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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y35
管理番号 1197367 
異議申立番号 異議2008-900176 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-04-21 
確定日 2009-04-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第5105076号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5105076号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5105076号商標(以下「本件商標」という。)は、「BlackBerry」及び「ブラックベリー」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成18年12月15日に登録出願され、第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として平成20年1月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人リサーチ イン モーション(以下「申立人」という。)は、結論同旨の決定を求めると主張し、その理由として要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第110号証を提出した。
申立人の商標「BlackBerry」は、通話機能付き携帯情報端末機器(PDA)などに関する商品・役務について、世界的に周知・著名である。一方、本件商標は英文字「BlackBerry」及び片仮名文字「ブラックベリー」を二段書きにして構成されるところ、申立人の商標「B1ackBerry」と実質的に同一である。また、本件商標の指定役務の多くは、携帯情報端末(PDA)又はオンラインを通じて提供されるサービスからなるところ、申立人にかかる商品若しくは役務と類似するものである。 したがって、本件商標は、他人である申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者に広く認識されている商標「BlackBerry」と実質的に同一の商標であり、その商品・役務に類似する役務について使用するものである。
また、本件商標がその指定役務に使用された場合には、申立人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
さらに、本件商標は、申立人が「B1ackBerry」について培ってきた業務上の信用にただ乗りするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものである。

3 本件商標の登録に対する取消理由
(1)申立人の主張及び提出に係る甲各号証を総合すれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1998年にポケットベルのページャー(双方向通信)機能に加えて電子メール機能やウェブサイトの閲覧機能を搭載した商品(以下「申立人商品」という。)を開発し、これに「BlackBerry」と命名した(甲第13号証)。申立人商品は、オフィスの外でも長文の電子メールを利用できる利便性とパソコンと同じ配列のキーボードを備えていることから、メール送受信手段を必要としていたビジネスマンを中心に短期間で爆発的な人気を博し、1999年1月に法人向けPDA(携帯情報端末)として市場に投入されて以来、2001年までの2年間で利用者数が約40万人に達し(甲第14号証)、2002年5月には加入者が約61万5千人となった(甲第32号証)。その後も、多くの企業やニューヨーク市消防局、ロサンゼルス市警察、米農務省、米国防総省、米郵政公社等の公的機関が申立人商品を採用した結果、申立人商品の利用者は増え続け、加入者数は2003年11月には86万5千人、2005年7月には約311万人、2006年9月には600万人に達した(甲第32号証、第36号証、第41号証、第71号証及び第75号証)。
(イ)申立人商品は、そのメールの使いやすさ等から「くせになる情報携帯端末」、「クラックベリー(クラックはコカインの意味)」とも称され、中毒になることで知られ、「ブラックベリー症候群」、「ブラックベリー依存症」、「ブラックベリー中毒」、「ブラックベリー式祈り」、「ブラックベリーする」等の言葉も発生し、一種の社会現象ともなった(甲第73号証、第77号証ないし第79号証)。
(ウ)日本では、本件商標の登録出願前の平成18年9月末から申立人商品の販売が開始されたが、その販売開始前より、申立人商品を「BlackBerry」、「ブラックベリー」と称し、申立人商品が北米において人気を博し、ブラックベリー症候群、ブラックベリー依存症等、一種の社会現象を引き起こしていることが各種新聞・雑誌において報道、紹介されていた(甲第14号証ないし第43号証及び第68号証ないし第75号証)。また、その販売開始については、各種新聞等において大々的に報道された(甲第42号証、第44号証ないし第54号証及び第94号証ないし第100号証、第105号証)。そして、本件商標の登録出願後も引き続き、申立人商品について各種新聞・雑誌等において報道、紹介されている(甲第55号証ないし第93号証及び第101号証ないし第103号証、第105号証)。
(2)上記(ア)ないし(ウ)の認定事実によれば、「BlackBerry」及び「ブラックベリー」の各標章(以下、まとめて「引用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る申立人商品を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間にも広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(3)他方、本件商標は、上記のとおり、申立人の使用に係る引用商標と同一又は類似の構成からなるものといえる。また、本件商標の指定役務は、携帯情報端末・携帯移動端末を利用した広告、携帯情報端末・携帯移動端末を利用した広告情報の提供、商品の販売促進・役務の提供促進のためのオンラインを利用した広告、オンライン上でおこなう商品の販売促進・役務の提供促進の企画及び実行の代理、オンラインによる商品売買契約の媒介又は取次ぎ、オンラインでの商品の販売又は役務の提供のための受注事務の代行、オンラインによる商品又は役務の受注事務など、携帯情報端末、携帯移動端末、オンラインを通じて提供される役務を多く含むものであり、これらの役務の提供の用に供する物又は役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物と、携帯情報端末の一つである申立人商品とは少なからぬ関係を有するものである。
(4)以上を総合勘案すると、商標権者が本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人の使用に係る周知著名となっている引用商標を連想、想起し、該役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 当審の判断
当審において、商標権者に対し、上記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由により、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-03-04 
出願番号 商願2006-121355(T2006-121355) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y35)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田中 亨子 
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 杉山 和江
小畑 恵一
登録日 2008-01-18 
登録番号 商標登録第5105076号(T5105076) 
権利者 アビスタ株式会社
商標の称呼 ブラックベリー、ベリー 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松尾 和子 
代理人 藤倉 大作 

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