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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 |
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管理番号 | 1197372 |
異議申立番号 | 異議2008-900082 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-02-22 |
確定日 | 2009-04-27 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第5093723号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5093723号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5093723号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり、「COEUR DE SAMURAI」(欧文字2文字目の合字は「OE」として記載する。以下同じ。)の文字と「クール・ド・サムライ」の文字を二段に書してなり、平成19年3月19日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同19年11月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由の要点 (1)登録異議申立人「有限会社サムライ」(以下「申立人1」という。)の申立て理由 ア 申立人1が引用する商標 (ア)登録第4364679号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SAMURAI」の欧文字及び「サムライ」の片仮名文字を二段に書してなり、平成11年4月5日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」を指定商品として、平成12年3月3日に設定登録されたものである。 (イ)登録第5073874号商標(以下「引用商標2」という。)は、「侍」の文字を標準文字で表してなり、平成18年8月17日に登録出願され、第25類「被服(和服を除く。)」を指定商品として、平成19年8月31日に設定登録されたものである。 イ 本件商標は、引用商標1及び引用商標2と類似するものであり、その指定商品も同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、その指定商品中、「被服(和服を除く。)」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (2)登録異議申立人「株式会社桂フランス」(以下「申立人2」という。)の申立て理由 ア 申立人2が引用する商標 (ア) 上記引用商標1 (イ)登録第4790176号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおり、「coeur」(欧文字2文字目の合字は「oe」として記載する。以下同じ。)の文字を書してなり、平成15年9月19日に登録出願され、第25類「帽子」を指定商品として、平成16年7月30日に設定登録されたものである。 (ウ)登録第4991042号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SAMURAI SOUL」の文字を標準文字で表してなり、平成18年3月20日に登録出願され、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成18年9月29日に設定登録されたものである。 イ 本件商標は、引用商標1、引用商標3及び引用商標4と類似するものであり、その指定商品も同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 ウ 申立人2は、フランスの有名俳優アラン・ドロンに関する商標、肖像についての全責任を委任され、これらを使用した商標を日本国内だけでなく、極東諸国において幅広く展開して今日に至っており、特にアパレル業界において甲第11号証(登録第4682461号商標)に示す「ALAIN DERON LESAMOURAI」(別掲(3)。以下「アランドロン・ルサムライ商標」という。)の我が国における知名度は極めて大きく、しばしば「アラン・ドロンのサムライコレクション」と呼ばれる程に人気がある商標として、現在もメンズ・レディースアパレルを中心に大々的に展開中である。 一方、商標権者は、2005年1月1日から2007年12月31日までの3年間、申立人2との間にて紳士ビジネススーツの製造販売に係るアラン・ドロン商標使用ライセンスを結び「ALAIN DERON LESAMOURAI」を付した製品を製造販売していた企業である。 したがって、本件指定商品の分野の需要者は、「SAMURAI/サムライ」の称呼からなる本件商標が、申立人2との商標使用ライセンス契約期間満了後にも本件指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 エ 本件商標は、申立人2の商品を表示するものとして日本国内において需要者に広く認識されているアランドロン・ルサムライ商標と類似の商標である。商標権者が3年間、申立人2との間でライセンス契約を締結しており、本件商標の出願は、上記ライセンス契約更新の意思がないことを通告された2007年3月12日直後にされたもので、申立人2の承諾得ずして行われた出願・登録は、本件商標の商標権者の契約完了に対する卑劣な手段による報復措置とも取れる。このようなことから、本件商標権者の行為は、著名商標であるアランドロン・ルサムライ商標の顧客吸引力にただ乗りし不正に利益を得る目的でされたものと考えるのが自然といえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 3 当審の判断 (1)前提となる事実及びアランドロン・ルサムライ商標の著名性について 申立人2の申立て理由及び提出する証拠によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人2は、1975年に設立後、1984年からフランスの俳優アラン・ドロンが経営し同氏の商標等を管理するアラン・ドロン・ディフィージョン S.A.から同氏に関する商標について、我が国及び極東8か国における全権委任を受け、ライセンス事業を行ってきた(株式会社アラン・ドロン・インフォメーションデスクが設立され、一時期同社が上記事業を行ったことを含む。以下同じ。)。 例えば、雑誌「LEON」2006年11月号に掲載された申立人2の広告(甲5、甲63)によれば、申立人2は、図形と「ALAIN DELON」からなる2つの商標(別掲(4)及び別掲(5)。なお、別掲(4)の構成中の図形部分及び「ALAN DELON」の文字部分をまとめて「アランドロン基本商標」という。)、アランドロン・ルサムライ商標、別掲(6)の構成よりなるアランドロン基本商標と「MARSEILLE」等の文字からなる商標を管理し、「エルマン株式会社」(フォーマルウェア)、株式会社義済堂(ビジネススーツ)、ほか、コート、紳士服他、ビジネスシャツ、ネクタイ、マフラー、カフス、アンダーウェア、紳士シューズ、ベルト、財布、等の商品について、数社とライセンス契約をしていることがアラン・ドロンの写真等を大きく掲載しながら広告されている。なお、上記各社のライセンス契約がいずれの商標に関してのものであるかについては、具体的に記載されていない。同様の広告が、「LEON」2007年11月号(甲6、甲63)、2007年11月2日付け日本経済新聞夕刊(甲7,甲64)、2007年12月7日付け日本経済新聞(甲64)に掲載されている。 (イ)申立人2は、2001年9月1日付けでエルマン株式会社(以下「エルマン社」という。)と、アラン・ドロン主演の映画「LeSAMOURAI」にちなんだ商標であるアランドロン・ルサムライ商標を含むアラン・ドロンに関する商標等について使用許諾契約を締結し(甲33)、2002年3月19日付け覚書が交わされた(甲34)。 エルマン社の取引先小売店であるトリイ株式会社(以下「トリイ」という。)は、上記契約の成約前から、アラン・ドロンの「ルサムライ」に因む別掲(7)の構成よりなる商標(アランドロン・トリイ商標)という。)を採択、使用した(甲37)。なお、上記覚書において、アランドロン・トリイ商標は、アランドロン・ルサムライ商標に係る商標登録出願の登録完了の待機期間中においても継続使用できる旨確認されており、アランドロン・トリイ商標は2002年秋冬用商品まで使用された(甲37)。 (ウ)トリイは、アランドロン・トリイ商標を付した商品を2002年1月から販売することを発表し、また、アラン・ドロンの来日した2001年12月9日に記念レセプションが開催され、エルマン社及びその商品を取り扱うトリイの上記発売開始について、繊維業界の新聞を中心に各種新聞により報道された(甲38、甲39)。なお、これらの報道において、アランドロン・トリイ商標について「サムライ」と称している事実は認められるものの、いずれも「アラン・ドロン社と提携」などとアラン・ドロン氏との関係を示した上で報道している。 (エ)エルマン社のアランドロン・ルサムライ商標を付した紳士服等の商品は、株式会社ゴトー、ゼビオ株式会社、株式会社ニシムラ、株式会社森長、株式会社マツヤ等において販売された(甲45ほか)。 (オ)トリイ及びアランドロン・ルサムライ商標を付したビジネススーツ等を小売販売する各社は、折り込み広告(甲44、甲57の3枚目)、雑誌広告(甲45)、ポスター(甲45)、テレビ広告(甲46)などを行った。その殆どは、取り扱うブランドの一つとして掲載されたものであり、また、アランドロンのブランドであることを明確にして行われている。 (カ)トリイは、2003年8月、株式会社アオキインターナショナルの子会社になったため、その後次第に、エルマン社とトリイの取引は消滅した。 (キ)申立人2は、商標権者との間で、2005年1月1日から2007年12月31日の間、メンズビジネススーツについてアランドロン・ルサムライ商標のライセンス契約を2004年7月12日に締結し(甲48)、2004年7月1日?12月31日の間は、商標権者がアランドロン・ルサムライ商標を付したビジネススーツ及びアランドロンの「MARSEILLE」商標を付したビジネススーツを製造し、その製造数量をエルマン社に報告し、エルマン社は、上記製造数量と上記2つの商標に係るファーマルの製造数量を申立人2に報告した(甲49)。 (ク)商標権者が製作したアランドロン・ルサムライ商標を付した商品を取り扱う小売店向けのPOP類は、いずれもアランドロンの写真を使用するなどアランドロンのブランドであることを明確にしている(甲55)。 (ケ)アランドロン・ルサムライ商標及びアランドロン・トリイ商標に関する販売総数は、2002年は、ネクタイ、シャツ、靴下、コート含め、29,642着(うち、スーツ5,047着)、2003年は、ネクタイ、シャツ、靴下、コート含め、22,995着(うち、スーツ5,587着)、2004年のビジネススーツ(フォーマルを含む。)は、6,253着であり、2005年上半期は、ビジネススーツ(フォーマルを含む。)は、2,375着である(以上、甲49、甲78?甲83)。 (コ)申立人2とワキタ株式会社とのライセンス契約により、ワキタ株式会社は、2007年7月からアランドロン・ルサムライ商標を付したレディススーツを発売し、2008年秋冬からメンズスーツを発売する(甲65)。2007年下半期の上記商品の販売数量は、9,914着である(甲86)。 (サ)チラシや新聞記事において、アランドロン・ルサムライ商標を略称する場合は、「ル・サムライ」、「ルサムライ」と表示している(甲43、甲45、甲57、甲58、甲65)。 以上によれば、申立人2は、アランドロンに係るアランドロン・ルサムライ商標のほか、別掲(3)?(5)の構成の商標に係るライセンスを行っているものであり、これらに関する申立人2の広告は、いずれもアラン・ドロンの写真を大きく掲載し、またいずれの商標も「ALAIN DELON」の文字を含んだものである。 アランドロン・ルサムライ商標に関しては、2002年1月より株式会社エルマンが製造したアランドロン・トリイ商標を付したビジネススーツ等の商品が、トリイ等において販売され、その後、アランドロン・ルサムライ商標を付した商品が2004年12月31日までエルマンの取引先において、2005年1月1日から2007年12月31日の間は商標権者の取引先において販売され、トリイの発売開始に際して、新聞等による報道が行われ、そのブランドについて「サムライ」と称している事実が認められる。しかしながら、アランドロン・トリイ商標及びアランドロン・ルサムライ商標は、いずれもアランドロン基本商標を含むものであり、また、その新聞報道やチラシ等において、アランドロンの写真を大きく表示するなどアランドロンとの関係を明示しながら行われている。さらに、アランドロン・ルサムライ商標は、単に「サムライ」と略称されるのではなく、「アランドロン ル・サムライ」、「ルサムライ」などと称している事実がある。 そして、アランドロン・トリイ商標及びアランドロン・ルサムライ商標に関する商品を取り扱う販売店においては、それらの商標は、取り扱う複数のブランドの一つにすぎない。また、アランドロン・トリイ商標及びアランドロン・ルサムライ商標の使用は、トリイがスーツに付して販売を開始し2002年1月から本件商標の登録出願(平成19(2007)年3月19日)まで、5年程度とそれほど長い期間でもなく、ビジネススーツ及びフォーマルに関しては、その販売数量は、年間5?6千着程度であって、ビジネススーツ及びフォーマル以外の商品については、ビジネスシャツ、ネクタイ、靴下、コートに使用している事実は認められるが、2002年及び2003年の販売数量は、それぞれ24、595点、17、408点であって、2004年以降の販売数量は不明である。 そうとすると、アランドロン・ルサムライ商標及びアランドロン・トリイ商標は、本件商標の登録出願時である平成19(2007)年3月19日において、需要者にある程度知られているとしても、需要者の間に広く認識されているとまでは認めることはできないし、かつ、上記商標は、アラン・ドロンの展開する商標の一つにすぎないものであるばかりでなく、いずれもアランドロン基本商標を含むものであり、アラン・ドロンを前面にして宣伝広告されてきたものであって、その構成中の「SAMURAI」若しくは「LESAMOURAI」の部分が「アランドロン」から離れて広く知られているとまでは到底認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、前記1のとおり、「COEUR DE SAMURAI」の文字と「クール・ド・サムライ」の文字を二段に書してなるところ、上段及び下段の各文字は、同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく表してなるものであり、構成全体から生ずると認められる「クールドサムライ」の称呼もよどみなく一連に称呼できるものである。 そして、上段の欧文字中の「COEUR」の文字は、わが国において、親しまれた意味合いを有する語ではなく、「DE」の文字は、フランス語の前置詞と認識されるものであり、「SAMURAI」の文字が「侍」の意味合いを認識させる場合があるが、「侍」の語は、わが国において日常的に親しまれ、頻繁に使用されている語であるから、本件商標は、その構成上、特定の部分が特に注意をひくものとは認められず、全体として特定の意味合いを認識させるものではないというのが相当である。 そうとすると、本件商標の上段及び下段の各文字は、ともに一体不可分のものとして認識されるというのが相当であり、本願商標よりは、「クールドサムライ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものと認められる。 一方、引用商標1は、「SAMURAI」の欧文字と「サムライ」の片仮名文字を二段に書してなるものであるから、「サムライ」の称呼及び「侍」の観念を生じるものであり、引用商標2は、「侍」の文字よりなるから、同様に「サムライ」の称呼及び「侍」の観念を生じるものである。引用商標3は、「coeur」の文字を書してなるものであるから、「クール」の称呼を生じ、該文字は、わが国において特定の意味を有するものとして知られているという事情もないから、特定の観念を生じさせるものではない。引用商標4は、「SAMURI SOUL」の欧文字を同じ書体でまとまりよく書してなるものであるから、「サムライソウル」の称呼及び「侍の心」ほどの観念を生じさせるものである。 そこで、本願商標と引用商標1ないし引用商標4(以下これらをまとめて「各引用商標」という。)の類否を検討するに、まず、外観については、本願商標と各引用商標は、その構成が前記のとおりであるから、明らかに区別できるものである。 次に称呼についてみてみると、本件商標から、生ずる「クールドサムライ」の称呼と各引用商標から生ずる「サムライ」、「クール」、「サムライソウル」の称呼とは、いずれも音数及び音構成において顕著な差があるから、相紛れるおそれはない。 また、本件商標からは、特定の観念を生じないから、本願商標と各引用商標とは、観念上、比較すべくもないものである。 そうとすると、本件商標と各引用商標とは、外観及び称呼において相紛れるおそれはなく、観念において比較すべくもないから、非類似の商標というべきである。 申立人2は、別掲(8)のとおりの構成よりなる商標登録出願第2001-116652号商標及び別掲(9)のとおりの構成よりなる商標登録出願第2004-48811号商標は、いずれも「SAMURAI/サムライ」の称呼・観念を含む先願登録商標と類似するとして拒絶査定になっているが、本件商標と比較して、「SAMURAI/サムライ」と称呼される部分の抽出度について極端な差があるとは考えにくい。また、本件商標が3語からなっているものであり、実際に商標権者が製造した製品に付されている紙製下げ札(別掲(10))及び織りネーム(別掲(11))は、「SAMURAI」の文字部分が際立つ表示になっていることを勘案すれば、本件商標から「SAMURAI」が分離抽出されることが十分あり得る、旨主張している。 しかしながら、「SAMURAI」及び「サムライ」は、わが国において、頻繁に使用されている「侍」に通ずるものであり、本件指定商品の分野においても同様であるといえるから、本件商標の構成にあっては、前記のとおり、「SAMURAI」及び「サムライ」の文字部分が強く需要者の注意を惹くものとはいえない。また、申立人は、商標権者の使用している商標も考慮すべき旨主張しているが、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、本件商標と引用商標との対比により判断されるべきであるから、申立人の主張は、いずれも採用できない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について ア 本件商標と申立人2が引用するアランドロン・ルサムライ商標及びアランドロン・トリイ商標の類似性について検討するに、本件商標は、上記のとおり、構成中の「SAMURAI」「サムライ」は、日常的に広く使用されている語であって、特に注意を惹く部分とはいえず、構成全体が不可分一体として認識されるものであり、「クールドサムライ」の称呼のみを生じ、格別の観念を生じないものである。 一方、アランドロン・トリイ商標は、構成全体より、「サムライアランドロン」の称呼を生じ、構成中の「SAMURAI」及び「ALAIN DELON」の文字より「サムライ」及び「アランドロン」の称呼を生じるものである。また、アランドロン・ルサムライ商標は、構成全体より、「アランドロンルサムライ」の称呼を生じ、構成中の「ALAIN DELON」及び「LESAMOURAI」の文字より、「アランドロン」及び「ルサムライ」の称呼を生じるものである。 そうとすると、本件商標とアランドロン・トリイ商標及びアランドロン・ルサムライ商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点から見ても非類似の商標というべきである。 そして、アランドロン・トリイ商標及びアランドロン・ルサムライ商標は、前記(1)のとおり、ビジネススーツ等の商品に使用する商標として、需要者に広く認識されているとまでは認めがたいばかりでなく、いずれも需要者の注意を強くひくアランドロン基本商標を含むものであって、その構成中の「SAMURAI」若しくは「SAMOURAI」の部分が周知・著名であるとはいえないものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が直ちにアランドロン・ルサムライ商標を想起し、アラン・ドロン又は申立人2又は同人らと何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。 イ 申立人2は、商標権者による申立人2との間の契約違反が続出したため、契約更新の協議の時期を早め、2007年3月12日に協議を行い、2008年以降の契約継続の意思がないことを伝えたところ、商標権者は、2007(平成19)年3月19日、ライセンスしてきたアランドロンのマルセイユ商標のアランドロン基本商標以外の部分からなる商標(商願2007-23644)、及び本件商標を出願したことは、アランドロン・ルサムライ商標の実績にただ乗りし、ブランドイメージを連想させる商品を販売する意図で出願されたものであり、商標権者の使用をみても「SAMURAI」が極端に目立つように標記していること、配色もアランドロン・サムライ商標を連想させるものであり、明らかに、悪意、又は不正な利益を得る目的を持ち、かつ秘密裏に類似の商標を信義誠実の原則に反する不正な目的を持って、出願されたものである。旨主張している。 しかしながら、申立人2が主張する商標権者の使用する前記商標は、本件商標とその構成を異にし、本件商標の使用ではないし、本件商標は、アランドロン・サムライ商標及びアランドロン・ルサムライ商標とは、混同のおそれがないものであるから、本件商標を使用しても不正の目的をもって使用するものとはいうことはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当しない。 (4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)引用商標3(登録第4790176号) (3)登録第4682461号商標(甲11) (4) (色彩は原本参照) (5) (色彩は原本参照) (6) (色彩は原本参照) (7) (色彩は原本参照) (8) (色彩は原本参照) (9) (10) (色彩は原本参照) (11) (色彩は原本参照) |
異議決定日 | 2009-04-07 |
出願番号 | 商願2007-23642(T2007-23642) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X25)
T 1 651・ 262- Y (X25) T 1 651・ 222- Y (X25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 忠司 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
内山 進 岩崎 良子 |
登録日 | 2007-11-22 |
登録番号 | 商標登録第5093723号(T5093723) |
権利者 | 株式会社義済堂 |
商標の称呼 | クールドサムライ、クールドゥサムライ |
代理人 | 鮫島 武信 |