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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200821589 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X05
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X05
管理番号 1200456 
審判番号 不服2008-32574 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-25 
確定日 2009-06-24 
事件の表示 商願2007-26462拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「おもい」の平仮名文字を標準文字で表してなるものであり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,大人用紙オムツ,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳幼児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成19年3月27日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4840118号(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年7月26日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として、同17年2月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
本願商標は、「おもい」の平仮名文字を標準文字で表してなるところ、「おもい」は、「目方が多い。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑」第6版。)を意味する「重い」の読みとして一般に知られているものであることから、これよりは「目方が多い」の観念を生ずることを否定するものではない。
ところで、該「おもい」の平仮名文字は、「思い・念い・想い」の読みとしても、一般に知られているものというべきであって、該語は、「思う心の働き・内容・状態。」(前出「広辞苑」)、「ある物事について考えをもつこと。」(株式会社小学館発行「大辞泉」)の意味を有する語としても、一般に知られているものであるから、「おもい」の文字からなる本願商標からは、「想」の漢字を想起して、取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、「思う心の働き・内容・状態。」や「ある物事について考えをもつこと。」すなわち「おもうこと」の観念をも生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、別掲のとおり、1対の松の葉を交差させた程の図形を左側に、その右側に「想」の漢字を毛筆調の書体で書してなる構成よりなるものであるところ、図形部分と「想」の文字部分とは、視覚上、分離して把握、認識されるばかりでなく、これらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情も見いだし得ないものである。
そうすると、引用商標は、その構成中の「想」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められるから、該「想」の文字部分に相応して、「おもうこと。考えること。考え。」(前出「広辞苑」)、「思い浮かべる。思う。思い。」(株式会社三省堂発行「大辞林」第3版)、「心に思い浮かべる。おもう。おもい。考え。」(前出「大辞泉」)の観念を生ずるものといわなければならない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、観念において、「おもうこと」の観念を共通にする場合がある、互いに類似の商標といわざるを得ない。
次に、本願商標と引用商標の称呼上の差異についてみると、本願商標は、その構成全体から、「オモイ」の称呼のみが生ずるものである。
一方、引用商標は、上記のとおり、その構成中の「想」の漢字が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められるから、該「想」の文字部分に相応して「ソウ」、「ソ」の称呼が生ずるほかに、「オモイ」の称呼をも生じる場合があるということができる。
このことは、「想」の漢字の読みを記載した以下の(1)ないし(3)の辞書及び該「想」の漢字を「ソウ」、「ソ」のほかに、「オモイ」の読みをさせることについての(4)ないし(13)の新聞記事等の記載によって、十分裏付けられるものである。
(1)前出「広辞苑」(第6版 付録。以下、文字の下線は当合議体が線引きしたものである。)には、「ソウ 【想】」として、「ソ・おもう・おもい」との記載がある。
(2)「学研漢和大字典(机上版)」(株式会社学習研究社発行)には、「【想】」として、「おもい」との記載がある。
(3)「大漢語林」(株式会社大修館書店発行)には、「【想】」として、「おもい」との記載がある。
(4)2001年10月30日付け河北新報には、「一関ライオンズクラブ40周年/本田作品3体目、彫刻『想』を寄贈 市役所前広場で除幕式」の見出しの下、「一関ライオンズクラブ(伊藤久雄会長、42人)が創立40周年を記念し一関市に贈った彫刻『想(おもい)』の除幕式が市役所前広場で、先日行われた。」との記載がある。
(5)2002年4月28日付け琉球新報朝刊23ページには、「自作の琉歌、民謡詩を1冊に/元国頭村長・饒波正一郎さん/『想』を出版」の見出しの下、「【国頭】数年かけて自分が作りためてきた琉歌、民謡詩などを一冊の本『想(おもい)』にまとめ、発行した人がいる。」との記載がある。
(6)2002年6月26日付け朝日新聞大阪版朝刊33ページには、「明石花火事故の遺族、慰霊碑を建立へ 【大阪】」の見出しの下、「慰霊碑は台座の上に、子どもがうつむき加減で座っている石像(高さ約40センチ)で、再発防止や犠牲者への思いを込めて『想(おもい)の像』と名づけた。」との記載がある。
(7)2002年7月20日付け産経新聞東京版朝刊31ページには、「明石の花火大会事故 1年前の悲しみ想い 遺族らが慰霊碑除幕」の見出しの下、「慰霊碑は子供がうつむき加減で座ったような姿を表現した黒御影石製の『想(おもい)の像』。」との記載がある。
(8)2004年5月27日付け北海道新聞夕刊2ページには、「旭川出身歌手 冴木杏奈*心癒やす日本語タンゴ*優しい響き 世界で評判」の見出しの下、「世界各地で日本語でタンゴを歌い人気を集める旭川出身の歌手、冴木杏奈が、昨年六月の東京・オーチャードホールでの音楽会をライブ収録したDVD『想(おもい)』(レントラック・エンタテインメント)を発売した。」との記載がある。
(9)2006年2月18日付け東京新聞朝刊17ページには、「赤ちゃんの命の証し 本に 流産・死産の悲しみ 262人がつづる 誕生死・想 『話を聞いてもらえずつらかった』」の見出しの下、「その読者から寄せられた感想のうち、同じ体験をした人たちのものを直筆・実名のまま掲載した『誕生死・想(おもい)』(同)という本が出版された。」との記載がある。
(10)2006年11月18日付け読売新聞西部朝刊28ページには、「佐賀総体『250日前推進大会』 高校生170人が劇を上演=佐賀」の見出しの下、「フィナーレには、県出身のアーティスト、千綿ヒデノリさんが、佐賀総体のために作曲した『君色の風?想(おもい)?』を出演者と共に熱唱し、高校生にエールを送った。」との記載がある。
(11)寿屋結納店のウェブページ中、「結納セット千鳥」(http://www.japanesque-arts.com/chidori.html)には、「想(おもい)」との記載がある。
(12)有限会社利照堂仏具店のウェブページ中、「家具調仏壇」(http://www.rishodo.com/kagu/index.html)には、「上置用仏壇 想(おもい)」との記載がある。
(13)有限会社川端美術店のウェブページ中、「【限定作品】『香りの想(おもい) 花』安恒 春一ペーパースクリーン」(http://item.rakuten.co.jp/kawabata/yasu-08/)には、「『香りの想(おもい) 花』」との記載がある。
そうすると、本願商標と引用商標とは、上記のとおり外観上の差異を有するものであるとしても、「オモイ」の称呼を共通にし、「おもうこと」の観念を共通にする場合がある類似の商標であるというべきであって、かつ、本願商標の指定商品中「失禁用パンツ,大人用紙オムツ,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」は、引用商標の指定商品中「被服」と類似するものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
なお、請求人は、過去の審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例の判断に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、また、請求人の挙げた審決例は、いずれも本願商標とは商標の構成及び指定商品等を異にする事案であって、必ずしも本件に適切なものとはいえないことから、請求人の上記主張は採用することができない。
また、請求人は、「本願商標を構成する『おもい』の平仮名文字からは、『思い/念い/想い』、『重い』のいずれの意味合いをも取引者・需要者が無理なく理解できるところであり、従って、本願商標『おもい』の文字のみでは、如何なる文字の表音かを俄に断定することができず、このことは、本願商標からは『特定の観念』が生じないことを意味する」旨主張する。
ところで、商標の類否は、「一般に,簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているのでない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,1個の商標から2個以上の称呼,観念の生ずることがあるのは,経験則の教えるところである。そして,この場合,1つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同一または類似であるとはいえないとしても,他の称呼,観念が他人の商標のそれと類似するときは,両商標はなお類似するものと解するのが相当である。」(最高裁判所昭和37年(オ)第953号 昭和38年12月5日判決 民集第17巻第12号第1621頁)とされている。
そうすると、本願商標を構成する「おもい」の文字からは、「想い」の漢字を想起し、該漢字に相応するところの意味合いを取引者、需要者が理解し、認識するものであることは、請求人も認めるところであり、上記認定のとおり、本願商標は、「想」の漢字に相応した「オモイ」の称呼及び「おもうこと」の観念をも生ずるものであるから、かかる請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標



審理終結日 2009-04-22 
結審通知日 2009-04-27 
審決日 2009-05-11 
出願番号 商願2007-26462(T2007-26462) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X05)
T 1 8・ 263- Z (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神田 忠雄 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
杉本 克治
商標の称呼 オモイ 
代理人 網野 友康 

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