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審判番号(事件番号) データベース 権利
審判199830786 審決 商標
審判199830787 審決 商標
取消200131081 審決 商標
取消2009300004 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 106
管理番号 1197209 
審判番号 取消2007-301566 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-12-03 
確定日 2009-04-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第1437548号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1437548号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和50年10月9日に登録出願、第6類「鉄心用電気鋼板」を指定商品として同55年9月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存せず、また不使用について正当な理由もないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 平成20年2月13日付け答弁書に対する弁駁書
(1)被請求人が使用証明であると主張する唯一の証拠である乙第1号証は、「鋼材検査証明書(INSPECTION CERTIFICATE)」の写しとされるものであるが、これとて原本が提出されたわけではない。
登録商標の使用の事実は、発注書、受注書、請求書並びに領収書等の実際に商取引が行われた事実を証する書面によって立証されるべきであるとされるが、乙第1号証は、これらの何れにも該当しないものである。
また、乙第1号証は、これが取引書類であるかどうか以前に、指定商品「鉄心用電気鋼板」に関する証明書であるのかすら不明なものである。
さらに、取引書類なら当然、取引先相手の住所・名称等が明記されるはずであるが、乙第1号証には、注文者として「METAL ONE」の記載がある一方、需要家として「JIDOSHADENKIKOGYO」の記載があり、何処の誰と商取引をしたのか不明なものとなっている。
(2)また、本件商標は、社章という図形と文字との結合商標であって、全体が一つの商標として理解・認識されるものであるところ、乙第1号証の商品名の欄に表されているのは、「NEWCORE」のローマ文字だけである。商標法第50条第1項により、「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するもの」であっても登録商標の使用と認められる場合はあるが、本件商標は、片仮名及びローマ字の文字のみから構成されているのではなく、文字以外の重要な構成要素として社章という図形が存在している。
しかも、本件商標の指定商品が「鉄心用電気鋼板」であることから、「NEWCORE/ニューコア」の片仮名及びローマ字の文字部分は、「NEW/ニュー」と「CORE/コア」とに自然に分離して捉えられて、本件商標を付した指定商品「鉄心用電気鋼板」が何かしら「新しい鉄心」用のものであることをイメージするものとなっている。
したがって、「NEWCORE/ニューコア」の片仮名及びローマ字の文字部分は、識別力が無いか、有っても非常に低いものであるから、社章である図形部分の存在は、本件商標にとって欠かせない存在であり、本件商標から図形を欠落させたものは、もはや社会通念上も本件商標と同一の商標ということはできない(甲第2号証審決、甲第3号証判決参照)。
(3)以上のとおり、被請求人は、本件商標をその指定商品である第6類「鉄心用電気鋼板」について、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用した事実を全く立証していないから、本件商標の登録は、取消されるべきである。

第3 被請求人の主張の要点
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
2 平成20年2月13日付け答弁書の理由
本件商標は、社章の横にカタカナにて「ニューコア」と横書きし、その下段に、同幅にて「NEWCORE」と併記してなり、第6類「鉄心用電気鋼板」を指定商品とするものである。
被請求人は、本件商標をその指定商品について実際に使用している。
証拠として、2006年8月3日付けの本件商標が記載された鋼材検査証明書を提出する(乙第1号証)。この証明書により、本件商標が付された本件指定商品が実際に販売されていたことが明らかである。
よって、本件審判の請求は成立しない。
3 弁駁に対する平成20年10月6日付け答弁書
(1)請求人は、登録商標の使用の事実は、発注書、受注書、請求書並びに領収書などの実際に商取引が行われた事実を証する書面によって立証されるべきであると主張している。
そこで、被請求人は本件商標を使用した商品の注文書の写し(乙第2号証)、その注文に応じた本注文品の写真(乙第3号証)、本注文品の送り状写し(乙第4号証)及び注文主である伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社の注文書の写し(乙第5号証)及びインボイスリストの写し(乙第6号証)を提出する。
乙第2号証は、伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社が、需要家「SANWA TECHNO」のために、2006年9月22日付にて、規格略号「50NC-FM」である商品を被請求人に注文したことを証明する注文書の写しである。
乙第3号証は、乙第2号証の注文に基づき、被請求人が実際に伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社向けに出荷した製品の写真である。この製品のラベルには需要家の旧社名である「三和テクノ」、注文した規格である「50NC-FM」、注文の寸法である「0.5 X 1135 X C」、注文の等級である「M級」、注文のコーティングである「L」等が記載されている。これらラベルに記載された寸法や等級、コーティングが乙第2号証の注文書と一致することから、乙第3号証は、乙第2号証の注文に基づき生産された商品であることが分かる。
乙第4号証は、本注文品を日鐵物流株式会社が、荷受主である株式会社日鉄電磁テクノの倉庫へ配達したことを証明する送り状の写しである。この送り状における「契約番号6‐180‐PO‐1‐0‐753D」が乙第2号証の注文書に左上にある「注文番号」と一致すること、注文書の「受渡場所 A NITTETSUDENJITEKUNO」が送り状の「荷受主 日鉄電磁テクノ」と一致すること、さらに送り状の「現品識別番号110108020113」が乙第3号証のラベル写真の検査番号と一致することから、2006年9月22日付にて注文された本件商標を使用した本注文品が、2007年3月23日付にて株式会社日鉄電磁テクノに引き渡されたこと、すなわち、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が実際に使用されていたことが明らかである。
さらに、上記主張を補強するため、被請求人は、上記事実を証明した株式会社日鉄電磁テクノからの証明書(乙第8号証)を提出する。
また、乙第5号証は伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社の注文書の控えであり、乙第6号証は伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社のインボイスリストである。乙第5号証における注文番号、需要家、受取場所、規格略号、寸法などは乙第2号証及び第4号証のものと一致し、また乙第6号証における納入先、受場、メーカー契約No、規格なども乙第2号証ないし乙第4号証と一致する。これら証拠によっても、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が実際に使用されていたことが明らかである。
(2)次に、請求人は「NEWCORE」のローマ字のみの使用は、登録商標の使用に該当しない、と主張している。
しかしながら、乙第3号証に示されるように、同一ラベル面に「ニューコア」と「社章(図形)」が表されている。本件商標の指定商品は、一般消費者向けの商品とは大きく異なり、需要家である企業独自の仕様に基づき、オーダーメードにて製作される商品である。そのため、商品における商標の表示(態様)は、製作された商品に応じて変化する場合のあるものである。
例えば、乙第9号証は、乙第2号証ないし乙第6号証で取引を立証した三和電機株式会社(旧三和テクノ)向けの納入仕様書であり、2000年12月4日に初版を作成し、2007年5月7日に初版の仕様に改定があったことから乙第9号証を三和電機株式会社宛に送ったものである。この乙第9号証に対する三和電機株式会社からの受領書が乙第10号証である。
本件商標については、図形部分は被請求人の社章であることから、注文書や仕様書では社章を略して使用しているが、これは商慣行上一般的に行われる行為である。また、商品ラベルにおける使用態様は、「社章」と「ニューコア」との配置が登録商標の態様とは若干のずれがあるが、これは、特殊な商品のラベルという性質上やむを得ないものである。
特に、「社章」は被請求人を表す商標として永年に渡り継続して使用されているものであり、取引業界においては非常に著名な商標である。また「ニューコア」についても、後述のとおり被請求人の商品を表す商標として著名な商標である。そのため、本件商標中、「社章」は製造者(被請求人)を表す自他商品識別標識として、「ニューコア」は商品を表す自他商品識別標識として機能するものであり、いわば2つの要部から構成されているものである。そのため、これら要部が多少離れた位置に表示されているとしても、同一ラベル上にあり、同時に視認出来る以上、これに接する取引者需要者が、商品及びその製造者を容易に認識できるものであり、乙第3号証における態様であっても、本件登録商標と同一性のある自他商品識別力を発揮していることは明らかである。
よって、本使用態様は登録商標と社会通念上同一と認められる範囲であるものと確信する。
(3)次に、本件指定商品と、被請求人が本件商標を使用している商品の同一性について説明する。
乙第2号証ないし乙第6号証において本件商標の使用を証明した商品は、乙第9号証から「ファンモーター用の無方向性電磁鋼板」であることが分かる。「電磁鋼板」と「電気鋼板」は同義語であり(乙第13号証)、「無方向性」は単に「電気鋼板」の性質を示すものであり、また「ファンモーター用」と明記されていることから、この商品の用途が「鉄心用」であることは自明である。
そのため、2006年9月22日の注文を受け、三和電機株式会社向けに出荷された本件商標が使用されている商品が「鉄心用電気鋼板」であることは明らかであり、よって、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件指定商品である「鉄心用電気鋼板」について本件商標が使用されていることが明らかである。
(4)さらに、本件商標は平成2年に、使用証明を提出し、その存続期間の更新手続を行っているものである(乙第14号証)。乙第14号証におけるラベル写真は、本件における乙第3号証と同様のものであるが、このラベル及びカタログをもって、本件商標が「鉄心用電気鋼板」について使用されていると認められ、更新登録になったことを勘案すれば、乙各号証からも当然に本件商標を本件指定商品について使用していると認められて然るべきものである。
(5)以上のとおり、乙第2号証ないし乙第14号証により、本件商標が日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に指定商品について被請求人が実際に使用されていることが証明されるものである。
よって、本件審判の請求は成立しない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証の注文書写しの左上に「注文番号6‐180‐PO‐1‐0‐753D」、中央上に「電磁鋼板オールリスト」、その右側に「新規入力年月日 06.09.22」「注文者 イトウチユウ マルベニ」、その下部に「需要家 1次名称 SANWA TECHNO」「受渡場所A NITTETSUDENJITEKUNO」、中央部やや左側に「規格略号 50NC-FM」、「寸法 0.5X1135*1135XC」と記載されている。
(2)乙第3号証は、「電磁鋼板」を包装した写真と推認されるところ、その包装の表面には、製品のラベルが貼り付けられている。そのラベルには、左上部から下部にかけて、「ニユーコア」「50NC-FM」「0.5 X 1135 X C」「110108020113」「本件商標の図形部分の表示」「新日本製鐵株式會社」、右上部に「三和テクノ」と記載されている。
(3)乙第4号証の送り状写しの左上部から下部にかけて、「荷受主 日鉄電磁テクノ」「注文者 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社」「荷主 新日本製鐵株式會社」「需要家 三和テクノ」「契約番号 6‐180‐PO‐1 0‐753D」「規格 50NC-FM」「品名名称 ニユーコアMC」、右上に「日鐵物流(株)」「発行日 2007/03/23」、右下に「現品識別番号 110108020113」、中央部に「(070323)積込年月日」「出荷日 070323」と記載されている。
(4)乙第5号証の注文書の控えの写しの左上部から下部にかけて、「新日本製鐵株式会社」「注文番号 6 180 PO 1 0 753D」「受渡場所ローマ字 ニツテツデンジテクノカントウ」「規格略号 50NC-FM」「寸法 0.5X1135*1135X+C」、右上部に「伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社」「作成年月日 2006年09月27日」「需要家1次名称 SANWA TECHNO」と記載されている。
(5)乙第9号証の納入仕様書写しの1頁には、「無方向性電磁鋼帯納入仕様書」「1.適用範囲 本仕様書は、三和電機株式会社殿がファンモーター用として新日本製鐵株式會社が納入する無方向性電磁鋼帯(以下鋼帯という)について規定する。」「表-1 鋼帯の種類 規格 50NC-FM」「品名 ニューコア」と記載されている。
(6)乙第13号証の社団法人日本鉄鋼連盟のウェブページには、「電磁鋼板…変圧器や発電機で特性を発揮 冷延鋼板の一種で磁気特性と電導性に優れ、大型発電機や変圧器のほか、家電製品の大小モーターなど電気機器類の鉄心に用いられる。けい素などを添加した特殊な鋼板で、電磁鋼板、または電気鋼板と呼ばれ、磁性の方向によって方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板に分けられる。」と記載されている。
2 上記において認定した事実によれば、伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社は、需要家三和テクノ株式会社のために、2006年9月22日に、規格略号「50NC-FM」である商品「電磁鋼板」を被請求人(新日本製鐵株式會社)に注文したものと認められる。また、日鐵物流株式会社は、2007年3月23日に、本注文品を荷受主である株式会社日鉄電磁テクノの倉庫へ配達したものと認められる。
そして、「電磁鋼板」の包装の表面に貼り付けられたラベル(乙第3号証)には、本件商標の文字部分とほぼ同一の「ニユーコア」が上に、その下に図形部分が表示されている。しかして、前記「ニユーコア」と図形部分とは、多少離れて表示されているものの、同じラベル面に表示されており、これは、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものである。
また、本件商標の指定商品「鉄心用電気鋼板」と使用に係る商品「電磁鋼板」とは、類似する商品と認められる。
以上を総合してみれば、本件審判の請求の登録(平成19年12月18日)前3年以内に日本国内において、被請求人の新日本製鐵株式会社は、その請求に係る指定商品「鉄心用電気鋼板」と類似する商品と認められる「電磁鋼板」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
3 請求人は、弁駁書において、「本件商標の指定商品が『鉄心用電気鋼板』であることから、『NEWCORE/ニューコア』の片仮名及びローマ字の文字部分は、『NEW/ニュー』と『CORE/コア』とに自然に分離して捉えられて、本件商標を付した指定商品『鉄心用電気鋼板』が何かしら『新しい鉄心』用のものであることをイメージするものとなっている。したがって、『NEWCORE/ニューコア』の片仮名及びローマ字の文字部分は、識別力が無いか、有っても非常に低いものであるから、社章である図形部分の存在は、本件商標にとって欠かせない存在であり、本件商標から図形を欠落させたものは、もはや社会通念上も本件商標と同一の商標ということはできない。」旨主張している。
しかしながら、「NEWCORE/ニューコア」の文字部分は、何ら意味を有しない造語であって、識別力がないとすることは認められないものであり、又その証拠の提出もないものである。
そうとすれば、この点についての請求人の主張は採用できない。
なお、平成20年10月6日付け答弁書の前記証拠により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができることは、前記のとおりである。
4 したがって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本件商標

審理終結日 2008-11-14 
結審通知日 2008-11-19 
審決日 2008-12-02 
出願番号 商願昭50-121324 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (106)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 杉山 和江
小畑 恵一
登録日 1980-09-29 
登録番号 商標登録第1437548号(T1437548) 
商標の称呼 ニューコア、コア 
代理人 岸田 正行 
代理人 浜田 治雄 
代理人 水野 勝文 

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