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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y0914
管理番号 1200474 
審判番号 取消2007-301603 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-12-07 
確定日 2009-06-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第2367964号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2367964号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2367964号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和63年12月9日に登録出願、第23類「時計、眼鏡、これらの部品および附属品」を指定商品として平成3年12月25日に設定登録され、その後、同13年12月4日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
また、指定商品については、平成14年12月4日に指定商品の書換登録がされ、第9類「サングラス,その他の眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」及び第14類「柱時計,腕時計,その他の時計,時計の部品及び附属品」と書き換えられている。
なお、本商標権については、専用使用権者を「田村駒株式会社」(以下「田村駒」という。)として、地域「日本全国」、期間「平成23年12月25日迄」、内容「全指定商品」とする専用使用権が平成19年1月16日付で設定登録されている。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
答弁書で示された証拠方法によるも、本件商標の使用事実は十分に証明されているとはいえない。
(1)通常使用権の設定について
答弁書によると、被請求人は、2001年11月10日、田村駒に対し、2002年1月1日から4年間、本件商標の使用について独占的通常使用権を設定した。そして、田村駒は株式会社ボールド(以下「ボールド」という。)に対し、本件商標の通常使用権を許諾し、さらに、ボールドは株式会社タイアップ(以下「タイアップ」という。)に本件商標の通常使用権の再許諾をしている(乙第2号証)。
しかしながら、当該契約書(乙第2号証)で使用許諾されている商標は、本件商標(第2367964号)ではなく、第2330346号商標である(乙第2号証最終頁参照)。しかも、第2330346号商標の態様は、乙第2号証最終頁に掲示された鷲図形と「LYLE&SCOTT/COLLECTION」との結合商標ではなく、「LYLE&SCOTT」の文字商標である(甲第3号証)。乙第2号証からは、特に、本件商標に関する田村駒とボールド及びボールドとタイアップ間の通常使用権の許諾の存在について、強く疑問を感じざるを得ない。
(2)ボールド及びタイアップが本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることについて
(ア)使用の事実について
被請求人は、乙第3号証ないし乙第5号証により、タイアップが2007年5月から7月に、本件商標を付した商品を販売したことが証明されている旨主張している。しかし、請求人の調べたところでは、被請求人は、世界的に本件商標を含め4タイプの鷲図形の商標を使用及び出願・登録している(甲第4号証)。わが国では、このうちのA、B及びDタイプが出願・登録されている。本件商標は、Aタイプである。しかし、乙第3号証の商標は、Bタイプであり、乙第2号証の契約書別紙の記載商標中の鷲図形も明らかにBタイプである。
また、乙第4号証及び乙第5号証により、過去3年以内のライル&スコットブランドの商品「時計」の販売の事実は証明されているとしても、これらの書類には本件商標がどこにも表示されていない。
このように、乙第3号証には本件商標と同一性のある商標は表されておらず、乙第4号証及び乙第5号証には商標がどこにも表われていないのであるから、これらの証拠から、本件商標が付された商品「時計」が販売された事実は何等明らかにされていない。
(イ)本件商標と使用商標との同一性について
被請求人は、本件商標と乙第3号証で示されている商標(以下「使用商標」という。)がほぼ同一の図形からなり、同一の称呼及び観念が生じるものであるから、両商標は社会通念上同一の商標である旨主張している。
しかしながら、まず、図形商標の同一性を考察する場合において、同一の称呼及び観念(ここでは、犬の図形なら犬の、鷲の図形なら鷲の称呼及び観念が生じるというレベルの話である。)が生じるのは当然の前提である。
図形商標の場合、社会通念上同一といえるのは外観において同視される商標(50条1項括弧書)の場合のみである。不使用取消審判における登録商標の使用の認定に関する運用(甲第4号証)に示すように、外観において同視される商標とは、登録商標の図形の構成態様自体は変えずに白黒を反転させたり、背景を付したりした場合である。一方、一定の観念を生ずる図形と当該観念を表すものと認められる図形による表示態様の相互間の使用は、社会通念上同一とは認められない。このように、図形商標の場合、その同一性の範囲は広くないのである。
上述のとおり、被請求人は、世界的に本件商標を含め4タイプの鷲図形の商標を使用及び出願・登録している(甲第5号証)。本件商標はAタイプであり、乙第3号証の商標は明らかにBタイプである。このような同一の観念を生ずる図形商標相互間において、登録商標と表示・表現態様の異なるタイプの違う商標は、上記の運用基準に照らした場合、登録商標と外観上同視できる社会通念上同一の商標ということはできないと考えるのが妥当である。しかも、このBタイプは、登録第4264323号として登録されているが(甲第6号証)、第14類は含まれていない。そうすると、乙第3号証の商標の使用は、通常使用権者の登録商標の使用とはいえないのである。
(ウ)以上のとおり、答弁書の使用証拠に示されている使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものでもなく、本件商標の使用の事実を証明しているものとはいえないから、被請求人提出の証拠によっては、被請求人等によって、審判請求登録前3年以内に本件商標が使用されたことは何等証明されていない。

第3 被請求人の主張(要旨)
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)通常使用権の設定
被請求人は、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国に本店を有する外国法人であるところ、2001年11月10日、田村駒に対し、2002年1月1日から4年間、日本国内における本件商標の使用について独占的通常使用権を設定した(乙第1号証)。
さらに、田村駒は、ボールドとの間で、本件商標を付した商品の製造及び販売に関する契約(以下「本件契約」という。)を締結し(乙第2号証)、同社に対して本件商標の通常使用権を設定した(本件契約第1条)。また、田村駒は、ボールドがタイアップに対して、更に通常使用権を設定することを許諾しており(同第2条)、ボールドはタイアップに対し通常使用権を設定した。
(2)本件商標の使用
本件商標は、審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、その通常使用権者又は専用使用権者によって、指定商品中の第14類「腕時計」について使用されている。
すなわち、ボールド及びタイアップは、審判請求の予告登録前3年以内の2007年5月から7月に、本件商標を付した商品の製造・販売を行っている(乙第1号証ないし乙第11号証)。
(3)ボールド及びタイアップが本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることについて
(ア)使用の事実
乙第3号証は、本件商標が付された腕時計(以下「本件商品」という。)が掲載されたカタログであり、本件商品が掲載されている箇所の品番(「LA-8801」ないし「LA-8805」)が乙第4号証の品番(「LA-8801」ないし「LA-8805」)と一致していることから、乙第4号証に表示された商品が本件商品であることが分かる。
乙第4号証は、ボールドの田村駒に対する2007年(平成19年)5月から7月の本件商品の販売実績報告書である。乙第5号証は、ボールドの担当者から田村駒の担当者に対して、乙第4号証の販売実績報告書が送信されたときの電子メールであるが、乙5号証の記載内容から、乙第4号証は、実際にはタイアップの販売実績であることが分かる。そして、乙第4号証には、本件商品の品番(「LA-8801」ないし「LA-8805」)が記載されていることから、同月に、タイアップが本件商品を各200個ずつ販売したことが分かる。
(イ)本件商標と使用商標との同一性
本件商標と使用商標とは、ほぼ同一の図形からなり、同一の称呼及び観念が生じるものであることから、社会通念上同一の商標である。
すなわち、本件商標の外観は、一羽の左向きの鷲(猛禽類)が翼を高く上げ、口を開けながら、頭部をやや上部に向けて飛んでいるものである。鷲の特徴は、「嘴・爪はともに曲がり、両眼は鋭く、翼は長大」なことであり(乙第6号証)、また、猛禽類の特徴は、「他の鳥類や小動物を捕食し、上嘴は湾曲して鋭く、翼は強大で、飛行は迅速、足に鋭い鉤爪がある」ことである(乙第7号証)。本件商標の鳥は、上嘴が湾曲して鋭く、眼が鋭く、翼が長大で、鉤爪が鋭く曲がっていることから、それが鷲(猛禽類)であることは一目瞭然である。
他方、使用商標についてみても、一羽の左向きの鷲(猛禽類)が翼を高く上げ、口を開けながら、頭部をやや上部に向けて飛んでいる点で同一性がある。また、本件商標と使用商標とは、羽、胴体、頭、足及び尻尾の大きさの各比率がほぼ共通し、羽を広げた角度も約45度と同一である。さらに、本件商標と使用商標とはいずれも動感が無く、やや図案化されている点で同一性がある。
したがって、本件商標と使用商標とは外観においてほぼ同一の図形である。
また、本件商標と使用商標は、いずれも「鷲」・「イーグル」という称呼及び「鷲」という観念を生じる。これについては、被請求人のブランド商品が「鷲の紋章」、「イーグルの紋章」として一般需要者に広く親しまれていることがなによりの証左である。被請求人のブランド商品は、全世界において幅広く販売されており、日本国内においても、「鷲の紋章」、「イーグルの紋章」を使用する唯一のブランドとして一般需用者に広く知られている(乙第8号証ないし乙第11号証)。
そして、上記で示したとおり、使用商標と本件商標とは、ほぼ同一の図形からなるものであるから、本件商標にとどまらず、使用商標についても、看者に「鷲」を観念させ、かつ、「鷲」、「イーグル」を称呼させ、ひいては被請求人のブランドであることを想起させることは明らかである。
したがって、本件商標と使用商標の称呼及び観念は同一である。
(4)結語
以上述べたとおり、乙第1号証ないし乙第11号証によって、本件商標の通常使用権者が請求に係る指定商品中の第14類「腕時計」について、審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において本件商標の使用をしていた事実は明白である。
したがって、本件審判請求には理由がない。

第4 当審の判断
(1)被請求人は、本件商標をその指定商品中の第14類「腕時計」について使用しているとして、乙第1号証ないし乙第15号証を提出している。 そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、乙第1号証の1(英文)及び2(訳文)は、2001年11月7日に(幾つかある当事者間の署名の日付のうち、最も遅い日付のもの)、被請求人と田村駒との間において締結された実施許諾契約書である。これによれば、被請求人は、田村駒との間において、2002年1月1日から4年間、添付されている別紙1の「本件許諾製品」について、別紙2の「本件マーク」に記載されている商標権について、日本国内における商標の使用について独占的通常使用権許諾契約を締結しており、該契約書の16「終了」の項には、「いずれの当事者も、12ケ月前に書面で通知することにより、2006年12月31日以降いつでも、本契約を終了することができる。」と記載されている。
乙第2号証は、平成18年10月20日付の「ライルアンドスコット製品の製造及び販売に関する契約書」と題する書面であり、前文には、「田村駒株式会社(以下甲という)と株式会社ボールド(以下乙という)とは、甲が英国ライル・アンド・スコット社(以下ライセンサーという)と締結したアグリーメント(以下実施許諾契約という)により日本における独占的製造販売権を有する『ライル・アンド・スコット』ブランド製品について、別紙に記載された商標(審決注 別掲(2)に示すとおりの構成からなる商標であり、以下『使用契約に係る商標』という。なお、該商標の下には、登録番号として第2330346号と記載されているが、これは、本商標権とは異なる登録番号である。)を付した製品の製造及び販売に関し、次のとおり契約を締結する。」と記載されており、19条の契約条項からなっている。
そして、第1条(製品)には、「甲は、本件商標を付した下記のライル・アンド・スコットブランド製品のうち、乙が希望し、甲が次条以下の条件でこれを承諾する製品(以下『本製品』という)に限り、乙の非独占的かつ継続的な製造及び販売を認めるものとする。」とあり、その製品名として「腕時計」と記載されており、第2条(再許諾)には、「甲は、乙が株式会社タイアップ(以下丙という)に本契約を再許諾することを了承するものとする。・・・」旨記載されている。
乙第3号証は、腕時計のカタログであり、表紙部分には、使用契約に係る商標と「Watch Collection Best 10」の表題が表示されており、発行者や印刷年月日は明らかではないが、次葉以下に、1から10の番号が付けられた各種の腕時計が「LA-8801」ないし「LA-8805」の品番とともに掲載されており、いずれの腕時計の文字盤上にも、位置関係は必ずしも同じではないが(特に、3と4の番号のものは、図形と文字とがかなり離れている)、使用契約に係る商標が表示されている。
乙第4号証は、2007年8月22日付の「ライル&スコット販売実績報告」と題する書面であり、ボールドが田村駒宛てに2007年5月から7月までの販売実績を報告したものであり、報告内容の欄には、商品名として「腕時計」、品番として「LA-8801ないしLA-8805」、販売数量として各「200」の外、参考上代、卸売価格、総金額等が記載されている。
乙第5号証は、電子メールの写しであり、タイアップの実績の有無を問い合わせた田村駒の担当者からボールドの担当者に宛てたメールに対して、ボールドの担当者が田村駒の担当者に対して返信をしたものであって、添付ファイルのとおりのタイアップの実績があった旨の報告をしていることが認められる。そして、この点について、被請求人は、乙第4号証の「ライル&スコット販売実績報告」が添付ファイルの内容であって、乙第4号証は、実際にはタイアップの販売実績である旨述べている。
(2)上記において認定した事実を総合すれば、以下のことが認められる。(ア)田村駒は、被請求人から乙第1号証の契約書に添付されている別紙1に掲げられている商品について、別紙2に掲げられている複数の商標権の日本国内における独占的通常使用権を許諾されていたものと認められる。
そして、ボールドは、田村駒から乙第2号証の契約により定められた商品「腕時計」について、契約書末尾に掲げられている商標(別掲(2)に示すとおりの構成からなる商標)について再使用権(通常使用権)を許諾されており、株式会社スタートは、乙第2号証の契約の第2条により、ボールドから更に使用権を許諾されていたものと認められる。
(イ)乙第4号証及び乙第5号証によれば、株式会社スタートは、本件審判の請求の登録(平成19年12月27日)前3年以内である2007年(平成19年)5月ないし7月当時に、品番「LA-8801ないしLA-8805」の腕時計を各200個販売したものと推認され、この腕時計の品番「LA-8801ないしLA-8805」は、乙第3号証のカタログに掲載されている腕時計の品番と符合していることから、該腕時計には、使用契約に係る商標が使用されていたものということができる。
(3)しかしながら、乙第1号証ないし乙第5号証をもってしては、株式会社スタートが本件審判についての要証期間内に、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一と認められる商標を「腕時計」について使用していたものとは認められない。
(ア)まず第1に、被請求人と田村駒との間において締結された乙第1号証の契約において、田村駒が独占的通常使用権を認められた商標権(添付されている別紙2に掲げられている複数の商標権)の中には本商標権(登録第2367964号)は含まれておらず、乙第2号証の契約の別紙に表示されている登録第2330346号商標権も含まれていない。また、乙第1号証の契約書に添付されている別紙1に掲げられている許諾製品の中には「時計」も含まれていない。
しかして、田村駒とボールドとの間において締結された乙第2号証の契約及び該契約の第2条により、ボールドがタイアップに対して許諾した再使用契約は、いずれも被請求人と田村駒との間において締結された乙第1号証の契約を前提としているものと解されるところ、乙第2号証の契約は、その前提となる乙第1号証の契約事項に含まれていない事項について締結された契約といわざるを得ない。
そうとすれば、ボールドあるいはタイアップにより、使用契約に係る商標が表示されている腕時計の販売行為がなされていたとしても、これをもって、本商標権(登録第2367964号)についての通常使用権者による使用行為とみることはできない。
(イ)もっとも、前記したとおり、本商標権については、田村駒を専用使用権者とし、地域「日本全国」、期間「本商標権の存続期間中(平成23年12月25日迄)」、内容「全指定商品」、目的たる他の権利「登録第2330346号外」とする専用使用権が平成19年1月16日付で設定登録されている。そうとすれば、田村駒は、平成19年1月16日以降は、本商標権(登録第2367964号)及び登録第2330346号商標権等について、ボールドに対して黙示による通常使用権を許諾していたものとも推認し得るところであり、従ってまた、ボールドもタイアップに対して再使用の許諾をしていたものとみることもできるから、田村駒とボールドとの間において締結された乙第2号証の契約は、被請求人と田村駒との間の専用使用権の許諾をも含めた全体的な合意の趣旨には反していないものとみることはできる。
(ウ)しかしながら、上記のように解したとしても、田村駒とボールドとの間において締結された使用契約に係る商標(別掲(2)の商標)やタイアップが乙第3号証のカタログの表紙部分に表示している商標(別掲(2)の商標と同じ構成態様からなる商標)は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものである。
すなわち、本件商標は、別掲(1)に示したとおり、周囲を黒く縁取りされた鷲と思しき図形のみからなるのに対して、使用契約に係る商標やカタログの表紙部分に表示されている商標は、別掲(2)のとおり、鷲と思しき図形と「LYLE & SCOTT/COLLECTION」の文字とからなるものであって、鷲と思しき図形と文字との間には、いずれに軽重があるものともいい難く、全体として、まとまりよく一体的に構成された商標ということができる。
そうとすれば、本件商標と使用契約に係る商標やカタログの表紙部分に表示されている商標とは、その全体の構成において明らかな差異があるものというべきである。
しかも、鷲と思しき図形部分のみを比較しても、本件商標は、別掲(1)に示したとおり、周辺全体に黒塗りの縁取りが施された鷲と思しき図形からなるところ、この縁取りは、商標の構成からみた場合には、単なる輪郭線などとは異なり、白色で表された鷲と思しき形状部分と黒地の部分とが混然一体に構成されており、全体として、鷲をモチーフにしたワッペンの如き印象を与えるものであって、縁取り部分がその構成に与える影響は、決して小さくないものである。これに対して、使用契約に係る商標やカタログの表紙部分の商標に表示されている鷲と思しき図形には、そのような縁取り部分もなく、鷲と思しき図形のみが白塗りに表されており、猛禽類としての「鷲」そのものとして理解・認識されるものである。
そうとすれば、商標の構成におけるこのような明らかな構成の差異は、これらの商標に接する取引者・需要者に対して、明瞭なる視覚的印象の違いを感じさせるものであるから、使用契約に係る商標やカタログの表紙部分の商標に表示されている鷲と思しき商標と本件商標とは、外観において別異の商標というべきである。
してみれば、使用契約に係る商標やカタログの表紙部分に表示されている商標と本件商標とは、その全体の構成においてばかりでなく、鷲と思しき図形部分の構成においても社会通念上同一と認識し得る商標とは認められないものである。
そして、このことは、使用契約に係る商標等とほゞ同様の構成からなる乙第3号証の腕時計に表示されている商標にも当てはまることである。
(エ)この点について、被請求人は、使用契約に係る商標等に表示されている鷲の図形と本件商標の鷲の図形とは、外観ばかりでなく称呼及び観念の点からみても、社会通念上同一の商標である旨主張している。
しかしながら、仮に、これらの商標から、いずれも「ワシ、イーグル」の称呼及び「鷲」の観念を生ずるとしても、上記したとおり、使用契約に係る商標等に表示されている鷲の図形と本件商標の鷲の図形とは、外観において同視し得る商標とはいえないものであって、社会通念上同一の商標とは認められないものであるから(商標法第50条第1項括弧書き参照)、この点についての被請求人の主張は採用できない。
(オ)そして、被請求人は、その外に、乙第6号証ないし乙第15号証を提出しているが、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一と認識し得る商標が取消請求に係る指定商品について使用されていたものと認めるに足る証拠は存在しない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者らのいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
したがって、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
(1)本件商標




(2)使用契約に係る商標やカタログの表紙部分に表示されている商標

審理終結日 2009-01-20 
結審通知日 2009-01-23 
審決日 2009-02-17 
出願番号 商願昭63-138337 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y0914)
最終処分 成立 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 1991-12-25 
登録番号 商標登録第2367964号(T2367964) 
復代理人 知念 芳文 
代理人 牛島 信 
代理人 志賀 正武 
代理人 影島 広泰 
代理人 渡邊 隆 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 鈴木 博久 
代理人 稗田 直己 
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