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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y25
管理番号 1192324 
審判番号 不服2006-9416 
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-10 
確定日 2009-01-27 
事件の表示 商願2005-10252拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成17年1月27日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原審において本願の拒絶の理由に引用された登録第904167号商標は、「バンベール」の文字を横書きしてなり、昭和44年5月8日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同46年6月28日に設定登録され、その後、同56年10月30日、平成3年9月27日及び同13年1月30日の3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年3月7日に指定商品を第24類「布製身の回り品,布団,布団カバー,まくらカバー,敷布,毛布,布団側」及び第25類「被服」とする書換登録がなされ、当該商標権は現に有効に存続するものである。
同じく登録第1360351号商標は、「VINVERT」及び「バンベール」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和49年11月1日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として同53年11月30日に設定登録され、その後、同63年11月16日、平成10年12月15日及び同20年6月17日の3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、当該商標権は現に有効に存続するものである。
以下、これらを一括して「引用商標」という。

3 原査定の拒絶理由の要点
本願商標と引用商標とは称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、両者の指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件審判の審理に関連して調査したところ、以下の事実が判明した。
請求人(出願人)は、平成11年4月15日に、本願の指定商品と同一の商品を指定商品として本願商標と全く同一の構成からなる商標について登録出願した(平成11年商標登録第32723号。以下「前出願」という。)ところ、平成12年6月15日に拒絶査定を受けたので、これを不服として同年9月21日に審判を請求した(不服2000-16996)。審判では、請求は成り立たないとする審決(以下「前審決」という。)がされたので、請求人は、この審決の取消を求めて東京高等裁判所(以下「東京高裁」という。)に出訴した。東京高裁は、この訴えを平成16年(行ケ)第49号審決取消請求事件として審理した結果、原告(請求人)の請求を棄却するとの判決(以下「前判決」という。)をした。請求人は、さらに最高裁判所に上告及び上告受理の申立てをした(平成16年(行サ)217号及び平成16年(行ノ)211号)ものの、平成17年1月19日に上告却下及び上告受理申立却下の判決がされ、上記前判決及び前審決は確定した。
(2)上記のとおり、本願は商標及び指定商品を上記前出願に係る商標及び指定商品と全く同一にするものである。加えて、請求人(出願人)は本願商標の審査段階及び当審において種々主張し、証拠を提出しているが、その主張内容は、前判決において認定された原告主張とほぼ同じであり、提出された証拠も甲第76号証(証明書2001年8月24日鈴木泰人)、甲第94号証(「Vent Vert PAR PIERRE BALMAIN」2004年3月31日付売り先リスト)及び甲第95号証(「Vent Vert PAR PIERRE BALMAIN」2004年3月31日付売上高(2000?2003)等が追加されたのみである。しかも、本願は、前判決の言渡時(平成16年9月30日)から余り時間を置かずに出願されたものであり、判決時から本願の出願時までの間に本願商標・指定商品に係る取引の実情等において大きな変更があったものともいい難い。
そうすると、本件審判は、拒絶査定不服審判であるから、商標法第56条において準用する特許法第167条に規定する一事不再理の原則は適用されないとしても、同じ主張及び証拠をもって、いたずらに審判を繰り返し請求することに等しく、行政効率上、訴訟経済上決して好ましいことではない。また、前判決は、審決を取り消す判決ではないから、行政事件訴訟法第33条第1項により当事者たる行政庁(特許庁)を拘束するものではないとしても、少なくともその確定判決の既判力は、当事者たる請求人にも及ぶものと考えるのが自然である。
(3)仮に、本件審判に関し、前判決の既判力が及ばないとしても、当審は、以下のとおり、本願商標については、前審決及び前判決で示された理由と同様に、登録されるべきでないと判断するものである。
(ア)本願商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、全体をもって常に不可分一体にのみ把握されるべき格別の事情があるものとは認められないし、その構成中のやや図案化した「Vent」及び「Vert」の文字は、二段に表されているとはいえ、外観上まとまりよく一体的に看取されるのに加え、他の文字部分に比べ、大きく顕著に書され、書体も明らかに異なるものであるから、「Vent Vert」の文字部分自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
そして、「Vent Vert」の文字は、「緑の風」程の意味を有するフランス語であり、また、本願の指定商品を取り扱う業界においてはフランス語が比較的馴染まれていることから、フランス語読みに「ヴァンヴェール」の如く発音されるといえるところ、「ヴァ」及び「ヴェ」の音は、日本語の発音にはない音であって正確に発音され難く、日本人には馴染まれた近似した音である「バ」及び「ベ」に置き換えて発音される場合も少なくないものである。
そうすると、本願商標は、「Vent Vert」の文字部分より「バンベール」の称呼をも生ずるものというべきである。
他方、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「バンベール」の称呼を生ずるものであり、特定の既成観念を有しない造語よりなるものと認められる。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較することができないとしても、「バンベール」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならず、かつ、両者の指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(イ)請求人は、最高裁判決(最高裁昭和43年2月27日判決・民集22巻2号399頁)の示すとおり、商標の類否判断において対比する両商標を「全体的に考察する」のは当然であり、本願商標の一構成要素にすぎない「Vent Vert」を分離して引用商標と比較すべきではない旨主張する。
確かに、商標の類否判断に当たって対比する両商標を全体的に考察すべきであることはそのとおりであるが、一方で、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して考察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているのでない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。そして、この場合、1つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和38年12月5日判決 民集17巻12号1621頁)。
これを本件についてみれば、本願商標は、上記(ア)のとおり、「Vent Vert」の文字部分をもって簡略に称呼、観念され、「バンベール」の称呼をも生ずるものと判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
(ウ)請求人は、商標法第50条第1項の登録商標の定義及び当庁の審判便覧による運用からしても、「Vent Vert」は「Vent Vert PAR PIERRE BALMAIN」の同一性の範囲内にないからから、「Vent Vert」の部分のみを分離して商標の類否判断をすべきではない旨主張する。
しかしながら、商標法第50条第1項の趣旨は、商標権者がその登録商標を現実に使用していない場合、その商標には業務上の信用が化体していないからこれを商標権者に独占させておくべき理由がなく、これを取り消すとするものである。これに対し、同法第4条第1項11号は、商品又は役務の出所の混同を生じ得る商標が新規に登録されるのを排除するための規定である。このように、両者は立法趣旨を異にしているうえ、前者における「社会通念上同一」と後者における「類似」とは文言自体が異なるのであるから、それぞれに該当する商標の範囲が異なってくることも当然であるといえる(「同一」の方が「類似」よりも狭いことは明らかである。)。したがって、審判便覧の示す基準に従えば「Vent Vert」が同法第50条第1項にいう本願商標の同一性の範囲に属しないことと、「Vent Vert」のみを本願商標から分離して引用商標との類否判断することとが相矛盾するとはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用することができない。
(エ)請求人は、過去の登録例(甲第80号証ないし甲第93号証)に照らしても、原査定が、本願商標のうち「Vent Vert」の部分のみを抜き出して類否の判断を行い、本願商標は引用商標と類似すると判断したのは誤りである旨主張する。
しかしながら、請求人の指摘する登録例を個々に検討すると、請求人の主張は成り立たない。例えば、甲第80号証ないし甲第83号証によれば、「PASTEL パステル」の既登録商標があるにもかかわらず「Pastel de GRES」が登録された事実は認められるが、「PASTEL」の部分は指定商品である化粧品についてその性状(「パステル調」など)を記述的に表したものであって識別力が弱いこと、「Pastel de GRES」をフランス語読みした呼称である「パストゥルドゥグレ」は冗長とはいえないから「Pastel」と「de GRES」とが分離して称呼、観念されるとは必ずしもいえないこと等の点において引用商標と本願商標との類否判断とは状況を異にしている。
また、甲第84号証の「Salon de Washington」と甲第85号証の「SALON サロン」、甲第88号証の「JUNK by Junko Shimada」と甲第89号証の「JUNK」の各事例では、指定商品が異なっているから、商品が類似しないという判断の結果として登録がなされたことも考えられる。甲第86号証の「SUI by ANNA SUI」は、これを一連のものとして「スイバイアナスイ」と呼称することが冗長であるとはいえず、必ずしも最初の「SUI」のみを分離して甲第87号証の「SUI スイ」との類否判断をするべきだともいえない。このように、これらの登録例はいずれも本件とは事案を異にしており、原査定の判断と必ずしも矛盾するものとはいえない。
また、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(オ)請求人は、本願商標はローマ字読み又は英語読みした「ヴェントヴェルトパルピエルレバルマイン」又は「ヴェントヴァートパーピアリーバルメイン」の称呼を生じ、構成中の「Vent Vert」の文字からは、「ヴェントヴェルト」又は「ヴェントヴァート」の称呼のみが生ずるとし、本願商標の指定商品の取引者、需要者の相当多数が欧文字を正確なフランス語読みで発音できるという事実はないから、本願商標から「ヴァンヴェール」の称呼は生じない旨主張する。
しかしながら、英語で「穴、口」等を意味する「vent」はともかくとして、「vert」は、英語にも存在する単語ではあるが、一般的な英和辞典にも収録されていないものであるから、「Vent Vert」を英語読みする動機付けを与えられる者はほとんどないというべきである。
そして、本願商標の指定商品は被服等のいわゆるファッション製品であり、かかる商品の商標名としてはフランス語が好んで用いられる傾向にあることは、その相当多数が本願商標をフランス語読みすることの動機付けがある。また、請求人がフランスに本拠を置き世界的にも著名なオートクチュールであり、その名称である「PIERRE BALMAIN」を構成部分として含む本願商標にあっては、「Vent Vert」の部分についてもこれをフランス語として読もうとするのが自然であるといえる。したがって、「Vent Vert」という表記からは、これをフランス語読みした「ヴァンヴェール」の称呼が生じると認めるのが相当である。
また、請求人自身が「Vent Vert」をフランス語の読み方にその称呼を特定している。
よって、請求人の上記主張は採用することができない。
(カ)請求人は、本願商標中の「Vent Vert」の部分から「ヴァンヴェール」の称呼が生ずるとしても、それは請求人の周知のブランド「PIERRE BALMAIN」の「緑の風」を意味するサブブランドとして周知となっているからであり、「バンベール」の称呼は生じない旨主張する。
確かに、正確なフランス語の発音においては、「v」の綴りを含む語(「ヴァ」「ヴェ」)と、「b」の綴りを含む語(「バ」「ベ」)とが音として識別され得ることは公知の事実である。しかしながら、子音「b」が日本語に存在する音であるのに対し、子音「v」は日本語の発音には元々存在していなかった音であることも公知の事実であり、日本人としては、「v」音の発音や聴別が必ずしも容易ではないため、日本国内における日常会話や一般商取引の場等において、子音「v」を含む語(外国語又は外来語)が用いられる場合においても、その綴りの部分が正確に発音され難く、むしろ、日本人にとってなじみ深く、しかも「v」音と発音が極めて近似する子音「b」による発音が「v」音による発音に取って代わり、これに伴って、その表記においても、本来の「ヴァ」、「ヴィ」、「ヴ」、「ヴェ」、「ヴォ」の各片仮名文字に代わって、「バ」、「ビ」、「ブ」、「ベ」、「ボ」の各片仮名文字が使用されるのが一般的であることは容易に推認することができる。
また、「Vent Vert」を「PIERRE BALMAIN」のサブブランドとし、香水に加え、あらゆるファッション関連製品について使用し、我が国においてその商品展開を行うことを決めた旨が各種新聞等によって報じられたこと等が認められるとしても、「Vent Vert」が「バンベール」ではなく「ヴァンヴェール」と称呼するものであることを殊更強調するものはなく、「ヴァンヴェール」とのみ称呼されるものとして我が国において周知になったものとは認め難い。
そうすると、一般商取引の場等において、本願商標の一部である「Vent Vert」の欧文字がその正確なフランス語読みである「ヴァンヴェール」ではなく「バンベール」と発音されることが多いものと推認され、「Vent Vert」の表記からは「バンベール」の称呼も生ずるものと認めるのが相当である。したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(キ)請求人は、「Vent Vert」が「緑の風」を意味する旨及びこれを請求人の新しいサブブランドとして展開する旨を周知徹底させたから、「Vent Vert」からは「『緑の風』を意味する原告のサブブランド」という周知の観念が生ずる旨主張する。
しかしながら、新聞報道等の事実によってはそのような観念が取引者、需要者間において周知になったと認めるには足りず、また、新聞記事や雑誌広告等の具体的内容からみても、「ヴァンヴェール」が「緑の風」を意味する旨の記載はないから、たとえ請求人自体は著名であっても、「Vent Vert」が「『緑の風』を意味する「PIERRE BALMAIN」のサブブランド」という観念を有するものであることが我が国において周知となったとは認められない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(ク)請求人は、本願商標中の「Vent Vert」から「バンベール」の称呼が生ずるとしても、本願商標には「PAR PIERRE BALMAIN」の表記が存するから、本願商標の構成自体からも、本願商標を使用した商品の出所が著名な原告であることが明示されており、出所の混同は起こり得ないと主張する。
しかしながら、上記のとおり、本願商標において「PAR PIERRE BALMAIN」の部分は「Vent Vert」の部分と不可分一体をなすものではないから、簡易迅速をたっとぶ取引の実際においては、本願商標のうち「PAR PIERRE BALMAIN」の部分が省略されて用いられる場合のあることは否定できない。また、本願商標に接した一般消費者が時と所を異にして引用商標に接したときには、本願商標中の「Vent Vert」の部分のみを記憶しており、かかる記憶をもとに引用商標との対比を行うことも十分に考えられる。そうすると、本願商標の構成に「PAR PIERRE BALMAIN」が含まれていることをもってしても、常に出所の混同を避けることができるとは限らない。
そして、不服2000-16996で提出した証拠に加えて、当審において新たに提出した甲第76号証、甲第94号証及び甲第95号証によっても、上記認定、判断を覆すには足りないものであり、他に、具体的な取引の実情において、本願商標を付したその指定商品と、引用商標を付したその指定商品との間に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがないといえるような事情を認めるに足りる証拠はない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(4)以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 本願商標


審理終結日 2008-06-27 
結審通知日 2008-07-18 
審決日 2008-08-19 
出願番号 商願2005-10252(T2005-10252) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 前山 るり子
末武 久佳
商標の称呼 バンベールパルピエールバルマン、バンベール、バン、ベール、パルピエールバルマン、ピエールバルマン、ピエーレバルマン、ピエール、ピエーレ、バルマン、バルマイン、ベントバートパーピエールバルメーン、ベントベルトパーピエールバルメーン、ベントバート、ベントベルト 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 古木 睦美 
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