• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Y30
管理番号 1195604 
審判番号 不服2004-65058 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-21 
確定日 2009-03-11 
事件の表示 国際登録第803104号に係る国際商標登録出願における拒絶査定不服審判事件についてした平成19年3月29日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10293号、平成20年6月30日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「Chocolate,pralines」を指定商品として、2002年12月12日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2003年4月4日に国際登録されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、数種類の魚介類の形を4つの部分に表した板状チョコレートの形状からなる立体商標であるところ、単に菓子の一種であるチョコレートの立体的な形を表示したにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号(以下「本号」という。)において、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、商標登録を受けることができない旨規定している。
そして、最高裁昭和53年(行ツ)129号判決(判決日 昭和54年4月10日)(以下「最高裁判決」という。)において、「商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」と説示している。
しかして、本号に該当する商標の類型としては、「取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないもの」であり、「一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないもの」となる。
そこで、以上の観点から本件について検討する。
2 本願商標の本号の該当性について
(1)本願商標が「取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないもの」に該当するか否かについて
本願商標は、別掲のとおり、平型の略直方体をした板状のチョコレートの上部の長手方向に垂直に直線状の溝を設けてこれを同形の4つの区画に区切り、向かって左側の区画から、順次、車えび、扇形の貝殻、竜の落とし子及びムラサキイガイの図柄を配列し、これらの図柄をマーブル模様をしたチョコレートで立体的に模した形状からなるものである。
そして、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の提出による証拠資料を徴するに、本願商標は、種類の魚介類の図柄の選択及び配列の順序並びに立体的に構成されたこれらの図柄のマーブル模様の色彩等において、同様のものの存在を認めることができないという意味で個性的であり、さらに、請求人が、その製造・販売に係るチョコレート菓子に付する立体商標として採択する意図で、1958年の創業当時から使用していた貝殻等の図柄等を採用して構成し、創作したものと認められる。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、「最高裁判決」で述べる「取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないもの」に該当するとは認められないものである。
(2)本願商標が「一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないもの」に該当するか否かについて
本願商標の構成については、前記(1)で認定したとおりであり、本願商標の全体的な形状はチョコレート菓子の代表的な形状である板状のものに、立体的な装飾を施してなるものと認められる。
しかして、本願商標が「一般的に使用される標章である」か否かについては、具体的な形体として表された商標自体について見るべきところ、チョコレート菓子の取引の実情においては、植物の葉や実、エビ、貝殻、竜の落とし子等を模した立体的形状のチョコレート菓子が製造・販売されている実情からすれば、本願商標を構成する各図柄を分離し、個々に見た場合、単に商品の形状を表示するものであり、自他商品の識別標識として機能するとはいえないものである。
しかしながら、本願商標は、車えび、扇形の貝殻、竜の落とし子及びムラサキイガイの4種の図柄を向って左側から順次配列し、さらにこれらの図柄をマーブル模様をしたチョコレートで立体的に模した形状からなるものであり、本願商標の指定商品について、本願商標と同一又は類似するものの存在は認められない。
また、本願商標が、その指定商品の業界において、取引上、普通一般に使用されている事実も発見することができなかった。
そして、本願商標が与える総合的な印象は、チョコレート菓子の需要者である一般消費者において、チョコレート菓子の次回の購入を検討する際に、本願商標に係る指定商品の購入ないしは非購入を決定する上での標識とするに足りるものである。
そうとすれば、本願商標が、「最高裁判決」で述べる「一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないもの」に該当するものとは認められないものである。
3 結論
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、取り消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審決日 2009-02-27 
国際登録番号 0803104 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (Y30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村上 照美 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 豊田 純一
井出 英一郎
代理人 越智 隆夫 
代理人 産形 和央 
代理人 岡部 正夫 
代理人 本宮 照久 
代理人 加藤 伸晃 
代理人 臼井 伸一 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ