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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y363742
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y363742
管理番号 1190745 
審判番号 不服2007-8672 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-27 
確定日 2008-12-10 
事件の表示 商願2006- 49083拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「日本三大美林の家」の文字を標準文字として書してなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」及び第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案」を指定役務として、平成18年5月29日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『日本三大美林の家』の文字を標準文字で表してなるところ、その指定役務との関係において、秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを『日本三大美林』と指称されていることから、本願商標全体として、『秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した家』程の意味合いを看取するもので、これをその指定役務中前記文字に照応する役務、例えば『建物の売買,建設工事,建築物の設計』について使用しても、『秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した建物の売買,秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した建築工事一式,秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した建築物の設計』程の意味合いを記述したにすぎず、結局、本願商標は、役務の質(内容)を表したに止まり、自他役務を区別する標識としての識別力を具有しないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

1 「日本三大美林」の文字及びこれに類する文字が、「秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキ」を指称する語として一般に使用されている事実。
(1)株式会社学芸出版社(2001年5月30日発行)「木と日本人 木の系譜と生かし方」76頁において、「ヒバ」の項に、「木曽のヒノキ林、秋田のスギ林と共に青森のヒバ林として日本の三大美林とされている。」との記載がある。
(2)株式会社講談社(2007年3月6日発行)「講談社 ネイチャー図鑑 樹木」237頁において、「スギ」の項に、「青森のヒバ、木曾のヒノキとともに日本三大美林とされる秋田スギを秋田県水沢保護林で見たときは、心が洗われる思いだった。」との記載がある。
(3)株式会社学習研究社(2000年11月21日発行)「歴史街道トラベルガイド 中山道の歩き方 木曽路をゆく 贄川宿?馬籠宿」65頁において、「上松宿」の「〔赤沢美林〕」の項に、「木曽ヒノキを主体とした天然林で、日本三大美林の一つに数えられている。」との記載がある。
(4)JTBパブリッシング(2005年3月1日発行)「アイじゃぱん…30 木曽路を歩く」35頁において、「赤沢自然休養林」の項に、「秋田スギ、津軽ヒバとならぶ日本三大美林の一つ、木曾檜の天然林がある赤沢の森には、ほかにもサワラ、ネズコ、アスナロ、コウヤマキといった木曾五木が生い茂り、案内表示に従いながらそれぞれ趣の異なる散策を楽しめるようになっている。」との記載がある。
(5)株式会社山川出版社(2006年11月25日発行)「歴史散歩20 長野県の歴史散歩」172頁において、「赤沢自然林は樹齢300年という天然ヒノキにおおわれ、日本三大美林の1つとして知られる。」との記載がある。
(6)実業之日本社(2002年4月22日発行)「ブルーガイドニッポン 21 木曽・伊那・多治見 第3改訂版」44頁において、「赤沢自然休養林」の項に、「樹齢300年を超える天然ヒノキに覆われた森。秋田杉、津軽ヒバと並ぶ、日本三大美林に数えられている。」との記載がある。
(7)信濃毎日新聞社(2007年5月1日発行)「新版 中山道69次を歩く-究極の歩き方 120」94頁において、「上松宿」の項に、「尾張藩が管理した材木役所が置かれた上松は、日本三大美林の木曽五木の集散地として発展しヒノキの里と呼ばれる。」との記載がある。
(8)株式会社講談社(平成9年10月3日発行)「FRIDAY」30頁において、「日本三大美林 木曽ヒノキの国有林は、青森ヒバ・秋田スギと共に『日本三大美林』と呼ばれてきた。国有林の現状を木曽『美林』で見た。」との記載がある。
(9)「ウィキペディア『フリー百科事典』」のサイトの「日本三大一覧」の項目(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%89%E5%A4%A7%E4%B8%80%E8%A6%A7)中に、「日本三大一覧は、日本を代表する三つのものの一覧。三大美林 青森ヒバ、木曽ヒノキ、秋田スギ(平成10年林業白書)」との記載がある。
(10)「Welcome to Our HomePage 鹿児島や全国のグルメ情報」のサイトの「日本三大○○」の項目(http://www3.ocn.ne.jp/~gourmet/nihonsandai.htm)中に、「日本三大美林 青森ヒバ(下北・津軽半島) 木曽ヒノキ(長野県木曽川流域) 秋田スギ(秋田県米代川流域)」との記載がある。
(11)「みんなの森 データ編」のサイトの「日本の森林」、「日本の森林マップ」、「代表的な人工林と三大美林マップ」の項目(http://www.minnanomori.com/japanese/j_info03/j_graph302/j_frame302.html)中に、「出典:林業白書 平成10年度版」の日本地図上に、「青森ヒバ(日本の三大美林) 秋田スギ(日本の三大美林) 木曽ヒノキ(日本の三大美林)」との記載がある。
(12)「農林水産省」のサイトの「過去の白書情報(平成元年度から平成15年度)」、「森林・林業白書 ・平成10年度」、「平成10年度 林業の動向に関する年次報告 第1部林業の動向 基本認識─健全な森林を21世紀に引き継ぐために?」、「我が国の原生的な天然林と代表的な人工林(例)及び三大美林」の項目(http://www.maff.go.jp/hakusyo/rin/h10/html/r1000001.htm)中に、日本地図と共に、凡例欄には、「■?■は三大美林 ■青森ヒバ■秋田スギ■木曽ヒノキ」との記載がある。
(13)「林野庁」のサイトの「所管事業の概要」の項目(http://www.rinya.maff.go.jp/mf2/mf2.html)中に、「(日本の三大美林) 青森ヒバ 秋田スギ 木曽ヒノキ」との記載がある。

2 指定役務を取り扱う業界において、「秋田杉」、「青森ヒバ」、「木曽ヒノキ」が、家の建築材として普通に使用されている事実。
(1)「株式会社大船住研」のサイトの「新築住宅 秋田杉の家」の項目(http://www.o-jk.co.jp/050701/shinchiku/akita1.html)中に、「秋田県の清らかな水と大地は豊かな実りを与え、厳しい冬の寒さはそれらに強さを植えつけました。その中でも秋田県の名産でもある秋田杉は古くから人々に愛され、豊臣秀吉が乗る船を作った事により有名になりました。材質は鮮紅色で光沢が良く、軽くて弾力に富むところから建築材をはじめ家具、木工品などに幅広く利用されています。」との記載がある。
(2)「株式会社大野木材」のサイトの「施工例紹介」の項目(http://www.ohnomokuzai.com/menu2.html)中に、「落ち着く『我家』 天然秋田杉の家 生活をしていてとても落ち着く我家です。 自分達では自然に生活の一部になった杉の香りもお客様がいらっしゃると最初はびっくりするみたいですね。」との記載がある。
(3)「有限会社双和建設工業」のサイトの「自然素材で造る秋田杉の家」の項目(http://www.so-wa.info/akitasugi.html)中に、「■いつの間にか接着剤で張り合わせた板を使ったり、なんの変哲もないボードに紙を張って見た目を良くしただけの壁のが当り前になってしまった住宅建築。でも本当にそれが望んでいた住宅でしょうか?自然素材で造る秋田杉の家が様々な悩みを解決します。■オール秋田杉健康住宅は、さらに、稲の籾殻を炭化した『薫炭』に着目し、脱臭機能も加わった『炭』を高度に住宅に取りいれることによって高機能な、本当の健康のための住宅を目指しています。」との記載がある。
(4)「有限会社みずほ工務店」のサイトの「香りのおもてなし『青森ヒバの家』」の項目(http://mizuho.ycaweb.jp/kaorinoie.html)中に、「高温多湿な日本の風土が招く、これらの住宅事情に適している木材が『青森ひば』なのです。湿気=カビ・白ありに『青森ひば』は抜群の力を発揮します。ぬくもりの建材『青森ひば』は住む人だけではなく、来訪者を香りでお迎えします。住まいは生きる力を回復させる場所です。『青森ひば』には、その力があります。」との記載がある。
(5)「ヒバログホーム」のサイトの「自然の住まい 無垢の家 青森ヒバのログハウス」の項目(http://www.0175.co.jp/hibalog/)中に、「樹齢200年を超える国産の天然木、青森ヒバ・木曾ヒノキ・秋田杉は昔から『日本三大美林』と呼ばれ、最高の建築材として使用されてきましたが乱伐のため、木曾ヒノキ・秋田杉はほとんどなくなり、市場に出回るのは青森ヒバ天然木のみとなりました。」との記載がある。
(6)「青森県住宅リフォーム推進協議会」のサイトの「青森県産材使用リフォーム事例集」の項目(http://www.aomori-aba.or.jp/reform/case01.html)中に、「現代テイストに満ちた青森ヒバの家 渡り廊下でつながる増築部分は、母屋のコンセプトを受け、青森ヒバを主材料に、明るく機能的な『現代テイストに満ちたヒバの家』になっています。車椅子にも対応できるバリアフリーの床や建具への配慮が、ゆったりした住空間を演出しています。」との記載がある。
(7)「株式会社大雄」のサイトの「信州木曽檜の家」の項目(http://www2.ocn.ne.jp/~daiyu/kisonoie.htm)中に、「細かな年輪が美しく、特殊な香気を放つ木曽のヒノキ。…。秋田杉・青森ヒバとともに日本三大美林のひとつといわれる木曽のヒノキ林が建材なのは江戸時代に尾張藩によって厳しく伐採が禁じられ、明治維新後は国有林となって手厚く保護されてきたためです。ヒノキと似ているサワラ・ネズコ(クロベ)・アスヒ(アスナロ)・コウヤマキもあわせて禁伐とされ『木曽五木』と呼ばれた天然の木曽五木は、木曽深山に自然に生えた幼稚樹が厳しい自然環境の中、250年の時を生き抜いた天然木です。」との記載がある。
(8)「株式会社 夢・建築工房」のサイトの「施工ミュージアム」の項目(http://www.yumekenchiku.co.jp/musium.htm)中に、「GN邸 -3層吹抜と木(木曽ヒノキ)の家-ソーラーサーキットの家」との記載がある。
(9)「長野県上伊那地方事務所」のサイトの「県産材住宅見学会を実施しました」の項目(http://www.pref.nagano.jp/xtihou/kamiina/rinmu/page/01sirase/fukyu/H18event/kensanzai/jutakukengakukai.htm)中に、「伊那地方事務所と伊那谷流域林業活性化上伊那地区協議会では、去る平成18年11月26日に県産材住宅見学会を実施しました。…。また、館設計工房さんは長野県が認定している『信州木づくりの家』認定グループのひとつである、『木曽のヒノキで家をつくる会』のメンバーになっておられます。古材の逞しいアカマツの梁と、ところどころに使われている木曽ヒノキのマッチングが見事でした。また、館設計工房さんではローコストでつくる木曽ヒノキの家にも取り組まれているそうです。」との記載がある。

3 以上のとおり、「日本三大美林」の文字及びこれに類する文字が、「秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキ」を指称する語として一般に使用されている事実及びこれらの木が家の建築材として使用されている事実よりすると、「日本三大美林の家」の文字よりなる本願商標からは、「秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した家」程の意味合いを容易に認識、把握させるものといえ、その指定役務中、「建物の売買,建設工事,建築物の設計」等に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記意味合いに関する役務であると理解するにとどまり、役務の質(内容)を表示するものと認められる。
また、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。

第4 証拠調べ通知に対する請求人(出願人)の意見
前記第3の「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もなかった。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「日本三大美林の家」の文字を標準文字として書してなるものである。
そして、平成20年4月1日付け証拠調べ通知で通知した前記第3のとおり、「日本三大美林」の文字及びこれに類する文字が、「秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキ」を指称する語として一般に使用されている実情及びこれらの木が家の建築材として使用されている実情がみられる。
そうすると、「日本三大美林の家」の文字よりなる本願商標からは、「秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した家」であることを容易に認識、把握させるものであるから、その指定役務中、前記文字に照応する役務、例えば「秋田杉・青森ヒバ・木曽ヒノキを使用した建物の売買・建設工事・建築物の設計」等に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、単に役務の質(内容)を表示するものと認識、理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならず、かつ、本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、本願商標の登録の可否について、過去の登録例をあげて、本願商標も登録が認められるべきものである旨主張している。
しかしながら、請求人が示す過去の登録例と本願商標とは、その構成態様等が相違するものであるばかりでなく、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に当たるものであるかどうかの判断は、当該商標登録出願の査定時及び審決時において、当該商標の構成態様と指定商品(指定役務)とを考慮し、個別具体的に判断されるものであって、請求人が例示する過去の登録例が存在することのみによって、本願商標が同号に該当することを否定することはできず、また、本願商標についての同号該当性の判断が、かかる過去の登録例に拘束されるものでもない(平成12年(行ケ)第76号事件 東京高裁平成12年9月4日判決言渡参照)。
したがって、請求人の上記主張をもって前記判断を覆すことはできない。
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-08-25 
結審通知日 2008-09-19 
審決日 2008-09-29 
出願番号 商願2006-49083(T2006-49083) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y363742)
T 1 8・ 13- Z (Y363742)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 照美土井 敬子 
特許庁審判長 伊藤 三男
特許庁審判官 齋藤 貴博
岩崎 良子
商標の称呼 ニッポンサンダイビリンノイエ、ニッポンサンダイビリンノウチ、ニッポンサンダイビリン、サンダイビリンノイエ、サンダイビリンノウチ、サンダイビリン 
代理人 小平 進 

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