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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X03 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X03 |
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管理番号 | 1199185 |
異議申立番号 | 異議2008-900175 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-04-14 |
確定日 | 2009-05-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5108295号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5108295号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5108295号商標(以下「本件商標」という。)は、「リフティングヴェール」及び「LIFTING VEIL」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成19年6月5日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として平成20年2月1日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由の要旨 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 本件商標は、ファンデーション等の本件商標の指定商品において「リフティング(LIFTING)」の語が、「リフティング効果」、すなわち「(しわやたるみを持ち上げることによって)肌にハリを与える効果を有する商品」を表す語として使用され、認識されているものである。 2 また、「ヴェール(VEIL)」の語は、その指定商品中ファンデーションのように、しみ等を覆い隠すために、「肌等を覆って使用する商品」を表す語として使用され、認識されているものである。 3 さらに、「リフティング(LIFTING)」の語と「ヴェール(VEIL)」の語を結合した「リフティングヴェール(LIFTING VEIL」の語が、「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」を意味する語として使用されているものである。 4 したがって、本件商標は、これを、その指定商品に使用するときは、「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」を直感させ、商品の品質を表す標章に過ぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するものである。 5 また、これを前記以外の商品について使用するときは、あたかもその商品が、「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので商標法第4条第1項第16号の規定に該当するものである。 第3 取消理由の通知 1 本件商標は、上記、第1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「リフティング」及び「LIFTING」の文字は、「持ち上げる」の意味を有する英語「LIFT」に由来する語であって、美容関係の用語として、例えば、学習研究社発行「パーソナルカタカナ語辞典」には「顔面たるみ・しわ取り術。?する」と、三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典」には「老化した皮膚のしわ・たるみをとること」とそれぞれ記載されているほか、化粧品等の業界においては「しわやたるみを持ち上げることによって肌にハリを与える効果(リフティング効果)を有する商品」を示す語として使用されている(甲第1号証)。同じく「ヴェール」及び「VEIL」の文字は、「覆ってみえなくするもの、覆う、隠す」等の意味を有する英語及びその表音といえるものであり、該業界においては、しみ等を覆い隠すために「肌等を覆って使用する商品」を示す語として使用されている(甲第2号証)。 2 そして、化粧品等の業界においては、「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」が実際に取引されており、該商品について、上記「リフティング」及び「ヴェール」の語を結合した「リフティングヴェール」の文字が、例えば、「薄いベールで帯状毛穴をみるみる消し去り、リフティング感のあるなめらか肌に」、「すっきりと肌をひきしめはりを与える美容液」、「顔のタルミ・ムクミ解消」、「・・・顔を引き締めて肌のはりを保つと共に、顔のむくみを効果的に解消するようにした・・・」等の記述と共に用いられている事実がある(甲第3号証)。 3 そうすると、本件商標は、これをその指定商品中の「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」について使用しても、単に商品の品質、効能等を表示したものとして認識されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、上記商品以外の指定商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきであるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。 したがって、本件商標は、その登録を取り消すべきものである。 第4 商標権者の意見 商標権者は、取消理由に対する意見を要旨次のように主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 1 本件商標の構成中「LIFT」には乙第1号証に示すように「(ヴェールを)上げる、取り除く」という意味もある。そして、「Lift the veil」には「ヴェールをあげる」という意味の他に「(秘密にしていたことを)明らかにする」という意味もある。 「LIFT THE VEIL」には、上記のような意味合いがあるので、「LIFTING VEIL」という場合には、「ヴェールをあげること」「(秘密にされていたことを)明らかにすること」というような意味合いも看取できる。 したがって、本件商標は、必ずしも品質表示ということはできないと思慮する。 また、「リフティングヴェール/LIFTING VEIL」は間接的に商品の品質等を表示するかもしれないが、直接には品質を表示するとはいえず、市場においても商品表示ではなく商標として認識されるものであると考える。 特許庁の審査基準においても「指定商品の『品質』、『効能』、『用途』等を間接的に表示する商標は、商標法第3条第1項第3号の規定に該当しないものとする。」(乙第3号証)とされている。 2 さらに、本件商標中「ヴェール」「VEIL」は化粧品との関係において直接的に品質等を示すものであるとはいえないものである。「VEIL」は乙第4号証に示すとおり、「ヴェール、覆い」という意味の語である。化粧品というのは基本的に肌につけるものであり、その意味からは肌を覆うということもできるかもしれない。 しかし、化粧品によってしみを隠したりする場合には例えば、「カバー(する)」というような語を用いることはあるが、「ヴェール(する)」というような言い方はないと思われる。実際、「1.ヴェール(ベール)」は、「女性の顔や頭を覆う薄い布やネット。面紗。2.はっきりとわからないように覆い隠すもの。とばり。」と日本語の辞書にも記載されている(乙第4号証)。 実際、自他商品識別力の弱い語に「ヴェール」「VEIL」を結合してなる商標が登録された例が多数見受けられる(乙第5号証)。これらは全体として自他商品識別力を発揮するものと認められて登録されたと考えられる。 これらの商標はいずれも、商品の品質等を間接的に表示するかもしれないが、造語として認識され、自他商品出所表示機能を果たすものであると考えられる。本件商標についても、「リフティングヴェール/LIFTING VEIL」は間接的には商品の品質等を表示することもあり得ると思われるかもしれないが、全体として「ベールをあげること」というような意味合いをも有し、さらに、「ヴェール」「VEIL」は化粧品との関連において品質等を表示するとはいえないものである。 よって、本件商標は、全体として一連一体の造語であり、直接に品質等を表示するとは到底いえない。 3 以上のとおり、本件商標は全体として一連に観念、称呼を生じ、自他商品識別力を有するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。 第5 当審の判断 1 商標権者は、本件商標は、その構成中の「LIFTING」の文字中「LIFT」の文字が、「(ヴェールを)上げる、取り除く」という意味もあり、「Lift the veil」には「(秘密にしていたことを)明らかにする」という意味もあるので、「LIFTING VEIL」という場合には、「ヴェールをあげること」「(秘密にされていたことを)明らかにすること」というような意味合いも看取できる。また、特許庁の商標審査基準において「指定商品の『品質』、『効能』、『用途』等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。」と掲載されていることから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではないと主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。 2 しかしながら、その商標が複数の意味合いを認識させる場合があるとしても、これに接する取引者・需要者は、その使用に係る商品との関係において、その商品の品質等を表示する意味合いを把握し認識するものであり、その商品と関係のない意味合いについては、無視され認識されないことが一般的である。 また、商標審査基準は、商標法を円滑に運用し、審査の適正と迅速化を期し、審査官による判断の統一化を図るものである。 そして、ある商標が商標法第3条第1項第3号に該当するかどうかについては、その商標が自他商品識別力、或いは、出所表示機能というような商標の本質的機能を有するものであるかどうかにより判断されるものであり、商標審査基準でいう「間接的表示である場合は、商標法第3条第1項第3号に該当しない」というのは、その商標が使用された結果、自他商品識別力を有するものであることを前提にしていることはいうまでもない。 また、その商品について、すでに一般的に使用され、何人もその使用を欲するものについては、その商標を一私人に独占を認めるのは妥当ではない。 3 本件商標は、前記、第3のとおり、化粧品業界において、「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」が実際に取引されており、該商品について、「リフティングヴェール」の文字が、その商品の品質、効能等を表示するものとして使用されている事実よりすれば(甲第3号証)、商標権者が主張する前記1の主張については、認められないと判断するのが相当であり、これをその指定商品中の「肌にハリを与える効果を有する肌を覆って使用する商品」について使用しても、単に商品の品質、効能等を表示したものとして認識されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。 4 なお、商標権者は、自他商品識別力の弱い語に「ヴェール」「VEIL」を結合してなる商標が登録された例が多数見受けられることから、本件商標は、全体として一連一体の造語であり、品質を表示するものではない、と主張し、乙第5号証を提出している。 しかしながら、その商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、過去の登録例に拘束されることはなく、個々の事案に即して個別具体的に判断されるべきものであり、乙第5号証に係る商標は、本件とは著しく事案を異にするものである。また、例え、本件商標が一般的には、造語であるとしても、化粧品業界における取引者の使用は、前記のとおりであるから、この点に関する商標権者の上記主張は、採用することができない。 5 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第16号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2009-03-25 |
出願番号 | 商願2007-56392(T2007-56392) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Z
(X03)
T 1 651・ 272- Z (X03) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 井出 英一郎 |
特許庁審判長 |
林 二郎 |
特許庁審判官 |
杉山 和江 小畑 恵一 |
登録日 | 2008-02-01 |
登録番号 | 商標登録第5108295号(T5108295) |
権利者 | 株式会社B&Cラボラトリーズ |
商標の称呼 | リフティングベール |
代理人 | 高部 育子 |
代理人 | 塚田 美佳子 |
代理人 | 橋本 千賀子 |
代理人 | 村木 清司 |
代理人 | 松嶋 さやか |
代理人 | 関口 一秀 |
代理人 | 松原 伸之 |