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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消200630859 | 審決 | 商標 |
取消200630401 | 審決 | 商標 |
取消2008300831 | 審決 | 商標 |
取消2008300176 | 審決 | 商標 |
取消2007300085 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030 |
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管理番号 | 1198908 |
審判番号 | 取消2007-301356 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-10-22 |
確定日 | 2009-01-19 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3344506号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3344506号商標の指定商品中「穀物の加工品」については、その登録は取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3344506号商標(以下「本件商標」という。)は、「毛がに」の文字を横書きしてなり、平成6年4月5日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,ピザ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、同9年9月5日に設定登録され、同19年9月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成19年11月6日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由並びに口頭審理における陳述において、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中「穀物の加工品」について使用されている様子がなく、また、専用使用権者及び通常使用権者の設定登録もなされていない。 したがって、商標法第50条に規定される不使用による登録の取消の要件である「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品について登録商標の使用をしていないもの」に該当するから、本件商標の指定商品中「穀物の加工品」について、その登録は取り消されるべきである。 2 第1弁駁の理由 (1)具体的弁駁 (ア)乙第2号証の「商標の使用権許諾に関する契約書」(以下、「使用権許諾契約書」という。)は、平成15年8月30日付け契約で、有効期間は5年間の平成20年8月30日迄とある。しかし、下記のように乙第3号証との関係で正確な使用の事実が認められる証拠が存在しないことに加え、請求人に対し有料とすることとの対比上、この契約の相手方(アサヒ食品工業株式会社、以下「アサヒ食品」という。)に無料とされている点が不自然である。また、この契約がたとえ形式的とはいえ存在する以上、「商標使用承諾約書」(甲第3号証)の提示の際、少なくとも道義的にその存在を告知しても良いものと考える。 (イ)乙第3号証は、あたかもこれらの商品が、本件審判の請求の登録前3年内(以下「本件期間内」という。)に販売されたかの如く見えるが、果たして当該3年内に販売されたかの日付又はそれが類推できるような記載もなく確認することは出来ない。すなわち、請求人は仮にこれらが販売されたとしても、本件審判の請求の登録後に製造、販売されたものではないかと考える。 具体的に付言すると、以下のとおりである。 A)5食入り包装箱について 商標登録番号第3344506号と表示されている旨の化粧箱の拡大写真(乙第3号証の2ページ下段)はあるが、この製品がアサヒ食品の製造品である旨の確証が得られるものはこの化粧箱のどこにも見当たらない。 また、この製品が、いつ製造され、販売されたのか確認することができず、立証されたということはできない。 B)袋入り毛がにラーメンについて 無地袋にシールを添付した製品である様であるが、これらが商品として平成16年11月ないし同19年11月までの3年の間に販売されたという事実は、下記の理由から認められない。 a)乾めん類食品製造者は、乾めん類品質表示基準(甲第4号証)第3条に基づき、表示すべき事項として「調理方法」とあるが、アサヒ食品の製品にはその表示が一切見当たらず、他所への転載もない。これは取りも直さず農林水産省の告示基準に反しており、通常一般消費者が加工食品を購入し、家庭において調理することを考えたとき、その調理方法が全く記載されていないという商品が現代において流通することは極めて考えにくく不自然である。 b)袋入りラーメンについては、一体何食入りなのか、スープが添付されているのかいないのか、又そのスープが何味であるのか全く表示されないまま店頭に並び販売されていたとは到底考えられず、食品、就中加工食品関係のあるべき姿とは思えない。すなわち、販売、ひいては本件商標の使用事実が疑わしいものである。 (ウ)証拠再提出の要求 請求人は、上記A)及び B)の確証を得るため、ここに下記A)ないしC)の更なる証拠の提出を求める。これらは、当該商品が販売されておれば、必ずや存在し、また準備可能なものだからである。 A)5食入り毛がにラーメン化粧箱の実物(最低10枚以上)、化粧箱製造社による製造枚数、製造年月日及びデザイン者名が記載された製造証明書、印刷用版下等 B)袋入りラーメンに貼付したシールの製造所名、製造枚数、デザイン者名等の記載された証明書 C)本件審判の請求の登録前3年以内における当該商品の出荷伝票、運送会社による発送伝票等 (エ)乙第4号証について 乙第4号証の2ページ目の陳列商品が、果たしてサッポロビール博物館ミュージアムショップのものかこれのみでは確認出来ず、また、たとえ現在陳列されているとしても果たして本件審判の請求の登録前3年内の陳列(本件商標の使用)といえるか否か不明である。 (オ)乙第5号証について 販売時期が、正に本件審判の請求の登録前3年の期間に該当し、いかにも不自然である。いずれにしても乙第4号証と同様に、実際に陳列された年月日が不明である。 (カ)乙第6号証について 東友商事有限会社(以下「東友商事」という。)の販売証明書(乙第6号証)も、どの商品を実際に販売したのか不明確である。 (キ)乙第7号証について 乙第7号証も、本件審判の請求の登録前3年の期間にほぼ合わせたものであり、極めて不自然である。加えて、どのような商品が販売されたのかも正確に理解できない。 (ク)以上のとおり、本件商標は、本件期間内に使用されておらず、取り消されるべきである。 3 第2弁駁の理由 (1)乙第3号証及び同第4号証について (ア)請求人は、平成20年8月に購入したアサヒ食品が製造販売を続けている製品の写真を提出する(甲第7号証1ないし3)。 これらの商品には、乾めん類品質表示基準に基づいた適正な表示が行われているが、乙第3号証の商標使用商品(「スープ付きの中華そばの乾燥めん」、以下「本件商品」という。)には、それらの義務表示が欠けている。 しかしながら、被請求人は、「本件商品は、透明袋で包装されており、1食入りで、スープの素が封入されていることが明白である。調理方法は印刷物を封入していた。」と主張するが、これは乾めん類品質表示基準を無視した詭弁であり、このような事が論として述べられていることが既に虚偽である。さらに、請求人が指摘した乙第3号証にある化粧箱現物の提出及び製造証明がなされなかった。 そこで、請求人は、当初の弁駁で要求した化粧箱現物10枚の提出を改めて要求する。 (イ)乙第4号証の陳列写真に本件商品と一緒に写り、並べられていた他社の製品の写真を提出する(甲第8号証)。これらの製品にも同様に正しい品質表示がなされている。さらに、請求人の製品の写真も提出する(甲第9号証)。 (2)乙第5号証ないし同第7号証について 乙第5号証ないし同第7号証の書式、文面、販売期間、そのどれを見ても酷似し、取引の力関係をもってすれば通常容易に作成できるものであり、被請求人が用意し求めたものであると推察可能である。 (3)乙第9号証について アサヒ食品に納品したとするシール印刷証明書が添えられているが、正規食品品質表示を常とする麺類製造所が、上記のような不備なる印刷物を発注し、受け取る理由はなく、麺類の表示規定を知らぬ者により急ぎ用意された印刷物に他ならない。 (4)乙第10号証及び同第11号証について 唯一客観的資料として、札幌通運株式会社(以下「札幌通運」という。)の運賃料金請求明細書及び発送伝票の提出があるが、そこに示されているのは、個数、重量、運賃であり、「毛がにラーメン」が運ばれたという証明ではなく、その商品名を記載した売上伝票は、被請求人のものであり客観性がない。 (5)結論 被請求人が、過去3年以内においてアサヒ食品により本件商標の使用があったとして提示した袋入り製品について、以上の理由からその存在を強く否定するものである。したがって、販売及び発送等の証明書の提出はあったとしても信憑性は極めて低い。 4 口頭審理における陳述 (1)口頭審理陳述要領書 使用権許諾契約書について この契約については、その性格、目的、締結日付等に関して合理的な疑いをさしはさむ余地が多々ある。 (ア)第2条(使用料)の項において、「無償」とある点については、金銭のやりとりを証明することができない、事後的にねつ造した又は契約締結日を偽った契約書でないかと疑われる。 (イ)本件のライセンサである商標権者は、自ら穀物の加工品に本件商標を付した商品を販売していないことからみて、この使用許諾契約は侵害解決型の消極的なライセンスに該当するものである。しかし、この契約は、商標権者が自ら築いたグッドウィルを使用許諾する積極的なライセンス契約のひな形に近いものを採用していると見受けられ、契約締結日を繰り上げて書き入れたという事情が推察される。 (ウ)この契約書は、平成19年12月19日付け提出の答弁書と同じ書体、フォントの大きさで作成されており、字の濃さ、鮮明さも同一と思われるから、同年12月に準備、押印され、契約締結日だけは同15年8月30日と偽装したとみるのが相当である。 (2)口頭審理における陳述 (ア)乙第3号証は、2枚目の上段写真の製造者が「アサヒ食品工業株式会社」とされているが、同号証の化粧箱の現物には製造者の記載がなく、販売者が「ロマンス製菓株式会社」と記載されているから、成立を否認する(第1回口頭審理調書)。 (イ)乙各号証に表示された商標は、本件商標と類似するものであって、本件商標の使用にあたらない(第1回口頭審理調書)。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び弁駁に対する第2答弁の理由並びに口頭審理における陳述において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第13号証(枝番を含む。)を提出している。 1 第1答弁の理由 (1)通常使用権の許諾 被請求人は、「毛がに」シリーズとして本件商品の販売を企画し、平成15年にこの製造をアサヒ食品(北海道紋別郡上湧別町字中湧別339番地)に委託すると同時に本件商標の通常使用権を許諾することとし、同年8月30日付け使用権許諾契約書(乙第2号証)を交わした。 当該契約書により、その契約期間中(平成15年8月30日から同20年8月30日)、アサヒ食品が本件商標の通常使用権者であることを証明する。 以来、アサヒ食品は、現在に至るまで本件商標を付した本件商品を継続して製造・販売しており(乙第3号証)、サッポロビール博物館内のミュージアムショップや百貨店の「北海道物産展」等において販売している(乙第4号証ないし同第7号証)。 (2)使用の事実 (ア)乙第3号証について 乙第3号証は、アサヒ食品の製造・販売に係る本件商品を撮影した写真である。 当該製品の表面には、赤い毛ガニの写真が印刷されたシールが貼付され、該シールには「北海道名産」、「ラーメン」の文字に加えて「毛がに」の文字よりなる本件商標が印刷されている。 さらに、当該製品の紙箱の右下には、本件商標の登録番号について「商標登録番号 第3344506号」と記載されている。 これにより、本件商標の通常使用権者であるアサヒ食品が、本件商標を穀物の加工品である「スープ付きの中華そばのめん」に使用している事実を証明する。 (イ)乙第4号証について 乙第4号証は、アサヒ食品の製造・販売に係る本件商品の店頭販売の様子を撮影した写真である。 当該写真は、北海道札幌市東区北7条東9丁目のサッポロビール博物館に付属するミュージアムショップの店頭の様子を撮影したものであるところ、写真中に乙第3号証として挙げたアサヒ食品の製造に係る本件商品が確認でき、「北海道/毛がにラーメン/みそ味/1袋(税込)210円」との記載のある値札も確認できる。 (ウ)乙第5号証について 乙第5号証は、乙第4号証として挙げた写真の店舗(サッポロビール博物館ミュージアムショップ)を運営する大葉商事株式会社(以下「大葉商事」という。)代表取締役の証明書である。当該証明書は、本件商標が付された商品「毛がに」ラーメンを、サッポロビール博物館ミュージアムショップにおいて平成16年11月から同19年11月頃まで店頭に陳列し、販売しており、その単価が210円であったことを証明している。 (エ)乙第6号証について 乙第6号証は、東京都新宿区西新宿5-1-18所在の東友商事新宿店を運営する東友商事の証明書である。当該証明書は、本件商標が付された商品「毛がに」ラーメンを、東友商事新宿店において平成16年11月から同19年11月頃まで店頭に陳列し、販売しており、その単価が210円であったことを証明している。 (オ)乙第7号証について 乙第7号証は、北海道札幌市東区北18条東10丁目2-3所在のアサノ商店の証明書である。当該証明書は、板橋(東京)、和泉府中(大阪)、春日井(愛知)の百貨店サティにおける「北海道物産展全国うまいもの祭」において、平成17年6月から同19年11月頃までの各期間中、本件商標が付された商品「毛がに」ラーメンを店頭に陳列して販売しており、その単価が210円であったことを証明している。 (3)結び 以上の各書証から、少なくとも、本件商標の通常使用権者であるアサヒ食品が、本件商標を付した本件商品を平成16年11月から同19年11月頃の間、継続して販売していた事実が複数の第三者によって証明されている。 したがって、本件商標はその通常使用権者によって、本件期間内に、指定商品「穀物の加工品」に使用されていたことが証明されており、本件商標は商標法第50条第2項の規定に該当するものではない。 2 第2答弁の理由 (1)乙第2号証について 通常、商標権の通常使用権に限らず、何らかの権利を他人に許諾する場合、当該許諾を受ける他人との関係によりその対価を協議し、両者間で合意がなれば契約を交わすものであるから、「乙第2号証の契約が無償であるのに、請求人との契約が有償なのは不自然である。」との請求人の主張は全く失当である。 (2)乙第3号証について (ア)乙第3号証の立証趣旨は、本件商標の通常使用権者であるアサヒ食品が、本件商標を付した本件商品を製造していた事実の証明である。 そして、被請求人は、当該アサヒ食品に係る製品の販売場所・時期等を乙第4号証ないし同第7号証をもって立証し、同第1号証ないし同第7号証全体として、本件商標が第30類「穀物の加工品」について、本件期間内に、本件商標の通常使用権者によって使用されていた事実を立証している。 よって、乙第3号証のみを抽出し、「この製品が、いつ製造され、販売されたのか確認することができず、立証されたということはできない。」との請求人の主張は、早計である。 (イ)請求人は、アサヒ食品が製造した本件商品について種々述べるが、その調理方法の表示については被請求人が乙第9号証として提出するシールの印刷業者による印刷証明書に添付された「調理方法」と書された印刷物を封入している。また、本件商品は、透明袋で包装されており、1食入りで、スープの素が封入されていることが明白である。 (ウ)乙第3号証の本件商品に貼付されたシールの印刷業者による印刷証明書(乙第9号証)を提出する。 さらに、アサヒ食品が製造した本件商品を、被請求人を通して東友商事新宿店に納品した売上伝票及び運送会社による発送伝票・運賃料金請求明細書(同第10号証及び同第11号証)を提出する。 (3)乙第4号証について 乙第4号証を提出した趣旨は、同第5号証の証明書の補強であって、同第4号証の写真のみをもって何らかの事実を立証しようという趣旨ではない。 (4)乙第5号証ないし同第7号証について 乙第5号証ないし同第7号証の証明書は、本件審判請求を受け、被請求人がアサヒ食品に係る製品を販売する第三者に対して、本件商標が付されたアサヒ食品に係る製品を本件期間以内に販売していた事実の証明を願い出たものに対する証明書であり、当該各証明書の販売時期が本件審判の請求の予告登録の日より前3年に合致するのは当然である。 (5)乙第7号証について 乙第7号証は、日本各地のデパートで行われた物産展での販売証明であるばかりか、その期間も詳細に記載されており、疑問を挟む余地がない。その上、乙第7号証は、被請求人の作成に係る「証明願」に単に証明者が押印したというものではなく、証明者が証明事項を欄外に詳細に記入しており、その証明力は非常に高いものであるといえる。 請求人は、「加えて、どのような商品が販売されたのかも正確に理解できない。」とするが、乙第7号証は、同第3号証のアサヒ食品に係る製品を販売した証明書である。 3 口頭審理における陳述 (1)口頭審理陳述要領書 前記第2の3第2弁駁に対して、以下のとおり、反論する。 (ア)乙第3号証及び同第4号証について 同一の企業が製造した製品すべてが、必ずしも同じ包装・同じ表示ではないことは顕著な事実であり、本件商品(乙第3号証など)については、パッケージ自体にラベルや一括表示事項を直接印刷せず、それらを印刷したシールを透明パッケージに貼付し、調理方法を記載した印刷物をパッケージ外から視認できるように封入したものであり、加工食品品質表示基準第3条の規定に何ら反するものではない。 (イ)甲第9号証について 本件期間内の本件商標の使用の有無が争点である本件審判において、請求人の製品を証拠として提出する趣旨が不明である。 (ウ)乙第5号証ないし同第7号証について 前記2第2答弁の理由(4)のとおり、乙第5号証ないし同第7号証の証明書の販売時期が本件審判の請求の予告登録の日より前3年に合致するのは当然である。 (エ)乙第9号証について 請求人の要求により提出した乙第9号証は、同第3号証の本件商品に貼付されたシールが実際に印刷され、アサヒ食品に納品された事実を立証するのに必要十分な記載がある証明書である。 (オ)乙第10号証について 乙第10号証は、アサヒ食品が製造した本件商品を、被請求人を通して東友商事新宿店に納品した売上伝票及び運送会社による発送伝票・運賃料金請求明細書である。 1枚目が被請求人の売上伝票であるところ、これによれば、2006年2月16日に、被請求人から東友商事に対して「北海道ミルクソフトキャンディ」10ケースと「毛がにラーメン」5ケースの合計15ケースの売上げがあったことが読み取れる。 そして、2枚目の発送伝票によれば、「2/20必着」で被請求人から東友商事新宿店に発送され、伝票右下の欄によれば「個数15/重量57」とされており、1枚目の15ケースの売上げと符合する。 さらに、3枚目の運賃料金請求明細書によれば、2006年2月16日に被請求人から東友商事新宿店宛てに荷物が発送され、その個数は15、重量は57、運賃は1,200であることが読み取れ、1枚目2枚目の伝票類と符合する。 (カ)これまでの全主張の要約 被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第11号証により、本件商標が、第30類「穀物の加工品」について、本件期間内に、本件商標の通常使用権者によって日本国内で使用されていた事実が立証されている。 仮に、被請求人製品の表示方法等について改善すべき点があったとしても、それをもって本件商標が付された本件商品の商標法上の「使用」の事実が否定されるものではない。 (2)口頭審理における陳述等 (ア)乙第5号証及び同第6号証に係る販売証明者との取引者は、通常使用権者である(第1回口頭審理調書)。 (イ)乙第10号証及び乙第11号証の売上伝票は、通常使用権者が製造した商品を商標権者を通して、東友商事に納品したものである(第1回口頭審理調書)。 第4 当審の判断 1 被請求人及び請求人の提出に係る証拠及びその主張の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第2号証は、被請求人とアサヒ食品とによる商標の使用権許諾に関する契約書の写しと認められるところ、商標として「毛がに」、登録番号として登録第3344506号、指定商品として本件審判の請求に係る「穀物の加工品」、通常使用権の範囲として期間を「本契約締結日より5年間(平成20年8月30日まで)」と記載され、本契約書の締結日と類推される「平成15年8月30日」の記載がされている。そして、末尾に「甲 北海道網走郡津別町字達美204番地19 ロマンス製菓株式会社 代表者 松田芳典」、「乙 北海道紋別郡上湧別町字中湧別339番地 アサヒ食品工業株式会社 代表者 石川 貴士」として、それぞれの印影が認められる。 (2)乙第3号証は、化粧箱と包装袋を撮影した写真と認められるところ、その化粧箱には、右寄りに毛筆体の「毛がに」及び「ラーメン」の各文字が二段書きで表示され、該「ラーメン」の文字の左側には円内に「生」の文字が表示されており、かつ、左下に「特製スープ付 しょうゆ×3・みそ×2」の文字が表示されている。また、包装袋の表面には、黄色の横長楕円内に毛がにの図形を表し、右上に「北海道名産」の文字並びに左寄りに毛筆体の「毛がに」及び「ラーメン」の各文字が二段書きで表示され、包装袋裏面の名称の欄に「乾燥めん」、内容量の欄に「めん90g スープ41g」、製造者の欄に「アサヒ食品工業株式会社」とそれぞれ記載されている。 なお、上記商品の製造・販売日及び写真を撮影した日付けを示す記載はなく、その時期は不明である。 (3)乙第4号証は、サッポロビール博物館と商品展示状態を撮影した写真と認められるところ、「北海道 毛がにラーメン みそ味 1袋(税込)210円」と記載された値札の下に、黄色の横長楕円内に毛がにの図形を表し、右上に「北海道名産」の文字並びに左寄りに毛筆体の「毛がに」及び「ラーメン」の各文字が二段書きで記載された包装袋が陳列されている。 なお、乙第4号証には、上記商品の販売日及び写真を撮影した日付けを示す記載はないが、平成20年11月27日付け物件提出書によれば、撮影日は同19年(2007年)11月27日である。 (4)乙第5号証ないし同第7号証は、大葉商事、東友商事及びアサノ商店から被請求人に宛てられた販売証明書の写しと認められるところ、乙第5号証には、登録商標「毛がに」が付された製品について、商品名として「『毛がに』ラーメン」、販売場所として「サッポロビール博物館ミュージアムショップ」、販売時期として「平成16年11月頃?平成19年11月頃」、販売単価として「210円」とそれぞれ記載されている。 同様に乙第6号証には、登録商標「毛がに」が付された製品について、商品名として「『毛がに』ラーメン」、販売場所として「東友商事(有)新宿店」、販売時期として「平成16年11月頃?平成19年11月頃」、販売単価として「210円」とそれぞれ記載されている。 また、乙第7号証には、登録商標「毛がに」が付された製品について、商品名として「『毛がに』ラーメン」、2005年(平成17年6月16日から2007年(平成19年)11月19日の間に板橋サテイ、和泉府中サテイ及び春日井サテイの各店において販売していた旨、販売単価として「210円」とそれぞれ記載されている。 (5)乙第9号証は、株式会社シモクニからアサヒ食品に宛てられた平成20年6月30日付けの印刷証明書であり、それには黄色の横長楕円内に毛がにの図形を表し、右上に「北海道名産」の文字並びに左寄りに毛筆体の「毛がに」及び「ラーメン」の各文字が二段書きで表示されたシールの写し、名称の欄に「乾燥めん」、原材料の欄に「めん/小麦粉、・・・かんすい・・・」等、内容量の欄に「めん90g スープ41g」、製造者の欄に「アサヒ食品工業株式会社」等が記載されたシールの写し及び「調理方法」と題する印刷物の写しが添付されており、これらのシール及び印刷物を印刷し納品したことを証明するとして、「納品日:平成15年9月24日」、「納品場所:アサヒ食品工業株式会社様 本社」、「納品枚数:各20,000枚」との各記載がある。 (6)乙第10号証及び同第11号証は、平成18年(2006年)2月16日付け及び同19年(2007年)2月26日付けの「菓子統一伝票(タイプ用 6P)(KS-B6S)全国菓子卸商業組合連合会」による売上伝票、出荷日を同18年2月16日及び同19年2月26日とする札幌通運の発送伝票及び同18年(2006年)2月28日締分及び同19年(2007年)2月28日締分の「ロマンス製菓(株)」宛の札幌通運による「運賃料金請求明細書」の各写し及び原本である。 乙第10号証の売上伝票には、右上部に「ロマンス製菓株式会社」、「本社 北海道網走郡津別町字達美204」及び「札幌営業所 札幌市西区24軒2条6丁目」、お届け先名の欄に「東友商事(有)新宿店」、品名の欄に「その他 毛がにラーメン」、数量の合計欄に「15」との各記載が認められる。また、同号証の2枚目の発送伝票には、荷送人の欄に「北海道網走郡津別町達美204-19」、「ロマンス製菓株式会社」、お届け先の欄に「東友商事(有)新宿店」、個数の欄に「15」、お問合せNo.の欄に「000783663624」との各記載が認められる。さらに、同号証の3枚目の運賃料金明細書には、月日の欄に「0216」、荷送人荷受人の欄に「東友商事」、送り状No.品名の欄に「000783663624」、個数の欄に「15」との各記載が認められる。 乙第11号証の売上伝票にも、右上部に「ロマンス製菓株式会社」、「本社 北海道網走郡津別町字達美204」及び「札幌営業所 札幌市西区24軒2条6丁目」、お届け先名の欄に「東友商事(有)新宿店」、品名の欄に「その他 毛がにラーメン」、数量の合計欄に「25」との各記載が認められる。また、同号証の2枚目の発送伝票には、荷送人の欄に「ロマンス製菓株式会社」、お届け先の欄に「東友商事(有)新宿店」、個数の欄に「25」、お問合せNo.の欄に「000834134313」との各記載が認められる。さらに、同号証の3枚目の運賃料金明細書には、月日の欄に「0226」、荷送人荷受人の欄に「東友商事」、送り状No.品名の欄に「000834134313」、個数の欄に「25」との各記載が認められる。 (7)包装袋入り中華そばの乾燥めんの写真(甲第7号証ないし同第9号証)は、その表示態様から見て包装袋表面のデザイン及び該裏面の製造者等の記載が印刷されたものと認められる。 2 以上の認定事実に基づき、以下検討する。 (1)通常使用権者について 請求人は、使用権許諾契約書が「無償」であること、平成19年12月19日付け答弁書と同じ書体、フォントの大きさで作成されていること等を挙げて、該契約書が偽装されたと主張している。 しかし、使用権許諾契約書は、被請求人及びアサヒ食品の記名押印が認められ、両契約当事者の合意によるものというべきものであるばかりでなく、口頭審理において当審が提示した本件商標権に係る商標登録原簿(第1回口頭審理調書別紙)を徴すると、平成19年12月11日付けでアサヒ食品を通常使用権者として、範囲を「期間 平成15年8月30日から平成20年8月30日迄」等、対価の額を「無償」とする通常使用権の設定が登録され、上記使用権許諾契約書とその内容を同じくするものと認められる。 したがって、アサヒ食品は、本件商標権に係る通常使用権者であるということができるから、請求人の主張は、採用することができない。 (2)本件商標が使用された商品について 被請求人が本件商標を使用したと主張する商品は、中華そばの乾燥めんであることに争いはない(第1回口頭審理調書)。 (3)本件商標と使用された商標の同一性について 本件商標は、明朝体の「毛がに」の文字からなるところ(甲第2号証)、乙各号証に表示された商標は、毛筆体の「毛がにラーメン」(乙第3号証、同第4号証、同第9号証)、ゴシック体の「毛がにラーメン」(乙第10号証及び同第11号証)と認められる(以下、これらを「使用商標」という。)。 しかして、使用商標の構成中の「ラーメン」の文字部分は、これが使用された商品の品質を端的に表したものと容易に認識、把握されるものであるのに対して、その構成中の「毛がに」の文字部分は、本件商標と綴り字を同じくするものである。 そうすると、使用商標構成中の「毛がに」の文字部分は、本件商標とその書体を異にするものであるとしても、「ケガニ」の称呼及び「毛がに」の観念を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものといって差し支えないものである。 (4)本件商標の使用について (ア)乙第3号証の化粧箱と包装袋については、化粧箱の表面には「特製スープ付 しょうゆ×3・みそ×2」の文字が表示されているのに対して、包装袋の表面には、添付されたスープがしょうゆ味又はみそ味であるかを判別することができる表示がないこと、かつ、化粧箱には「ラーメン」の文字の左側に円内に「生」の文字が表示されているのに対して、包装袋にはその表示がなく名称の欄に「乾燥めん」と表示されていることの相違が認められる。 しかして、甲第7号証ないし同第9号証によれば、添付されるスープの味付けがしょうゆ味であるかみそ味であるかを顧客が容易に判別することができるようにスープの味付けを包装袋の表面に表示するのが通常であるといい得るところ、上記のとおり、包装袋の表面にはスープの味付けを判別することができる表示がなく、かつ、該化粧箱に表示された「円内に『生』の文字」は、これに接する需要者に化粧箱に封入されたラーメンが生の中華そばのめんであるかのように印象、連想させるものであるといい得るものであり、顧客に対して商品の内容を誤認させるような表示をすることが通常とはいい難いことから、乾燥めんであること明らかな包装袋の商品(以下「使用商品」という。)が化粧箱に封入されたものではないとみるのが自然である。 しかして、ほかに乙第3号証に表示された化粧箱が本件期間内に使用されていたことを裏付ける証左が認められないから、該化粧箱をもって、本件商標が本件期間内に使用されたということはできない。 (イ)一方、使用商品について検討するに、乙第3号証と同第4号証に掲載された使用商品の表面には、いずれも黄色の横長楕円内に毛がにの図形を表し、右上に「北海道名産」の文字並びに左寄りに毛筆体の「毛がに」及び「ラーメン」の各文字が二段書きで表示されていることからすると、両者は同じ商品と認められるものであるが、同第3号証はその撮影時期が不明であり、同第4号証の撮影時期は、本件審判の請求の登録後である平成19年(2007年)11月27日である。 そして、被請求人が使用商品に貼付したと主張する印刷証明書(乙第9号証)に添付された1枚目のシールの写しは、その表示態様からみて同第3号証及び同第4号証に掲載された使用商品の表面のものと同じと認められるところ、使用商品等を取り扱う食品業界においては、1食分毎の包装袋に商標その他の表示を印刷したシールを貼付することは必ずしも一般的ではなく、包装袋そのものに商標等を印刷するのが通常であるというのが相当であり、このことは、請求人の提出に係るアサヒ食品、請求外株式会社菊水及び請求人の製造に係る製品写真(甲第7号証ないし同第9号証)のいずれも包装袋にシールを貼付するのではなく該包装袋に商標等を印刷したものと認められることからも、十分是認できるといわなければならない。 しかして、アサヒ食品は、甲第7号証の商品において、包装袋のデザイン等を該包装袋に印刷する一方で、同人が製造する使用商品にはシールの貼付によって本件商標等を表示するというのは、いささか不自然なものといわなければならない。 また、印刷証明書(乙第9号証)によれば、本件期間内前の平成15年9月24日に該シールが20,000枚納品されたものであるとしても、後述のとおり、これらのシールを貼付した使用商品が実際に本件期間内に販売されたことを裏付ける取引書類等の適確な証左もないことから、これをもって、直ちに該シールを貼付した使用商品が本件期間内に使用されたということもできない。 そうすると、使用商品をもって、本件商標が本件期間内に使用されたということはできない。 (ウ)アサヒ食品が取引した大葉商事及び東友商事による販売証明書(乙第5号証及び同第6号証)並びにアサヒ食品が被請求人を通して東友商事に納品した売上伝票等(同第10号証及び同第11号証)についてみると、上記販売証明書によれば、大葉商事及び東友商事ともに平成16年11月頃から同19年11月頃までの3年間、「『毛がに』ラーメン」を販売したことを証明するものであるところ、一般に食品については、製造者が商品を製造してから取引者、需要者に販売するまでの期間が長期にわたるとはいい難いものであるから、上記3年の間には相当数の取引があったと推認されるものであり、アサヒ食品と大葉商事及び東友商事との商取引が真実存在したのであれば、大葉商事及び東友商事においては注文書控え、納品書、領収書等の取引書類が存在し、アサヒ食品においては、受注書、納品書控え、領収書控え等の取引書類が存在しているのが通常であり、これらの取引書類を提出することにさほどの支障があるとは考えられない(第1回口頭審理調書)。 したがって、本件商標が付された「『毛がに』ラーメン」が本件期間内にアサヒ食品と大葉商事によって取引された事実を乙第5号証によって証明する被請求人の対応は不自然なものといわなければならず、結局、アサヒ食品と大葉商事との間に本件商標を付した「『毛がに』ラーメン」に係る商取引が存在したと認めることはできない。 さらに、アサヒ食品と東友商事の取引についてみると、販売証明書(乙第6号証)提出後の平成20年7月4日付け第2答弁書により売上伝票等(同第10号証及び同第11号証)が提出されているところ、売上伝票の日付欄に「06.02.16」、「07.02.26」とそれぞれ記載されており、これらは本件期間内の平成18年(2006年)2月16日、同19年(2007年)2月26日と認められるものである。 一方、被請求人は、本件商標の使用者が被請求人ではなく通常使用権者であるアサヒ食品と主張しているところ、乙第10号証及び同第11号証には、アサヒ食品に係る表示が一切無いから、これらによっては、アサヒ食品が東友商事と商取引を行ったと認めることはできない。 なお、被請求人は、乙第10号証及び同第11号証に係る「毛がにラーメン」は、アサヒ食品が製造したものを被請求人を通して東友商事に納品したとも主張しているところ(第1回口頭審理調書)、アサヒ食品と被請求人は本件商標の使用に関する契約をする関係にあるのであるから、上記「毛がにラーメン」が実際にアサヒ食品から被請求人に納品されたのであれば、両者の納品書、受領書等の取引書類が存在し、これらを提出することに支障があるとは考えられないものであるにもかかわらず、アサヒ食品と被請求人の商取引を裏付ける証左はない。 したがって、被請求人の上記各主張及びアサヒ食品と東友商事によって取引された事実を乙第6号証等によって証明する被請求人の対応を考慮すると、同第10号証及び同第11号証に係る「毛がにラーメン」について、アサヒ食品と被請求人の商取引又はアサヒ食品と東友商事の商取引のいずれも存在したと認めることはできない。 (エ)乙第10号証及び同第11号証の売上伝票及び発送伝票には、前記1(6)のとおり、被請求人の名称及び東友商事新宿店の記載が認められるところ、使用権許諾契約書(乙第2号証)によれば、被請求人による本件商標の使用を制限する記載が認められないことから、被請求人は本件商標を使用することができるといわなければならない。 そこで、乙第10号証及び同第11号証の売上伝票、発送伝票及び運賃料金請求明細書によって、被請求人が本件商標を本件期間内に中華そばの乾燥めんについて使用したと認めることができるか否かについて、さらに検討する。 売上伝票に記載されている被請求人の住所は、前記1(6)のとおり、「北海道網走郡津別町字達美204」とされているのに対して、使用権許諾契約書(乙第2号証)及び本件商標権に係る商標登録原簿(第1回口頭審理調書別紙)に記載された商標権者(被請求人)の住所は、「北海道網走郡津別町字達美204番地19」であるから、売上伝票に記載された住所は、その番地の表示が相違している。また、売上伝票の被請求人の札幌営業所の住所についても「札幌営業所 札幌市西区24軒2条6丁目」と記載されており、住居表示の記載がないと認められる。 しかして、売上伝票等の取引書類に記載する住所は、たとえ、番地等の表示を簡略化して表すことがあるとしても、所在地を特定するに必要な番地又は住居表示を省略することは通常採用しないものと考えられることから、乙第10号証及び同第11号証の売上伝票における被請求人の表示は、不自然な記載といわなければならず、該売上伝票自体の信憑性に疑問を生ずるものである。 また、売上伝票の数量の合計欄に記載された「15」及び「25」の数字は、発送伝票及び運賃料金請求明細書に記載された個数の各欄の記載と一致し、さらに、売上伝票の日付けは、発送伝票の出荷日及び運賃料金請求明細書の月日の各欄と一致していることが認められる。 これらによって、札幌通運が平成18年2月16日及び同19年2月26日に被請求人の依頼を受けて東友商事に荷物を配送したことを否定するものではないが、発送伝票及び運賃料金請求明細書には、実際に配送した商品の記載がなく、いかなる商品を配送したのか不明であるから、これらに記載された個数等の表示をもって、売上伝票に記載された商品が真実配送されたとまで即断することはできない。 そして、上記取引を裏付ける東友商事の注文書控え、納品書、領収書等の取引書類の提出もなく、ほかに、被請求人の提出した乙各号証によって、被請求人が本件期間内に本件商標を中華そばの乾燥めんに付して東友商事に販売していたことをうかがわせる証左もない。 したがって、東友商事との取引者は、アサヒ食品であると主張する被請求人の主張及び前記(4)(ウ)のとおり、アサヒ食品と被請求人との商取引が存在したと認めることができないことをも勘案すると、被請求人が本件商標を本件期間内に中華そばの乾燥めんについて使用したと認めることもできない。 3 結び 以上のとおり、本件商標は、本件期間内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、請求に係る商品「穀物の加工品」について使用されなかったというべきであり、かつ、その使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 なお、被請求人は、平成20年11月20日付けで審理再開申立書を提出して、その理由として、乙第10号証及び同第11号証の原本の取り調べが未済である旨述べ、その後、同月27日付け物件提出書、同年12月2日付け第3答弁書及び同日付け物件提出書を提出したところ、証拠として、同第4号証の撮影日を証する書面、同第10号証及び同第11号証の原本並びに同第12号証ないし同第13号証(枝番を含む。)を提出(同第13号証の1、同号証の2、同号証の4及び同号証の5は、原本の提出がある。)している。 しかし、乙第4号証の撮影日が明らかになり、同第10号証及び同第11号証の原本が提出され、かつ、新たな証拠として同第12号証ないし同第13号証が提出されたとしても、いまだ、東友商事に係る乙第6号証の販売証明書のほかに同人の注文書控え、納品書、領収書等の取引書類の提出がなく、被請求人又はアサヒ食品と東友商事との本件商標に係る商取引を認めるに足らないものである。また、アサノ商店との商取引についてみても、被請求人に係る売上伝票等のほかに北見信用金庫津別支店による当座勘定照合表(乙第13号証の6)が提出されているところ、被請求人がアサノ商店と商取引したことまでを否定するものではないが、アサノ商店に係る納品書等の取引書類の提出もなく、該当座勘定照合表のお預り金額の欄に記載された金額と売上伝票の金額とが符合するとの一事をもって、該取引において被請求人又はアサヒ食品が本件期間内に本件商標を中華そばの乾燥めんに付してアサノ商店に販売したことを裏付ける証左とするには足らないというのが相当である。 してみれば、前記2(4)のとおり、使用商品における本件商標等の表示態様が不自然なものであることをも勘案すると、これらの商取引が真実存在したことを裏付けるに足らないものであるから、審理再開の必要は認めないものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2008-12-08 |
出願番号 | 商願平6-34136 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(030)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 長澤 祥子 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
末武 久佳 田村 正明 |
登録日 | 1997-09-05 |
登録番号 | 商標登録第3344506号(T3344506) |
商標の称呼 | ケガニ |
代理人 | 河合 典子 |
代理人 | 小林 生央 |
代理人 | 小島 高城郎 |
代理人 | 特許業務法人共生国際特許事務所 |