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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X38
審判 査定不服 外観類似 登録しない X38
管理番号 1193880 
審判番号 不服2008-17620 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-10 
確定日 2009-02-16 
事件の表示 商願2007- 16650拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ENECOM」の欧文字を標準文字で表してなり、第38類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年2月27日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同19年11月28日付け手続補正書により、第38類「電気通信(放送を除く。),光ファイバーによる通信,テレビ会議通信,インターネット若しくはその他の通信手段を利用したメッセージ・音楽・映像・画像・文書・データ・文字情報の通信及びこれらに関する情報の提供,インターネット若しくはその他の通信手段を利用した番組放送スケジュールに関する情報の提供,インターネット若しくはその他の通信手段を利用したデータ通信,インターネット若しくはその他の通信手段を利用した通信ネットワークへの接続の提供及びこれに関する情報の提供,インターネット若しくはその他の通信手段を利用した通信ネットワークへの接続の提供に関するコンサルティング,その他の電気通信に関する助言(放送を除く。),音声・文字データ・画像の伝送交換,通信機能を有するテレビゲーム機(家庭用及び業務用を含む)による通信,オンデマンド方式による映像・音声の伝送交換,電子計算機端末その他の通信機器による通信,電子メール通信,複数宛先に同時に送信する電子メール通信,電子メールの自動転送,電子掲示板通信,電子データの自動転送,データ通信に関する情報の提供,人工衛星による通信,人工衛星を利用した伝送交換,付加価値通信網による通信,付加価値通信網の提供,電子計算機端末その他の通信機器を利用した通信に関する情報の提供,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,電気通信に関する情報の提供,放送に関する情報の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第4228285号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
そして、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年5月21日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、同11年1月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ENECOM」の欧文字を書してなり、その構成文字より、「エネコム」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じない造語とみるのが相当である。
他方、引用商標は、前記2のとおり、やや右斜めに書した「ENICOM」の欧文字と、前記文字の「N」から「M」の文字部分の下に、「E」の欧文字と、その「E」の文字の約2分の1程の大きさの「net」の欧文字とを「-」で結合した「E-net」の文字を配してなるものである。
そして、「ENICOM」の文字部分と「E-net」の文字部分とは、上下に分離して配されて、それぞれの文字の大きさも異なり、さらに、「ENICOM」の文字部分が斜字でなることから、「ENICOM」の文字と「E-net」の文字は、分離して観察され易い構成態様であることに加え、これらの文字が、全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、常に一体不可分のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められない。
さらに、構成文字「E-net」中の「E-」の文字部分は、「名詞の前に付けて、『電子の、インターネットの』の意を表す。特に、インターネットなどコンピューター-ネットワークを媒体とするものであることを表す。」を意味するものであり、また、「net」の文字は、「インターネット、ネットワーク」(ともにコンサイスカタカナ語辞典第3版)を意味する語であることから、引用商標の構成中の「E-net」の文字部分は、引用商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を果たさないか、あるいは、自他役務の識別機能を果たしたとしても、その機能は極めて弱いものと認識されるとみるのが相当である。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、引用商標に接する取引者、需要者は、独立して、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認められる「ENICOM」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうとすれば、引用商標は、構成文字全体に相応した「エニコムイーネット」の一連の称呼の他、「ENICOM」の文字部分に相応した「エニコム」の称呼をも生じるものである。
そこで、本願商標と引用商標を比較するに、本願商標「ENECOM」と引用商標中の「ENICOM」は、共に欧文字6字で構成され、構成中最も目に留まりやすい語頭及び語尾において「EN」及び「COM」の文字を共通にし、その差異は、比較的目に留まりにくい中間部に位置する3文字目の「E」と「I」の文字部分にあるにすぎず、かかる共通性をもってすれば、両商標を時と処を異にして接した場合には、取引者、需要者は、その差異を明瞭に区別することができず、外観において相紛れるおそれのあるものというのが相当である。
次に、本願商標から生ずる「エネコム」と引用商標から生ずる「エニコム」を比較するに、両称呼は、共に4音構成よりなり、そのうち「エ」「コ」「ム」の音を共通にし、その差異は第2音に位置する「ネ」と「ニ」の音にあると認められる。
しかして、該差異音の「ネ」の音は、舌尖を前硬口蓋に触れて発する鼻子音「n」と母音「e」との結合した音節であり、「ニ」の音は、舌尖を前硬口蓋に触れて発する鼻子音「n」と母音「i」との結合した音節であり、共に「ナ」行に位置し、互いに音感において近似する音であって、かつ、該差異音は称呼の識別において比較的聴取し難い中間に位置するものであるから、該差異音の両称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいとはいえない。
さらに、両者は、特定の意味合いをもって、一般に親しまれているといった事情も認められず、観念上の差異をもって両称呼を明確に聴別することもできず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、彼此聴き誤るおそれがあるものというのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標は、観念上比較できないとしても、外観において相紛らわしく、かつ、その称呼においても類似するものである。
そして、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一また類似する役務を含むものである。
したがって、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められることから、本願商標と引用商標とは類似の商標といわざるを得ない。

4 請求人(出願人)の主張
請求人(出願人)(以下「請求人」という。)は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該登録例は、商標の構成及び指定役務において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人のこの主張は、採用できない。
さらに、請求人は、「本願商標と引用商標は、外観、称呼において類似せず、本願商標からは特定の観念が生じるため、観念において非類似の商標である。」旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標が、類似するものであり、かつ、指定役務も共通にすることは、前記3の認定のとおりである。
さらに、請求人の提出にかかる平成20年9月12日付提出の手続補足書に添付された甲第19号証乃至甲第21号証を見るに、甲第19号証は、2003年10月28日付け中国新聞7ページ、甲第20号証は、2004年8月25日付け中国新聞9ページ、甲第21号証は、2006年7月14日付け中国新聞(ページ不明)に掲載された請求人に関連する記事であるが、かかる記事を見るに、請求人の法人名を「エネコム」と略称されていることは、認められるものの、本願商標「ENECOM」についての記載は見当たらない。
そして、当審において職権により調査するも、新聞記事等に、本願商標「ENECOM」の文字が、請求人の法人名称の略称として掲載されている事実が見当たらず、また、本願商標が、特定の意味合いを有するものとして一般に理解されている事実を発見することができなかった。
してみれば、「本願商標は、特定の観念が生じる」との主張を客観的に証明するものはなく、請求人のかかる主張も採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

5 結論
以上よりすれば、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標






審理終結日 2008-12-02 
結審通知日 2008-12-05 
審決日 2008-12-16 
出願番号 商願2007-16650(T2007-16650) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (X38)
T 1 8・ 262- Z (X38)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎本 政実渡辺 潤稲村 秀子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 エネコム、イーエヌエコム、イーエヌイーコム 

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