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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y18
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y18
管理番号 1198877 
審判番号 不服2007-30072 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-05 
確定日 2009-05-19 
事件の表示 商願2006-76152拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第18類「アタッシュケース,ブリーフケース,書類入れかばん,ハンドバッグ,ウェストバッグ,札入れ,男性用のかばん,旅行かばん,旅行用衣服かばん,旅行用トランク,トランク,女性用の携帯用化粧道具入れ,パイロット用のかばん」を指定商品として、平成18年8月15日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『condotti』の文字を横書きしてなるところ、該文字は、ローマ市スペイン広場周辺域の国際的に著名な通りの名称『Via Condotti』の略として広く一般に知られているものである。また、多くの観光地においては、本願指定商品に属する商品が、土産品としても販売され、それらにはその観光地の名称や通りの名称が表記される場合が少なくない。このような実情からすると、本願商標は、その指定商品について使用した場合、単に商品の販売地、取引地を表示するものと需要者に理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲のとおり「condotti」の文字を多少レタリングを施し表されたものであるところ、「condotti」は、イタリア国の首都で世界的な観光地であるローマのスペイン広場近くに存在する通りの名称である「Via Condotti」「Via del Condotti」を認識させ、また、該通りは、高級ブランド店が建ち並ぶ通りの名称として世界的にも有名であり、これらのブランド店において、本願指定商品に含まれる「かばん」等が販売、取引されていることは、我が国においても広く一般に知られているものである。
そして、このことは以下の新聞記事情報、インターネット上のウェブサイト情報及び書籍の情報によっても窺い知ることができる。
(ア)「[旅]ローマ(イタリア)輝き失わぬ名画の舞台」の見出しの下、
「オードリー王女とグレゴリー・ペック記者がスクーターの二人乗りで通過する円形闘技場・コロッセオやベネチア広場。王女がジェラートをなめたスペイン広場と、段差から見下ろすコンドッティ通りのにぎわいも映画のままだ。」との記載。
(2004年7月12日 読売新聞 東京夕刊 7頁)
(イ)「『今すぐ聖人に』大合唱 ローマ法王葬儀 広場埋める参列者」の見出しの下、
「広場を包む熱気とは対照的に、自家用車の通行が禁止され、官庁や美術館がほとんど閉じたローマ市内は閑散。ブランド街として有名なコンドッティ通りの各店は『ヨハネ・パウロ二世の冥福を祈ります』と書いた紙を張り、営業を休止した。」
(2005年4月9日 中国新聞)
(ウ)「(斎藤和弘のブランドクルーズ)一夜のため集い、そして散る」の見出しの下、
「パラッツォ・フェンディは、スペイン広場からブランド・ショップが並ぶコンドッティ通りを下った正面にある。18世紀に建てられた美しいパラッツォは、建築家ピーター・マリノのデザインでモダンと伝統の融合した空間へと変貌(へんぼう)した。」との記載。
(2005年5月27日 朝日新聞 東京夕刊 18頁)
(エ)「【イタリア便り】犯罪者に甘い現行法」の見出しの下、
「この三日の午前中のことだった。友人とローマの高級商店街コンドッティ通りに行ったら、有名宝石店、『ブルガリ』の前に黄色いレッカー車が横向きに停車し、警官と群衆が取り囲んでいた。」
(2006年5月14日 産経新聞大阪朝刊 4頁)
(オ)「【プチアイ】グッチのブティック70周年 ローマでショー&パーティー」の見出しの下、
「7月上旬ローマで行われたオートクチュール・コレクション。その期間中、グッチは、コンドッティ通りにある旗艦ショップのオープン70周年を記念して盛大なイベントを開催した。」との記載。
(2008年7月25日 産経新聞大阪夕刊 10頁)
(カ)「コンドッティ通り 海外観光-goo旅行」の見出しの下、
「コンドッティ通り ローマ屈指のブランド通りであり、高級ショッピングストリートといったらここコンドッティ通り。スペイン広場の『舟の噴水』前から延びている。プラダやグッチ、サルヴァトーレ・フェラガモ、ブルガリなどイタリアを代表する高級ブランド店が軒を連ね、買い物客も多い。」との記載。
(http://travel.goo.ne.jp/ab/kanko/spot/g10311_004/)
(キ)「フィレンツェでショッピング」の見出しの下、
「ローマ - スペイン階段の近くフラッティーナ通り(Via Frattina)とコンドッティ通り(Via Condotti)は、世界でも有数のショッピングエリアです。」との記載。
(http://www.aboutflorence.com/firenze-gaido/firenze-shopping-kaimono.html)
(ク)「CONDOTTI(コンドッティ)」の見出しの下、
「スペイン広場のすぐ後ろ、有名なVia Mario de´Fiori沿いにあるホテル。スペイン広場はローマを代表する観光名所のひとつで、この地に居を構えたキーツやシェリーなどを始め、数々の詩人や旅行者を魅了してきた。高級感が漂うCondotti通りからもすぐで、世界中のファッションが行き交うBorgognona通り、Frattina通り、Babuino通りからも近い。」との記載。
(http://web.travel.rakuten.co.jp/outbound/hotelInfo?f_city_code=ROM&f_item_code=CON5)
(ケ)「Condotti Palace Deluxe Aparthotel,Rome,イタリア-85ユーザー・レビュー-Booking.comオンラインホテル予約」の見出しの下、
「 ローマ中心部のCorce通りにある当ホテルは、同区域でも最も美しいエリアにあり、スペイン階段やPopolo広場、Corso通りやCondotti通り、Condotti宮殿などのローマ中心部の観光スポットへ徒歩でお越しいただける理想的なロケーションにあります。
周辺には数多くのブティックや、イタリアの最先端のデザインが並んだショップ、トラットリア、洗練されたレストランや人気のナイトクラブなどが立ち並んでおり、真のローマの雰囲気を感じていただくことができます。」との記載。
(http://www.booking.com/hotel/it/condotti-palace-deluxe-aparthotel.ja.html)
(コ)ホテルCondotti29 Palio Bianco Suite,Roma(Roma)の見出しの下、
「ホテル名、星の数、県、通りの種類(via,viale,piazza,strada等)」の次に「通りの名前 Condotti 」の記載。
(http://ja.zerodelta.net/hotels/condotti-29-palio-bianco-suite_roma.php)
(サ)「4.ボルゲーゼ公園とスペイン広場周辺」の見出しの下、
「ここが、ローマの高級ショッピング街コンドッティ通り Via del Condottiとスペイン広場P.zadi Spagnaだ。ほんの300mたらずの道の両側にはブティックがぎっしり並び、イタリアの名品グッチをはじめフェラガモ、ヴァレンティノ、プラダ、世界三大宝石店のブルガリと華麗なウインドーディスプレイがくり広げられている。」との記載。
(「地球の歩き方24イタリア2000?2001年版」株式会社ダイヤモンド・ビッグ社 2000年4月20日 改訂第11版第2刷発行 74頁)
(シ)「スペイン広場/Piazza di Spagna」の見出しの下、
「幅の広い通称スペイン階段の上に、トリニタ・デイ・モンティTrinita(「a」にはアクサンテギュが付されている) dei Monti教会(丘の上の三位一体教会の意)、1495年建立、1816年改築)の壮大な姿を仰ぎ、それと向かい合うようにコンドッティ通り Via Condottiをはじめローマ随一の高級ショッピング・ストリートが並ぶ。」との記載。(「エリアガイド138 イタリアの旅」株式会社昭文社 1994年1月 第16版発行 37頁)
以上のことからすれば、「condotti」の文字を多少デザイン化したにすぎない本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は上記の通りの名称、すなわち商品の製造地、販売地を表示したものと認識するにすぎないものといわなければならない。
そうとすると、「condotti」の語が、たとえ伊和辞典、地名事典等の辞書に掲載されている事実がないからといって、通りの名称として認識されるものではないと主張する請求人の主張は採用することはできない。
また、請求人は、本願商標が極めて特異な態様で表した商標であること、及び過去に本願商標と同一の商標が登録されている例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、本願商標の態様については、構成中の2つの「t」の欧文字と「i」の欧文字がややデザイン化されているものの、殊更特異な態様ということはできず、過去の同一商標の登録例についても、そもそも具体的事案の判断は、過去の審査例等の判断に拘束されることはなく検討されるべきものであって、本願商標が商品の製造地、販売地を表示するものであることは、前記認定のとおりであるから、この主張についても採用することはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)商標法第3条第2項について
商標法第3条第2項の適用を受け、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、使用により識別力を有するに至った商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に使用する場合のみであって、また、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、(a) 実際に使用している商標並びに商品、(b) 使用開始時期、(c) 使用期間、(d) 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)、(e) 広告宣伝の方法、回数及び内容の事実を総合勘案して判断するものであるところ、請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の適用を受けられるものであると主張して、甲第21号証ないし同第28号証を提出しているので、これらの要件を具備するか否かにつき以下検討する。
甲第21号証によれば、請求人は、1984年11月頃には、商品「かばん」について本願商標の使用を開始していたものと認められるものの、全て英語で記載されており、我が国において使用していることを客観的に証明するものとは認められない。
また、甲各号証における「condotti」の使用についてみると、提出された証拠は全て雑誌への掲載例であるが、本願商標と同一態様と認められる商標は、わずかに甲第21号証及び同第28号証に掲載されているのみであり、その他の各号証に掲載された商標ついては、「condotti」の文字が彩色された立体的な欧文字からなる態様で表されており、本願商標とはその態様を著しく異にするものであるから、出願された商標と実際に使用している商標が同一とはいえないものである。
そして、実際に使用している商品についても、証拠はすべて本願指定商品中の鞄についてのものであり、その他の「ハンドバッグ,ウェストバッグ,札入れ」等の商品について本願商標を使用していることを表す証拠は何ら提出されていない。
さらに、上記各号証のほかに、本願商標を使用している商品の販売数量及び売上高、営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)等がわかる具体的、かつ、客観的な証拠は何ら提出されていないものである。
そうとすると、請求人の提出した甲各号証によっては、本願商標が使用による自他商品の識別力を有するに至ったものと認めることができない。

(3)外国における登録例について
請求人は、本願商標と同一の商標が、商品「かばん」の分野において、韓国をはじめとする諸外国での登録例(甲第14号証ないし同第20号証)を挙げて、本願も登録されるべきであると主張するが、これら諸外国での登録例をもって、前記認定を覆すことはできないから、請求人の主張は採用できない。

(4)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)


審理終結日 2008-12-10 
結審通知日 2008-12-15 
審決日 2009-01-07 
出願番号 商願2006-76152(T2006-76152) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (Y18)
T 1 8・ 13- Z (Y18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫八木橋 正雄 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
藤平 良二
商標の称呼 コンドッチ、コンドッティ 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 川島 麻衣 
代理人 黒川 朋也 

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