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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X1239
管理番号 1190808 
審判番号 不服2008-7780 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-31 
確定日 2009-01-08 
事件の表示 商願2007- 52176拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第12類「鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品」及び第39類「鉄道による輸送,車両による輸送」を指定商品及び指定役務として,平成19年5月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,黒塗りの長方形中の上段に白抜きの文字でやや大きく『DMV』の文字を配し,また,その下段に白抜きの細長い長方形を配しその中にやや小さく『Dual Mode Vehicle』の文字を配してなるところ,その記載方法は,近年,やや図案化して表現することが一般的傾向である実情よりすれば,未だ普通に用いられる域を脱しない程度のものというのが相当である。そして,本願商標中の両文字部分は,本願指定商品及び役務に関連する業界において,それぞれ『鉄道路上兼用車』を意味する略語及び語として使用されている実情が認められる(『現代用語の基礎知識2007』1364頁,『イミダス2007』1258頁)。そうとすると,本願商標は,これを本願指定商品又は指定役務に使用するときは,『鉄道路上兼用車又は該車による役務の提供』であることを認識させるにすぎず,単に商品の品質,用途又は役務の質,用途を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断をして,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,別掲のとおり,黒塗りの横長長方形内に白抜きの太い線で顕著に「DMV」の欧文字を表してなり,その下段の白抜きの長方形内に小さく「Dual Mode Vehicle」の欧文字を黒字で横書きした構成からなるものである。そして,本願構成中の「DMV」の文字は,原審説示のとおり「現代用語の基礎知識2007」(1364頁 自由国民社発行)及び「イミダス2007」(1258頁 集英社発行)に記載があることは認められるとしても,「第2版 略語大辞典」(平成15年2月10日 丸善株式会社発行 415頁)や「知恵蔵2007」(朝日新聞社発行 1163頁)などの他の公知の一般の辞書や書籍などにおいて,「DMV」の文字が,原審説示の意味合いを有する語としての記述を見つけることはできない。
しかして,下段を構成する「Dual Mode Vehicle」の文字部分の「Dual」の文字は,「2部分などからなる,二重の,二元的な」,「2の,2を表す」などの意味を有する英語,「mode」の語は,「やり方,方式,形態」或いは「流行」などの意味の英語,「Vehicle」の語は,「運搬手段,車,乗り物」などの意味を有する英語(いずれも「ランダムハウス英和大辞典 第2版」小学館発行)であり,その表音と認められる「デュアル」,「モード」,「ビークル」の文字が同じ意味合いでカタカナ語辞典(「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」三省堂発行)にも記載されていることからも,一般的にも知られた英語といい得るものである。そうすると,「Dual Mode Vehicle」の文字全体からは,「2つの方式の乗物」程の意味合いを理解させるものである。
以上のことより,辞書等の記載などから勘案すれば,本願商標構成中の「DMV」の文字部分は,特定の観念を有する略語として広く知られているものとはいい難く,本願商標の上下二段に表された構成よりは,下段の欧文字「Dual Mode Vehicle」の頭文字,「D」「M」「V」を表したものと理解されるものであり,下段の「Dual Mode Vehicle」の文字全体の意味合いは,前述のとおり漠然とした意味合いを想起させるにすぎない造語というべきである。
(2)当審における職権による調査について
当審において職権において調査したところ,以下の事実を見つけることができた。
(ア)「【チャイム】道路とレールを自在に走行」の見出しのもと,「◇JR北海道は道路とレールを自在に走行できる新タイプの乗り物(デュアル・モード・ビークル,DMV)の開発に成功,二十八日に試験車を発表した。」との記載(2004年1月29日 産経新聞東京朝刊)。
(イ)「1台で道路も線路も!JR北海道『地方の足』に開発」の見出しのもと,「線路を走っていた車両がそのまま道路に出て,乗り継ぎなしで楽に目的地まで--。70年以上前から欧州などで研究されながら普及しなかったこんな乗り物をJR北海道が3年後には営業運転しようと開発中だ。」との記載(2004年3月6日 朝日新聞東京夕刊)。
(ウ)「山形鉄道がDMVの導入検討へ コスト減,乗客少ない昼間に運行」の見出しのもと,「フラワー長井線を運営する第三セクター・山形鉄道は二〇一〇年度の車両更新期を前に,鉄路,道路ともに走行できるデュアル・モード・ビークル(DMV)の導入に向けて本格的な検討に入る方針を固めた。・・・DMVは,JR北海道が開発に乗り出し,〇七年度の実用化を目指している。」との記載(2005年1月16日 山形新聞朝刊)
(エ)「けいざい・しずおか:富士市,DMV導入へ 線路と道路を走る新型車両/静岡」の見出しのもと,「JR北海道が開発を進めるDMV(デュアル・モード・ビークル)の導入を検討中の富士市の鈴木尚市長は5日,『富士山がきれいに見える11月から1月(の試走)を見込んでいる。・・・』と同車両の市内での走行に意欲を示した。」との記載(2006年4月6日 毎日新聞地方版/静岡)。
(オ)「(会う 歩く 考える)公共交通機関に夢与えるDMV 伊藤誠/大阪府」の見出しのもと,「道路とレールの両方を走ることができる乗り物がある。JR北海道が赤字路線対策として04年に開発したデュアル・モード・ビークル(DMV)だ。」との記載(2007年1月14日 朝日新聞大阪地方版)。
(カ)「新型DMV:JR北海道,11年実用化へ サミットで試験車お披露目/北海道」の見出しのもと,「JR北海道は28日,線路と道路の両用車両『デュアル・モード・ビークル(DMV)』の新型車を開発すると発表した。トヨタ自動車と日野自動車が協力して製作し,定員が今の16人から25人に増える。試験車を7月の北海道洞爺湖サミットで披露する。2011年に本格的営業運転を目指す。」との記載(2008.5.29 毎日新聞 地方版/北海道)。
さらに,「DMV」の文字は,原審説示のとおり「現代用語の基礎知識2007」(1364頁)に「鉄道路上兼用車」の記載はあるが,同じ「現代用語の基礎知識2007」(692頁)には,「デュアル・モード・ビークル」として,「JR北海道が開発した道路と鉄道レールの両方を走行できる車両。DMVともいう。」という説明がなされている。また,「イミダス2007」(集英社発行)に「デュアルモードビークル」として「線路と道路の両方を走れる車両.DMVともいう.」(1258頁)との記載はあるものの,「イミダス2005」(2005年1月1日発行)には「デュアルモードビークル」の記載はなく,「イミダス2006」(2006年1月1日発行)から,「イミダス2007」と同様に片仮名文字の「デュアルモードビークル」についての記載が見つけられた。
(3)請求人提出による証拠について
当審において,請求人が提出した甲第1号証ないし同第25号証(枝番を含む。)によれば,本願商標が請求人の開発に係る線路と道路の両方を走行できる乗り物の名称として,2004年(平成16年)1月頃から新聞,雑誌,テレビなどで多数にわたって取り上げられ(甲第2号証ないし同9号証),全国各地より,試乗,視察,取材等を受け(甲第10号証),静岡県富士市や熊本県では,その導入検討の指針等の中で,「DMV(デュアルモードビークル)」について,「請求人が開発している道路と線路の両方を走ることができる両用車のこと。」と説明されているものであり(甲第14号証及び同15号証),請求人によるDMVの試験的営業運行が行われていること(甲第12号証の1)が認められる。さらに,甲第1号証の「現代用語の基礎知識2004」(2004年1月1日発行 115頁)には,「DMV」の文字は見いだすことはできず,「現代用語の基礎知識2005」(2005年1月1日発行 267頁,1342頁)には,「デュアルモードビークル」及び「DMV」の各文字が掲載されていることからすれば,前記の請求人の開発に関する報道などが,2004年の1月以降のものであることを勘案すると,「現代用語の基礎知識」の記載は,請求人の開発に係る商品についての説明であるといい得るものである。
(4)むすび
これらのことより総合的に判断すれば,「DMV」及び「Dual Mode Vehicle」の語は,2004年1月頃より,請求人(出願人)の開発した乗り物を表すものとして使用されていて,少なくとも鉄道或いはバスなどの車両を取り扱う業界において,請求人(出願人)の取扱いに係る商品を表すものとして使用され,知られてきているということができ,原審説示の「現代用語の基礎知識」及び「イミダス」の記載については,その掲載時期を勘案すれば,請求人の取り扱いに係る商品について書かれたものと推認されるところである。
そうとすれば,本願商標は,自他商品,役務の識別機能を果たし得ない程に商品の品質,役務の用途等を記述的に表示したものではなく,請求人が創作した造語とみるのが相当であるから,これに接する取引者,需要者は,単に商品の品質,役務の用途などを理解するにすぎないというよりは,請求人に係る乗り物及びそれに関連する役務を示すものとして理解されるものであり,自他商品及び役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといわなくてはならない。
したがって,本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当でなく,その理由をもって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他,政令で定める期間内に拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標



審決日 2008-12-03 
出願番号 商願2007-52176(T2007-52176) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (X1239)
最終処分 成立  
前審関与審査官 早川 文宏 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 清川 恵子
末武 久佳
商標の称呼 デイエムブイ、デュアルモードビークル、デュアルモード 
代理人 中村 直樹 

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