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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y30
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y30
管理番号 1195477 
審判番号 不服2007-33161 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-07 
確定日 2009-03-16 
事件の表示 商願2006-113720拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「あわせ一番だし」の文字を標準文字として書してなり、第30類「だし入りみそ,だし入り麺類用つゆ,だしつゆ,その他の調味料」を指定商品として、平成18年12月8日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、原審における同19年8月23日付け手続補正書により、第30類「だし入りみそ,だし入り麺類用つゆ,だしの素,だし入り調味料」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『あわせ一番だし』と標準文字で書してなるところ、その構成中『あわせ』の文字は『二つ、またはそれ以上のものを、いっしょにすること。』などの意味を有するもので、『一番だし』の文字は『鰹節・昆布から最初にうまみを引き出した汁。』などの意味を指称するものである。また、『あわせだし』は、『複数の材料からとっただし』の意味合いを表示する語として使用されている。そうとすれば、『あわせ一番だし』の語は、全体として例えば『鰹節・昆布からとった一番だしと、それ以外の材料からとっただしをあわせただし』と理解させるに止まり、これを本願指定商品中『前記だし入りみそ,前記だし入り麺類用つゆ,前記だしを使用しただしつゆ,前記だしを使用した調味料』に使用するときは、単に商品の品質・原材料を表示してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審において通知した審尋
原審の拒絶査定においては、「本願商標は、平成19年7月31日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。」として、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することを理由に本願を拒絶している。
本願商標は、「あわせ一番だし」の文字を標準文字として書してなるところ、「あわせ【合せ】」の語は、「二つ、またはそれ以上のものを、いっしょにすること。合せること。」を意味する語(株式会社岩波書店 2008年1月11日発行 広辞苑第六版 107頁)と認められる。
また、「いちばんだし【一番出汁】」の語は、「最初にとっただしのこと。一般にかつお節の削り節,またコンブと合わせて引いただしについていう。」を意味する語(株式会社調理栄養教育公社 平成10年12月25日発行 改訂版第1刷 改訂調理用語辞典 84頁)と認められる。
そうすると、本願商標は、「あわせ」及び「一番だし」の各文字より構成されているとみるのが相当である。
ところで、「改訂調理用語辞典」によれば、「あわせ【合わせ】」の語(55頁)の後段以降に、「二つ、またはそれ以上のもの(原材料)を、いっしょに合せて作った醤油・酢・調味料・味噌」のことを、あわせ(合わせ)と調味料の名称を組合せて、「あわせしゅうゆ【合わせ醤油】」、「あわせず【合わせ酢】」、「あわせちょうみりょう【合わせ調味料】」及び「あわせみそ【合わせ味噌】」と称していることが認められる。
また、近時、指定商品を取り扱う業界においては、これらの「あわせ」の文字を使用した各種商品及び「一番だし」の商品が、市場に数多く出回っている実情(以下(1)ないし(9))がある。
(1)「横浜醤油株式会社」のウェブサイト、「こいくちしょうゆに、昆布とかつお節のうまみをプラス」の項目(http://shop.yumetenpo.jp/goods/d/yokohama-syouyu.com/g/ys-003/index.shtml)の下に、「[商品名]あわせしょうゆ(本醸造) 1リットル [商品説明]こいくちしょうゆに、昆布とかつお節のうまみをプラスした万能しょうゆ。」との記載がある。
(2)「楽天 ICHIBA」のウェブサイト、「花野亭 自家製 合わせ醤油」の項目(http://www.rakuten.co.jp/hananotei/773294/780663/)の下に、「●合わせ醤油 賞味期限 10日間 冷蔵保存 本醸造醤油とすだちのポン酢をベースに昆布と鰹の出汁で味を調えました。」との記載がある。
(3)「ケンコーコム 健康メガショップ」のウェブサイト、「フンドーキン 九州そだち無添加あわせみそ」の項目(http://www.kenko.com/product/item/itm_7032272072.html)の下に、「『フンドーキン 九州そだち無添加あわせみそ 500g』は、米麹と麦麹を合わせ、大豆と塩で仕込み長期間低温で醸造し、生醤油をちょっぴりプラス。あっさりまろやかに仕上げた、麹歩合の高い32歩麹のあわせ味噌(みそ)です。」との記載がある。
(4)「越前有機蔵マルカワみそ」のウェブサイト、「有機あわせみそ」の項目(http://www.marukawamiso.com/awasemiso.html)の下に、「有機みそ『さといらず』と『有機麦みそ』を50%ずつブレンドしたあわせみそ。」との記載がある。
(5)「ヤマエ食品工業株式会社」のウェブサイト、「あわせみそ」の項目(http://www.yamae-foods.net/miso/49.html)の下に、「麦みその『コク』と米みその『まろやかさ』をあわせ持つ、旨みと風味が高いあわせ味噌です。」との記載がある。
(6)「(財)えひめ産業振興財団 あいあいえひめ」のウェブサイト、「あわせみそ500gカップ」の項目(http://shop.ehime-iinet.or.jp/category/goods.asp?shop=78&goods=2501)の下に、「米みそと麦みそを絶妙のバランスでブレンドしたあわせみそ使いやすい500gカップ入りです」との記載がある。
(7)「丸新本家」のウェブサイト、「あわせみそ 950gカップ 国産原料使用・無添加」の項目(http://www.marushinhonke.com/SHOP/36095.html)の下に、「よく熟成させた白みそと麦を加えていない赤みそをあわせています。」との記載がある。
(8)「goo グルメ&料理ショッピング」のウェブサイト、「『本造り一番だし』かつお1.8L袋 業務用(プロユース)」の項目(http://gourmet.wd.shopserve.jp/SHOP/AJ00000049.html)の下に、「天然風味そのままの濃厚な一番だし。…。厳選されたかつお節から抽出した濃厚な一番だしです。」との記載がある。
(9)「株式会社シマヤ」のウェブサイト、「一番だし鰹36g」の項目(http://www.shimaya.co.jp/lineup/mutenka-5.html)の下に、「かつお節を煮出してとっただし汁を低温で濃縮・乾燥させ、天然の『一番だし』の風味を再現しました。」との記載がある。
さらに、指定商品を取り扱う業界においては、「二つ、またはそれ以上のもの(例えば、鰹と昆布)を、いっしょに合せてとっただし」のことを「あわせだし」と称して、一般に製造、販売されている実情(以下、(10)ないし(15))がある。
(10)「YAHOO!JAPAN ショッピング」のウェブサイト、「e-CORE イーコレ かつお・にぼし・椎茸・昆布のうまみがぎっしり!海外発送可! ヤマキュウ 天然だしぱっく あわせだし」の項目(http://store.shopping.yahoo.co.jp/e-core/eyama-c0002.html)の下に、「良質のにぼし・鰹節・椎茸・昆布を原料として、おいしい和風だしが簡単にとれるようテーバック式になっています。」との記載がある。
(11)「シマヤ、春の新製品を発表 『食へのこだわり』訴求」(2008.01.30 日本食糧新聞)の見出しの中に、「『無添加あわせだし(6g×28袋)』は、無添加だしの素の中でのさらなる消費者ニーズに対応するため、04年春に発売した『まろやか鰹だし』を全面リニューアル。」との記載がある。
(12)「業務用『ヤマサ だし当番 こんぶだし』発売(ヤマサ醤油)」(2005.07.04 日本食糧新聞)の見出しの中に、「C=〈あわせだし〉昆布とカツオのうまみをあわせた豊かな風味。」との記載がある。
(13)「中部醸造特集:白醤油・白だし特集=白だし市場、地元と移入勢が激突」(2002.04.12 日本食糧新聞)の見出しの中に、「ミツカンも、『追いがつお昆布白だし』四○○ミリリットルで、“カツオと昆布のあわせだしに、仕上げにもう一度追いガツオ”した、だしが決め手の調味料をアピール、他社に離れず、追随している。」との記載がある。
(14)「花かつお・削り節特集:主要メーカー動向=林久右衛門商店」(2001.04.09 日本食糧新聞)の見出しの中に、「特に、最近『万能和風あわせだし』一〇〇gが好調。同品は、カツオ、アジ、イワシ、サバのうまみ成分をうまく配合した商品で、プロの使うおいしいだしがとれるようになっている。」との記載がある。
(15)「濃厚プロの味「本造り一番だしかつお昆布あわせだし」発売(味の素)」(1999.02.24 日本食糧新聞)の見出しの中に、「味の素(株)(東京都中央区、03・5250・8180)は“厨房代行”シリーズの液体和風だし『本造り一番だし』の新品種『本造り一番だし かつお昆布あわせだし』を22日から全国で発売した。」との記載がある。
以上のとおり、「あわせ」の文字と調味料名とを組み合わせた商品、あるいは、「一番だし」の商品が商品名として辞典に掲載され、一般に流通されていること、また、「あわせだし」の文字が、「二つ以上の原材料を合わせてとっただし」を意味する語として、市場に数多く流通している実情よりすると、「あわせ」及び「一番だし」の各文字からなる本願商標「あわせ一番だし」を、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「二つまたはそれ以上のもの(原材料)をいっしょに合せて最初にとっただし入りみそ・麺類用つゆ・調味料」又は、「二つまたはそれ以上のもの(原材料)をいっしょに合せて最初にとっただしの素」といった商品の品質、原材料を表すものと認識、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない商標とみるのが相当であり、また、本願商標を前記に照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
そうとすれば、当審においても、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと判断するものである。

4 審尋に対する請求人(出願人)の意見
審尋の内容は、単なる「あわせ」「あわせだし」「一番だし」の各語が、記述的用語として使用され、市場において一般的な表現として認識、理解されている証左を示しただけで、「あわせ一番だし」自体の用例は示していない。
「あわせ一番だし」は、造語であり、直接に内容を意味する用語でもなく、請求人(出願人)のみが使用しているものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の内容を直感させるものでなく、自他商品識別力を有するものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「あわせ一番だし」の文字を標準文字として書してなるものである。
ところで、平成20年4月23日付け審尋で通知した前記3のとおり、「あわせ【合せ】」の語は、「二つ、またはそれ以上のものを、いっしょにすること。合せること。」を意味する語、「いちばんだし【一番出汁】」の語は、「最初にとっただしのこと。一般にかつお節の削り節,またコンブと合わせて引いただしについていう。」を意味する語と認められ、本願商標は、これらの文字より構成されているとみるのが相当である。
そして、「二つ、またはそれ以上のもの(原材料)を、いっしょに合せて作った調味料」のことを、あわせ(合わせ)の語と調味料の名称を組合せて、「あわせしゅうゆ【合わせ醤油】」、「あわせず【合わせ酢】」、「あわせちょうみりょう【合わせ調味料】」及び「あわせみそ【合わせ味噌】」のように称しているほか、「二つ以上の原材料を合わせてとっただし」を「あわせだし」と称していることも認められる。
さらに、「だし」の関係においては、「一番だし」、「あわせだし」の語が、それぞれ前述の意味合いを表す語として日常的に広く使用されていることが認められる。
これらの実情よりすると、本願商標「あわせ一番だし」は、「二つまたはそれ以上のもの(原材料)をいっしょに合せて最初にとっただし」又は、「鰹節・昆布からとった一番だしと、それ以外の材料からとっただしをあわせただし」の意味合いを容易に認識させるというべきである。
そうすると、本願商標をその指定商品中「上記だし入りのみそ・麺類用つゆ・調味料」又は、「上記だし入りのだしの素」に使用するときは、商品の品質、原材料を表すものと認識、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない商標とみるのが相当であり、また、本願商標を前記に照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
そうとすれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。
なお、請求人(出願人)は、本願商標は、造語であり、直接に内容を意味する用語でもなく、請求人(出願人)のみが使用しているものであるから、自他商品識別力を有するものであり、登録が認められるべきものである旨主張しているが、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」から、たとえ、一連一体で表された「あわせ一番だし」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、原材料を表示するものとして使用されている事実が存在しなくとも、本願商標が商品の品質、原材料を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
さらに、請求人は、過去の事例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例等の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-17 
結審通知日 2009-01-09 
審決日 2009-01-23 
出願番号 商願2006-113720(T2006-113720) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y30)
T 1 8・ 272- Z (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石塚 文子岩崎 安子冨澤 美加 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 齋藤 貴博
岩崎 良子
商標の称呼 アワセイチバンダシ 
代理人 高橋 康夫 

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