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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X14 審判 全部申立て 登録を維持 X14 審判 全部申立て 登録を維持 X14 |
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管理番号 | 1197381 |
異議申立番号 | 異議2008-900348 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-09-16 |
確定日 | 2009-05-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5139719号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5139719号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5139719号商標(以下「本件商標」という。)は、「BATEAU MOUCHE」の文字を標準文字により表してなり、平成19年8月27日に登録出願され、第14類「身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属,キーホルダー,時計」を指定商品として平成20年6月13日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由の要点 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、パリのセーヌ川遊覧船クルーズサービスを提供している会社であり、申立人会社の略称及び商標として使用している「BATEAUXーMOUCHES」の文字からなる標章(以下「引用商標」という。)は、パリのセーヌ川遊覧船クルーズの代名詞にもなるほどに夙に著名性を獲得している。 本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用商標と類似するものであり、これをその指定商品に使用した場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (2)本件商標と引用商標とは、類似するものであり、本件商標をその指定商品に採択することは、偶然の一致とは到底認めがたく、本件商標の商標権者はフリーライドによる図利目的又はライセンス契約の強要など不正の目的を有していたと推認できるものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものである。 (3)「BATEAU MOUCHE」は、平底川舟の名称であったが、これを遊覧船として使用したことにより、パリのセーヌ川遊覧船の通称として周知著名となっているものであり、その名称と同一の本件商標の権利化を図る商標権者の行為は、公正な商取引慣習に著しく反し、国際信義にも反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。 3 当審の判断 (1)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、1949年以来、パリ・セーヌ川の観光遊覧船クルーズを提供している会社であり、上記クルーズの役務を提供するに当たり引用商標を使用していること、我が国において本件商標の登録出願前に発行された各種旅行ガイドブック、パンフレット、新聞記事等において、申立人及び上記クルーズが「Bateaux Mouches」、「バトー・ムーシュ」、「バトー・ムッシュ」等として紹介され、インターネットの検索サイトの検索結果によれば約8500件ヒットすること、パリを訪れる日本人が一年平均70万人であること、などが認められる。 もっとも、セーヌ川の観光船クルーズには、「Bateaux Mouches」以外にも「Bateaux Parisiens」(バトー・パリジャン)があるほか、水上バスの「Batobus」(バトービュス)があり観光目的で利用する者もいる事実も認められる。 そうすると、引用商標は、我が国においても、申立人の業務に係る上記クルーズを表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時には需要者間に相当程度知られていたものといえるが、本件商標の指定商品の取引者、需要者が本件商標から申立人又は申立人の上記クルーズを直ちに想起、連想するほどまでに広く一般に認識されていたとまではいえない。 また、申立人の提供に係る上記クルーズの役務と本件商標の指定商品とは、目的、用途、業種、流通系統、需要者層等を異にするものであって、関連性が乏しいものである。因みに、申立人が多角経営等により本件商標の指定商品等の異業種に参入していることを窺わせるような具体的な証左はない。 かかる事情の下において、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標を構成する「BATEAU」の文字は「船」を意味し、「MOUCHE」の文字は「ハエ(蠅)」を意味する、いずれもフランス語であり、両者を結合した「BATEAU-MOUCHE」が「パリのセーヌ川観光船」として仏和辞典に掲載されている成語であること、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたとまではいえず、その周知性の程度は、本件商標の指定商品の取引者、需要者にまでは及ばないこと、申立人がパリ・セーヌ川の観光遊覧船クルーズ以外の役務や商品の分野に進出することや本件商標の商標権者が申立人にライセンス契約等を強要したことを窺わせる具体的事実はないこと、などからすると、本件商標は、引用商標と類似するものであるとしても、不正の利益を得る目的、他人である申立人に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものとはいい難いところである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について 前示のとおり、引用商標は、フランス語の成語であり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたとまではいえず、その周知性の程度は、本件商標の指定商品の取引者、需要者にまでは及ばないこと、また、本件商標を採択・使用することが、フランス国又はその国民を侮辱したり、国民感情を害するものともいえないこと、などからすれば、本件商標が引用商標と類似するものであるとしても、本件商標をその指定商品に使用することが、直ちに公正な商取引慣習、社会公共の利益又は国際信義に著しく反するものとはいえない。 そして、本件商標の構成自体は、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2009-04-17 |
出願番号 | 商願2007-91912(T2007-91912) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X14)
T 1 651・ 22- Y (X14) T 1 651・ 222- Y (X14) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 井出 英一郎 |
登録日 | 2008-06-13 |
登録番号 | 商標登録第5139719号(T5139719) |
権利者 | 小泉アパレル株式会社 |
商標の称呼 | バトームーシュ、バトームッシュ |
代理人 | 北村 修一郎 |
代理人 | 曾我 道治 |
代理人 | 坂上 正明 |
代理人 | 岡田 稔 |