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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y30
審判 全部申立て  登録を維持 Y30
審判 全部申立て  登録を維持 Y30
審判 全部申立て  登録を維持 Y30
管理番号 1197373 
異議申立番号 異議2008-900096 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-03-07 
確定日 2009-05-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5096924号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5096924号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5096924号商標(以下「本件商標」という。)は、「MON PERRIER」と「モンペリエ」の各文字を上下2段に横書きしてなり、平成17年11月29日に登録出願、第30類「パン」を指定商品として、同19年12月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の商標を引用しており、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4772219号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PERRIER」の文字を標準文字で表してなり、平成15年6月19日に登録出願、第3類、第24類、第25類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年5月21日に設定登録されたものである。
(2)登録第4800143号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年6月19日に登録出願、第3類、第24類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年9月3日に設定登録されたものである。
(以下、(1)及び(2)をまとめていうときは、「引用各商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)第4条第1項第11号について
ア 商品の抵触について
本件商標の指定商品は第30類「パン」である。引用各商標は、その指定商品に第30類「菓子及びパン」を含む。
したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2の指定商品は、第30類「菓子及びパン」において抵触する。
イ 商標の抵触について
本件商標は上段に欧文字にて「MON PERRIER」、下段に片仮名文字にて「モンペリエ」と書して成る。
かかる態様中、特に上段「MON PERRIER」は「MON」部分と「PERRIER」部分間にスペースが存在しており、外観的に「PERRIER」部分が分離する態様となっている。
したがって、本件商標に接する取引者、需要者は、その外観的対応に応じて本件商標より「PERRIER」部分を分離抽出し、「ペリエ」の称呼及び観念をもって取引に臨むものであり、引用各商標と称呼及び観念上類似するものである。
ウ 引用各商標の周知、著名について
引用各商標は後述するとおり、商品「炭酸水・鉱泉水」について周知、著名な商標である。申立人のグループ会社ネスレウォーターズが販売する炭酸入りミネラルウォーター「PERRIER」は、現在世界140ヶ国の人々に愛用されており、世界の炭酸入りミネラルウォーター市場で第1位の地位を得るに至っている。引用各商標は少なくとも本件商標の出願時においては、商品「炭酸水・鉱泉水」について、その取引者・需要者間で、周知・著名性を獲得したもので、本件商標の査定時においてもその周知性・著名性は継続しているものである。
本件商標の指定商品は「パン」であって、申立人が「炭酸水・鉱泉水」について使用する周知・著名な引用各商標とその取引者・需要者が重複するものであるから、商品の出所の混同のおそれを増幅させる可能性は十分ある。
したがって、そもそも本件商標と引用各商標は、称呼及び観念において極めて紛らわしいものであるが、加えて取引の実情を考慮すれば、これら商標の紛らわしさは一層増幅されるのであって、両商標は類似の商標というべきである。
エ 小括
以上の通り、本件商標と引用各商標は、称呼・観念において類似する商標であり、相互に類似の商品を含むものである。加えて、引用各商標の周知、著名性を考慮すれば、本件商標は法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
(2)第4条第1項第15号について
ア 引用各商標の周知、著名性
引用各商標は、「炭酸水、鉱泉水」について我が国で著名な商標である。
1900年に入ると「ペリエ」の人気は世界的に広がり、現在では世界で140ヶ国の人々に愛用され、世界の炭酸入りミネラルウォーター市場で第1位の地位を得るに至っている。
我が国では、昭和57年から輸入が開始され、2006年1月からはサントリー株式会社により輸入・販売が行われている。世界のトップシェアを誇り高い専門性を裏打ちされたブランド力を有する「ペリエ」が、国内有数の飲料品メーカーであるサントリー株式会社によって輸入・販売されているのであるから、「ペリエ」の著名性は日々増大している(甲第6号証及び甲第7号証)。この点は、インターネットでの「PERRIER」の使用頻度をみれば一目瞭然である(甲第8号証)。こうした使用例・頻度をみても「PERRIER」が「炭酸水、鉱泉水」について周知性・著名性を獲得していることが分かる。
イ 本願商標と引用各商標の類似性
前記したように、本願商標はその構成中に著名な「PERRIER」を含むものである。そして、本願商標は、特に著名な「PERRIER」部分が分離抽出されやすい外観的特徴、すなわち、「MON」部分と「PERRIER」部分の間に空白を配する構成より成っている。とすれば、取引者・需要者は、本願商標中の「PERRIER」部分に着目して取引に臨むのは当然であって、よって、本願商標と引用各商標の類似性は極めて高い。
ウ 「パン」と「炭酸水,鉱泉水」との間の性質、用途又は目的における関連性並びに取引者・需要者の共通性
「パン」も「炭酸水,鉱泉水」も、ともに日常において消費される飲食物である。空腹を癒すために「パン」を食べれば、喉の渇きを癒すために「炭酸水,鉱泉水」等の飲料を飲みたくなるのは当然であって、両者間の性質や目的等その関連性は極めて深い。
したがって、「パン」と「炭酸水,鉱泉水」は極めて密接な関連性を有するものである。
エ 事業の関連性
申立人は世界規模で事業を展開している(甲第14号証)。そして、周知、著名商標「PERRIER」を所有するネスレウォーターズは申立人グループの一翼を担う社である。ネスレグループ全体の商品は、極めて多岐に渡る。甲第15号証は、我が国においてネスレグループの商品を扱うネスレ日本株式会社が開設するウェブサイトの写しである。コーヒー、茶から、菓子類、調味料等の各種飲料品・食料品はもとより、コーヒーマシン等の家庭用電化製品、健康食品、あるいはペットフードに至るまで多種多様な商品を取りそろえている。
このように、ネスレウォーターズを含めた申立人グループは飲食料品を中心に広く事業を展開しているのであって、当然、その事業範囲には「パン」も含まれる余地があり、事業の関連性も極めて深いのである。
オ 混同のおそれ
「炭酸水、鉱泉水」における「PERRIER」の著名性、ネスレウォーターズを含めた申立人グループ及び本件商標の商標権者の事業が重複するという事業実態、そして取引者・需要者が完全に一致する点等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも申立人にかかる著名ブランドである「PERRIER」に関係する商品であるかの如く誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人の属するグループに関係がある会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかの如く誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いと言わねばならない。
カ 小括
以上の通り、本件商標がその指定商品について使用された場合は、本件提出者の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は法第4条第1項第15号に違反するものといわざるを得ない。
(3)むすび
以上から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号の規定に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用各商標の周知、著名性について
申立人の提出に係る甲第6号証ないし甲第11号によれば、引用商標2が申立人の業務に係る商品「炭酸入りミネラルウォーター」について使用する商標(以下、「使用商標」という。)として取引者、需要者の間に広く認識されていたと認められるものである。
(2)商標法第4条第1項第11号への該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「MON PERRIER」の欧文字と「モンペリエ」の片仮名文字とを2段に横書きしてなるところ、上段に書された欧文字部分と、その読みを特定したと理解される下段に書された片仮名文字部分は、同一の書体、同一の大きさで、視覚上まとまりよく表されており、これより生ずると認められる称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、たとえ、「MON」と「PERRIER」の文字の間に多少の間隔があり、また、使用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、かかる構成よりなる本件商標は、構成全体をもって、「モンペリエ」とのみ称呼される一体不可分の特定の観念を生じない造語を表したものと認識されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標から「ペリエ」の称呼をも生ずるとし、その上で、本件商標と引用各商標とが称呼において類似するものとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき特段の理由は見出せない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
申立人は、そもそも本件商標と引用各商標は、称呼及び観念において極めて紛らわしいものであるが、加えて、引用各商標の周知、著名性の取引の実情を考慮すれば、これら商標の紛らわしさは一層増幅されるのであって、両商標は類似の商標というべきである、旨主張している。
しかしながら、本件商標に接した取引者、需要者が先ず着目するのは下段に書された「モンペリエ」の片仮名文字部分というのが自然であり、また、本件商標が一体不可分のものとして看取されることは、前記認定のとおりである。
さらに、取引者、需要者の間に広く認識されている申立人の使用商標は、別掲のとおり、特徴的な「P」の文字を頭文字として、レタリングが施された文字をアーチ状に配列した構成からなり、本件商標中の「PERRIER」の欧文字部分とは、外観が極めて相違する点も考慮すると、本件商標と引用各商標とを類似するものとすることはできない。
したがって、申立人のこの主張は理由がない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)のとおり、使用商標が申立人の業務に係る商品「炭酸入りミネラルウォーター」について、取引者、需要者の間に広く認識されていたことは認められる。
しかしながら、本件商標と使用商標とは、前記(2)で述べたとおり、十分に区別し得る別異の商標と認められるものであり、加えて、前記のとおり、取引者、需要者の間に広く認識されている申立人の使用商標は、特徴的な「P」の文字を頭文字として、レタリングが施された文字をアーチ状に配列した構成からなり、本件商標中の「PERRIER」の欧文字部分とは、外観が極めて相違する点をも併せ考慮すれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
申立人は、「炭酸水、鉱泉水」における「PERRIER」の著名性、ネスレウォーターズを含めた申立人グループ及び本件商標の商標権者の事業が重複するという事業実態、そして取引者・需要者が完全に一致する点等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも申立人にかかる著名ブランドである「PERRIER」に関係する商品であるかの如く誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人の属するグループに関係がある会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかの如く誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いと言わねばならない、旨主張している。
しかしながら、本件商標と使用商標とは、別異の商標と認められるものであり、取引者、需要者が先ず着目するのは下段に書された「モンペリエ」の片仮名文字部分である点、及び、取引者、需要者の間に広く認識されている申立人の使用商標は、特徴的な文字を配列した構成からなり、本件商標中の「PERRIER」の欧文字部分とは、外観が極めて相違する点をも併せ考慮すれば、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、申立人のこの主張は理由がない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標2



異議決定日 2009-04-16 
出願番号 商願2005-111673(T2005-111673) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Y30)
T 1 651・ 271- Y (Y30)
T 1 651・ 263- Y (Y30)
T 1 651・ 261- Y (Y30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
杉山 和江
登録日 2007-12-07 
登録番号 商標登録第5096924号(T5096924) 
権利者 イオン株式会社
商標の称呼 モンペリエ、モンペリア 
代理人 桜井 常洋 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 工藤 莞司 
代理人 黒川 朋也 
代理人 齋藤 宗也 

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