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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1198936 
審判番号 取消2008-301370 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-10-27 
確定日 2009-05-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第4675686号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4675686号商標の指定役務中「娯楽施設の提供」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4675686号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成14年8月16日に登録出願、第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、同15年5月23日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第41類「娯楽施設の提供」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁の要旨
ア 被請求人は、「スポーツニュース番組『すぽると!』を毎日放送しており、この番組名称は著名又は周知となっている。」と述べている。
被請求人は、2001年4月に、「感動ファクトリー・スポルト!」を番組名とするスポーツニュース番組の放送を開始した。本件商標は、2001年4月の番組開始時より、同放送番組を表すロゴとして、被請求人に使用されていた。
しかし、その後、被請求人は2005年4月に同番組のリニューアルを行い、それに伴い同放送番組を表すロゴ(以下「番組ロゴ」という。)は、別掲(2)のとおり、変更された。変更後の番組ロゴでは、「感動ファクトリー」の文字が除かれ、また、ひらがな表記が英字表記となった。
現在の番組ロゴを表示する被請求人の公式ウェブサイトのページを提出する(甲第1号証)。また、別掲(2)に示す変更後の番組ロゴに関し被請求人が所有する商標登録第4916847号(以下「引用商標」という。)を提出する(甲第2号証)。
また、ウィキペディアに『すぽると!』に関する説明として、
「2001年4月2日に、長年放送された『プロ野球ニュース』の後継番組としてスタート。スタートから2005年4月1日までは『感動ファクトリー・すぽると!』として放送していたが、同年4月4日から大幅にリニューアルし、タイトル内の『感動ファクトリー・』が取れて、現在のタイトルになった」と記載されている。また、上記説明の脚注として、「タイトルロゴ内の表記を日本語の『すぽると!』から英字の『SPORT』(読みの『すぽると』とはスポーツのイタリア語読み)に変更されており、タイトルロゴも『FUJI NETWORK SPORT』(フジネットワークのスポーツ番組で見かける題)用と並行して扱うようになった」(甲第3号証)と記載されている。
すなわち、被請求人は答弁書において「2001年からスポーツニュース番組『すぽると!』を毎日放送しており」と述べているが、実際には本件商標の使用をしていない。
イ 本年夏に開催された「お台場冒険王」というイベント内に、コカ・コーラ社の協賛で「コカ・コーラ オリンピック ファンステーション with すぽると!球体スタジオ」というブースを設置し、その中で「『すぽると!』の文字を使用している」と述べ、乙第1号証として、「『お台場冒険王』(2008年7月19日?8月31日)終了報告書」を提出している。
乙第1号証には、下記のとおりの三か所に「すぽると!」の記載があるが、それらはいずれも「すぽると!」の標章を、役務「娯楽施設の提供」に、商標としての態様で使用しているということはできない。甲第4号証に、乙第1号証の「すぽると!」の文字が使用されている箇所を(ア)ないし(ウ)で示して説明する(甲第4号証)。
(ア)「さらに『すぽると!』のスタジオセットで生放送の舞台裏や秘蔵映像を公開!」
「すぽると!」の語はテレビの放送番組の名称として用いられている。
(イ)「コカ・コーラと『すぽると!』が、北京オリンピックを盛り上げました!」
「すぽると!」の語はテレビの放送番組の名称として用いられている。
(ウ)「コカ・コーラ オリンピック ファンステーション with すぽると!球体スタジオ」
「すぽると!」の語はテレビの放送番組の名称として用いられている。
すなわち、乙第1号証の「すぽると!」の記載は、役務「娯楽施設の提供」に関し、商標法第2条第3項に掲げるいずれの標章の使用にも該当しない。
ウ 使用された標章について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成である。
一方、乙第1号証に記載された標章(以下「本件使用標章」という。)は、同書、同大に連綴されている「すぽると!」の文字である。
以下、本件使用標章の使用が本件商標の使用であるか否か検討する。
(ア)本件使用標章は、本件商標と「同一」であるか
両者を比較すると、外観の差異を有することは一見して明らかであり、物理的に同一の商標とはいえない。
(イ)本件使用標章は、本件商標と「社会通念上同一」であるか
社会通念上同一(商標法第50条第1項かっこ書き)といえる範囲は、逐条解説の「パリ条約5条C(2)の趣旨の我が国への適用も明確となり、さらには、登録商標と物理的に同一のものを使用するというよりは、それを付する商品(役務)の具体的な性状に応じ、適宜に変更を加えて使用するのがむしろ通常であるという産業界の実情にも合致することが明確になった。」の記載より、少なくとも、商標の識別性に影響を与えない範囲と解釈すべきである。
本件について検討すると、本件商標は、別掲(1)のとおり、デザイン化された「すぽると」の文字、黒い歯車様の図形に囲まれた白色の「!」の記号、「感動ファクトリー」の文字、「すぽると」の文字を囲む大きな歯車様の図形、及び「感動ファクトリー」の文字を囲むこれより小さな歯車様の図形が一体となった、非常に特徴的な商標である。
一方、本件使用標章は、同書、同大に連綴されている「すぽると!」の文字のみである。
したがって、本件使用標章では、本件商標の特徴的な部分の大半が失われており、本件使用標章と本件商標とでは、商標の識別性に大きな相違点がある。
したがって、両商標は、社会通念上同一ではない。
エ まとめ
以上より、本件商標の商標権者等は、日本国内において、本件商標を、指定役務「娯楽施設の提供」について、審判請求の登録日前3年以内に使用をしていない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
(1)被請求人は、以下に説明するように、指定役務「娯楽施設の提供」について、審判請求日より3年以内に、日本国内において本件商標を使用している。
(2)被請求人は、2001年からスポーツニュース番組「すぽると!」を毎日放送しており、この番組名称は著名又は周知となっている。
被請求人は、被請求人が主催し本年夏に開催された「お台場冒険王」というイベント内に、コカ・コーラ社の協賛で「コカ・コーラ オリンピック ファンステーション with すぽると! 球体スタジオ」というブースを設置し、その中で「すぽると!」の文字を使用している(乙第1号証)。
(3)以上のとおり、被請求人が、日本国内において、審判請求の登録前3年以内に、指定役務「娯楽施設の提供」について本件商標を使用していること明らかである。
したがって、商標法第50条の規定により取消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)商標法第50条に基づく商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その審判請求の登録(平成20年11月11日)前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
(2)そこで、被請求人は、本件商標の取消請求に係る役務について本件商標を使用していた旨主張して、乙第1号証を提出しているので、その証拠について検討する。
ア 本件使用標章「すぽると!」の使用に係る役務について
(ア)乙第1号証は、本件審判請求の予告登録前3年以内に当たる2008年7月19日から8月31日まで開催された被請求人主催のイベント「お台場冒険王」の終了報告書と認められる。乙第1号証の2枚目(18頁)には、「25F球体展望室『はちたま』」及び展望室内の写真、「来場者数 454,282名」、「コカ・コーラ オリンピック ファンステーション with すぽると!球体スタジオ」及びそこでイベントを行っているスタジオ内の写真、「コカ・コーラと『すぽると!』が、北京オリンピックを盛り上げました!コカ・コーラとオリンピックの歴史を体感できるプレミアムグッズの展示やオリンピック体感ゲームを実施。さらに、『すぽると!』のスタジオセットで、生放送の舞台裏や秘蔵映像を公開!バーチャルでキャスターとの“夢の共演”など、スポーツを見て触れて楽しんで頂きました。」と記載されている。
(イ)ところで、乙第1号証に係るイベント「お台場冒険王」の「実施概要」(http://wwwz.fujitv.co.jp/bohken/index.html)には、「お台場冒険王1DAYパスポート 一般:1500円 小中学生:1300円※25F球体展望室『はちたま』・22Fフォーラム・冒険ランド・シュッとした金のオブジェの先ランドの入場料金として」と記載されている。
(ウ)以上よりすれば、被請求人は、25階の球体展望室に特設された「コカ・コーラ オリンピック ファンステーション with すぽると! 球体スタジオ」と称する場所において、娯楽施設の提供の範ちゅうに属する役務を行っていたものと推認できる。
したがって、本件使用標章は、テレビの放送番組の提供に付随したイベントの名称であるというよりは、本件の取消請求に係る「娯楽施設の提供」の範ちゅうに属する役務について本件使用標章の使用をしていたものということができる。
イ 本件商標と本件使用標章の同一性について
乙第1号証には、本件の取消請求に係る指定役務「娯楽施設の提供」に関わる役務について本件使用標章「すぽると!」を以下の(ア)ないし(ウ)に使用していたことが認められる。
(ア)「map1 コカ・コーラ オリンピック ファンステーション with すぽると!球体スタジオ」
(イ)「コカ・コーラと『すぽると!』が、北京オリンピックを盛り上げました!」、
(ウ)「さらに『すぽると!』のスタジオセットで生放送の舞台裏や秘蔵映像を公開!」
しかしながら、本件商標は、別掲(1)のとおり、黒色の歯車図形内に図案化された「すぽると!」(なお、「ぽ」の文字の半濁音符記号は、黒塗りの小さな歯車の中心円を白抜きで表している。また、「!」の文字は、黒塗りのやや小さい歯車を白抜きで表している。)と思しき文字を顕著に描き、その左下に、中程度の大きさの黒色の歯車様の図形内に、同じく黒色で「感動」及び「ファクトリー」の文字を併記して、全体として4つの歯車様の図形とが噛み合って、外観上一体的な構成で表示されている。
したがって、本件商標と本件使用標章とは、外観において4つの歯車様の図形の有無、「感動ファクトリー」の文字の有無、及び「すぽると!」の文字の図案化の程度に大きな差異を有し、看者に別異の印象を与えるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
また、被請求人は、「2001年からスポーツニュース番組『すぽると!』を毎日放送しており、この番組名称は著名又は周知となっている。」と主張しているが、要証期間前の2005年4月4日から同番組が大幅にリニューアルし、番組タイトル中から『感動ファクトリー』が取り除かれている(甲第3号証)こと明らかである。
そうとすれば、被請求人は、被請求人のスポーツ番組に因んだスタジオ(セット)名を本件使用標章として使用していることから、リニューアル前の番組名である本件商標の使用が証明できないことは明らかである。
ウ まとめ
以上のとおり、被請求人提出の乙第1号証によっては、本件商標を取消請求に係る指定役務に使用していたことを証明し得たものということはできず、また、他に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定役務に使用していることを証明する何らの書証の提出もないものである。
(3)むすび
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定役務中「娯楽施設の提供」について、本件商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)番組ロゴ(引用商標)(なお、色彩については原本を参照)



審理終結日 2009-03-24 
結審通知日 2009-03-26 
審決日 2009-04-13 
出願番号 商願2002-69662(T2002-69662) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 澁谷 良雄 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
岩崎 安子
登録日 2003-05-23 
登録番号 商標登録第4675686号(T4675686) 
商標の称呼 スポルトカンドーファクトリー、スポルト、カンドーファクトリー、カンドー、ファクトリー 
代理人 村上 晃一 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 穂坂 道子 
代理人 土生 真之 
代理人 中村 仁 

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