっても、その内容がすべて英語で表示されているような場合に、当該サイトでの広告による商標の使用は、日本国内における商標の使用として認められないのは、知財高裁の判例(平成17年(行ケ)第10095号)でも判示されているところである(甲第2号証)。
イ 乙第2号証
乙第2号証として示す「CHAMELEON 製品カタログ」の作成時期として述べている「2004年6月」は、同カタログ末尾に印字されている「2004.6.2K」という記載に基づくものであると思われる。しかし、仮に、当該日付が同カタログの作成時期であるとしても、当該作成日は、本件審判請求の登録日より3年以上前である。この点、被請求人は、同カタログは、2005年1月28日以降、日本国内において本格的に配布されたと述べるが、そのことを証明する書証は示されていない。
したがって、乙第2号証は、本件商標が、商標権者によって本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品に使用されていることを何ら示すものではない。
なお、カタログの作成時期と仮定できるような印字があったとしても、そのカタログが、どのような時期に、誰に対して、どのような方法で、どの程度の量販売又は配布されたかなど、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出がなされてない場合、不使用取消審判における使用の証拠として認められないことは、過去の審決例(取消2006-31445号)からも明らかである(甲第3号証)。
なお、乙第2号証の頒布者は、商標権者ではなく、「カタパルトコミュニケーション株式会社」である。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、乙第1号証と同様に、本件商標を付した製品に係るカタログではなく、「DCT2000」に係るカタログであると思われる。当該カタログ中には「プロトコルアナライザ製品『カメレオン』も提供しています」との文言はあるが、乙第2号証に見られるような製品写真等が示されておらず、実際に本件商標が付された製品が販売されているのかどうかは示されていない。
また、被請求人が、同カタログの作成時期として述べている「2005年1月」は、カタログ末尾に印字されている「2005.1.」という記載に基づくものであると思われるが、仮に、当該日付が同カタログの作成時期であるとしても、これは同カタログが本件審判請求の登録前3年以内である、2005年1月28日以降に配布されたことを示すものではない。
乙第2号証と同様に、同カタログが、どのような時期に、誰に対して、どのような方法で、どの程度の量、頒布されたかなど、具体的な取扱いについては何ら証拠の提出がなされてないのであるから、乙第3号証は、本件商標が、商標権者によって本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品に使用されていることを何ら示すものではない。
なお、乙第3号証のカタログの頒布者も、商標権者ではなく、「カタパルトコミュニケーション株式会社」である。
結論として、被請求人は、その答弁において、本件商標が審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されている点を主張立証できておらず、またこれを使用していないことについての正当な理由の提示と証明も行っていないから、本件商標は、不使用によりその商標登録を取り消されることを免れないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
ア 本件商標は、商標権者によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品に使用されている(乙第1号証)。
イ 乙第2号証は、裏面に、カタログ作成時期として2004年6月と記載されているが、実際には、本件商標の登録日である2005年1月28日以降に日本国内で本格的に頒布されたものである。
ウ 乙第3号証は、カタログ作成時期として裏面に記載されている2005年1月以降に日本国内で頒布されたものである。このカタログの5頁右側中段に商標「カメレオン」が記載されており、また、裏面に「Chameleonは、キャタプルトコミュニケーションズ社の登録商標です。」と記載されている。
なお、商標「カメレオン」は、欧文字による本件商標を片仮名文字に変更したものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標であり、商標法第50条第1項かっこ書に規定されている社会通念上同一の商標である。
ついては、本件審判請求は理由がないとの審決を求める。

4 当審の判断
(1)被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証を提出し、本件商標は、商標権者によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品のいずれかついて使用している旨主張している。
そこで、被請求人の提出に係る前記証拠についてみる。
ア 乙第1号証のインターネットサイトから抜粋した製品カタログ
該カタログは、英語のページのみの抜粋であり、日本からもアクセスが可能なサイトであっても、その内容がすべて英語で表示されているような場合には、日本の需要者を対象としたものとは認められず、該カタログによる広告は、日本国内における使用とは認められない。
なお、該カタログ中の「May 15,2006」及び「news/2006」の文字は、該カタログが2006年5月に掲載されていた可能性を示唆するにとどまり、実際に日本国内において、該カタログがどのような時期に、誰に対して、どのような方法で頒布されたか等、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出もない。
イ 乙第2号証の製品カタログ
該カタログの作成時期として述べている「2004年6月」は、該カタログの末尾に印刷されている「2004.6.2K」に基づくものであるとみられる。
しかしながら、該日付がカタログの作成時期であるとしても、該作成時期は、本件審判請求の登録日より3年以上前であり、この点、被請求人は、該カタログは、2005年1月28日以降、日本国内において本格的に配布されたと述べるが、実際に日本国内において、該カタログがどのような時期に、誰に対して、どのような方法で頒布されたか等、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出もない。
ウ 乙第3号証の製品カタログ
該カタログの作成時期として述べている「2005年1月」は、該カタログの末尾に印刷されている「2005.1.」に基づくものであると思われる。
しかしながら、該日付がカタログの作成時期であるとしても、該作成時期は、本件審判請求の登録前3年以内である、2005年2月14日以降に配布されたことを示すものではなく、乙第2号証の製品カタログと同様に、実際に日本国内において、該カタログがどのような時期に、誰に対して、どのような方法で頒布されたか等、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出もない。
以上のとおりであるから、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について使用していたことを証明したものとはいえない。
そして、被請求人は、前記乙第1号証ないし乙第3号証のほか、何等立証していない。
(2)してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について使用していたことを証明し得なかったのみならず、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-01-27 
結審通知日 2009-01-30 
審決日 2009-03-02 
出願番号 商願2003-91235(T2003-91235) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y09)
最終処分 成立  
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 2005-01-28 
登録番号 商標登録第4836307号(T4836307) 
商標の称呼 カメレオン 
代理人 山崎 行造 
代理人 溝部 孝彦 
代理人 古谷 聡 
代理人 杉山 直人 

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