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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y093642
管理番号 1190995 
異議申立番号 異議2008-900025 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-01-21 
確定日 2008-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5085270号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5085270号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5085270号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成18年1月27日に登録出願、第9類、第36類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年10月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(5)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4423060号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成11年10月27日に登録出願、第9類、第16類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成12年10月6日に設定登録されたものである。
(2)同じく、国際登録第813016号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成14(2002)年10月10日にドイツ国を第一国とするパリ条約に基づく優先権を主張して、平成15(2003)年4月8日に国際登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年2月10日に設定登録されたものである。
(3)同じく、国際登録第813017号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成14(2002)年10月10日にドイツ国を第一国とするパリ条約に基づく優先権を主張して、平成15(2003)年4月10日に国際登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年2月10日に設定登録されたものである。
(4)同じく、国際登録第813002号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、平成14(2002)年10月10日にドイツ国を第一国とするパリ条約に基づく優先権を主張して、平成15(2003)年4月10日に国際登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年2月25日に設定登録されたものである。
(5)同じく、国際登録第807987号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲6のとおりの構成よりなり、平成14(2002)年10月10日にドイツ国を第一国とするパリ条約に基づく優先権を主張して、平成15(2003)年4月10日に国際登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成16年9月24日に設定登録されたものである。
以下、これらを一括していうときは「引用各商標」という。
2 申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、その構成中アルファベットの「t」を肉太の円輪で囲むいわゆる本件商標の図形部分(以下「本件商標の図形部分」という。)が要部の一つであることは明らかである。
イ 本件商標の図形部分と引用商標1及び引用商標2との類似性について
引用商標1及び引用商標2は、黒色又は赤色でアルファベットの「t」の終筆部(tail)を一筆書き風にそのまま伸ばして同文字部分を肉太の円輪で囲むように表したものである。
そして、このようにアルファベット(特に小文字)を一筆書き風に、かつ、記号的に表示する手法は、格別目新しいものではなく、巷間しばしば見受けられる(例えば「@」など)。そうとすれば、引用商標1及び引用商標2に接する需要者はいずれもアルファベット「t」とこれを囲む円図形との特徴をもって印象づけられるものといえる。
一方、本件商標の図形部分の構成は、上記のとおりアルファベット「t」を円輪で囲む形象からなるものである。
そこで、この両者を対比するに、両者はともにアルファベット「t」及びこれを円輪又は円輪状に囲む図形からなる点で構成の軌を一にし、外観上の特徴を同じくする結果、需要者が時と処を異にしてそれぞれに接した場合、その全体的印象を同じくするため、彼此見誤るおそれが少なからずあるといわなければならない。
ウ 本件商標の図形部分と引用商標3、引用商標4及び引用商標5との類似性について
引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、それぞれ黒地方形内中央を略円形に白抜きし、その中心に上記引用商標1及び引用商標2とほぼ同様の記号図形を表したもの、あるいは、この略円形を赤色または黒色とし、その中心に上記引用商標1及び引用商標2とほぼ同様の記号図形を表したものであって、いずれの場合も「t」の文字及び円図形を一筆書き風に描いた構成を基軸とする。そこで、本件商標の図形部分を引用商標3、引用商標4及び引用商標5と対比するに、両者は上記イの場合と同様に構成の軌を一にする結果、時と処を異にして離隔的に観察した場合、需要者は彼此見誤るおそれがあるといわなければならない。
エ 本件商標の図形部分と引用各商標の称呼・観念について
両者のそれぞれについて称呼・観念の視点からみた場合、本件商標は丸に「t」(ティー)、すなわち「マルティー」又は「ティーマル」の称呼及び観念を生じ得るのに対して、引用各商標の場合も「t」(ティー)に丸、すなわち「ティーマル」又は「マルティー」の称呼・観念を生じ得るものといえるから、この点においても両者は彼此相紛らわしい。
オ 以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、その外観・称呼及び観念のいずれにおいても彼此相紛らわしい類似の商標であり、かつ、その指定商品及び指定役務について抵触すること明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用各商標の周知性について
申立人は、欧州最大の情報通信キャリアであって世界50か国で約24万人を雇用する巨大企業で、旧西ドイツ国有の郵政・通信公社であったブンデスポストが1990年に分割・民営化され、通信部門の株式会社化に伴いドイツ・テレコムと改称されたものであり、日本にも事業所を保有している(甲第7号証ないし甲第9号証)。
このように申立人が永年にわたり世界各国において多額の資金を投じて宣伝・広告を行い、営業努力を積み重ねた結果、申立人商標「t」には多大な業務上の信用が蓄積されるに至っており(甲第10号証)、我が国の通信サービスの分野を中心にそのほか通信を媒体とする広告サービス等の取引分野において周知である。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者間に広く認識されている引用各商標と類似する商標であり、かつ類似の商品及び役務について使用するものといわなければならない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にも違反して登録されたものである。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定より取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲1のとおり、左側に太い円輪郭の中に、やや左下方向に延びる円輪郭と同じ太さの棒線を下部が右方向に小さく跳ねるようにし、その棒線の上端のやや下方部分から右方向に上記跳ね部分と同程度の長さの横線を前記縦線の半分程度の太さで描いてなる図形を配し、その右側に「thawte」の文字を書し、その右下方に小さな文字で「it’s a trust thing」の文字を書してなるものであるが、全体を一体としてのみ認識すべきとする事情もないから、図形部分及び文字部分のそれぞれが自他商品・役務識別標識としての機能を果たすものと認められるものである。
また、文字部分については、「it’s a trust thing」の文字は、「信頼できるもの」程度の意味を表す付記的部分と認められ、「thawte」の文字は、特段意味を有しない造語と認められるから、「ソート」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものと認められる。
他方、引用商標1及び引用商標2は、別掲2及び3のとおりの構成よりなるところ、前者が黒色で後者は赤色で表されているほか、中央の縦線と横線の先端部分の太さ、描き方にやや相違するところがあるものの、ともに、中央部にやや左下方向に斜めのアルファベットの小文字の「t」状の部分があり、その「t」状部分の右方向に跳ねる部分が「t」状部分を渦巻き状に一周強廻るように描かれてなる図形である。
また、引用商標3ないし引用商標5は、それぞれ別掲4ないし6のとおりの構成よりなるところ、引用商標3は、黒色四角形内を円状に白抜きにし、その中央部にやや左下方向に斜めのアルファベットの小文字の「t」状の部分があり、その「t」状部分の右方向に跳ねる部分が「t」状部分を渦巻き状に4分の3周程度廻るように描き、その末端が外側の黒色四角形に吸収されるように描かれてなるものであり、引用商標4は、赤色円形内の中央部にやや左下方向に斜めのアルファベットの小文字の「t」状の部分があり、その「t」状部分の右方向に跳ねる部分が「t」状部分を渦巻き状に4分の3周程度廻るように描き、その末端が赤色円の外側に広がるように描かれてなるものであり、引用商標5は、引用商標4の図形の円形部分が黒色で描かれているものである。
そこで、本件商標と引用各商標とを比較するに、本件商標の図形部分は、円輪郭と中央の図形の縦線部分が同じく太く描かれ、円輪郭と中央部分の2つの部分からなる円形図形として印象を受けるのに対し、引用各商標は、中央の「t」状の末尾の部分が中央部分を渦巻くように表された一体の図形と看取されるから、その印象において大きく異なるばかりでなく、本件商標の円内の図形は、前記のとおり、上部の横線部分が縦線から右方向にのみ描かれているが、引用各商標の中央の「t」様の部分は、横線が縦線から左右に延びており、明らかに印象を異にするものである。
そうすると、本件商標の図形部分と引用各商標とは、その描出方法を著しく異にし、図形全体から受ける視覚的印象を全く異にするものであるから、これを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものというべきであり、ともに特定の称呼、観念を生ずることはないものとみるのが相当である。
申立人は、本件商標と引用各商標は、ともにアルファベット「t」及びこれを円又は円状に囲む図形よりなる点において構成の軌を一にするから、外観上の特徴を同じくし、ともに「丸に『t』」、「『t』に丸」の観念及び「ティーマル」、「マルティー」の称呼を生じ得る旨主張しているが、前記のとおり、本件商標と引用各商標の構成は明らかに異なり、構成の軌を一にするものとはいえないし、いずれもその構成は、「アルファベット『t』及びこれを円又は円状に囲む図形」ではないから、原告主張の称呼及び観念が生ずるとはいうことができない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第10号について
申立人は、引用各商標を使用し、需要者間に広く認識されているとして、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当すると主張しているが、本件商標は、上記認定のとおり、引用各商標とは十分に区別し得る類似しない商標であるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項11号、同第10号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標1


3 引用商標2

(色彩は原本参照)

4 引用商標3


5 引用商標4

(色彩は原本参照)

6 引用商標5


異議決定日 2008-11-26 
出願番号 商願2006-6548(T2006-6548) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (Y093642)
最終処分 維持  
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 2007-10-19 
登録番号 商標登録第5085270号(T5085270) 
権利者 ベリサイン インコーポレイテッド
商標の称呼 ソート、ソーテ、ザウト、ザウテ、イッツアトラストシング、マルテイ、テイ 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
代理人 森下 夏樹 
代理人 山本 秀策 
代理人 安村 高明 

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