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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X29 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29 |
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管理番号 | 1198821 |
審判番号 | 不服2008-29301 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-17 |
確定日 | 2009-05-13 |
事件の表示 | 商願2008- 8751拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「パームフルーツ」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年2月7日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、原審において、同年9月29日付け提出の手続補正書により、第29類「アミノ酸・アロエ・オオバコ・核酸・各種ビタミン・各種ミネラル・カプサイシン・ガルシニア・キトサン・ギムネマシルベスタ・グァバエキス・くちなしエキス・クミスクチン・グルコサミン・クロレラ・桑の葉エキス・桑の実・高麗人参・コラーゲン・コンドロイチン・サラシアオブロンガ・シトラス・ジフシエキス・ジンジャーエキス・スクワレン・スターフルーツ葉エキス・スピルリナ・セラミド・大豆サポニン・大豆たんぱく・ダイダイ・テアニン・杜仲エキス・各種ハーブ・ハス胚芽エキス・バナバ・ヒアルロン酸・ヒハツ・ひばまた・ビフィズス菌・ブドウ種子エキス・不飽和脂肪酸・中鎖脂肪酸・プラセンタエキス・ブルーベリーエキス・プルーンエキス・プロテイン・ベータカロチン・ポリフェノール・マロニエ・ムコ多糖・松の皮エキス・食物繊維又は乳酸菌類を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・軟カプセル状・丸薬状・液状・ゲル状・ゼリー状・固形状・ウエハース状・ビスケット状又はチュアブル状の加工食品,食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は、「本願商標は、『パームフルーツ』の文字からなるところ、その赤い果実は、天然カロチン・ビタミンなどが多く含む椰子(ヤシ)の一種であり、パームフルーツを使用した商品として『パームフルーツ油』等が販売されていることから、本願商標をその指定商品中『食用油脂,加工果実』等に使用するときは、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記1のとおり、「パームフルーツ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、カロチンやビタミンEを多く含有する、椰子(ヤシ)の一種を表し、健康や美容に関心の高い現代社会において、いわゆる健康食品や食用油脂等の原材料として使用されている実状にあることは、原審において提示した証拠に加えて、以下の新聞記事及びインターネットによる記載からも裏付けられるものである。 (1)「FOODEX JAPAN2007特集:出展ブース紹介=イエナ商事」の見出しのもと、「イエナ商事(株)(東京都港区、03・6229・1700)はフーデックスのマレーシアブースに出展する(出展小間=1A‐501‐4)。今回は、健康食品市場の素材として、中鎖脂肪酸(MCT)を紹介する。またトランス脂肪酸ゼロで抗酸化作用の高い、パームフルーツオイル『カロチーノ』などを日本市場に提案する。パームフルーツオイルは『カロテン』と『ビタミンE』と『コエンザイムQ10』の抗酸化作用で、美白・美肌・老化防止・ボケ防止・動脈硬化予防・がん予防に役立つといわれている。」との記事(2007.03.05 日本食糧新聞)。 (2)「ライオン、機能性食品の通販事業へ参入」の見出しのもと、「ライオンは27日、4月3日から機能性食品の通販事業に乗り出すと発表した。(略)第1弾のサプリメント3品は希望小売価格4410-6150円。これらの商品に配合されているパームフルーツ油から抽出した『パームカロテン』や、内臓脂肪を減らす研究で見いだした『ラクトフェリン』などの成分は、いずれも同社の研究成果がベースとなっている。」との記事(2007.03.28 日刊工業新聞 21頁)。 (3)「マレーシア政府、独立50周年で観光キャンペーン マンソー観光大臣が来日」の見出しのもと、「マレーシア政府(観光局=東京都千代田区、03・3501・8691)は、独立50周年を迎える今年を『観光年』と位置づけ、マレーシアのさまざまな魅力を伝えるキャンペーンを行う。(略)アジアに魅了された編集者の石川次郎さんやフレンチの名誉鉄人石鍋裕さんらが出席し、マレーシアの著名な料理人のフローレンス・タンさんの作るニョニャ料理(マレーシア民族料理)が会場を盛り上げた。(略)今回のパーティーのニョニャ料理では、タンさんが、食欲をそそられる、きれいな赤色が付与できる『パームフルーツオイル』を使用したビーフン炒めを披露。パームフルーツオイルは、抗酸化力が強く、老化予防にもよいといわれている。」との記事(2007.04.23 日本食糧新聞)。 (4)「CCF、チーズケーキファクトリー全店で焼き菓子を一新 パームフルーツオイル使用」の見出しのもと、「(株)CCF(東京都渋谷区、03・5728・8730、中川英之社長)は今秋、全国30店のチーズケーキファクトリーで扱う焼き菓子をリニューアル。人気のスイーツ『ケーゼバウムクーヘン』に、天然のカロテンとビタミンEを豊富に含んだ、天然パームフルーツオイル『カロチーノ』(販売=イエナ商事(株)、東京都港区)を使用している。」との記事(2007.12.03 日本食糧新聞)。 (5)「マーガリン類特集:メーカー動向=創健社」の見出しのもと、「創健社のマーガリン類上期(4?9月)販売実績は2%増だった。下期は主力の「べに花ハイプラスマーガリン」の価格を再改定し、同時に中身とパッケージのリニューアルを図る。(略)『べに花ハイプラスマーガリン』は310円に価格改定する。より素材本来のおいしさや香りを大切にするため使用原料も見直した。一番搾りの高オレイン酸紅花油を主原料に、着色料(従来品はニンジン由来のカロチノイド色素使用)、香料(牛乳由来)、酸化防止剤(ビタミンE)を使用せず、新たに全粉乳、生クリーム、パームフルーツオイルを使用する配合に変更した。」との記事(2008.10.08 日本食糧新聞)。 (6)「買う市cau1.com」のウェブサイトにおいて、「トコトリエノール TRI.E(スーパービタミンE 天然パームフルーツ油から抽出)[国内発送品]」の項に「天然のパームフルーツ油から抽出されたビタミンEの同属のトコトリエノールを含む製品です。」及び「この製品は、マレーシアで広大なプランテーションを所有し、パームフルーツの栽培から最終製品の製造まで一貫しておこなっている大企業の生産した物です。」との記載(http://mall.cau1.com/t/netimport/item2493632.html)。 (7)「LIONオンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「パームカロテン」の項に「南国マレーシアの灼熱の太陽下で、すくすくと生育するパームフルーツには健康と美容にうれしいビタミンがぎっしり詰まっています。そのままでは摂りづらいパームフルーツのエッセンスを小さな1粒に『ギュッと凝縮』しました。」との記載(http://www.lionshop.jp/shop/wellness-pc/?=adw)。 (8)「LIONオンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「DHAクロセチン+パームカロテン」の項に「年齢とともに減少する『DHA』、注目の成分『クロセチン』、パー ムフルーツに含まれる『パームカロテン』*1を配合しました。 *1『パームカロテン』に含まれるβ-カロテンは、夜間の視力の維持を助けるとともに、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」との記載(http://www.lionshop.jp/shop/wellness-dc)。 (9)「イエナ商事株式会社」のウェブサイトにおいて、「パームフルーツオイル《カロチーノ》とは」の項に「1.パームフルーツオイルとは? 原料はオイルパーム(あぶらやし)の果肉(フルーツ)です。」との記載(http://www.yehna.co.jp/carotino/index.html)及び「『カロチーノ』の原料パームフルーツ」の項に「◆パームフルーツの実 直径3?4cm程の小さな赤い実。この実の果肉部分に、天然カロテンとビタミンEをたっぷり含んでおり、この果肉部分を分子蒸留法(特許製法)で精製してできたのが<カロチーノ>です。」との記載(http://www.yehna.co.jp/carotino/palmfruit.html)。 (10)「日清オイリオグループ株式会社」(請求人)のウェブサイトにおいて、「パームフルーツオイルとは?」の項に「アブラヤシ(パーム椰子)の果実をパームフルーツと呼びます。その果肉からとれる油が、パームフルーツオイル(パーム油)です。パームフルーツオイルは、カロテンを多く含むので赤橙色をしていますが、精製したものは淡黄色です。マーガリン、即席麺・スナック菓子・惣菜などの揚げ油、炒め物などの調理用油に使われます。」との記載(http://www.nisshin-oillio.com/goods/vegefru/oil/index.shtml)。 してみれば、本願商標をその指定商品中、例えば、加工食品(いわゆる健康食品)及び食用油脂等、いわば「パームフルーツを原材料とする商品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、原材料を表示してなるにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあると判断するのが相当である。 なお、請求人は、「本願商標『パームフルーツ』は、その各文字を同書、同大、等間隔をもってまとまりよく表わしていることから、商品の品質等を具体的に表示したものと看取し認識されるものとはいえず、ましてや、これが特定商品の品質等を表示したものとして、当業界における商取引上は勿論のこと普通一般において採択使用されている事実も見当たらない。しかも、本願商標は、『パームフルーツ』の文字を等間隔をもって何れもが軽重の差なく外観上も一体不可分の態様をもって表示されているので、かかる構成よりなる本願商標は、商標登録出願人によって創作されたものとみるのが、妥当である。」旨、主張する。 しかしながら、本願商標を構成する「パームフルーツ」の文字が、本願指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、原材料を表示する文字として、一般に使用されていることは前記のとおりであり、また、本願商標は、標準文字により表わされているところ、これよりは、書体や全体の構成等が特殊な態様で表わされているとはいえないことから、本願商標は、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。 そうとすれば、本願商標が、市場における取引の実状やその構成により、請求人(出願人)の造語と判断され、自他商品識別力を具備するとした、請求人の主張は採用することはできない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-03-11 |
結審通知日 | 2009-03-16 |
審決日 | 2009-03-27 |
出願番号 | 商願2008-8751(T2008-8751) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X29)
T 1 8・ 13- Z (X29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小松 孝 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
岩崎 安子 小畑 恵一 |
商標の称呼 | パームフルーツ、パーム |