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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y25
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y25
管理番号 1199016 
審判番号 不服2006-65020 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-08 
確定日 2009-04-09 
事件の表示 国際登録第743296号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件についてした平成19年2月20日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10243号、平成20年3月27日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「AJ」の欧文字を別掲1のとおりに書してなり、第25類「Clothing,footwear,headgear.」(被服,履物及び運動用特殊靴,帽子)を指定商品とし、2004年(平成16年)10月25日を事後指定の日とするものである。
第2 原査定の拒絶の理由
本願商標は、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の規格や製品記号等を表すものとして普通に使用されている「AJ」の2文字を表してなるにすぎないものであるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、黒地の横長四角形内に白抜きのローマ字2字で「AJ」と表記した構成よりなるところ、格別、特徴のある字体で表されているものでなく、また、特別の図形的な特徴を連想するものともいえないものである。
そして、ローマ字2字からなる標章が、一般に商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として、取引上、普通に採択・使用されているところ、「AJ」についても同様に、以下のインターネット・ホームページ上において規格、品番等として、以下の如く採択・使用されている実情がある。
(1)「AJ-39」(http://www.cecile.co.jp/detail/1/LDPN1B000011/)、
(2)「AJ-31」(http://www.711net.jp/product/p/2536702)、
(3)「AJ-50」(http://www.marujyu.com/jp/catalog/syosai/gift_01.html)、
(4)「AJ-45A」(http://www.wisecart.ne.jp/mitsuyoshi/7.1/AJ-45A-ALADDIN/)、
(5)「K767 AJ」(http://www.rakuten.co.jp/kutu-lead/421649/501169/816595/)
(6)「NIKE AJ 6 RINGS」(http://kakaku.journal.mycom.co.jp/item_info/20851000800880.html)
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、前記の事情よりして、本願商標を単に前記の如き使途に用いられる極めて簡単、かつ、ありふれた商標と認識し把握するに止まり、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、審判請求書において、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものではない旨を主張しているところ、提出された証拠(甲第1号ないし第269号証(枝番を含む。))に照らせば、同法第3条第2項の適用により登録されるべきである旨をも主張していると理解できるから、以下、請求人の前記主張及び提出された証拠について検討する。
(1)商標法3条2項の趣旨について
商標法第3条第2項の判断に当たっては、「商標法第3条第2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高裁平成18年(行ケ)第10054号 平成18年6月12日判決言渡)と判示されているので、以下、本趣旨に沿って検討する。
(2)甲各号証に表示されている商標が使用されている商品と出願に係る指定商品との同一性について
本願の指定商品は、「Clothing,footwear,headgear.」(被服,履物及び運動用特殊靴,帽子)であるところ、「Clothing」及び「headgear」には、「洋服,コート、セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,アイマスク,エプロン,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ずきん,すげがさ,帽子」等の第25類「被服」の範疇に含まれる商品全部が含まれている。
同じく、「footwear」には、「雨靴,運動靴,作業靴,サンダル靴,短靴,長靴,地下足袋,婦人靴,防寒靴,幼児靴,靴中敷き.靴くぎ,げた,草履,ゴルフ靴,スキー靴」等の第25類「履物」及び「運動用特殊靴」の範疇に含まれる商品全部が含まれている。
そして、甲各号証によれば、請求人の使用に係る「AJ」の文字(以下「使用商標」という。)が付された商品は、「ティーシャツ,シャツ、ズボン、コート、パーカー、帽子、手袋、ジャケット、ニットウェア、ポロシャツ、マフラー、ベルト、バッグ、ボタン、短靴」であることが認められる。
他方、前記商品以外の「Clothing」及び「headgear」(被服)中に含まれる商品、例えば、「寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,アイマスク,エプロン,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ずきん,すげがさ」等の商品について、また、「footwear」(履物)についても、例えば、「雨靴,作業靴,木靴,サンダル靴,釣り用靴,地下足袋,幼児靴,げた,草履,スリッパ,ゴルフ靴,スキー靴」等の商品については、本願商標と同一性を損なわない程度(以下「実質的に同一」という。」)の商標が使用されたことを証明する何らの証拠も提出されていない。
そして、もし、出願商標に係る指定商品中に、商標法3条2項の要件を満たさないため登録を受けることができない商品があるときは、その指定商品中から該商品が補正等により削除されない限り、その出願は全体として登録を受けることができないものと解すべきところ、上述のとおり、本願商標は、第25類の「Clothing,footwear,headgear.」(被服,履物及び運動用特殊靴,帽子)に含まれる商品全部を指定商品として登録出願されたものであって、その後、何ら指定商品の減縮補正は行われていないものである。
そうすると、本願商標が、その指定商品中の一部の商品にのみ使用されているにすぎないことが明らかであるから、結局、前記(1)の趣旨に照らせば、その指定商品の全部にわたって登録を受けることができないものといわざるを得ない。
(3)甲各号証に表示されている商標と出願に係る商標との同一性について
ア 甲第1号ないし第10号、第29号、第31号ないし第35号、第37号、第38号、第53号、第55号ないし第60号、第63号ないし第139、第142号及び第143号、第166号、第168号ないし第269号証で示されている「アルマーニ ジーンズ」、「ジョルジョ・アルマーニ」、「ジョルジオアルマーニ」、「ジョルジオ アルマーニ」、「アルマーニ」、「エンポリオ・アルマーニ」、「エンポリオ アルマーニ」、「アルマーニ ジーンズ」、「AJ(アルマーニ ジーンズ)」、「ARMANI JEANS」、「ジョルジョ・アルマーニ」、「Giorgio Armani」、「GIORGIO ARMANI」、「ARMANI」、「AJEANS」の各文字は、本願商標と同一でないことが明らかである。
イ 甲第26号ないし第29号、第39号ないし第50号、第52号、第58号、第61号、第128号、第145号、第164号、第182号、第237号、第267号証には、別掲4ないし9、11、12、17の如く、各種「AJ」の文字が表示されているところ、当該文字はいずれも図案化されており、本件商標「AJ」の文字とは、その態様を異にするものであるから、当該「AJ」の文字は、本件商標と同一の商標とはいえない。
ウ 甲第53号証は、「AJ」+「○○○」の形式の文字が同書・同大・等間隔で一連一体で「AJ○○○」と表示されているところ、本件商標の「AJ」の文字とはその態様を異にするものであるから、本件商標と同一の商標とはいえない。
エ 甲第36号、第40号、第43号、第54号、第60号、第62号、第101号、第147号の1ないし4、第153号及び第154号、第158号ないし第163号、第165号及び第166号、第178号、第218号、第254号、第265号証には、別掲13に示すとおり、黒地に白抜きで「AJ」の文字と、その右隣に二段書きで「ARMANI」及び「JEANS」の文字が表示され、「AJ」と「ARMANI」及び「JEANS」の文字の間には縦書の直線が描かれている。
しかしながら、当該標章は、「AJ」と「ARMANI」及び「JEANS」の文字が黒地の横長四角形内に白抜きで一体的に表示されているものであるから、本願商標と同一の商標とはいえない。
オ 甲第142号証には、黒地に白抜きで「AJ」の文字と、その右隣に二段書きで「ARMANI」及び「JEANS」の文字が表示され、「AJ」と「ARMANI」及び「JEANS」の文字の間には縦書の「SS05」の文字及び記号が表示されている。
しかしながら、当該文字は、「AJ」、「SS05」、「ARMANI」及び「JEANS」の文字が黒地の横長四角形内に白抜きで一体的に表示されているものであるから、本願商標と同一の商標とはいえない。
カ 甲第63号、第143号証には、別掲10の如く、鳥の羽の図形内に「AJ」の文字が一体的に表わされているところ、該文字自体も図案化されており、本件商標「AJ」の文字とはその態様を異にするものであるから、本件商標と同一の商標とはいえない。
キ 甲第122号、第164号証には、逆さまの台形図形内に図案化された「AJ」の文字が表示されているところ、本件商標の「AJ」の文字とはその態様を異にするものであるから、本件商標と同一の商標とはいえない。
ク 甲第20号、第30号、第44号、第51号及び第52号、第77号、第121号証には、商品「ベルト」に「AJ」、二段書きの「ARMANI JUNIOR」、「ARMANI JEANS」の各文字が使用されている。
しかしながら、「ベルト」は、本願に係る指定商品中に含まれないものであるから、当該商品への「AJ」の文字の使用は、本願に係る指定商品についての使用とは認められない。また、二段書きされた前記各文字も、本願商標と同一でないことが明らかである。
ケ 甲第197号ないし第200号、第202号ないし第208号証においては、「フリースブランケット」に「AJ」の文字が使用されている。
しかしながら、「フリースブランケット」は、本願に係る指定商品中に含まれないものであるから、当該商品への「AJ」の文字の使用は、本願に係る指定商品についての使用とは認められない。また、当該「フリースブランケット」は、プレゼントとして配布されるものであるから、商標法上の商品とはいえない。
コ 甲第260号証において、「クーラーバッグ」に「AJ」の文字が使用されている。
しかしながら、「クーラーバッグ」は本願に係る指定商品中に含まれていないから、当該商品への「AJ」の文字の使用は、本願に係る指定商品についての使用とは認められない。また、当該「クーラーバッグ」は、プレゼントとして配布されるものであるから、商標法上の商品とはいえない。
サ 甲第158号証は、「AJ」、「ARMANI」及び「JEANS」の文字が3段に表示されている。
しかしながら、当該文字においては、「AJ」、「ARMANI」、「JEANS」の各文字が、同一の色彩(オレンジ色)で一体として表示されているものであるから、本願商標と同一の商標とはいえない。
シ 甲第22号ないし第25号、第233号第234号証には、別掲2及び3に示すとおり、本願に係る指定商品について、本願商標と実質的に同一な商標が付されている。
しかしながら、その使用の開始時期及び使用期間は不明であり、また、その商品に関する生産量、販売量等に関する証拠資料の提出はないものである。
(4)その他、請求人の主張及び証拠をもってしても、本願商標が、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものとは認められない。
3 結論
以上のとおり、本願商標については、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と判断するのが相当であって、かつ、甲各号証によっては、本願商標が使用による自他商品の識別力を備えたものになっていたともいい難く、商標法第3条第2項の要件を満たすものと認めることは出来ない。
したがって、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第5号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

















審理終結日 2008-11-07 
結審通知日 2008-11-12 
審決日 2008-11-27 
国際登録番号 0743296 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (Y25)
T 1 8・ 15- Z (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 井出 英一郎
佐藤 達夫
商標の称呼 エイジェイ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 

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