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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 1051012 |
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管理番号 | 1193975 |
審判番号 | 取消2008-300106 |
総通号数 | 112 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-04-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-01-25 |
確定日 | 2009-03-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2426411号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2426411号商標の指定商品中、第5類「医療用腕環」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2426411号商標(以下「本件商標」という。)は、「CREST」の欧文字と「クレスト」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、平成2年1月22日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年6月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成15年7月16日に第1類「写真材料」、第5類「医療用腕環」、第9類「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具」、第10類「医療用機械器」及び第12類「車いす」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 また、本件審判の請求の登録日は、平成20年2月13日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、本件商標の商標登録原簿の写し及び甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において、その指定商品のうち「第5類 医療用腕輪、第10類 医療用機械器具、第12類 車いす」について使用した事実が存しないから、これらの指定商品ついての登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 第1答弁に対する弁駁 (1)「本件審判の請求の登録前3年以内に本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用している」、といえるかどうか ア 「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)について 被請求人は、「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)を提出することにより、本件審判の請求の登録前3年以内に本件審判の請求に係る指定商品中、「第10類 医療用機械器具」について本件商標を使用していることを証明しようとしているものと思料する。 しかしながら、被請求人も認めるとおり、「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)は、1997年に作成されたものであり、本件審判の請求の登録前3年以上前のものである。 被請求人は、「被請求人の主力の販売製品ではないため、改正することなく、現在に至っている状況である。」、と主張するとともに、「被請求人の会社運営が現在まで存続し、営業活動が行われていることにより、当然に、当該カタログの印刷開始時期から現在までの期間内において、当該カタログを資料として頒布していることは容易に想到でき、」と主張しているが、これらの主張のみでは、当該カタログが本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されていたことの証明したことにはならない。そもそも、10年以上前の商品カタログが現在も頒布されていることは、一般的にはあり得ない。 したがって、「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用していることの証拠とはなり得ない。 なお、「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)が改変されることなく、現在も頒布されているのであれば、本件審判の請求の登録前3年以内に印刷された事実や頒布された事実自体を証明できるはずであるので、その点につき、被請求人に釈明を求める。 イ 「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)について 被請求人は、「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)によって、本件審判の請求の登録前3年以内において、本件審判の請求に係る指定商品中、「第10類 医療用機械器具」について本件商標を使用していることを証明しようとしているものと思料する。 この「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)は、商品の受注内容及び受注から納品、出荷までの日付を管理しているためのコンピュータソフトウェアの電子データをプリントアウトしたものと思料するが、このような電子データは容易に改変することが可能である。したがって、2007年9月14日が受注日として示されている電子データをプリントアウトしたものを提出するだけでは、実際に、商品の受注を2007年9月14日に受けたことを証明したことにはならない、というべきである。 なお、「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)では、受注日が2007年9月14日となっているにもかかわらず、納期日が2007年9月13日となっており極めて不自然である。したがって、乙第3号証は、非常に信憑性に欠けるものであるといわざるを得ない。この点につき、被請求人に釈明を求める。 また、「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)では、伝票は発行済みとなっており、しかも、納品番号や出荷日も示されていることからすると、このデータ管理票に対応する納品伝票や請求書などの取引書類が別途存在するはずである。この点についても、被請求人に釈明を求める。 被請求人は、乙第3号証に関し、「『部位分類』の欄に『テーブル部』と記載している。この『テーブル部』は、乙第2号証の4に開示されている『テーブル:フライングアーム』に該当している。したがって、当該書面は、受注日の2007年09月14日において、『クレスト』や『CREST』の文字を付された製品、つまり、『テーブル:フライングアーム』である『第10類 医療用機械器具』の使用を確認することができ、」と主張する。 「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)によると、本件審判の請求の登録前3年以上前に「クレスト」や「CREST」の名称は、歯科用機器としてのチェアユニットの名称として使用されていたと考える余地はある。 しかしながら、「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)では、受注先の欄に、「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)」と、部位分類に「テーブル部」と各々記載されていること(乙第3号証)、また、前記「テーブル:フライングアーム」は、前記チェアユニットの仕様の欄に記載されている(乙第2号証の4)ことを考慮すると、被請求人が主張するように、乙第3号証に記載の「テーブル部」が、乙第2号証の4に記載の「テーブル:フライングアーム」に該当するかどうかは別として、これらは、いずれも、前記チェアユニットの部品であると考えられる。「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)によると、上述のように、「クレスト」や「CREST」は歯科用機器としてのチェアユニットの名称として本件審判の請求の登録前3年以上前に使用されていたと考える余地があるとしても、そのことから直ちに、当該チェアユニットの部品の名称としても使用されていたと判断することはできない。部品に関しては、別のメーカーに製造委託することもしばしば行われており、完成品である当該チェアユニットとその部品である前記「テーブル部」や「テーブル:フライングアーム」とでは、各々別の名称を用いて取引されている可能性もあるからである。 「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)の品目名称の欄に「CREST YUZ1-2-2」と記載があるので、前記チェアユニットの部品である前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」にも「クレスト」や「CREST」の名称が使用されていると認定すべきである、と被請求人は主張するかもしれない。しかしながら、「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)の品目名称の欄の「CREST YUZ1-2-2」は、受注を受けた製品が本件審判の請求の登録前3年以上前に「クレスト」や「CREST」の名称を使用されていたと考える余地のある前記チェアユニットの部品であることを示しているだけの可能性もある。 したがって、この品目名称の欄に「CREST」の文字が含まれているからといって、直ちに、前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」にも「クレスト」や「CREST」の名称が用いられていると判断することはできない。 なお、前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」にも「クレスト」や「CREST」の名称が使用されているのであれば、前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」に「クレスト」や「CREST」の文字が付されている写真などを提出することにより、前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」に「クレスト」や「CREST」の名称が用いられていることを証明できるはずである。この点につき、被請求人に釈明を求める。 また、前記チェアユニットが本件審判の請求に係る指定商品中の、「第10類 医療用機械器具」に属するからといって、前記チェアユニットの部品である前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」も「第10類 医療用機械器具」に属するとは必ずしもいえない。前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」が前記チェアユニット専用の部品でなければ、「第10類 医療用機械器具」に該当する余地はないからである。そのため、この点につき、被請求人に釈明を求める。 ウ 「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)について 被請求人は、「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)によって、本件審判の請求の登録前3年以内において、本件審判の請求に係る指定商品中、「第10類 医療用機械器具」について本件商標を使用していることを証明しようとしているものと思料する。 この「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)は、乙第3号証と同様、商品の受注内容及び受注から納品、出荷までの日付を管理しているためのコンピュータソフトウェアの電子データをプリントアウトしたものと思料するが、このような電子データは容易に改変することが可能である。したがって、2008年1月9日が受注日として示されている電子データをプリントアウトしたものを提出するだけでは、実際に、商品の受注を2008年1月9日に受けたことを証明したことにはならないというべきである。 なお、「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)では、伝票は発行済みとなっており、しかも、納品番号や出荷日も示されていることからすると、このデータ管理票に対応する納品伝票や請求書などの取引書類が別途存在するはずである。この点につき、被請求人に釈明を求める。 被請求人は、乙第4号証に関し、「『機種分類』の欄にカタカナ文字の『クレスト』と記載している。また、『部位分類』の欄に『テーブル部』と記載している。更に、『品目名称』の欄に『クレストフライングアーム一式』と記載している。したがって、当該書面は、受注日の2008年1月9日において、『クレスト』の文字が付された製品、つまり『フライングアーム一式』である『第10類 医療用機械器具』の使用を確認することができ、」と主張する。 被請求人は、前記「フライングアーム一式」は、乙第3号証に記載の「テーブル部」や乙第2号証の4に記載の「テーブル:フライングアーム」と同一製品であること前提にした上で、前記「フライングアーム一式」が本件審判の請求に係る指定商品中、「第10類 医療用機械器具」に属すると主張しているようである。しかしながら、乙第4号証と乙第3号証とでは、機種分類、品目番号及び品目名称が異なる上、受注単価、受注金額及び出荷金額も異なる。したがって、乙第4号証の「フライングアーム一式」は、乙第3号証に記載の「テーブル部」や乙第2号証の4に記載の「テーブル:フライングアーム」と同一の製品である、との前提には無理がある。そうとすると、「フライングアーム一式」が如何なる商品であるかは明らかでないため、「フライングアーム一式」が「第10類 医療用機械器具」に属する商品であるということもできない。そこで、被請求人に対し、乙第4号証に記載の「フライングアーム一式」が、乙第3号証に記載の「テーブル部」や乙第2号証の4に記載の「テーブル:フライングアーム」と同一の製品であるかどうか、同一の製品であるならば、何故、機種分類、品目番号及び品目名称が異なる上、受注単価、受注金額及び出荷金額も異なるのかにつき釈明を求める。 「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)では、受注先の欄に、「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)」と、部位分類に「テーブル部」と各々記載されていること、並びに、機種分類に「クレスト」と品目名称に「クレストフライングアーム一式」と記載されていることからすると(乙第4号証)、乙第4号証の「フライングアーム一式」は、前記チェアユニットの部品の可能性がある。「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)によると、上述のように、「クレスト」や「CREST」は歯科用機器としてのチェアユニットの名称として本件審判の請求の登録前3年以上前に使用されていたと考える余地があるとしても、そのことから直ちに、当該チェアユニットの部品の名称としても使用されていたと判断することはできない。部品に関しては、別のメーカーに製造委託することもしばしば行われており、完成品である当該チェアユニットとその部品の可能性のある「フライングアーム一式」とでは、各々別の名称を用いて取引されている可能性もあるからである。 「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)の機種分類の欄には「クレスト」と、品目名称の欄に「クレストフライングアーム一式」と記載があるので、前記チェアユニットの部品の可能性のある「フライングアーム一式」にも「クレスト」や「CREST」の名称が使用されていると認定すべきである、と被請求人は主張するかもしれない。しかしながら、「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)の機種分類の「クレスト」や品目名称の欄の「クレストフライングアーム一式」は、受注を受けた製品が本件審判の請求の登録前3年以上前に「クレスト」や「CREST」の名称を使用されていたと考える余地のある前記チェアユニットの部品であることを示しているだけの可能性もある。 したがって、機種分類や品目名称の欄に「クレスト」の文字が含まれているからといって、直ちに、前記「フライングアーム一式」にも「クレスト」や「CREST」の名称が用いられていると判断することはできない。 なお、前記「フライングアーム一式」にも「クレスト」や「CREST」の名称が使用されているのであれば、前記「フライングアーム一式」に「クレスト」や「CREST」の文字が付されている写真などを提出することにより、前記「フライングアーム一式」に「クレスト」や「CREST」の名称が用いられていることを証明できるはずである。この点につき、被請求人に釈明を求める。 (2)「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用している」といえるか 「1997 歯科用機器材総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)には、発行者に関する情報が全く記載されていない。このような事情の下では、「1997 歯科用機器材総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7)では、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を使用していることの証拠とはなり得ない。 また、「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証)及び「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)も、被請求人である商標権者のデータ管理票であるのか、あるいは、他の会社のものであるのか、全く不明である。 乙第3号証及び乙第4号証の受注先の欄に「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)」とあることからすると、被請求人の関係会社である株式会社ヨシダ(甲第1号証)のデータ管理票である可能性もあるが、そうだとしても、この株式会社ヨシダが使用権者であるかどうかは不明である。 いずれにしても、以上の事情からすれば、被請求人は、答弁書において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用していることを何ら証明していないといわざるを得ない。 (3)まとめ 以上の次第であるので、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用していることを主張・立証している、とは到底認めることはできない。 よって、本件商標の登録のうち、本件審判の請求に係る指定商品については、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消すべきものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 審判請求に対する第1答弁 以下、本件商標が使用されてきた事実について述べる。 (1)「1997 歯科用機器材 総合カタログ」(乙第2号証の1ないし7) 当該カタログは、被請求人が1997年に作成したものであり、被請求人の主力の販売製品ではないため、改正することなく、現在に至っている状況にある。 このとき、乙第2号証の4や乙第2号証の6に「クレスト」の文字が開示されているとともに、乙第2号証の4にはデザインされた「CREST」の文字が開示されている。 なお、被請求人の会社運営が現在まで存続し、営業活動が行われていることにより、当然に、当該カタログの印刷時期から現在までの期間内において、当該カタログを資料として頒布していることは容易に想到でき、証拠力を有し、使用の事実がある、と認められる。 また、乙第2号証の1ないし7は「1997 歯科用機器材 総合カタログ」であるため、指定商品としては「第10類 医療用機械器具」に該当している。 更に、「第10類 医療用機械器具」は「歯科用機械器具」を含んでおり、この「歯科用機械器具」内には、「治療台」いわゆる「治療用テーブル」や「ユニット」が含まれている。 (2)「受注日 2007年09月14日のデータ管理票」(乙第3号証) 当該書面は、被請求人における製品の受注内容及び受注から納品、出荷までの日付を管理しているデータである。そして、当該書面は、顧客管理データとして使用されている。 当該書面を見ると、「部位分類」の欄に「テーブル部」と記載している。この「テーブル部」は、乙第2号証の4に開示される「テーブル:フライングアーム」に該当している。 したがって、当該書面は、受注日の2007年9月14日において、「クレスト」や「CREST」の文字の付された製品、つまり「テーブル:フライングアーム」である「第10類 医療用機械器具」の使用を確認することができ、被請求人の営業活動状況が推測される。 なお、参考までに記載すると、「テーブル:フライングアーム」は、歯科用治療いすに座る非治療者や治療処置を行う歯科医師などの邪魔にならず、かつ治療処置のための器具やその他の機器類を載置して、歯科医師などの治療処置の際の作業性を向上させるために、吊下方式や片持ち支持方式を採用して前記歯科用治療いすの近傍に位置させるものである。 (3)「受注日 2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証) 当該書面は、上述した乙第3号証と同様に、被請求人における製品の受注内容及び受注から納品、出荷までの日付を管理しているデータであり、顧客管理データとして使用されているものである。 当該書面を見ると、「機種分類」の欄にカタカナ文字の「クレスト」と記載している。 また、「部位分類」の欄に「テーブル部」と記載している。 更に、「品目名称」の欄に「クレストフライングアーム一式」と記載している。 したがって、当該書面は、受注日の2008年1月9日において、「クレスト」の文字の付された製品、つまり「フライングアーム一式」である「第10類 医療用機械器具」の使用を確認することができ、被請求人の営業活動状況が推測される。 なお、参考までに、乙第4号証は、商標法第50条第3項の規定する期間内に該当するものであるが、審判の請求の登録前に譲渡交渉等のコンタクトがなく、かつ「請求の趣旨」や「請求の理由」には「商標法第50条第1項の規定」と明記されているため、被請求人の駆け込み使用に当たらないことを追記しておく。 (4)よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当せず、本件商標に対する審判(不使用による一部取消)は成り立たないものである。 2 弁駁に対する第2答弁 (1)請求人は、「当該カタログが本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されていたことの証明したことにはならない。そもそも、10年以上前の商品カタログが現在も頒布されていることは、一般的にはあり得ない。」と述べている。 しかし、被請求人においては、商品の改良・改善の状況や、特殊な商品のために製造・販売数量が少ないなどの理由によって、改変されることなく、印刷した商品カタログがなくなるまで配布し、かつ、商品カタログがなくなった時点で再度印刷する状況となっており、このような状況は、当然に、容易に想到し得ると思われる。 よって、請求人の弁駁を承服することはできない。 (2)請求人は、「………、現在も頒布されているのであれば、…頒布された事実自体を証明できるはずである………」と述べている。 しかし、商品カタログの場合、一般に、顧客に対して手渡しあるいは郵送するなどの方策が講じられるものであり、このような状況を証明することはきわめて困難であると思料されるため、この点に関する証拠の提出は断念する。 (3)請求人は、「………、このデータ管理票に対応する納品伝票や請求書などの取引書類が別途存在するはずである。………」と述べている。 このため、指摘のあったデータなどを調査致しましたが、検出することができませんでしたので、この点に関しての答弁は断念する。 (4)請求人は、「…、『第10類 医療用機械器具』に属するからといって、前記チェアユニットの部品である前記『テーブル部』あるいは『テーブル:フライングアーム』も『第10類 医療用機械器具』に属するとは必ずしもいえない。………」と述べている。 しかし、前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」は、前記チェアユニットの部品であり、「第10類 医療用機械器具」に属すると判断することが可能である。 そして、前記「テーブル部」あるいは「テーブル:フライングアーム」が、前記チェアユニット専用の部品であると判断することが可能である。 なぜならば、提出済みの乙第2号証の4の右中央部位及び中央下部には「●承認番号(02B)第978号」と記載されているためである。 この承認番号は、医療用具製造承認番号と言われるものであり、厚生労働省より医療器具である前記チェアユニットを製造してもよいとの承認を得ている旨を示すものである。 また、請求人によって要求された納品伝票や請求書などの取引書類の調査を行ったところ、見つけ出した乙第5号証及び乙第6号証には、「備考 相良歯科 UK脇上」の記載があり、「フランイングアーム」が「部品・修理」のために歯科医師の元に届けられることが明らかとなり、「第10類 医療用機械器具」に属する前記チェアユニット専用の部品である旨を示している。 よって、請求人の弁駁は理由がないと思料する。 (5)請求人は、「………、このデータ管理票に対応する納品伝票や請求書などの取引書類が別途存在するはずである。………」と述べている。 調査したところ、見つけ出すことができたので、乙第5号証及び乙第6号証として追加提出する。 よって、請求人の弁駁は理由がないと思料する。 また、再度の調査によって、新たな取引書類を見つけることもできた。このため、乙第7号証ないし乙第12号証として追加提出する。 (6)請求人は、「………、乙第4号証に記載の『フライングアーム一式』が、乙第3号証に記載の『テーブル部』や乙第2号証の4に記載の『テーブル:フライングアーム』と同一の製品であるかどうか、同一の製品であるならば、何故、機種分類、品目番号及び品目名称が異なる上、受注単価、受注金額及び出荷金額も異なるのか、………」と述べている。 上記の「フライングアーム」関係の記載において、乙第2号証の4と乙第3号証及び乙第4号証との間には、製作時期や入力時期が大きく相違するため、「同一の製品である」とは断言し難く、推測の域を出ない。 よって、この点に関しての答弁は断念する。 また、上記のデータ管理票の入力において、部種分類が同じであっても、品目番号及び品目名称が相違すれば、おのずと受注単価、受注金額及び出荷金額も相違することは当然のことと思料される。 よって、請求人の弁駁は理由がないと思料する。 (7)請求人は、「………被請求人は、答弁書において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用していることを証明していない、………」と述べている。 しかし、被請求人は、十分な証明ができていると思料する。 なぜならば、被請求人は、各乙号証に記載される商品の製造を担当し、被請求人の関連会社である株式会社ヨシダは、データ管理票に記載される商品の販売を担当する、という関係にあるためである。 追記すれば、被請求人は、各乙号証に記載される商品を製造し、関連会社である株式会社ヨシダに納品しているとともに、総合カタログや各種の取引書類を作成して標章を付しており、商標権者である被請求人が本件商標を使用していると判断することができるものと思料される。 (8)故に、請求人の取消事由は成立しない。 よって、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当せず、本件商標に対する不使用による一部取消審判は成り立たないものである。 第4 当審の判断 1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、本件商標の商標公報の写しである。 (2)乙第2号証の1ないし7(以下、全ての枝番号を引用するときは、その枝番号を省略する。)について ア 乙第2号証の1は、「YOU ’97/歯科用機器材/総合カタログ ●標準医院価格収載/YOU(最後の『YOU』の文字は極めて大きく縦に表示されている。)」の表示が右側になされているカタログと思しきの表紙一枚の写しである。 イ 乙第2号証の2は、「1997/歯科用機器材/総合カタログ /YOU(『YOU』の文字はやや大きく表示されている。)」の表示が中央右側になされ、下部右側に「このカタログの掲載商品の仕様及び価格は1996年10月20日現在のものです。なお、価格には全て消費税は含まれておりません。」と記載がなされているカタログの表紙か裏表紙か明らかでない写しである。 ウ 乙第2号証の3は、左上部に「1・1」の項番と「設備機械/チェアーユニット」の表示、中央部に「歯科用の機械器具を備え付けたチェア」の写真、下部左角部に「※写真はオプション装備例です。」の記載と、頁数と思われる「42」の数字が表示されている。 エ 乙第2号証の4ないし6は、頁数と思われる数字が「43」、「44」、「45」とそれぞれの表示されているカタログの抜粋の写しで、「1・1」の項番と「設備機械/チェアーユニット」の表示、乙第2号証の4には、「チェアー・マウント・ユニット/クレストFA/■標準装備/…/■仕様/テーブル:フライングアーム/…」の各表示、右下部に「歯科用のチェアに備え付けられている機械器具」の部分写真、その下に「CREST」(ややデザイン化している。)/●承認番号(02B)第978号」の記載がなされている。 乙第2号証の5には、中央やや上部に「歯科用のチェアに備え付けられている歯科用の機械器具」の部分写真、その下に該部分の機能についての説明記述が記載されている。 乙第2号証の6も同様に、「歯科用のチェアに備え付けられている歯科用の機械器具」の部分写真とともに、該部分の機能についての説明記述が記載され、その中に「▲クレストFAへの装備例」の記載が認められる。 オ 乙第2号証の7は、中央部に「YOU/’97歯科用機器材総合カタログ/THE DENTIST CLUB(『YOU』の文字は大きく表示されており、『CLUB』の文字の右上には丸で囲まれた小さなRの文字が表示されている。)」の表示がなされているカタログの表紙か裏表紙か明らかでない写しである。 (3)乙第3号証及び乙第4号証について ア 乙第3号証は、「部品詳細照会[tfa0270a]-Microsoft Internet Explorer」の表題のあるコンピュータの電子データを印刷した商品データ管理票で、受注番号、納品番号、受注先、納品先等の項に番号、名称及び日付が記載されており、受注先の項に「10010/(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)」、納品先の項に「80090/北海道営業所」、部位分類の項に「00104/テーブル部」、品目名称の項に「CREST YUZ1-2-2」、受注日の項に「2007/09/14」、納期日の項に「2007/09/13」、出荷日の項に「2007/10/02」の記載が認められ、受注日より納期日が早い日付となっている。 また、乙第3号証の最も下には、「部品詳細照会[tfa…」の文字が表示されており、その左には「部品受注残照会[tfa…」の文字が表示されているが、「部品受注残照会[tfa…」に関するデータを印刷した書類は提出されていない。 イ 乙第4号証も、「部品詳細照会[tfa0270a]-Microsoft Internet Explorer」の表題のあるコンピュータの電子データを印刷した商品データ管理票で、受注番号、納品番号、受注先、納品先等の項に番号、名称及び日付が記載されており、受注先の項に「10010/(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)」、納品先の項に「80390/熊本営業所」、機種分類の項に「00115/クレスト」、部位分類の項に「00104/テーブル部」、品目名称の項に「クレストフライングアーム一式」、受注日の項に「2008/01/09」、納期日の項に「2008/01/09」、出荷日の項に「2008/01/11」の記載が認められ、受注日と納期日が同日の日付となっている。 また、乙第4号証の最も下にも「部品詳細照会[tfa…」の文字が表示されており、その左には「部品受注残照会[tfa…」の文字が表示されているが、「部品受注残照会[tfa…」に関するデータを印刷した書類は提出されていない。 (4)乙第5号証ないし乙第12号証について ア 乙第5号証は、「納品書(控)」と認められるところ、左上の「貴社注文番号」の欄に「HC13735501」の文字、「得意先コード」の欄に「10010」の文字、「得意先名」の欄に「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)殿」の文字が記載され、その右に「08年1月11日」の文字、商標権者の名称、住所及び電話番号等が記載されている。また、「納品番号」の欄に「U01173473」の文字、「頁」の欄に「1」の文字、「納品日」の欄に「080111」の文字が記載され、「直送日」の欄は空白となっている。その右の「伝票区分」の欄に「部品受注売上」の文字、「所属」の欄に「部品出荷課」の文字、「担当」の欄に氏名(イニシャルNY)が漢字で記載され、「出荷倉庫」の欄は空白となっている。その下段の「管理」の欄に「001」の文字、「品目番号」の欄に2つの「253911」の文字が一文字ずらして上下二段に記載され、「品目名称」の欄に「クレストフライングアーム一式」の文字が記載され、「数量」の欄に「1」の文字、「単価」の欄に「7,350」の文字、「金額」の欄に「7,350」の文字、「売上合計」の欄に「7,350」の文字、「消費税」の欄に「368」の文字及び「合計」の欄に「7,718」の文字が記載されている。 左下には、「納入先」の欄に「熊本営業所 殿」の文字、「備考」の欄に「相良歯科」及び「UK脇上」の文字、「担当印」の欄に氏(イニシャルN)が漢字でワープロ打ちされ、「承認印」の欄は空白になっている。 イ 乙第6号証は、表題を「請求書兼請求内訳書」とするほかは、乙第5号証と同一のものである。 ウ 乙第7号証は、「納品書(控)」と認められるところ、左上の「貴社注文番号」の欄に「HC07115901」の文字、「得意先コード」の欄に「10010」の文字、「得意先名」の欄に「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)殿」の文字が記載され、その右に「05年12月26日」の文字、商標権者の名称、住所及び電話番号等が記載されている。また、「納品番号」の欄に「U00852221」の文字、「頁」の欄に「1」の文字、「納品日」の欄に「051226」の文字が記載され、「直送日」の欄は空白となっている。その右の「伝票区分」の欄に「部品受注売上」の文字、「所属」の欄に「部品出荷課」の文字、「担当」の欄に氏名(イニシャルUM)が漢字で記載され、「出荷倉庫」の欄は空白となっている。その下段の「管理」の欄に「001」の文字、「品目番号」の欄に2つの「253911」の文字が一文字ずらして上下二段に記載され、「品目名称」の欄に「クレストフライングアーム一式」の文字が記載され、「数量」の欄に「2」の文字、「単価」の欄に「7,350」の文字、「金額」の欄に「14,700」の文字、「売上合計」の欄に「14,700」の文字、「消費税」の欄に「735」の文字及び「合計」の欄に「15,435」の文字が記載されている。 左下には、「納入先」の欄に「仙台営業所 殿」の文字、「備考」の欄に「秋田S/C直送(送り状FAX)」及び「武」の文字、「担当印」の欄に氏(イニシャルU)が漢字でワープロ打ちされ、「承認印」の欄は空白になっている。 エ 乙第8号証は、表題を「請求書兼請求内訳書」とするほかは、乙第7号証と同一のものである。 オ 乙第9号証は、「納品書(控)」と認められるところ、左上の「貴社注文番号」の欄に「HC07607801」の文字、「得意先コード」の欄に「10010」の文字、「得意先名」の欄に「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)殿」の文字が記載され、その右に「06年2月13日」の文字、商標権者の名称、住所及び電話番号等が記載されている。また、「納品番号」の欄に「U00866263」の文字、「頁」の欄に「1」の文字、「納品日」の欄に「060213」の文字が記載され、「直送日」の欄は空白となっている。その右の「伝票区分」の欄に「部品受注売上」の文字、「所属」の欄に「部品出荷課」の文字、「担当」の欄に氏名(イニシャルOS)が漢字で記載され、「出荷倉庫」の欄は空白となっている。その下段の「管理」の欄に「001」の文字、「品目番号」の欄に2つの「253911」の文字が一文字ずらして上下二段に記載され、「品目名称」の欄に「クレストフライングアーム一式」の文字が記載され、「数量」の欄に「1」の文字、「単価」の欄に「7,350」の文字、「金額」の欄に「7,350」の文字、「売上合計」の欄に「7,350」の文字、「消費税」の欄に「368」の文字及び「合計」の欄に「7,718」の文字が記載されている。 左下には、「納入先」の欄に「仙台営業所 殿」の文字、「備考」の欄に「永井」の文字、「担当印」の欄に氏(イニシャルO)が漢字でワープロ打ちされ、「承認印」の欄は空白になっている。 カ 乙第10号証は、表題を「請求書兼請求内訳書」とするほかは、乙第9号証と同一のものである。 キ 乙第11号証は、「納品書(控)」と認められるところ、左上の「貴社注文番号」の欄に「HC12809401」の文字、「得意先コード」の欄に「10010」の文字、「得意先名」の欄に「(株)ヨシダ サービス技術室(部品・修理)殿」の文字が記載され、その右に「07年9月27日」の文字、商標権者の名称、住所及び電話番号等が記載されている。また、「納品番号」の欄に「U01133238」の文字、「頁」の欄に「1」の文字、「納品日」の欄に「070927」の文字が記載され、「直送日」の欄は空白となっている。その右の「伝票区分」の欄に「部品受注売上」の文字、「所属」の欄に「部品出荷課」の文字、「担当」の欄に氏名(イニシャルNY)が漢字で記載され、「出荷倉庫」の欄は空白となっている。その下段の「管理」の欄に「001」の文字、「品目番号」の欄に2つの「253911」の文字が一文字ずらして上下二段に記載され、「品目名称」の欄に「クレストフライングアーム一式」の文字が記載され、「数量」の欄に「1」の文字、「単価」の欄に「7,350」の文字、「金額」の欄に「7,350」の文字、「売上合計」の欄に「7,350」の文字、「消費税」の欄に「368」の文字及び「合計」の欄に「7,718」の文字が記載されている。 左下には、「納入先」の欄に「静岡営業所 殿」の文字、「備考」の欄に「NSAフジタDC様」及び「納期をご連絡願います」の文字、「担当印」の欄に氏(イニシャルN)が漢字でワープロ打ちされ、「承認印」の欄は空白になっている。 ク 乙第12号証は、表題を「請求書兼請求内訳書」とするほかは、乙第11号証と同一のものである。 2 請求人が提出した甲第1号証は、被請求人「株式会社吉田製作所」のウェブページの会社概要の写しで、事業内容の項に「歯科医療機器および一般医療機器の開発・製造・販売・輸出入」とあり、関連会社の項に「株式会社ヨシダ」が挙げられている。 3 以上の乙第2号証の商品カタログの抜粋の写し、乙第3号証及び乙第4号証の「部品詳細照会」の表題のあるコンピュータの電子データのプリントアウトした商品データ管理票及び甲第1号証の被請求人「株式会社吉田製作所」のウェブページの会社概要の写し、よりすれば、以下のとおりである。 (1)被請求人が商品「歯科用機械器具」に使用している商標としては、カタログの抜粋の写し(乙第2号証の3ないし6)中に、本件商標の下段部分の「CREST」をややデサイン化した「CREST」の表示、本件商標の上段部分の「クレスト」を構成中に有している「クレストFA」の表示が認められ、同じく使用している商品としては、「歯科用のチェアに備え付けられている機械器具」及びその部分写真が認められる。 しかし、該カタログの抜粋の写し(乙第2号証の1、2及び7)は、「’97」及び「1997」と表示されており、本件審判の請求の登録日である平成20年(2008年)2月13日より10年以上の以前のものであり、しかも、抜粋の写しでコンピュータからのプリントアウトと思しきものである。 (2)「部品詳細照会」の表題のあるコンピュータの電子データのプリントアウトした商品データ管理票(乙第3号証及び乙第4号証)は、その中の「品目名称」の項に「CREST YUZ1-2-2」及び「クレストフライングアーム一式」の各表示がそれぞれ認められるが、乙第3号証の管理票における商品の受注日が「2007/09/14」であるのに納期日は「2007/09/13」となっており、受注日より納期日が早い日付となっており、信憑性に欠けるものといわざるを得ない。 また、乙第4号証の管理票における商品の受注日が「2008/01/09」であるのに納期日は「2008/01/09」となっており、受注日と納期日が同日の日付となっており、通常の商品の取引からすると、不自然の感が否めないものである。 4 「納品書(控)」(乙第5号証、乙第7号証、乙第9号証、乙第11号証)及び「請求書兼請求内訳書」(乙第6号証、乙第8号証、乙第10号証、乙第12号証)に記載されている品目番号「253911」は、「歯科用機器材総合カタログ(乙第2号証)」の何処にも記載されていないことから、乙第5号証ないし乙第12号証と乙第2号証とのつながりが見当たらないものである。 また、「受注日2008年01月09日のデータ管理票」(乙第4号証)と「納品書(控)」(乙第5号証)及び「請求書兼請求内訳書」(乙第6号証)とは、「納品番号U01173473」が一致し、乙第4号証の「相手注番」と乙第5号証及び乙第6号証の「貴社注文番号」が、ともに「HC13735501」で一致することから、乙第5号証及び乙第6号証は、乙第4号証のデータ管理票を印刷したものと認められるところ、乙第5号証及び乙第6号証と乙第4号証の担当者の氏名が相違している。 したがって、乙第4号証ないし乙第6号証は、信憑性に欠けるものといわざるを得ない。 そして、乙第7号証ないし乙第12号証は、乙第5号証及び乙第6号証と同一の様式で記載されていることから、乙第5号証及び乙第6号証と同様に疑わしいものである。 また、「納品書(控)」(乙第5号証、乙第7号証、乙第9号証、乙第11号証)及び「請求書兼請求内訳書」(乙第6号証、乙第8号証、乙第10号証、乙第12号証)によれば、「クレストフライングアーム一式」の単価が「7,350円」であることからすると、「クレストフライングアーム一式」とは、商品「歯科用椅子」全体を指すものではなく、何かの部品と認められるところ、これが汎用性のある部品か、歯科用椅子専用の部品か判然としないものである。 そして、「納品書(控)」(乙第5号証、乙第7号証、乙第9号証、乙第11号証)及び「請求書兼請求内訳書」(乙第6号証、乙第8号証、乙第10号証、乙第12号証)の「品目名称」の欄に記載されている「クレストフライングアーム一式」が、どのような商品か明らかでないことから、「クレストフライングアーム一式」を本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。 したがって、「納品書(控)」(乙第5号証、乙第7号証、乙第9号証、乙第11号証)及び「請求書兼請求内訳書」(乙第6号証、乙第8号証、乙第10号証、乙第12号証)によって、本件商標が請求に係る指定商品に使用されているものとは認められない。 5 してみれば、乙第1号証ないし乙第12号証をもってしては、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品中、第5類「医療用腕環」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 6 したがって、本件商標は、その指定商品中、第5類「医療用腕環」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」についての登録を商標法第50条により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-06 |
結審通知日 | 2009-01-09 |
審決日 | 2009-01-20 |
出願番号 | 商願平2-5320 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(1051012)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 鈴木 修 |
登録日 | 1992-06-30 |
登録番号 | 商標登録第2426411号(T2426411) |
商標の称呼 | クレスト |
代理人 | 中山 健一 |
代理人 | 西郷 義美 |
代理人 | 谷口 登 |