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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z10
管理番号 1199116 
審判番号 取消2008-300099 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-01-23 
確定日 2009-06-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4309653号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4309653号商標(以下「本件商標」という。)は、「Retro Flex」の文字と「レトロフレックス」の文字とを二段に横書きしてなり、平成10年7月3日に登録出願、第10類「医療用機械器具,医療用手袋」を指定商品として、同11年8月27日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品のうち「医療用機械器具」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第2号証について
被請求人は、「体外循環用カニューレ総合カタログ」(抄)を乙第2号証として提出している。
しかしながら、乙第2号証に記載されている商標は、「レトロフレックス」と「Retro Flex」を別々に併記したものであるが、本件商標は、甲第1号証に記載のとおり、「レトロフレックス」と「Retro Flex」を上下2段に書してなるものである。
したがって、乙第2号証に記載されている商標と本件商標とは、同一の商標とは認められない。
また、乙第2号証のカタログの最終頁には、「99.02」の記載があるから、同カタログの発行時が1999年2月であると推測される。
したがって、乙第2号証によっては、本件商標が、本件審判請求登録3年以内に使用されていたことは証明されない。
イ 乙第3号証について
乙第3号証には、商品番号と思しき「RUKN-1218-SG-H」の文字及び「フレックスメイト」が記載されているのみなので、乙第3号証自体からは、本件商標が「カニューレ」に使用されていることは証明されない。
被請求人は、乙第2号証のカタログ記載の商品番号と組み合わせることによって、本件商標が「カニューレ」に使用されていることが証明される旨述べている。
しかしながら、乙第2号証のカタログは、1999年2月に発行されたと考えられるので、注文書の発行時(2006年)は、カタログ(乙第2号証)の発行時(1999年)から7年程も経過していると考えられる。この7年という長期間を考慮すると、商品番号に変更あったことも十分考えられる。商品番号に変更がないという事実は、変更がないことを主張する者が立証すべき事項である。
しかしながら、被請求人は、商品番号に変更ない旨の証明を一切していないのであるから、商品番号に変更がないと判断できない。
したがって、乙第3号証記載の商品番号と乙第2号証記載の商品番号が対応していることに疑義があると言わざるをえない。
よって、乙第3号証によっては、本件商標が「カニューレ」に使用されていたことは証明されない。
ウ 乙第4号証について
乙第4号証には、商品番号と思しき「RUKN-1218-SG-H」が記載されているのみなので、乙第4号証自体からは、本件商標が「カニューレ」に使用されていることは証明されない。
被請求人は、乙第4号証と乙第3号証の記載と組み合わせることによって、本件商標が「カニューレ」に使用されていることが証明される旨述べている。
しかしながら、上記イで述べたとおり、乙第3号証によっては、本件商標が「カニューレ」に使用されていることは証明されない。
したがって、乙第4号証と乙第3号証とを組み合わせても、本件商標が「カニューレ」に使用されていることは証明されない。
エ 乙第5号証について
被請求人は、体外循環用カニューレ「レトロフレックス」の包装に使用する商品ラベルの写しを乙第5号証として提出している。
しかしながら、乙第5号証に記載されている商標は「レトロフレックス」だけであり、本件商標を構成する欧文字「Retro Flex」を欠いている。
よって、乙第5号証によっては、本件商標が使用されていることは証明されない。
被請求人は、乙第5号証中に商品番号「RUKN-1218-SG-H」が記載されていること及び同番号は乙第2号証に記載されている商品番号と同一であることを述べている。
しかしながら、乙第2号証の商品番号が現在でも「レトロフレックス」を付した商品に対応しているのか、疑わしいことは先に述べたとおりである。
したがって、乙第5号証によっては、本件商標が「カニューレ」に使用されていることは証明されない。
オ 乙第6号証について
被請求人は、体外循環用カニューレの商品仕様説明書を乙第6号証として提出している。
しかしながら、乙第6号証に記載されている商標は「レトロフレックス」だけであり、本件商標を構成する欧文字「Retro Flex」を欠いている。
よって、乙第6号証によっては、本件商標が使用されていることは証明されない。
カ まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標が、審判請求に係る指定商品に使用されていることは証明されていない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)被請求人による商標使用の事実
被請求人である東洋紡績株式会社は、本件審判請求の登録の日(平成20年2月13日)より前3年の間に、日本国内において、本件商標を「第10類 医療用機械器具」に属する商品の一である「カニューレ」について使用している。
乙第2号証は、被請求人により発行された「体外循環用カニューレ総合カタログ」(抄)である。被請求人は、総合ブランド「Flexmate/フレックスメイト」の名のもとに「体外循環用カニューレ」を製造販売しており、「レトロフレックス/Retro Flex」はそのカテゴリー商標の一として使用されている。
乙第3号証は、泉工医科工業株式会社が、被請求人に対し、被請求人の製造販売に係る体外循環用カニューレ「レトロフレックス(Retro Flex)」を注文した際に発行した2006年11月15日付けの注文書の写しである。該注文書には、商品の製造販売元である被請求人の住所および名称、上記の発行年月日、「フレックスメイト」の文字、商品番号の一に「RUKN-1218-SG-H」の文字が記載されている。当該商品番号は、乙第2号証の製品カタログに掲載されている「レトロフレックス/Retro Flex」に係る商品番号の一と同一である。
乙第4号証は、当該注文を受け、被請求人の物流子会社である東洋紡ロジスティクス株式会社が、泉工医科工業株式会社に対し製品を出荷した際発行された、2006年12月4日付けの受取書の写しである。該受取書には、委託先として被請求人の名称が、出荷先として泉工医科工業株式会社の住所及び名称が記載されている。また、品名・品番として「RUKN-1218-SG-H」の文字が記載されるとともに、指図数量として「30.00」の文字が記載されている。該指図数量は、乙第3号証の注文書の写しに記載されている「RUKN-1218-SG-H」の数量と同一である。
よって、被請求人が、商品「カニューレ」について平成20年2月13日より前3年間に日本国内において本件商標と社会通念上同一の商標を使用している事実は十分に立証されている。
乙第5号証は、被請求人が製造販売している体外循環用カニューレ「レトロフレックス」の包装に使用する商品ラベルの写しである。該商品ラベルの右肩には「フレックスメイト」の文字が記載されており、中央左には「レトロフレックス」の文字が記載されている。
また、該商品ラベルの中央右には、商品番号として「RUKN-1218-SG-H」の文字が記載されている。当該商品番号は、乙第2号証の製品カタログに掲載されている「レトロフレックス/Retro Flex」に係る商品番号と同一である。
該商品ラベルの下部には「製造販売元/東洋紡績株式会社」の文字が大きく記載され、中央左下には「製造年月 2007.9」の文字が記載されている。
乙第6号証は、被請求人が製造販売している体外循環用カニューレ「レトロフレックス」に係る商品仕様説明書である。該裏面には、商品の製造販売元である被請求人の住所および名称が、該表面には、「フレックスメイト」の文字が、商品番号として「RUKN-1218-SG-H」の文字がそれぞれ記載されている。
また、該表面左肩には「2006年4月1日(第3版)」の文字が記載されており、本件商標に係る商標権者である被請求人が、商品「カニューレ」について平成20年2月13日より前3年間に日本国内において本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることが明らかである。
なお、商品「カニューレ」が「医療用機械器具」に属する商品の一であることは、乙第7号証の「特許電子図書館(IPDL)」の「商品・役務名リスト」から明らかである。
(2)結論
以上の立証のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品である「医療用機械器具」について、本件商標を審判請求の登録日前3年間に使用されている事実が明らかである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第2号証は、被請求人の「TOYOBO Flexmate 体外循環用カニューレ総合カタログ」と題するカタログと認められるところ、その裏表紙には、「’99.02」の記載がある。そして、6頁に「レトロフレックス」及び「Retro Flex」「(セルフタイプ)」が記載され、商品番号、カニューレの図等が表示され、「仕様」には、「ポリウレタンカニューレ」等の記載、「償還価格分類名」には、「心筋保護用カニューレ」等の記載があり、当該番号商品の仕様商品番号の一に「RUKN-1218-SG-H」の記載がある。
乙第3号証は、泉工医科工業株式会社から被請求人に宛てた2006年11月15日付け注文書と認められるところ、該注文書の商品名には、「東洋紡体外循環用カニューレ フレックスメイト RUKN-1218-SG-H」と記載されており、数量に「30」と記載されている。
乙第4号証は、物流会社と認められる東洋紡ロジスティクス株式会社の06年12月04日を出荷日とする受取書と認められるところ、該受取書の品名・品番に「RUKN-1218-SG-H」、数量に「30」と記載されており、委託先に被請求人の名称が記載され、出荷先には、「泉医科工業(株)」の記載があり、受領印欄に06年12月11日付けの押印がある。
乙第5号証は、商品ラベルと認められるところ、該ラベルには、販売名「東洋紡 体外循環用カニューレ」、型式名に「レトロフレックス(セルフタイプ)」、特定保険医療材料告示名に「体外循環用カニューレ(2)心筋保護用カニューレ」、製造年月「2007.9」及び商品番号「RUKN-1218-SG-H」等が記載され、製造販売元に被請求人の名称、販売元に「泉医科工業株式会社」の記載がある。
乙第6号証は、「東洋紡体外循環用カニューレ フレックスメイト[レトロフレックス(セルフタイプ・ハードスタイレット)]」の商品仕様説明書と認められるところ、該説明書には、「2006年4月1日(第3版)」の記載があり、商品番号の一として「RUKN-1218-SG-H」があり、その商品に対応するカニューレの形状図及びカテーテル径等の記載があり、また、に被請求人及び「泉医科工業株式会社」の名称が製造販売元及び販売元にそれぞれ記載されている。
(2)上記において認定した事実を総合してみれば、被請求人は、「フレックスメイト」と題する体外循環用カニューレのうち、「セルフタイプ」と呼ばれる商品について、「レトロフレックス」の商標を使用し、商品番号を「RUKN-1218-SG-H」とするカニューレ30個を本件審判の請求の登録(平成20年2月13日)前3年以内である2006年(平成18年)11月15日に泉医科工業株式会社から注文を受け、同年12月4日に納品(販売)したことが認められる。
そして、該使用商標は、本件商標の片仮名文字部分と同一の綴り字からなるものであり、欧文字部分とは同一の称呼を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる。
また、該カニューレは、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「医療機械器具」の概念に属する商品と認められる。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者自身により、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「カニューレ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る「医療用機械器具」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-04-08 
結審通知日 2009-04-13 
審決日 2009-04-28 
出願番号 商願平10-56552 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平山 啓子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 1999-08-27 
登録番号 商標登録第4309653号(T4309653) 
商標の称呼 レトロフレックス 
代理人 中川 博司 
代理人 松本 康伸 
代理人 岩井 智子 
代理人 松本 尚子 

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