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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y07
管理番号 1197231 
審判番号 取消2007-301426 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-11-05 
確定日 2009-04-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第2400088号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2400088号商標の指定商品中、第7類「金属加工機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2400088号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORION」の欧文字と「オリオン」の片仮名文字を上下二段に書してなり、平成1年5月31日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年4月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成15年12月24日に、第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料裁断機,飼料粉砕機,飼料配合機,搾乳機,牛乳ろ過器,ふ卵器,育雛器,蚕種製造または養蚕用機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,ミシン,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,水車,風車,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,業務用電気洗濯機,修繕用機械器具,芝刈機,軸受・軸・軸継ぎ手・ベアリング(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),動力伝導装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),制動装置(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),バルブ(機械要素)(陸上の乗物用のものを除く。),ウインチ,ホイスト」ほか、第6類、第8類、第9類、第11類、第12類、第15類、第16類、第17類、第19類、第20類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品に書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第7類「金属加工機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)商標「ORION」の使用事実については認めるが、「圧縮空気温度調節機」は「精密加工機」の部品であるから「金属加工機械器具」に該当するとの主張については、争う。
(イ)乙第1号証であるパンフレットは、圧縮空気温度調節機が空気静圧軸受へ供給される圧縮空気(「供給エアー」)の温度を精密に調節する装置であることを示している。
甲第1号証として提出した特開2004-68825号公報コピーの段落「0002」に記載されるように、「空気静圧軸受」はナノメーター・オーダーの超精密加工を行う工作機械等の加工機や測定器において、加工機や測定器の周囲温度の変化が加工精度、測定精度に影響を与えることに鑑みて、恒温室内に配置された加工機や測定器の軸受部に用いられるものである。空気静圧軸受が用いられる理由は、摩擦などによる発熱がないためであるが、供給空気自体が熱を吸収し排出するため熱による機械の変形は少ないものの、ナノメーター・オーダーの超精密加工や測定を行う点に考慮して、熱の影響を極力排除するべく空気静圧軸受に供給する圧縮空気の温度が、被請求人の圧縮空気温度調節機等により、精密に制御される。
(ウ)乙第1号証であるパンフレットの裏側左上には、「ORION」の商標が使用された精密温度調節機の「用途例」として、精密加工機、精密計測器、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置、分析機器、精密塗装機、局所空間の精密温調及び加工物・計測物の温調が列挙されている。これらの加工機、計測器、製造装置、分析機器等はいずれも加工精度、測定精度を維持するために空気静圧軸受を備えており、この空気静圧軸受に精密温度調節機から温度が精密に調節された圧縮空気が供給される。
したがって、この「精密温度調節機」は精密加工機以外の各種装置、機器である精密計測器、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、分析機器、精密塗装機等にも使用され、精密加工機以外の多種多様な用途を有することが明らかである。
したがって、被請求人の、「圧縮空気温度調節機」は「精密加工機」の部品であるから「金属加工機械器具」に該当するという主張は失当である。
(エ)さらに、被請求人の「精密温度調節機」と併用される「空気静圧軸受」を備えた「精密加工機」は必ずしも金属加工に使用されるとは限らず、金属以外の材料、例えばガラス、セラミック等の材料の加工にも使用される。例えば、甲第2号証として提出した特開平11-221763号公報コピーの段落「0018」には、ガラスレンズ等の光学素子の研削加工(段落「0002」)に空気静圧軸受が使用されることが、また、甲第3号証として提出した特開2000-237942号公報コピーの特許請求の範囲及び段落「0001」、「0007」、「0016」、「0047」及び「0076」には、空気静圧軸受を用いる研削加工装置によりセラミック等の硬質ぜい性材料製のフレネル形状の加工が記載されている。
(オ)被請求人は、「この『圧縮空気温度調節機』は『精密加工機』の圧縮空気入口に取り付けて使用するもので、熱変位が抑制され長時間の安定加工を可能にするための部品である。」と主張するが、叙上のように、この「圧縮空気温度調節機」は精密加工機に限らず、精密計測器にも、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、分析機器、精密塗装機等にも使用され、また、「精密加工機」自体の用途も必ずしも金属加工に限られず、ガラス、プラスチックあるいはセラミック等精密加工を必要とする種々の材料への利用が含まれる。
したがって、この「圧縮空気温度調節機」が「精密加工機」の部品としてでなくて、単体で別個に取引されること、また、その用途が多方面にわたることを考慮すると、乙第1号証であるパンフレットに示された「圧縮空気温度調節機」は「精密加工機」の部品であるから、「精密加工機」の上位概念である「金属加工機械器具」に該当するとする被請求人の主張は妥当でないと思料する。
(カ)以上より、この「圧縮空気温度調節機」が金型などの金属加工用精密加工機に併用された事実があるとしても、ガラス、プラスチック、セラミック等金属以外の材料の加工、研削に使用されることが明らかであり、また、精密加工機以外に精密計測器、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、分析機器、精密塗装機等にも使用されることが明らかである以上、「圧縮空気温度調節機」に「ORION」の商標を使用している事実をもって本件商標が「金属加工機械器具」に本件審判請求の登録前に使用されているとすることはできないと思料する。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)被請求人の本件商標の使用事実
(ア)被請求人は本件商標を「金属加工機械器具」に属する「精密加工機」につき本件審判請求の登録前に使用している。
(イ)乙第1号証(パンフレット)に示すとおり、「精密加工機」の部品である「圧縮空気温度調節機」に「ORION」の商標を使用している。この「圧縮空気温度調節機」は「精密加工機」の圧縮空気入口に取り付けて使用するもので、熱変位が抑制され長時間の安定加工を可能にするための部品である。機種は3種類あり、記号として「MD25-ACU」「MD75-ACU」「ACU-2000」が用いられている。
(ウ)乙第2号証の1から4は被請求人の出荷確認票の写しであり、いずれも本件審判請求の登録日前のもので、品番として前記パンフレットに示された記号が示されている。
即ち、乙第2号証の1は、富山市トンヤチヨウ2-5-5所在の株式会社ミタシヨウカイへ2007年9月7日及び9月19日に出荷したことを示すもので、品番として前記パンフレットに掲載されている「MD75-ACU」が示されている。同じく乙第2号証の2は「MD75-ACU」が愛知県豊川市オブダチチヨウ3-34所在のコニカミノルタオプト株式会社へ2007年7月27日に出荷されており、乙第2号証の3は「MD25-ACU」が神奈川県横浜市戸塚区カミクラチヨウ187の株式会社タケウチに、乙第2号証の4は「MD25-ACU」が成田市トヨミ37バンチの株式会社サンリツナリタヘ出荷されたことが確認できるものである。
(2)結論
以上のとおり、被請求人は、本件商標「ORION」を本件審判請求の登録前3年以内に「精密加工機」の部品に使用しており、本件商標の登録は商標法第50条の規定に該当せず、その登録は取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出した乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)によれば、以下の事実が認められる
(ア)乙第1号証は、「電子冷熱式圧縮空気温度調節器」のパンフレットであり、左上部に「ORION」の表示が認められ、右上部に「'07.09月版/E05/ナノサーモ カタログ」の表示が認められる。
そして、該パンフレットの表面には、「空気静圧軸受用供給エアーの精密温度調節器」の表示があり、「今お使いの精密加工機・精密計測器の圧縮空気入口に設置するだけで熱変位が抑制され長時間の安定加工、高信頼性の計測が実現できます。」と記載され、当該商品の写真とともに、「MD25-ACU」、「MD75-ACU」、「ACU-1000」、「ACU-2000」の品番が表示されている。
また、裏面の左上部に用途例として、「精密加工機、精密計測器、半導体・FDP製造装置、分析機器、精密塗装機、局所空間の精密温調、加工物・計測物の温調」の記載があり、その右側に「三次元測定器のエアースライド」及び「超精密加工機のエアーベアリング」への使用例が図示されている。
そして、裏面下部には、被請求人(商標権者)の名称である「オリオン機械株式会社」の表示が認められる。
(イ)乙第2号証の1ないし4は、2007年06月11日ないし2007年09月19日の「出荷確認票」と表示された伝票の写し6葉であり、いずれの伝票にも乙第1号証のパンフレットに表示された「電子冷熱式圧縮空気温度調節器」の品番「MD25-ACU」又は「MD75-ACU」とともに、取引先及び被請求人(商標権者)の名称等が記載されている。
(ウ)してみれば、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内にわが国において、本件商標と社会通念上同一とみられる「ORION」の文字からなる商標を「電子冷熱式圧縮空気温度調節器」(以下「使用商品」という。)に使用していたものということができる。
(2)使用商品について
被請求人は、本件商標の使用商品が「金属加工機械器具」に属する「精密加工機」の部品であると主張する。
しかしながら、乙第1号証によれば、使用商品の用途例として、「精密加工機」以外にも「精密計測器、半導体・FDP製造装置、分析機器、精密塗装機、局所空間の精密温調、加工物・計測物の温調」が示され、また、「三次元測定器のエアースライド」への使用例が図示され、さらに、「今お使いの精密加工機・精密計測器の圧縮空気入口に設置するだけで熱変位が抑制され長時間の安定加工、高信頼性の計測が実現できます。」との説明があることから、使用商品は、「精密加工機」のみならず、「金属加工機械器具」の範疇には属さない「計測器」や「半導体製造装置」等の機器にも使用される汎用的な商品であるということができる。
したがって、本件商標の使用商品が「精密加工機」に使用されることがあるとしても、それをもって当該商品の部品、附属品として取引されているものではないというべきであり、他に「精密加工機」の専用の部品であるとする証左はない。
してみれば、使用商品は、本件審判請求に係る商品の範疇に属する商品とは認められないというのが相当である。そして、他に本件商標が、本件審判の請求に係る商品に使用されているとする証拠の提出はない。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求に係る商品の範疇に属するとは認められない商品について使用の事実を立証するのみであり、請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明するところがない。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしている事実が認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があるとも認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、第7類「金属加工機械器具」について、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-02-19 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 商願平1-61177 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y07)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 薫 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 1992-04-30 
登録番号 商標登録第2400088号(T2400088) 
商標の称呼 オリオン 
代理人 加藤 和彦 
代理人 稲木 次之 
代理人 加藤 紘一郎 

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