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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z07
管理番号 1192333 
審判番号 取消2007-301322 
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-10-12 
確定日 2009-01-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4696632号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4696632号商標(以下「本件商標」という。)は、「ULVAC」の欧文字を書してなり、平成12年12月19日に登録出願、第1類、第2類、第4類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第14類、第16類、第17類、第21類、第37類、第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年8月1日に設定登録されたものである。
そして、本件商標は、商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務の区分第9類、第10類、第16類、第17類及び第21類の指定商品について、一部放棄による一部抹消の登録が同16年12月14日になされ、その後、商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務の区分第17類の指定商品について、一部取消し審判の確定の登録が同20年5月22日になされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、第7類の『印刷用又は製本用の機械器具』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、第7類の「印刷用又は製本用の機械器具」についての登録を取り消されるべきである。
なお、請求人は、「請求の趣旨」おいて、本件商標は、第7類の「印刷用の機械器具及びその類似商品」について取消を求めたが、平成20年7月18日付け手続補正書により、請求の趣旨を「本件商標は、第7類の『印刷用又は製本用の機械器具』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」旨補正した。
2 答弁に対する弁駁
(1)まず、請求人が取消しを求めている指定商品の範囲は、「第7類 印刷用又は製本用の機械器具」であり、かかる指定商品の範囲は、「印刷用又は製本用の機械器具」に該当する商品(類似群コード:09A11)であると考えられる。
そして、これらの商品は、情報伝達のために主に紙面に文字、記号又は画像を印刷(表示)する目的、用途のために使用される商品であり、その需要者は、印刷業者又は出版業者などである。
それは、「印刷用」と「製本用」の機械器具が互いに類似する商品であると観念されていることからも明らかである。
(2)一方、被請求人は、「印刷用機械器具」の範疇に属する「インクジェット印刷装置(インクジェットプリンティング装置)」及び「スクリーン印刷機」について登録商標の使用を行っている旨、主張している。
しかしながら、これらの商品は、「印刷」又は「プリンティング」という表現を用いているものの、「印刷」本来の目的である情報伝達のための文字、記号又は画像を被印刷面に表示する目的、用途のための商品ではなく、半導体の回路などを形成(加工)するために、銀ペーストなどを用いて電気配線を形成する目的・用途のために使用される商品などであって、「半導体製造装置」の範疇に属する商品(類似群コード:09A68)であると考えられる。
そして、これらの商品の需要者は、半導体製造メーカー、電子部品製造メーカーなどであって、印刷業者又は出版業者ではない。
かかる事情は、(a)被請求人が提出した乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証の1ないし3が「Semiconductor FPD World」という半導体製造、電子デバイス製造などに関する情報雑誌であること、(b)乙第4号証及び乙第5号証が電気配線を製造するための装置に関するものであること、(c)乙第6号証ないし乙第11号証が半導体製造者などからの問い合わせであると思われること、からも明らかである。
さらに、特許庁電子図書館における「商品・役務名リスト」による「半導体製造」についての検索結果(甲第3号証)において、半導体製造に関する商品は何れもその類似群コードが09A68となっており、「印刷用又は製本用の機械器具」に該当する商品に付されている類似群コード「09A11」はない。
半導体又は電子回路の製造業者における「印刷」という用語の使用例として提出する甲第4号証には、「真空印刷」が半導体の微細孔を充填、封止するための技術であって、情報伝達のための文字、記号又は画像を被印刷面に表示するという本来の意味では「印刷」という用語が使用されていないことが明らかとなっている。
このような半導体又は電子回路の製造業者間における用語の使用例からも明らかなとおり、商品の性質は、その商品の実際の使用目的、用途及び需要者の範囲を明らかにして判断すべきものであり、「印刷装置」、「インクジェットプリンティング装置」又は「スクリーン印刷機」といった名称が付されていることを以て当該商品が「印刷用又は製本用の機械器具」に該当する商品(類似群コード:09A11)であると認定することはできない。
よって、答弁書に添付の証拠資料によっては、「第7類 印刷用又は製本用の機械器具」について登録商標の使用の事実を立証することはできない。 すなわち、被請求人による登録商標の使用は、その指定商品中「半導体製造装置」の範疇に属する商品(類似群コード:09A68)についての使用であり、「印刷用又は製本用の機械器具」の範疇に属する商品(類似群コード:09A11)についての使用とは認められず、その登録が取り消されるべきものである。
3 上記の理由により、本件商標は、第7類の指定商品中、「印刷用又は製本用の機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていないため、それらの指定商品について取消しを免れないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
理由
1 被請求人は、本件商標と同一と認められるところの商標を商品及び役務の区分第7類の「印刷用機械器具」の範疇に属する「インクジェット印刷装置(インクジェットプリンティング装置)」について、遅くとも2005年(平成17年)11月頃から現在に至るまで使用しているものである(乙第2号証ないし乙第15号証)。
2 そこで、各証拠について説明すると、乙第2号証は、株式会社プレスジャーナルによって2005年(平成17年)10月20日に発行された雑誌「Semiconductor FPD World 2005年11月号」に掲載された被請求人の取り扱いに係る商品「インクジェット印刷装置(インクジェットプリンティング装置)」の宣伝広告の写しである。
同じく、乙第3号証は、株式会社プレスジャーナルによって2007年(平成19年)3月20日に発行された雑誌「Semiconductor FPD World 2007年4月号」に掲載された被請求人の取り扱いに係る商品「大型インクジェット装置(大型インクジェットプリンティング装置)」の宣伝広告の写しである。
3 次に、乙第4号証及び乙第5号証は、被請求人のインターネットホームページ(http://www.ulvac.co.jp/)において、「スクリーン印刷機(Screen Printing System)」に関する製品(商品)情報を掲載した日本語によるホームページ(乙第4号証)と英語によるホームページ(乙第5号証)である。
そして、「スクリーン印刷機(Screen Printing System)」に関する製品(商品)情報は、2004年(平成16年)6月から現在に至るまで被請求人の上記ホームページ上に掲載されており、ホームページ中の「お問い合わせ先」の「elec info」の文字列をマウスでクリックし、問い合わせをする者の情報、問い合わせ事項等を入力した後、送信することにより、被請求人から製品(商品)に関する各種の情報等の入手、さらには、打ち合わせの調整等ができるようになっている。
乙第6号証ないし乙第11号証は、商品「スクリーン印刷機(Screen Printing System)」について、2005年(平成17年)6月16日から2007年(平成19年)8月16日までの間に上記ホームページを見た者からの問い合わせのE-mail(イーメイル)の記録を抜粋したものであって、乙第6号証は、2005年(平成17年)6月16日(木曜日)に、東京都の需要者から問い合わせがあったことを示すE-mail(イーメイル)の記録、乙第7号証は、2005年(平成17年)7月14日(木曜日)に、滋賀県の需要者から問い合わせがあったことを示すE-mail(イーメイル)の記録、乙第8号証は、2005年(平成17年)9月20日(火曜日)に、東京都の需要者から問い合わせがあったことを示すE-mail(イーメイル)の記録、乙第9号証は、2005年(平成17年)10月27日(木曜日)に、埼玉県の需要者から問い合わせがあったことを示すE-mail(イーメイル)の記録、乙第10号証は、2006年(平成18年)6月30日(金曜日)に、インド国の需要者から問い合わせがあったことを示すE-mail(イーメイル)の記録、乙第11号証は、2007年(平成19年)8月16日(木曜日)に、東京都の需要者から問い合わせがあったことを示すE-mail(イーメイル)の記録である。
これらのE-mail(イーメイル)の記録が示すように、被請求人は、本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標を商品「スクリーン印刷機(Screen Printing System)」に使用している。
4 なお、使用商品である「インクジェット印刷装置(インクジェットプリンティング装置)」及び「スクリーン印刷機(Screen Printing System)」が商品及び役務の区分第7類に属する商品「印刷用又は製本用の機械器具」(商品類似群コード:09A11)の範疇に属するものであることは、「インクジェット印刷装置、印刷ヘッドその他その部品及び附属品、その他の印刷用又は製本用の機械器具」を指定商品とする商標登録第4295968号が商品及び役務の区分第7類 (商品類似群コード:09A11)で登録され、「インクジェット式印刷機、その他の印刷機」を指定商品とする商標登録第4453144号が商品及び役務の区分第7類(商品類似群コード:09A11)で登録され、「インクジェット式段ボール印刷機、その他の印刷用又は製本用の機械器具」を指定商品とする商標登録第4909127号が商品及び役務の区分第7類(商品類似群コード:09A11)で登録されていること及び特許電子図書館(IPDL)の商品・役務名リストにおいて「スクリーン印刷機」は、商品及び役務の区分第7類(商品類似群コード:09A11)に属する商品として公表されていることからも明らかである(乙第12号証ないし乙第15号証)。
5 以上のとおり、本件商標は、その商品及び役務の区分第7類の「印刷用の機械器具」の範疇に属する商品である「インクジェット印刷装置」及び「スクリーン印刷機」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていることは明らかであるから、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る上記指定商品についての登録を取り消される限りでない。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙第2号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)及び乙第6号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証の1には、左最上部に「平成17年10月20日発行(毎月1回20日発行)」、表題として「Semiconductor FPD World」、その下に「半導体/FPD/電子デバイス総合情報誌」の表示があること。乙第2号証の2には、左中央部に「アルバックは、半導体やディスプレイを初め、エネルギー・環境、バイオ、ファインケミカル、ナノテクまで、幅広い独創的な商品開発で、総合的なソリューションを提供しています。・・・」の記述、その下部右に機械装置の写真とともに「Litrex 70」、「インクジェットプリンティング装置」の記述、左最下部に「10」、中央下部に「アルバック」、右最下部に「Semiconductor FPD World 2005.11」の記述があること。乙第2号証の3には、左上部に「広告索引、【あ行】・・・(株)アルバック-10」、左下部に「Semiconductor FPD World、2005年11月号 第24巻 第11号、2005年10月20日発行、・・・発行所 株式会社 プレスジャーナル・・・」及び右最下部に「Semiconductor FPD World 2005.11」の記述があること。
(2)乙第3号証の1には、左最上部に「平成19年3月20日発行(毎月1回20日発行)」、表題として「Semiconductor FPD World」、その下に「半導体/FPD/電子デバイス総合情報誌」の表示があること。乙第3号証の2には、右下部に機械装置の写真とともに「Litrex Mシリーズ」、「大型インクジェット装置」の記述、左最下部に「16」、中央最下部に「ULVAC」、「アルバック」及びインターネットのアドレス表示、右最下部に「Semiconductor FPD World 2007.4」の記述があること。乙第3号証の3には、左上部に「広告索引、【あ行】・・・(株)アルバック-16」、左下部に「Semiconductor FPD World、2007年4月号 第26巻 第4号、2007年3月20日発行、・・・発行所 株式会社 プレスジャーナル・・・」及び右最下部に「Semiconductor FPD World 2007.4」の記述があること。
(3)乙第4号証は、2007年12月3日付け打ち出しの被請求人のインターネットホームページの写しで、上から「ULVAC」、「電子部品用装置」、「微細配線用スクリーン印刷機UMT-550」の表示、「従来メッキやエッチング等により形成されていた金属配線を印刷技術で可能にし、…、低温焼成で低抵抗の配線膜を得ることができます。」の記述、その右部に機械装置の写真が表示されていること。
(4)乙第6号証ないし乙第11号証は、2005年(平成17年)6月16日から2007年(平成19年)8月16日までのE-mailの記録とその抜粋の部分訳文で、「微細配線用スクリーン印刷機UMT-550」、「スクリーン印刷機UMT-550」、「微細配線用スクリーン印刷機」についてのコメント等が記述されていること。
2 以上の事実を前提として、本件審判の取消し請求に係る「印刷用又は製本用の機械器具」についてみるに、商標法施行規則第6条別表及び類似商品役務審査基準(第8版)の第7類中の「印刷用又は製本用の機械器具」に、具体的に例示されている商品は、「凹版印刷機」、「活字鋳造機」、「グラビア印刷機」、「字母」、「字母用箱」、「写真植字機」、「写真製版機械」、「製本機械」、「凸版印刷機」、「平版印刷機」であり、また、商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕によれば、「印刷用又は製本用の機械器具」は、「この概念には、印刷又は製本機械器具の大部分が含まれる。」と解説されている。
一方、請求人の主張する「半導体製造装置」は、商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕何らの解説もなく、商標法施行規則第6条別表及び類似商品役務審査基準(第8版)の第7類中に個別に例示されているものである。
そして、「商品大辞典」(昭和60年6月15日 第8刷)272頁の「c 印刷・製本機械」の項によれば、「印刷は従来,文書,書籍,雑誌,新聞,宣伝物,など記録の保存および情報の伝達の重要な役割を果たしつつ発達してきたが,近時特に印刷産業として,各種包装材料への印刷,プラスチック材料への印刷,さらに金属,建材,布地への印刷,また印刷製版技術を応用してエロクトロニクス部門への進出など,衣,食,住,すべての面に大幅な発展を続けている。その中で印刷機械も,最近は各種の新素材,油圧・エロクトロニクスによる自動制御,精密加工技術の応用などにより,高度に自動化され,高速化,高精度化され,高品質の印刷物がハイスピードで生産されるようになっている。」と記述されており、印刷機械は、エロクトロニクスによる自動制御、精密加工技術の応用などにより、被印刷物が紙に限られずプラスチック、金属、外あらゆる材料を対象として発展し続けていると理解されるものである。
一方、請求人の主張する「半導体製造装置」には、同人の提出に係る甲第3号証及び甲第4号証よりすると、半導体製造に用いる専用の洗浄装置、同ろ過器など、半導体製造に用いる専用の装置、又はその機械器具が挙げられるところであり、被請求人が使用しているとする「スクリーン印刷機」が、専ら半導体製造に用いられる専用の装置か、又はその機械器具とは理解し難いものである。
したがって、この点に関する請求人の主張は、採用し難いものである。
3 以上を総合すると、被請求人の使用しているとする「スクリーン印刷機」は、精密加工技術の応用などにより、最近の各種新素材を被印刷物とする「印刷用の機械」というのが相当である。
4 以上のとおりであるから、被請求人は、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る第7類の指定商品中の「印刷用又は製本用の機械器具」について使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る第7類の指定商品中の「印刷用又は製本用の機械器具」について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-08-22 
結審通知日 2008-08-26 
審決日 2008-09-11 
出願番号 商願2000-136274(T2000-136274) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清川 恵子山田 啓之 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 前山 るり子
末武 久佳
登録日 2003-08-01 
登録番号 商標登録第4696632号(T4696632) 
商標の称呼 アルバック、ウルバック 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 
代理人 特許業務法人エクシオ 

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