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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200511635 | 審決 | 商標 |
不服20054933 | 審決 | 商標 |
不服20061378 | 審決 | 商標 |
不服20049339 | 審決 | 商標 |
不服20055262 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y09 |
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管理番号 | 1193924 |
審判番号 | 不服2005-17678 |
総通号数 | 112 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-09-15 |
確定日 | 2009-02-24 |
事件の表示 | 商願2004- 48549拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「HP」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,小売店用POSコンピュータハードウェア及びソフトウェア,小売店用POS端末機,小売店用POSキャッシュドロア,小売店用POSレシートプリンター,小売店用POSバーコードスキャナ,小売店用POSキーボード,小売店用POSクレジットカード用リーダ,小売店用POSポールディスプレイ,小売店用POSタッチスクリーンモニタ,金銭登録機」を指定商品として、平成16年5月26日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、当審における同17年9月15日付け手続補正書により、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」と補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『HP』の文字を書したものであるが、アルファベットの二文字は、商品の記号・符号として使用されることがある。そうすると、本願商標は、『HP』と書したものであるから、指定商品中『写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,金銭登録機』に使用するときには、商品の記号・符号として理解されるにすぎず、きわめて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知(要旨) 当審において、平成19年8月14日付で、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、「HP」の文字について、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。 記 1 本願商標は、「HP」の文字を標準文字により表してなり、指定商品については、当審における平成17年9月15日付け手続補正書により「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」と補正されたものであるが、欧文字2字からなる標章は、補正後の指定商品の分野においても、商品の種別、規格又は品番を表示するための記号、符号として普通に採択、使用されている実情にあり、このことは、例えば、以下に示すインターネット上のウェブページからも認められるところである。 (1)日本電気株式会社のホームページ(http://www.nec.co.jp)における「製品」欄の「個人向けパソコン、周辺機器(121ware.com)」からリンクされたウェブサイト「121ware」の「製品情報」には「パーソナルユーザ向けパソコン」中に「シンプルPC/ValueOne」があり、その製品ラインアップとして「ST/スリムなボディのスタンダードPC」、「MT/その流麗なフォルムに宿る高性能」の記載がある(http://121ware.com/psp/PA121/LEARN/ENTP/h/?tab=LRN_Z_PC_VO_BT)。 (2)セイコーエプソン株式会社のホームページ(http://www.epson.jp)における「製品情報」中の「パソコン」には「取り扱い商品」として「デスクトップ」があり、「MTシリーズ」、「MRシリーズ」、「ATシリーズ」、「STシリーズ」、「LXシリーズ」などの記載がある(http://shop.epson.jp/desktop)。 (3)ソニー株式会社のホームページ(http://www.sony.co.jp)における「製品情報」中の「ソニー製品情報/個人向け情報」にある「VAIO(個人)」からリンクされたウェブサイト「VAIO」の「製品情報」には「大画面ノート」として「typeF[FZシリーズ]」、「typeF[FEシリーズ]」、「typeBX」などの記載がある(http://www.vaio.sony.co.jp/Products/note.html)。 (4)株式会社 東芝のホームページ(http://www.toshiba.co.jp)における「デジタル機器」中の「パソコン」からリンクされたウェブサイト「dynabook.com」の「製品情報」には「高品質ノート」として「dynabook AX」、「dynabook TX」、「dynabook CX」の記載がある(http://dynabook.com/pc/catalog/index_j.htm#p02)。 (5)富士通株式会社のホームページ(http://jp.fujitsu.com)における「個人のお客様」欄の「パソコン、携帯電話」からリンクされた「個人のお客様向け製品情報」の「製品情報(パソコン)」には、「FMV」のタイトル画像の下に「LX SERIS」、「NX SERIS」、「MG SERIS」などの記載がある(http://www.fmworld.net/fmv/?fmwfrom=top_rightmenu)。 (6)シャープ株式会社のホームページ(http://www.sharp.co.jp)における「製品情報」中の「オーディオ・ビジュアル」には「液晶テレビ」として「液晶テレビ アクオス」があり、「商品種別で選ぶ」の下、「地上・BS・110度CSデジタルハイビジョン液晶テレビ LC-20EX3」の商品情報ページへリンクされる「EX」の記載がある(http://www.sharp.co.jp/products/av/aquos/prod07/index.html)。 (7)株式会社 日立製作所のホームページ(http://www.hitachi.co.jp)における「AV機器」の「ハイビジョンテレビ」中にある「プラズマテレビ」には、「ハイビジョンプラズマテレビWoooラインアップ」として「XR」の欄に「P50-XR01」などの記載が、「HR」の欄に「P42-HR01」などの記載がある(http://av.hitachi.co.jp/tv/plasma/index.html)。 (8)三菱電機株式会社のホームページ(http://www.mitsubishielectric.co.jp)における「製品一覧」の「カラーテレビ」には、「REAL」のタイトル画像の下に「新REALシリーズ」として「MZシリーズ」、「MXシリーズ」の記載がある(http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ctv/index.html)。 (9)カシオ計算機株式会社のホームページ(http://www.casio.co.jp)における「カシオの/製品情報サイト/http://casio.jp Click!」からリンクされた「製品情報」のウェブサイトには「個人向け製品」として「デジタルカメラ」の欄があり、その中の「デジタルカメラオフィシャルサイト」からリンクされた同名ウェブサイトの「製品情報」欄には、「QV-R61」や「QV-R51」などの製品情報サイトへアクセスできるウェブページ「QVシリーズラインアップ(GV含む)」へリンクされる「QVシリーズ」の記載がある(http://dc.casio.jp)。 第4 当審における証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨) 請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、以下のような内容の上申書及び証拠方法として甲第1号証ないし甲第247号証を提出した。 1 本願商標「HP」は、請求人及びその関連会社(日本法人)が共通して使用する名称「Hewlett-Packard(ヒューレット-パッカード)」の略称として知られるとともに、各種の取引の実情の存在により、同人らの提供に係る商品・役務について使用する商標として日本全国はもちろん国際的にも広く知られており、いわば著名商標というべきものであって、単に商品の形式又は規格等を表示するための記号、符号として採択、使用するものではなく、自他商品等識別標識としての機能を十分に発揮するものである。 2 本願商標が使用される商品「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を取り扱う業界における取引の実情に着目してみるに、当業界においては「欧文字の1文字ないし2文字」のみからなる標章が、記号・符号の一類型としての機能を超えて「MRシリーズ」等の如く、或るメーカーの製造・販売に係る一群の商品であることを示す、いわば出所表示として用いられる名称(商標)として採択されており、取引界においてこのような標章が特定の商品群を表わす出所表示(商標)として現に機能している。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第5号について 本願商標は、前記第1のとおり、欧文字2文字である「HP」の文字を標準文字で表してなるところ、前記第3の証拠調べ通知に示した各事実に照らせば、本願の補正後の指定商品を取り扱う業界においては、商品の規格又は品番等を表すための記号、符号として、本願商標のような欧文字2文字からなる標章を類型的に商取引上、普通に採択・使用されている実情がある。 してみれば、本願商標をその補正後の指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、前記実情から、商品の規格又は品番等を表すための記号、符号の一類型と理解するにとどまり、商品の出所を示す識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と判断するのが相当である。 なお、請求人は、前記第4の2のとおり、「本願商標が使用される商品『電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具』を取り扱う業界における取引の実情に着目してみるに、当業界においては『欧文字の1文字ないし2文字』のみからなる標章が、記号・符号の一類型としての機能を超えて、例えば、証拠調べ通知書に例示されている『MRシリーズ』等の如く、或るメーカーの製造・販売に係る一群の商品であることを示す、いわば出所表示として用いられる名称(商標)として採択されており、取引界においてこのような標章が特定の商品群を表わす出所表示(商標)として現に機能している。」旨主張する。 しかしながら、前記第3の証拠調べ通知書に例示した「MRシリーズ」等の文字のみをもって、或るメーカーの製造・販売に係る一群の商品であることを示すような自他商品の識別標識として機能しているものとは認め難く、また、請求人からも、それを立証し得る具体的な証左は何ら提出されていないものであるから、請求人の主張は採用することができない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものである。 2 商標法第3条第2項について 請求人は、前記第4の1のとおり、「本願商標『HP』は、請求人及びその関連会社(日本法人)が共通して使用する名称『Hewlett-Packard(ヒューレット-パッカード)』の略称として知られるとともに、各種の取引の実情の存在により、同人らの提供に係る商品・役務について使用する商標として日本全国はもちろん国際的にも広く知られており、いわば著名商標というべきものであって、単に商品の形式又は規格等を表示するための記号、符号として採択、使用するものではなく、自他商品等識別標識としての機能を十分に発揮するものである。」旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第247号証を提出した。 ところで、「商標法第3条第2項は,商標法第3条第1項第3号等に対する例外として,『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できることができるもの』は商標登録を受けることができる旨規定している。その趣旨は,特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に,当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから,当該商標の登録を認めようというものであると解される。」(知財高裁 平成18年(行ケ)第10054号判決参照)。 そして、この同法第3条第2項の判断に際しては、「商標法第3条第2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高裁 平成18年(行ケ)第10054号判決参照)と判示されているところである。 そこで、請求人の提出した証拠に基づき、本願商標が、同法の要件を具備するか否かにつき検討するに、同法第3条第2項により商標登録を受けることができるのは、上記のとおり、使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解されるものであって、また、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、(1) 実際に使用している商標並びに商品、(2) 使用開始時期、使用期間、使用地域、(3) 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、(4) 広告宣伝の方法、回数及び内容、(5)一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容、(6)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果等の事実を総合勘案して判断するものである。 (1)実際に使用している商標並びに商品 請求人が、「審判請求人及びその関連会社による使用例においても、自己の製造販売に係る商品・役務について『HP』の文字を普通に用いられている方法により表示した標章を積極的に用いてる。」旨の主張を裏付ける証拠方法として、甲第84号ないし甲第123号を提出しているが、これらの各証拠に記載されている商標は、そのいずれもが、別掲の構成よりなる請求人の有する既登録商標(登録第4380494号)であり、標準文字で表した「HP」の文字からなる本願商標とは、書体が異なるものであり、また、請求人の使用に係る商品と本願の指定商品の全てが同一のものと明確に確認できる資料の提出はなかった。 (2) 使用開始時期、使用期間、使用地域 請求人の提出した資料によれば、「Hewlett-Packard(ヒューレット-パッカード)」社の創業は、1939年であり、それ以降、コンピュータ・通信関連機器・コンピュータソフトウェアの開発・製造・販売を中心に世界170カ国でビジネスを展開してきたことが認められ、そして、我が国における本願商標の使用状況については、2000年の個人向けコンピュータの市場参入からであると認められるが、本願商標と同一の商標が使用されていることが明確に確認できる資料の提出は無かった。 (3) 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等) 売上高や販売シェアについては、何れも、新聞等の情報であり、商業帳簿、財務書類の提出は無く、また、これらの数字は、請求人の販売に係る全ての商品に関するものと認められ、本願商標と同一の商標を使用する商品の内訳が分からないため、その営業の規模も把握できない。 (4) 広告宣伝の方法、回数及び内容 本願商標と同一の商標を使用する商品に関する広告宣伝の方法、回数及び内容などを明確に確認できる資料の提出は無かった。 (5)一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容 本願商標と同一の商標を使用する商品に関する一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容などを明確に確認できる資料の提出は無かった。 以上の事実を総合勘案すれば、請求人の提出に係る各甲号証をもってしては、本願商標が使用により識別力を獲得したものと認めることはできない。 したがって、商標法第3条第2項の要件を具備しているものとはいえない。 3 結語 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであり、同法第3条第2項の要件を具備しているものとはいえないから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 登録第4380494号商標 |
審理終結日 | 2008-09-24 |
結審通知日 | 2008-09-25 |
審決日 | 2008-10-15 |
出願番号 | 商願2004-48549(T2004-48549) |
審決分類 |
T
1
8・
15-
Z
(Y09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 安達 輝幸 |
商標の称呼 | エッチピイ、エイチピイ |
代理人 | 稲葉 良幸 |