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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007890144 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y03
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Y03
審判 全部無効 観念類似 無効としない Y03
審判 全部無効 外観類似 無効としない Y03
管理番号 1192331 
審判番号 無効2007-890143 
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-30 
確定日 2009-02-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4994961号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4994961号商標(以下「本件商標」という。)は、「ディープコラゲ」の文字と「DEEP COLLAGE」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成17年11月7日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同18年10月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由として引用する登録商標は、次のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2120276号商標(以下「引用商標1」という。)は、「コラージユ」の文字を横書きしてなり、昭和54年1月17日に登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成1年3月27日に設定登録され、その後、同11年4月20日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第2318621号商標(以下「引用商標2」という。)は、「コラージュ」の文字と「Collage」の文字(筆記体)を上下二段に横書きしてなり、平成1年1月31日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同3年6月28日に設定登録され、その後、同13年3月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同13年4月11日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
3 登録第2413569号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成1年1月31日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年5月29日に設定登録され、その後、同14年5月14日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年5月29日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(上記1ないし3の登録商標をまとめていうときは、単に「引用商標」という。)

第3 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第315号証(枝番を含む。但し、甲第48号証ないし甲第50号証は欠番である。)を提出した。(なお、甲号証及び乙号証において、枝番のある証拠について、枝番のすべてを引用するときは、以下枝番を省略する。)
1 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標中の「ディープ」、「DEEP」の文字は、「深い」等の意味を有する語であり(甲第5号証)、指定商品「化粧品」との関係では「肌等の深部に浸透する商品」を意味する際に使用されており、特許庁の審査においても、「DEEP(ディープ)」の語を構成中に含む商標が識別力がないものとして拒絶されている(甲第6号証、甲第7号証、甲第47号証)。また、被請求人においても、「DEEP(ディープ)」の語を品質表示語として使用している(甲第46号証)。
したがって、本件商標は、構成中の「コラゲ/COLLAGE」の部分のみが単独で商標として機能することは明らかである。そして、この「COLLAGE」の文字は、「(貼り合せの意)近代絵画の技法の一。画面に紙・印刷物・写真などの切抜きを貼りつけ、一部に加筆などして構成する。広告・ポスターなどにも広く応用。ブラック・ピカソらが創始。貼付け絵。」の意味を有する語(甲第8号証)として一般に知られているものであるから、「コラゲ」の仮名文字が「COLLAGE」の欧文字の自然な称呼を特定したものとはいえず、したがって、「COLLAGE」の文字部分から「コラージュ」の称呼及び観念をも生ずると判断するのが相当である。
よって、本件商標と引用商標とは、「コラージュ」の称呼及び観念を共通にするものである。
イ 指定商品の取引実情
商標の類否判断においては、指定商品・役務の取引実情をも参酌すべきものであるところ、引用商標の周知・著名性も、このような取引実情の一事情に当たる(甲第9号証)。
後述のとおり、引用商標の商標権者は、昭和55年1月以降、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品のファミリーマークとして「コラージュ」商標を継続して使用しており、その結果、引用商標は、本件商標の登録出願時、化粧品の分野において周知・著名性を獲得していたものである。
そうとすれば、本件商標中の「COLLAGE」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を受けることが明らかであり、かかる点からしても、本件商標と引用商標とは「コラージュ」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
ウ 以上より、本件商標と引用商標とは類似の商標であり、指定商品も抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
請求人は、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品のファミリーマークとして、引用商標を使用している(甲第10号証ないし甲第18号証。なお、甲第45号証に示すとおり、コラージュシリーズの取扱いは、平成16年4月1日に請求人のヘルスケア事業本部から提出者の100%出資に係る持田ヘルスケア株式会社に移されている。)。
「コラージュ」シリーズは、製造販売の開始時より現在に至るまで莫大な広告費を投入して(甲第19号証)、雑誌・新聞を中心として広告や紹介記事を掲載してきた(甲第51号証ないし甲第298号証)。また、たびたびキャンペーンを打ち(甲第23号証ないし甲第25号証)、コラージュ愛用者の会「コラージュ倶楽部」、「コラージュシーダー会」を立ち上げるなど様々な販促活動をして、需要者に強く働きかけてきた(甲第23号証ないし甲第44号証)。その結果、「コラージュ」シリーズ全体の売上は、平成9年度から平成18年度までの10年間1年当たり、約20ないし28億円程度に達している(甲第20号証)。
また、「コラージュ」シリーズは、皮膚刺激の原因となりやすい成分を一切含んでいないことを特徴としていることから、農学博士等にも紹介され(甲第142号証)、臨床試験にも用いられている事実が存在する(甲第54号証)。さらに、近年特に増加したアトピー性皮膚炎やアレルギー体質の人にも勧められる低刺激性の製品として定評を得ているところである(甲第95号証、甲第97号証、甲第121号証、甲第166号証、甲第204号証、甲第247号証、甲第256号証、甲第277号証、甲第290号証、甲第292号証、甲第295号証、甲第298号証ほか)。かかる特徴のため、「コラージュ」シリーズは、その広告等が掲載されている雑誌は広範囲に及び(甲第51号証、甲第149号証)、幅広いジャンルの需要者層をターゲットにした商品であるということができる。
以上のように、「コラージュ」シリーズは、長期間にわたって商品に付されて販売され、宣伝広告されてきたことに加え、上述のような特徴故に、特に皮膚に問題を有する需要者は、「コラージュ」シリーズを継続的に使用するために反復して購入することが多い。また、平成14年度に販売額が20億円を超えて以降は、年間販売額が毎年前年度を上回っており(甲第20号証)、特に近3年に至っては、平成16年度が24億3000万円、平成17年度が26億1000万円、平成18年度が27億7300万円と高い数字を維持しながらも販売額が上昇し続けている(甲第21号証)。このように、「コラージュ」は、遅くとも平成12年には、取引者・需要者間に広く認識されていた(甲第22号証)ものである。
イ 出所の混同の可能性
引用商標は、シリーズものを表示する商標として著名となっていること、及び本件商標中「ディープ」及び「DEEP」の文字部分は識別力がないか極めて弱い語であることを併せ考えると、本件商標がその指定商品に使用された場合には、需要者・取引者は、該商品が「コラージュ」シリーズの商品であると誤認し、請求人の製造販売に係る商品であると出所を誤認する可能性が十分にある。
加えて上述のように、「コラージュ」シリーズの各商品は、乾燥肌、脂性肌、ひび割れなど肌に問題を抱える需要者やアトピー性皮膚炎、化学物質アレルギーなどで苦しんでいる需要者を中心に愛用されており、仮にこれら需要者が本件商標を付した商品を出所混同して購入し、誤用してしまった場合には、需要者の肌の健康に重篤な被害をもたらしかねない。需要者の身体を害する事態が一度でも生じたとすれば、昭和55年以来営々として蓄積してきた「コラージュ」シリーズに対する信用に致命的な打撃を与え、引用商標の財産的価値も著しく減ぜられることとなる。
このような「コラージュ」シリーズの個別的事情からすると、本件商標の商標登録は容認し難いものであり、本件商標は使用を禁じられるべきものである。
ウ 以上より、本件商標は、その指定商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれが十分認められるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 被請求人は、本件商標は「ディープコラゲ」の称呼のみを生ずる旨主張する。
しかしながら、結合商標の類否は、結合の強弱の程度等を考慮して判断されるところ、他人の著名商標(周知商標も含む。)を商標構成の一部に含む場合の取扱いにおいては、商標審査基準においても、「原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。」と記されており(甲第299号証)、同様の趣旨は、「実例で見る商標審査基準の解説(第五版)」(甲第300号証)においても記されている。
そして、本件商標は、「DEEP」と「COLLAGE」との間には、識別力の強弱があるばかりか、「COLLAGE」が著名な引用商標を構成する「Collage」と同一の綴りよりなるものであるから、「COLLAGE」の部分のみが単独で商標として機能することが明らかである。
イ 被請求人は、指定商品の分野では、「COLLAGE」を「コラージュ」ではなく、「コラゲ」と片仮名表示をしてそのように称呼するのが普通である旨主張し、乙第2号証を提出する。
乙第2号証は、特許庁電子図書館「称呼検索」の検索結果であるところ、本件でいえば、おそらく「コラゲ」の称呼を入力して検索したと思われるが、その検索結果で「コラゲ」あるいはそれに近い称呼を有する商標が抽出されるのは当然であり、「COLLAGE」という文字列からいかなる称呼が生ずるかを判断し得るものではない。ちなみに、「collage」という英文字のみを入力して、特許庁電子図書館「出願・登録情報」を検索したところ、欧文字「collage」のみの態様の商標には、「コラゲ」の称呼が付与されている例が全く存在せず、逆に、全ての商標について「コラージュ」の称呼が付与されている(甲第306号証)。
ウ 被請求人は、本件商標より「ディープコラゲ」の称呼のみしか生じない理由として、「ディープコラゲ」の文字の存在を強調するが、欧文字部分の不自然な称呼を片仮名表記することで、周知・著名商標を含む商標の登録を図らんとする手法は、商標ブローカーの常套手段でもあり、「ディープコラゲ」の文字部分の存在のみをもって判断されるべきではない。
また、商標審査実務や前出「実例で見る商標審査基準の解説(第五版)」においても、不自然な振り仮名の場合には、振り仮名以外の称呼が生ずるとされている(甲第309号証、甲第310号証)。本件で問題となっている「COLLAGE」の文字は、「張付け絵」等の意味合いを有する既成語であり(甲第8号証)、かつ、著名な引用商標の欧文字と同一の綴り文字よりなるものであるから、「コラージュ」が極めて自然な称呼であることは明らかである。
エ 被請求人は、英語「DEEP」には、「肌等の深部に浸透する商品」なる意味がない旨主張する。
しかしながら、商品の識別力判断は、辞書に掲載されている意味のみならず、指定商品の取引実情においてどのような意味合いで通用しているかが重視されるところ、「ディープ/DEEP」の語は、「毛穴の汚れまでしっかり落とします」、「肌サイクルの乱れで残ってしまった古い角質を洗い流す」等、「肌等の深部に浸透する商品」の品質を表す際に多用されている(甲第6号証、甲第46号証)。
オ 被請求人は、甲第47号証につき、本件とは事案を異にする旨主張するが、同号証は、請求の理由で述べているとおり、本件商標中の「DEEP」の語が指定商品との関係で識別力がないか極めて弱い語である点を証明し、本件商標は、2つの構成語が明かに識別力の強弱があるものである点を指摘しているにすぎない。
カ 被請求人は、商標の類否判断において考慮されるべき取引の実情には、引用商標の著名性は含まれない旨主張し、乙第3号証、乙第4号証を提出する。
しかしながら、上記判例は、いずれも、「引用商標の不使用は、取引の実情に含まれない」、「類否判断で考慮される取引実情は、現実に使用されている商品についての特殊的・限定的なものではない」旨を指摘したものにすぎず、商標の類否判断において考慮されるべき取引の実情に引用商標の著名性が含まれない旨を判示したものではない。むしろ、結合商標類否判断において、引用商標の著名性を考慮した判例は、甲第9号証の他にも多数存在する(甲第311号証ないし甲第313号証)。
キ 被請求人が主張するように、近年、「コラーゲン」入りの商品を積極的に「コラーゲン」、「collagen」と表示して販売していることは、請求人も知悉しているところである。
しかしながら、かかる実情と、「collagen」とは全く異なる用語である「collage」に関する認識がどのような関係を有するのか、その主張は、極めて独善的なものであり失当である。むしろ、そのような実情にあるのであれば、被請求人にあっても、殊更、「collage(コラージュ)」を採択・使用することなく、「collagen(コラーゲン)」を商標として採択・使用すれば足りるのである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 被請求人は、甲各号証の大半は出願後のものが多く、また、査定後のものも含まれている旨主張する。
しかしながら、甲第22号証が示すとおり、引用商標は、遅くとも平成12年10月20日には周知・著名な商標になっていたものであり、甲第23号証ないし甲第299号証は、その後、「collage(コラージュ)」シリーズが継続的に広告され、販売されてきたことを示すもので、その周知・著名性を維持してきたことを十分に証明し得ているものである。
イ 被請求人は、出願前に係る証拠の大半はパンフレットや広告であって、これらを頒布し、広告したからといって、引用商標が直ちに全国的な周知性を獲得したとの認定に繋がるものではない旨主張する。
パンフレットや広告の頒布のみでは、著名性獲得の証拠としては不十分であることは被請求人の主張のとおりであるが、甲第23号証ないし甲第299号証として提出したパンフレットや広告は、平成12年10月20日には周知・著名な商標になっていた引用商標が、その後も、継続的に広告・販売がなされた事実を十分証明し得ているものであり、平成12年10月20日当時の著名性が、なお現在も維持されていることを示す証拠としては十分なものである。
ウ 被請求人は、甲第20号証、甲第21号証について、個別の具体的な数字の裏付けがないものであり、発行者等の記載もなく、陳述ではあっても証拠ではなく、また、販売地域も不明である旨主張するところ、作成者は、請求人の子会社である持田ヘルスケア株式会社であり、販売地域は日本全国である。同号証は、個別品目の具体的な数字を基にして、一覧性を高めるため「コラージュ」シリーズの合計の販売額として表及びグラフとして纏めたものである。
エ 被請求人は、「コラージュフルフル」等の使用例をもって引用商標の著名性獲得を証明する事実にはならない旨主張する。
しかしながら、請求の理由で述べているように、請求人は、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品を表す一種のファミリーマークとして引用商標を使用し続けているのであり、「コラージュフルフル」にしても、ファミリーネームとして商標「コラージュ」とペットネームとして商標「フルフル」を使用しているものである(甲第314号証)。
オ 被請求人は、「コラージュ倶楽部」、「コラージュ倶楽部通信」、「コラージュシーダー会」のような商品についての使用ではないものは、「コラージュ」商標の出所表示機能を分散、希釈化させるものである旨主張する。
しかしながら、甲第26号証ないし甲第43号証は、「コラージュ」商標を付した商品の販促ツールとして用いられているものであり、そこに示されている「コラージュ(collage)」の文字が、被請求人の取扱い商品「化粧品,せっけん類」の商標と認識されることは明らかである。
カ 被請求人は、引用に係る3件の登録商標が同一証拠によって、同時に著名性を獲得した事実を証明できることはない旨主張するが、引用商標の文字部分は、本質的に同一のものと解されるべき程度のものであり、遅くとも平成12年10月20日には引用商標の周知・著名性が認められていることは前述のとおりである。
キ 被請求人は、「コラージュ」、「collage」の文字からなる引用商標は、「コラーゲン」、「collagen」に由来し、暗示させるもので、「化粧品,石けん」との関係からも識別機能や出所表示機能は極めて弱いものである旨指主張し、さらに、最近は、化粧品製造各社のみならず食品製造各社も挙って、「コラーゲン」入りの商品を積極的に「コラーゲン」、「collagen」と表示して販売している実情にある旨主張し、乙第6号証を提出する。
請求人が、語感からコラーゲンを想起させる「コラージュ」、「collage」を採用したことは確かであるが、これが、「コラージュ(collage)」の識別力の弱さとどのような関係があるのか、被請求人の主張は理解し得ないし、「コラーゲン」入りの商品に、「コラーゲン(collagen)」と表記することは当然であり、このことが、「コラージュ(collage)」の識別力の弱さとどのような関係があるのか、被請求人の主張は理解し得ない。
出願商標の採択の範囲は広いに関わらず、偶然に、他人の周知・著名商標を結合した商標を採択したとは考えにくいことからしても、本件商標の取得には周知・著名となっていた引用商標にただ乗りせんとする意図すら見え隠れするものである。
さらに、被請求人は、本来的に識別力等が薄い引用商標が著名性を獲得することは至難の事実といわなければならない旨主張するが、引用商標が識別力等の薄い商標といえないことは上述のとおりである。
ク 被請求人は、甲第22号証につき、事案や判断時点が違うばかりではなく、「コラーゲン」、「collagen」成分入りの化粧品等に関しては、5年前の当時の取引状況と、最近の状況では明らかに異なり、本件審判には何ら妥当するものではない旨主張し、乙第5号証、乙第6号証を提出する。
引用商標は、遅くとも平成12年10月20日には周知・著名と認定されており(甲第22号証)、この著名性については、甲各号証で示すように、以後継続的な広告及び販売を行ったことにより、維持されている旨指摘しているのであり、甲第22号証のみをもって、本件商標の出願時及び査定時で引用商標が著名である旨主張しているのではない。
ケ 以上のように、引用商標は、本件商標の出願時及び査定時においても、その著名性が維持されているものである。
また、被請求人は、仮に、引用商標が著名であるとしても、本件商標とは、別異のものであるから、本件商標は、これを指定商品に使用しても、出所の混同のおそれはない旨主張するが、かかる主張は、商標法第4条第1項第15号の規定が、同第10号ないし第14号と適用範囲が異なることを理解せずになされたものである。すなわち、商標法第4条第1項第11号にいう「類似」とは、取引の経験則に照らし出所の混同が生じると予測される範囲(一般的出所の混同)であるのに対して、同第15号にいう「出所の混同」とは、仮に本件商標が実際に市場を流通したとすれば同じ業者により生産販売されたものと認識されること(具体的出所の混同)をいい、判例上もかかる解釈に沿って判断されている(甲第315号証)。よって、被請求人の主張は誤りである。
3 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号違反について
(1)請求人は、本件商標について「コラゲ」、「COLLAGE」の部分を抽出、分離して、引用商標と称呼、観念において類似の商標であると主張する。
しかしながら、商標の類似判断においては、外観、称呼及び観念の判断要素全体を総合的に考察することが基本であるところ(乙第1号証)、本件商標は、その構成全体からして、「ディープコラゲ」の文字部分がその称呼を特定したものであって、本件商標よりは「ディープコラゲ」以外の称呼は生じないものである。また、本件商標は、造語であって特段の観念は生じないものである。加えて、指定商品に係る業界では、「COLLAGE」については、「コラージュ」ではなくて、「コラゲ」と片仮名表示をしてそのように称呼するのが普通のことである(乙第2号証)。
したがって、請求人の主張は前提において誤りであるというべきである。
(2)請求人は、本件商標中の「ディープ」、「DEEP」は、「肌等の深部に浸透する商品」を意味する際に使用されるとして、本件商標を分離観察すべきと主張する。
しかしながら、英語「DEEP」には、そのような意味がないばかりではなく、甲第6号証によっても、「DHC薬用ディープクレンジングオイル」については、「毛穴の汚れまでしっかり落とします」、「肌サイクルの乱れで残ってしまった古い角質を洗い流す」、「毛穴に詰まった頑固な皮膚の」等と説明されるもので、「肌等の深部に浸透する商品」を意味するものとして使用されているものではない。逆に、化粧品とは何ら関わりがないことを証明しているものである。
また、登録にならなかったとして請求人が挙げる先例は、いずれも「ディープ」、「DEEP」と他の文字が結合して品質表示となる明らかな意味が生じる例で商標法第3条第1項第3号に係るものであって、同法第4条第1項第11号の適用に係り、全体としては造語であって特段の意味合いを生じない本件商標とは、明らかに事案を異にするものである。
したがって、この点に関しても、請求人の主張は理由がない。
(3)請求人は、本件商標の分離観察に関して、指定商品の取引の実情として、引用商標の著名性を挙げるが、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類似判断において、そこで考慮されるべき取引の実情とは、「指定商品全般についての一般的な、恒常的なもの」を指し(乙第3号証)、引用商標の著名性のような個別の実情は含まれないもので、特に最近の知財高裁や特許庁では定着している解釈である(乙第4号証)。
したがって、仮に引用商標が著名であるとしても(この点に関しては、後述のとおり争う。)、本件商標と引用商標の類似判断には何ら影響を及ぼすものではないというべきである。
(4)最近は、「コラーゲン」、「collagen」は、「動物の体内の結合組織に含まれるたんぱく質の一つで、細胞や組織をつなぎ、組織の活性化を促進し、皮膚や骨、目などの老化を防止するとされ、若さを保つ成分として食品や化粧品などで注目されている。」(乙第5号証)実情にあって、化粧品製造各社のみならず食品製造各社も挙って、「コラーゲン」入りの商品を積極的に「コラーゲン」、「collagen」と表示して販売しており(乙第6号証)、第3類に係る「コラゲ・・」、「COLLAGE・・」を含む商標の登録も多数存在している(乙第2号証)。
そうとすれば、本件商標は、全体としてのみ識別力を発揮するものであるから、一層前半部と後半部が強固に結合して、「ディープコラゲ」のみの称呼を生ずるというべきである。
(5)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号違反について
(1)本件商標の登録が、商標法第4条第1項第15号違反のものであるか否かの判断時期は、出願時(平成17年11月7日)及び査定時(平成18年9月1日)であるから(商標法第4条第3項)、引用商標の著名性はそれらの時点で認定されなければならない。
これを甲各号証についてみれば、大半は出願後のものが多く(甲第79号証以降)、また、査定後のもの含まれており(甲第285号証以降)、一番重要な出願前のものが少ないということができる。しかも、出願前に係る証拠の大半は、パンフレットや広告であって(甲第26号証等)、これらを頒布し、広告したからといって、引用商標の著名性、すなわち、直ちに全国的な周知性を獲得したとの認定に繋がるものではない。肝心の使用商品の販売数量や売上げを示す甲第20号証、甲第21号証は、単に主張するのみで個別の具体的な数字の裏付けがないものであり、発行者等の記載もなく、陳述ではあっても証拠ではなく、採用されるべきではない。また、販売地域も不明である。
しかも、引用商標と使用商標の構成態様が違い、甲各号証によっては、引用商標が指定商品に使用されて、著名性を獲得したとは認められない。例えば、甲各号証には、「コラージュフルフル」(甲第54号証、甲第73号証、甲第75号証ないし甲第132号証等)、「コラージュリッチ」(甲第16号証等)、「コラージュ倶楽部」(甲第26号証等)、「コラージュ倶楽部通信」(甲第30号証等)、「コラージュシーダー会」(甲第41号証等)等と多種多様な態様で使用されているものである。中でも、「コラージュフルフル」に係る使用例が大半である。この使用例をもって引用商標の著名性獲得を証明する事実にならないことは明らかである。また、「コラージュ倶楽部」や「コラージュ倶楽部通信」、「コラージュシーダー会」のような商品についての使用ではないものは、当該「コラージュ」商標の出所表示機能を分散、希釈化させるものであって、著名性獲得にプラスに働くものではなく、逆にマイナスに働くものである。しかも、3件の引用商標が同一証拠によって、同時に著名性を獲得した事実を証明できることはまずない。
(2)そもそも、「コラージュ」、「collage」の文字からなる引用商標は、「コラーゲン」、「collagen」(乙第5号証)に由来し、暗示させるもので、その使用商品「化粧品、石けん」との関係からも明らかなように、識別機能や出所表示機能は極めて弱いものである。しかも、最近は、化粧品製造各社のみならず食品製造各社も挙って、「コラーゲン」入りの商品を積極的に「コラーゲン」、「collagen」と表示して販売している実情にある(乙第6号証)。
こうした中では、本来的に識別力等が薄い引用商標が著名性を獲得することは至難の事実といわなければならない。
したがって、甲各号証程度の証拠によっては、本件商標の出願時及び査定時での著名性の獲得は立証されていない。
(3)なお、請求人は、過去の審決を提出する(甲第22号証)が、事案や判断時点(平成12年10月20日)が違うばかりではなく、前述したとおり、「コラーゲン」、「collagen」成分入りの化粧品等に関しては、5年前の当時の取引状況と最近の状況では明らかに異なり(乙第5号証、乙第6号証)、本件審判には何ら妥当するものではない。
(4)以上のように、引用商標については、本件商標出願前の著名性が認められないものであり、かつ、本件商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似のものであるから、本件商標は、これを指定商品に使用しても、出所の混同のおそれはないものである。
仮に、引用商標が著名であるとしても、本件商標とは別異のものであるから、本件商標は、これを指定商品に使用しても、出所の混同のおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
3 むすび
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してなされたものではないから、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
ア 本件商標は、前記のとおり、「ディープコラゲ」の文字と「DEEP COLLAGE」の文字を上下二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中、下段の「DEEP COLLAGE」の文字部分は、「DEEP」と「COLLAGE」とが同一の書体をもって外観上軽重の差なく表され、一方が特に看者の注意を強く引くというような態様のものではないから、外観上一体的なものとして看取されるばかりでなく、構成する文字全体が親しまれた熟語的意味合いを生ずるものではないから、特定の観念を有しない造語を表したと理解されるものである。そして、該「DEEP COLLAGE」の上段に配され、全体の構成からみて、「DEEP COLLAGE」を片仮名表記したものと理解される「ディープコラゲ」の文字部分は、同一の書体をもって一連に書されているものであり、これより生ずる「ディープコラゲ」の称呼が「DEEP COLLAGE」の文字部分の称呼を特定したものとみるのに何ら不自然なものとはいえない。
そうすると、本件商標は、これを構成する「ディープコラゲ」の文字と「DEEP COLLAGE」の文字とが一体のものとして把握、認識されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ディープコラゲ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものといわなければならない。
イ 上記に関し、請求人は、本件商標中の「ディープ/DEEP」の文字部分は、化粧品の分野において、商品の品質等を表示する語として普通に使用されているものであるから、自他商品の識別機能を有しないか、きわめて弱い語であるのに対し、「COLLAGE」の文字部分は、化粧品について使用され著名となっている引用商標中の「Collage」と同一の文字よりなるものであるから、該文字部分の自他商品の識別機能は強く、これより「コラージュ」の称呼及び観念を生ずる旨主張する。
しかし、上記ア認定のとおり、本件商標中の「COLLAGE」の文字部分は、「DEEP」の文字部分と外観上軽重の差なく一体的に結びつき、かつ、欧文字全体が上段に書された片仮名文字により、「ディープコラゲ」との称呼のみを生ずる造語を形成していると理解されるものである。また、「ディープ」又は「DEEP」の語が他の識別力のない語と結合して、構成文字全体が化粧品等の品質等を表す場合があるとしても、「ディープ」又は「DEEP」の語が単独で化粧品等を取り扱う分野において、商品の品質等を表示するためのものとして普通に使用されているという事実は、甲第6号証によっても認めることができない。そして、上記本件商標の構成態様を併せ考慮すれば、本件商標は、その構成中の「COLLAGE」の文字部分のみが独立して認識されるものではなく、したがって、該文字部分が他の文字部分と切り離されて単独で自他商品の識別機能を発揮するということはないというべきである。
なお、後記2認定のとおり、引用商標中の「Collage」は、前記構成よりなる本件商標にあって、なおかつその構成中の「COLLAGE」の文字部分のみが化粧品等の需要者に強く印象づけられる程度に、本件商標の登録出願前より広く認識されていたものとは認めることができない。
したがって、本件商標より、「コラージュ」の称呼及び観念を生ずるとする請求人の主張は採用することができない。
(2)引用商標
引用商標1は、前記のとおり、「コラージユ」の文字を横書きしてなるものであるから、これより「コラージユ」又は「コラージュ」の称呼を生ずるものであって、「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずるものとみるのが相当である。
引用商標2は、前記のとおり、「コラージュ」の文字と「Collage」の文字(筆記体)を上下二段に横書きしてなるものであるから、これより「コラージュ」の称呼を生ずるものであって、「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずるものである。
引用商標3は、別掲のとおり、「Collage」の文字(筆記体)と「コラージュ」の文字を上下二段に横書きしてなり、これらの文字の下に、黒塗りの植物様の図形を配してなるものであるところ、該図形からは特定の称呼、観念が生じないから、上記文字部分を捉えて商品の取引に当たる場合が多いというのが相当である。したがって、引用商標3は、その構成中の文字部分より「コラージュ」の称呼及び「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標より生ずる「ディープコラゲ」の称呼と引用商標より生ずる「コラージュ」又は「コラージユ」の称呼は、前者が6音よりなるものであるのに対し、後者は4音又は5音よりなるものであるから、構成音数が相違するばかりでなく、両称呼中の各音の配列からみて、両称呼が類似するという要素は見出せないから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、その語調、語感が明らかに相違したものとなり、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標は、構成全体をもって造語を表したものと認識されるから、「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずる引用商標とは、観念上比較することはできない。
さらに、本件商標と引用商標は、前記又は別掲のとおりの構成よりなるものであるから、それぞれの構成よりみて、外観上明らかに相違するものであり、互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標は、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)「Collage」、「コラージュ」の著名性について
ア 請求人は、1980年(昭和55年)1月に、水溶性コラーゲン配合基礎化粧品「コラージュクリーム」を発売し、その後、1988年(昭和63年)6月に「コラージュ石鹸」を、1999年(平成11年)11月に抗真菌成分含有シャンプー「コラージュフルフル」をそれぞれ発売し、2003年(平成15年)9月に基礎化粧品がリニューアルされ、「コラージュSシリーズ」となった。また、2004年(平成16年)4月に「コラージュUVプロテクトクリーム・ミルク」を、2005年(平成17年)10月に敏感肌用美白シリーズ「コラージュホワイトニングシリーズ」をそれぞれ発売した(甲第45号証)。
また、本件商標の登録出願(平成17年11月7日)前に発行されたと認められる「Collage Shampoo & Collage Rinse/コラージュシャンプーS コラージュリンスS」(2005年8月発行、甲第15号証)及び「CollageRich/コラージュリッチ」(2005年1月発行、甲第16号証)のパンフレットの表紙の下段には、「Collage/コラージュ」の表示がある。
イ 請求人は、本件商標の登録出願前である平成17年3月1日?同年4月30日にかけて「コラージュUVプロテクトシリーズ2品」の、また、本件商標の査定(平成18年9月1日)前である平成18年5月1日?同年6月30日にかけて「コラージュS基礎化粧品シリーズ14品」のキャンペーンを行った(甲第23号証、甲第25号証)。
そして、キャンペーンのチラシには、商品写真が掲載され、その包装容器には、「Collage」の表示があるものの、「コラージュUVプロテクト」、「この夏のキメ肌は、コラージュ化粧水できまり」のように、片仮名文字で書された「コラージュ」が大きく表示され、商品の包装容器に表示された「Collage」の表示以外に「Collage」の表示はない。
ウ 請求人は、本件商標の登録出願前から査定時にかけて、その顧客に対し、「コラージュ倶楽部プレゼント」と称し、ポイントサービスを実施したり(実施期間:2004年10月1日?同年12月31日及び2005年10月1日?同年12月31日、甲第27号証、甲第28号証)、2003年(平成15年)9月から2006年(平成18年)秋まで「コラージュ倶楽部通信」と称した季刊誌を発行した(甲第30号証ないし甲第38号証)。その他「コラージュシーダー会」なる会を立ち上げ、会誌を発行した(甲第41号証、甲第42号証)。
そして、「コラージュ倶楽部プレゼント」の案内や「コラージュシーダー」会誌においても、「Collage」の表示があるものの、片仮名文字で書された「コラージュ倶楽部通信」の文字や「コラージュシーダー」の文字が多く使用され、かつ、大きく表示されている。
エ 請求人の業務に係る商品は、本件商標の登録出願前及び査定時において、雑誌、新聞を媒介として、広告されたり、あるいは新製品として紹介された。その内訳は、概略次のとおりである。
(ア)本件商標の登録出願前
(a)「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」の文字を用いて広告されたものが39件(甲第52号証、甲第54号証、甲第64号証、甲第73号証、甲第75号証ないし甲第77号証、甲第152号証ないし甲第157号証、甲第160号証ないし甲第163号証、甲第169号証ないし甲第184号証、甲第187号証ないし甲第192号証)。
(b)「コラージュUVプロテクト」の文字を用いて広告されたものが5件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第53号証、甲第151号証、甲第158号証、甲第159号証、甲第165号証)。
(C)「コラージュMフェイシャルソープ」の文字を用いて広告されたものが2件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第55号証、甲第56号証)。
(d)「コラージュホワイトニング」の文字を用いて、新製品の紹介がされたものが17件(その中の一部には、商品写真の掲載があるが、小さく不鮮明である。甲第57号証ないし甲第63号証、甲第65号証ないし甲第72号証、甲第74号証、甲第78号証)。
(e)「コラージュD」の文字を用いて広告されたものが8件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第150号証、甲第164号証、甲第166号証ないし甲第168号証、甲第185号証、甲第186号証、甲第194号証)。
(イ)本件商標の登録出願後から査定時まで
(a)「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」の文字を用いて広告されたものが128件(甲第79号証、甲第80号証、甲第82号証ないし甲第86号証、甲第90号証ないし甲第94号証、甲第98号証ないし甲第102号証、甲第104号証ないし甲第115号証、甲第119号証、甲第120号証、甲第122号証ないし甲第125号証、甲第127号証ないし甲第132号証、甲第135号証、甲第136号証、甲第138号証ないし甲第142号証、甲第195号証ないし甲第201号証、甲第205号証、甲第208号証ないし甲第246号証、甲第248号証ないし甲第255号証、甲第257号証ないし甲第276号証、甲第278号証ないし甲第281号証、甲第283号証)。
(b)「コラージュクリームS」、「コラージュ化粧水」、「コラージュUVプロテクトクリーム」、「コラージュAフェイシャルソープ」等の文字を用いて広告されたものが4件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第81号証、甲第103号証、甲第126号証、甲第134号証)。
(C)「コラージュ」の文字を用いて請求人の業務に係る商品が紹介されたり、広告されたものが2件(甲第87号証、甲第121号証)。
(d)「コラージュホワイトニングエッセンスヴェール」、「コラージュホワイトニングシリーズ」の文字を用いて広告されたものが3件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第88号証、甲第89号証、甲第277号証)。
(e)「Collage D」、「Collageシリーズ」の文字を用いて広告されたものが3件(甲第95号証、甲第118号証、甲第202号証)。
(f)「コラージュD」の文字を用いて広告されたものが13件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第96号証、甲第97号証、甲第116号証、甲第117号証、甲第133号証、甲第137号証、甲第193号証、甲第203号証、甲第204号証、甲第206号証、甲第207号証、甲第247号証、甲第256号証)。
オ 「コラージュ製品広告費推移」(甲第19号証)によれば、1997年(平成9年)は、1億6000万円であり、その後、上昇傾向を示し、本件商標が登録出願された2005年(平成17年)には、5億6000万円、本件商標の査定と同じ年の2006年(平成18年)には、5億5000万円であったことの記載が、また、「コラージュ製品販売推移」(甲第20号証)によれば、1997年(平成9年)は、21億3000万円であり、その後、2001年(平成13年)まで、19億5000万円前後と横ばいであり、本件商標が登録出願された2005年(平成17年)には、26億1000万円、本件商標の査定と同じ年の2006年(平成18年)には、27億7300万円であったことの記載が、それぞれ認められる。
カ 前記アないしオによれば、請求人の業務に係る「基礎化粧品、石けん類」には、本件商標の登録出願前より、「コラージュ」、「Collage」(筆記体)の各表示が使用され、請求人の主力シリーズ商品(以下「請求人商品」という。)として、市場に出回っていた事実を認めることができ、その事実は本件商標の査定時まで継続していたものと認めることができる。
しかし、請求人商品についての新聞・雑誌における広告等についてみれば、本件商標の登録出願前に広告等がされたものは71件であり、本件商標の登録出願後から査定前までに広告等がされたものは153件であって、本件商標の登録出願後から査定前までの広告等が圧倒的に多いといえるばかりでなく、本件商標の登録出願前に広告等がされた71件のうち、片仮名文字のみで表示された「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」が全体の約55%に当たる39件を占め、その他の商品にしても、商品写真の包装容器には、「Collage」(筆記体)の表示があるものの、広告の大部分が片仮名文字の「コラージュ」で表示されている。また、本件商標の登録出願後から査定前に広告等がされた153件のうち、片仮名文字のみで表示された「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」が全体の約83%に当たる128件を占め、その他の商品にしても、商品写真の包装容器には、「Collage」(筆記体)の表示があるものの、広告の大部分が片仮名文字の「コラージュ」で表示されている。
そうすると、広告等における「Collage」(筆記体)の表示は、本件商標の登録出願前はもとより、その査定時においても、需要者の印象に残るほど多いものとはいえない。
また、請求人が行ったとする販促活動についてみるに、キャンペーンは、本件商標の登録出願前と査定前に、それぞれ1回ずつ行われたにすぎず、ポイントサービスの実施にしても、本件商標の登録出願前に2回行われたにすぎないものであり、キャンペーンのチラシや「コラージュ倶楽部プレゼント」の案内、「コラージュ倶楽部通信」、「コラージュシーダー」会誌には、片仮名文字の「コラージュ」が目立つ態様で表示されているものである。しかも、上記チラシや案内、会誌等(請求人商品のパンフレットを含む。)の発行部数や配布地域なども不明である。
さらに、「コラージュ製品広告費推移」や「コラージュ製品販売推移」についてみると、これらを裏付けるに足る証拠の提出はない。仮に広告費や販売実績が甲第19号証、甲第20号証のとおりであったとしても、上記のとおり、本件商標の登録出願前及び査定時を通して、片仮名文字よりなる「コラージュフルフル」や「コラージュ」などを表示した広告が圧倒的に多く、「Collage」(筆記体)の表示は、商品の包装容器にみられるなどごくわずかであることからすれば、「コラージュ製品広告費」が多いものであったとしても、これらの広告により、「Collage」の表示が需要者に印象づけられたと認めることは困難であるといわざるを得ないし、また、「販売実績」にしても、その商品中には、「Collage」の表示とは態様の異なる「コラージュフルフル」等が含まれており、たとえ「販売実績」が多いものであったとしても、これにより「Collage」の表示の著名性が直ちに肯定されるものではない。
キ 以上によれば、請求人の使用に係る「コラージュ」の表示は、請求人の業務に係る商品を表示するための商標として、本件商標の登録出願時には、化粧品や石けん類等を取り扱う商品分野の需要者の間で周知なものであったと認めることができる。
しかしながら、請求人の使用に係る「Collage」の表示についてみれば、前記カ認定のとおり、新聞・雑誌における広告、キャンペーンのチラシ等において、商品の包装容器にみられるなどごくわずかであること、請求人商品の広告費や売上実績から直ちに「Collage」の表示の著名性を是認することは困難であることが認められ、これに加えて、近時、動物の皮革・腱・軟骨などを構成する硬蛋白質の一種で、健康食品や本件商標の指定商品中の化粧品、石けん類などをはじめとする様々な商品分野で、新陳代謝をよくする、あるいは、肌や髪が若返えるなどといった効果をもたらす物質として、「コラーゲン(collagen)」が一般世人の強い関心を集めており、また、該「コラーゲン(collagen)」は、各種商品の原材料として普通に使用されている実情にあることは周知の事実といえること、さらに、「Collage」の語は、「貼付け絵、コラージュ」等を意味するフランス語(甲第8号証)であり、化粧品等の分野における需要者にとって比較的馴染みの薄い絵画・美術用語であるといえるから、片仮名表記の「コラージュ」より「貼付け絵、コラージュ」等の意味を理解することがあるとしても、「Collage」の文字を直ちに「コラージュ」と読み、かつ、その意味を理解することができるか、あるいは逆に、「コラージュ」の文字より直ちに「collage」の綴り文字を思い浮かべることができるかは大いに疑問のあるところであり、上記のとおり、「コラーゲン(collagen)」なる物質が一般世人の強い関心を集め、化粧品等の原材料として普通に使用されている状況において、請求人商品の包装容器に表示された「Collage」に接する需要者は、該「Collage」の表示が上記「collagen」と末尾において「n」の文字の有無の微差にすぎないものであるところからすると、化粧品等の原材料としての「コラーゲン(collagen)」を表示したものと見誤るおそれが高く、請求人の商標と認識され得ない場合も相当にあると推測されることを考慮すると、「Collage」の表示それ自体は、本件商標の登録出願前より、化粧品等の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)出所の混同
以上のとおり、請求人の使用に係る「Collage」の表示それ自体は、本件商標の登録出願前より、化粧品等の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり、加えて、前記1認定のとおり、本件商標中の「COLLAGE」の文字部分は、「DEEP」の文字部分と外観上軽重の差なく一体的に結びつき、欧文字全体が「ディープコラゲ」との称呼のみを生ずる造語を形成しているものであって、かかる構成よりなる本件商標にあって、その構成中の「COLLAGE」の文字部分のみが独立して、その需要者に強く印象づけられるものとはいえない。
そうすると、本件商標に接する需要者がこれより直ちに請求人の使用に係る「Collage」の表示を想起又は連想するとみることはできず、まして、「コラージュ」の表示を想起又は連想することはないというべきである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が請求人又は請求人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
(3)請求人の主張について
請求人は、引用商標の著名性については、無効2003-35264に係る審決において、平成12年10月20日の時点で獲得していたと認定されている旨主張し、甲第22号証を提出する。
しかし、本件においては、提出された甲各号証により、前記のように、引用商標中の「Collage」の文字部分は、本件商標の登録出願前はもとより、その査定時においても、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、化粧品、石けん類等の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない旨認定したところであり、その判断は、上記審決に左右されるものではない。その他、引用商標中の「Collage」の文字部分の著名性を前提にした請求人の主張は、いずれも前提において誤りがあるというべきである。したがって、上記請求人の主張は理由がない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 引用商標3


審理終結日 2008-04-09 
結審通知日 2008-04-15 
審決日 2008-04-30 
出願番号 商願2005-104304(T2005-104304) 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (Y03)
T 1 11・ 261- Y (Y03)
T 1 11・ 263- Y (Y03)
T 1 11・ 271- Y (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
津金 純子
登録日 2006-10-13 
登録番号 商標登録第4994961号(T4994961) 
商標の称呼 ディープコラゲ、ディープコラーゲ、ディープコラージ 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 工藤 莞司 
代理人 佐藤 英二 
代理人 網野 友康 

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