• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2009300438 審決 商標
審判199831206 審決 商標
取消2008300831 審決 商標
取消200330385 審決 商標
取消2008300390 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 009
管理番号 1190714 
審判番号 取消2007-300831 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-07-02 
確定日 2008-12-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4217676号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4217676号商標の指定商品中「レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4217676号商標(以下「本件商標」という。)は、「PIXERA」の文字を横書きしてなり、1996年3月20日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成8年9月18日に登録出願、第9類「画像応用のための電子計算機(中央処理装置その他の周辺機器を含む。),画像応用並びに静止画像又は映像撮り・画質向上及び伝達のためのコンピュータプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・CD-ROM及び磁気カード,その他のコンピュータプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・CD-ROM及び磁気カード,その他の電子応用機械器具及びその部品,デジタルカメラ,その他の電気通信機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,映画機械器具,光学機械器具,写真機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,レコード,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,犬笛,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム,動力付床洗浄機,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター」を指定商品として、平成10年12月4日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁
ア 本件商標の使用
(ア)被請求人は、乙第1号ないし同第5号証により本件商標が商品「録画済みビデオディスク」に使用されたものである旨主張している。
(イ)上記乙号証は、何れも本件商標が該商品に使用された事実を客観的に立証する証拠になり得ないことは明らかであり、乙号証によって本件商標が商品「録画済みビデオディスク」に使用されたと結論づけることはできない。
イ 乙第1号証について
(ア)被請求人は、「乙第1号証は被請求人の製品カタログの1つである。これは1997年から現在に至るまで継続して配布されているものである。」旨を主張するが、同号証は製品カタログそのものであり、これをもって継続して配布されたことまで客観的に立証できるものではない。
(イ)すなわち、上記製品カタログは、その裏表紙の「開発・製造Pixera Corporation」なる表示の下方隅に小さく「このカタログは、1997年7月現在のものです。」とし、今から10年以上も前に作成されたものであることを示唆する記載があるに過ぎない。
(ウ)また、上記製品カタログには、その表紙に「120万画素でコミュニケーション」と表示し、商品「デジタルカメラ」の高精細画像を提供できることを唱っており、しかも、この種商品が一般に画素数の大きさが顧客の商品購入の決め手の一つであることに鑑みれば、カタログ一つで発売当初から10年以上も画素数の変わらない「デジタルカメラ」を販売し続けること自体、不自然であり、このカタログを今なお配布しているという被請求人の主張は信じがたい。
ウ 乙第2号証ないし同第4号証について
(ア)被請求人は、乙第2号証の1、2のCD-ROMには、「各種ソフトウェア等が記録されているが、いずれにも”Album v2.0”なるソフトが含まれている。」旨を主張している。
(イ)そして、上記”Album v2.0“は、これをパソコン上で起動させると乙第3号の1ないし13の画像が表示され、あるいは乙第4号証の1ないし3の動画画像が表れるものであり、画像ファイルや音声入り動画ファイルが乙第2号証のCD-ROMに記録されていることにより、該CD-ROMが「ソフトウェア」であると共に「録画済みビデオディスク」にも該当する二面性を有する複合的な商品であると結論づけている。
(ウ)商標法第50条の適用上、「商品」といえるためには市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また「商品についての登録商標の使用」があったというためには、該商品の識別標識として同法第2条第3項、第4項所定の行為がされることを要するというべきである(平成12年(行ケ)第117号判決参照)。
(エ)被請求人が主張する上記”Album v2.0”が「録画済みビデオディスク」として独立して商取引の対象となり得るか否かを検討すると、該ソフトに格納された画像ファイルとは、乙第3号証の1ないし13によれば、各画面上方右隅に「demo-PIXERA Album」の表示があるとおり、「PIXERA Album」がどのような機能を持つ「ソフトウェア」かを示すために用意された「デモ版」(製品紹介プログラム)で、いわば商品説明書のようなものといえ、これ自体が決して独立して商取引の対象となるものではない。
(オ)一方、同号証の画面に映し出された「PIXERA Album」とは、被請求人提出の乙第1号証の製品カタログにおいて(裏表紙)、「◆キャプチャした画像をアルバムにストック。タイトル別に整理して管理できます。◆スタジオからアルバムへ自動転送で貼り付けることができます。◆もちろんアルバムからスタジオに取り込むことも可能です。◆TWAINドライバーにより他社のスキャナーやデジタルカメラからも画像取り込みが可能です(Windows95のみ)」旨の記述があるとおり、デジタルカメラでキャプチャした画像を電子を応用して整理し管理等するものであり、正にこれは商品「電子計算機用プログラム」の機能そのものに他ならない。
(カ)上記の「電子計算機用プログラム」が第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれることは、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」において、「電子応用機械器具及びその部品」の中に「電子計算機用プログラム」(類似群コード:11CO1)の記載があることから明白である(甲第3号証)。
(キ)さらに、「電子計算機用プログラム」に上記「PIXERA Album」のような「ソフトウェア」が「電子計算機用プログラム」に含まれることは、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕」において、「電子計算機用プログラムには、ダウンロードによる電子計算機用プログラム、記録媒体に記憶した電子計算機用プログラムのソフトウェアが含まれる。」旨の記述から裏付けることができる(甲第4号証)。
(ク)また、乙第4号証の1ないし3の動画画像は、その内容について被請求人が一切言及していないため、各画像から推認する他ないが、同号証の1がパソコン本体及びキーボード、その前にデジタルカメラが配置された様子、同号証の2が外国人女性が正面を向いてパソコンの画面に何らかの画像を映し出して説明している様子、さらに同号証の3ではこの女性がパソコンに向かって操作している様子を映し出しており、これら様子からは商品「デジタルカメラ」を操作した商品紹介の動画と考えるのが自然である。
(ケ)乙第4号証の1ないし3の動画画像も、上記乙第3号証の画像ファイルと同様に、単なる「デジタルカメラ」の操作を説明したものに過ぎず、この画像自体が別個独立に商取引の対象となり得るものでないことは明らかである。
エ 小括
(ア)以上より被請求人は、CD-ROMに記録されている「ソフトウェア」に画像ファイル及び動画ファイルが記録されているだけで、該ファイルが独立して商取引の対象となるか否かを検討することなく、「ソフトウェア」でも「録画済みビデオディスク」でもあるという根拠のない主張をしているに過ぎない。
(イ)結局、乙第2号証のCD-ROMは被請求人の販売する「デジタルカメラ」でキャプチャした画像をストック等するための「アルバムソフト」が記録されたものであり、あくまで商取引の対象が「ソフトウェア」である以上、該CD-ROMは「電子計算機用プログラム」に含まれる「ソフトウェア」そのものであり、被請求人主張のような「録画済みビデオディスク」に該当する二面性は一切認められない。
(ウ)よって、乙第2号ないし同第4号証は、何れも本件商標が商品「録画済みビデオディスク」に使用されたことを立証する証拠になり得ない。
オ 乙第5号証の1ないし4について
(ア)乙第5号証の1は、商品名の欄に「Visual Communication Suite Ver」と印字され、その下段に小さく手書きで「2-1」と表示された注文書であり、この注文書に対応する請求書(乙第5号証の3)には「品名」として「Visual Communication Suite Ver2.1」と印字されているが、これら品名には本件商標「PIXERA」なる文字は一切表示されていない。
(イ)また、乙第5号証の2は、商品名に「120es用ソフト」と印字された注文書であり、この注文書に対応する納品書(乙第5号証の4)には商品コードの欄に「PIX-120es」と「120es Application suite」と二段表示があるが、これら品名にも本件商標「PIXERA」なる文字が一切表示されていない。
(ウ)被請求人は、上記注文書に品名として表示された商品が乙第2号証の1、2のCD-ROMとしているが、そもそもこれら書類に表示され実際に取引された商品と乙第2号証のCD-ROMが同一のものであることは何ら立証しておらず、乙第5号証だけで「pixera」なる文字が表示された乙第2号証のCD-ROMが販売されたと考えるのは無理がある。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求人は、本件商標が、その指定商品中「レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべき旨を主張している。
しかし、乙第1号証ないし同第5号証(枝番を含む。)から明らかなように、本件商標は、取消請求に係る指定商品中「録画済みビデオディスク」について使用されていたものである。
(2)乙第1号証は、被請求人の製品カタログの1つである。これは1997年から現在に至るまで継続して配布されているものであり、その右上端に、小文字で「pixera」と表示されている。かかるカタログは、被請求人の製造・販売に係るデジタルカメラと各種ソフトウェアを広告宣伝するためのものであり、被請求人の日本での営業所(川崎市高津区坂戸3丁目2番1号)などにおいて配布されている。
そして、乙第2号証の1及び2は、「Visual Communication Suite」及び「120es Application Suite」と題するCD-ROMを、包装のある状態とない状態で撮影した写真であり、ディスク表面の下方に、小文字で「pixera」が表示されている。これらCD-ROMには、その表面の上下方向の中央付近に記載されているとおり、各種ソフトウェア等が記録されているが、いずれにも“Album v2.0”なるソフトウェアが含まれている。
上記“Album v2.0”はPC上で起動可能であり、これを起動させた際の画面をプリントアウトしたものが乙第3号証の1ないし13である。これら画面から明らかなように、多数の画像ファイルが幾つかのフォルダに分けられて格納されているとともに、“A-V”フォルダには動画像ファイル“Intro”(音声入り)が含まれている。同動画像ファイルは、乙第4号証の1ないし3に示されるとおり、“Windows Media Player”で再生することができ、また、静止画像ファイルはDVDプレイヤーでも再生可能である。
このような静止画像及び動画像が記録されたCD-ROMは、デジタルカメラとともに販売されることもあるが、件外の日本ポラデジタル株式会社(東京都中央区に所在)とライカ マイクロシステムズ株式会社(東京都港区に所在)からの注文書(平成17年1月14日及び平成19年1月17日付)に“Visual Communication Suite Ver.2.1”及び120es用ソフト”と記載され、また、これに対応する被請求人の納品書・請求書(平成17年1月18日及び平成19年1月18日付)に、“Visual Communication Suite Ver.2.1”及び“120es Application Suite”に記載されているとおり、単独でも販売されている(乙第5号証の1ないし4)。
(3)上述した製品カタログとCD-ROMの表面に表れた“pixera”の表示は、本件商標とは、大文字と小文字の違いこそあれ、同じ綴りであり、かつ、同一の称呼「ピクセラ」を生じるから、社会通念上同一の商標といえる。
また、前述のCD-ROMには画像及び音声が記録されているところ、JIS規格によれば、“ビデオディスク”は“画像及び音声のアナログ信号・ディジタル信号が,らせん状に記録された円盤状の記録媒体”と定義されているから(Z6015 01.46)、当該CD-ROMが「録画済みビデオディスク」に該当することは明らかである。なお、ある製品が商標実務上の2以上の商品概念に属することがあることは経験則の教えるところであるから、上記CD-ROMがコンピュータプログラムをも含んでいるがゆえに、また、PC上で作動するものであるがゆえに、直ちに、上記CD-ROMが「録画済みビデオディスク」に該当しないということはできない。
そして、上記CD-ROMが平成17年1月18日及び平成19年1月18日に日本で販売されたことは先に述べたとおりであるから、本件商標と社会通念上同一の商標が本件審判の予告登録前3年以内に日本において使用されたことは明らかである。
(4)以上のように、本件商標は、本件審判の予告登録前3年以内に日本において、取消請求に係る指定商品中「録画済みビデオディスク」について使用されていたものである。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 製品カタログ(乙第1号証)は、被請求人の製品に係るものと認められるところ、その表面の最上部に、「Visual Communication System」との表示があり、「120万画素でコミュニケーション。」として、デジタルカメラ、フォトレタッチソフト、アルバムソフト等がワンパッケージである旨の記載と、スタンドに設置されたカメラの写真を表している。そして、中央部に、写真で「品質管理(プリント基板のマクロ撮影)」「医療・研究の顕微鏡撮影(ニワトリの幼生)」「Pixera Album」「Pixera Studio」等の例を掲載し、左下部に「ビデオ会議」の模様を写したと思しき写真が掲載されている。さらに、上部右には、「pixera」の表示がある。
また、カタログ裏面には、「ピクセラ・ビジュアルコミュニケーション・システム『プロフェッショナルタイプ』for WIN95 & MAC」との記載があり、製品の構成内容として、「Cマウント・デジタルカメラ」「ソフトウェアPixera Studio」「ソフトウェアPixera Album」や専用ケーブル・同スタンド等からなる旨の記載がある。そして、「キャプチャ&フォトレタッチソフト『Pixera Studio』」の説明として、「ビューファインダーの動画像を見ながら、撮りたいシーンをシャッターを切る感覚で撮影できます。」「取り込んだ画像の色調整などさまざまなツールで加工できます。」の記載がある。また、「アルバムソフト『Pixera Album』」の説明として、「キャプチャした画像をアルバムにストック。タイトル別に整理して管理できます。」「スタジオからアルバムへ自動転送で貼り付けることができます。」「もちろんアルバムからスタジオに取り込むことも可能です。」「TWAINドライバーにより他社のスキャナーやデジタルカメラからも画像取り込みが可能です(Windows95のみ)。」の各記載がある。
さらに、カタログ裏面の左下には、「pixera」の表示があり、その最下部に小さく、「このカタログは1997年7月現在のものです。」との記載がある。
イ CD-ROM現物の写真(乙第2号証の1及び2)には、それぞれ、上段には「Version2.6.1」「120es Application Suite」「Camera System;120es」と題し、下段には「Version2.1.1」「Visual Communication Suite」「Camera System;Professional」と題するCD-ROMが写されており、いずれにも下部に、「pixera」の表示がある。
そして、CD-ROMには、「Windows OS」対応、「Mac OS」対応として、それぞれ、「Album v2.0」「Pixera Album v2.1.1」ほかのソフトウェアが記録されている旨の表示があり、また、「Demo Album Included」の表示がある。
ウ PCの起動画面のプリントアウト(乙第3号証の1)には、上段に「demo-PIXERA Album」と表示され、画面中央部に「PIXERA Albumについて」と表示されており、また、同号証の2以下の画面によれば、この「demo-PIXERA Album」には、「Pixera 120es」「Pixera Professional」に対応して、画像ファイルが幾つかのフォルダに分けられ格納されているのが認められる。
エ PCの起動画面のプリントアウト(乙第4号証の1ないし3)は、「Windows media Player」の動作画面と認められるところ、画面には、女性と動作するディスプレイ、キーボード、Cマウント・デジタルカメラ様のものが写されている。
そして、これらの画像とCD-ROMとの関係は画面自体からは必ずしも明らかとはいえないが、上記アの商品カタログ中の「ビデオ会議」の模様を写した写真と相通じるものであり、「Visual Communication System」の一つの操作例を示すことを内容とする動画とみるのが自然である。
オ 注文書及び請求書(乙第5号証の1、2及び3)によれば、平成17年1月14日の発注により、日本ポラデジタル株式会社と被請求人との間で、単価15,000円の「Visual Communication Suite Ver.2.1」(数量1)について取引があったと推認される。また、注文書、納品書及び請求書(乙第5号証の2及び4)によれば、ライカ マイクロシステムズ株式会社の平成19年1月17日付発注により、単価20,520円の品名「PIX-120es 120es Application suit」(数量1)を被請求人が平成19年1月18日に納品したことが認められる。
そして、上記各取引書類に表示された商品名と乙第2号証のCD-ROMとはバージョン表記において一致してはいないが、バージョンは異なるがこれと同種のものが取引の対象とされたとみて必ずしも不自然とはいえない。
なお、請求書(乙第5号証の3)には、「pixera」の表示がある。
(2)本件商標は「PIXERA」の文字からなるものであるところ、上記(1)ア、イ及びオの使用に係る商標は、「pixera」の文字よりなるものであるから、大文字と小文字の違いはあるけれども本件商標と同じ綴りであり、本件商標とは社会通念上同一の商標と認め得るものである。
(3)本件において取消請求に係る指定商品は、「レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」である。そして、被請求人は、そのうち「録画済みビデオディスク」に使用した旨主張している。
しかして、本件商標の指定商品の一である「録画済みビデオディスク」についてみると、同商品は、画像及び音声のアナログ信号・デジタル信号がらせん状に記録された円盤状の記録媒体(ビデオディスク)であり、そこに記録された写真や映像等を内容とする商品であって、取引者・需要者は、その内容物(写真や映像の著作物等)を得る目的をもって同物品(記録媒体)を取引の対象とする商品と解すべきものである。
そこで、本件商標の使用に係る商品をみると、当該CD-ROMには、「Visual Communication System」に供される上記(1)の「キャプチャ&フォトレタッチソフト」や「アルバムソフト」等が共に記録されており、これらの中には、画像や音声等が記録されていると認められるけれども、商品カタログにおける説明及び起動画面のプリントアウトに照らせば、記録された画像や音声等については上記システムの取り扱いや見本として収録しているものとみるべきものである。そして、この商品(CD-ROM)は、その品質や用途からして、専らそこに記録された画像や音声等を得る目的で取引の対象とされるものではなく、Cマウント・デジタルカメラから取得した画像データ等を収録したり加工等するための上記システムのアプリケーションソフトとして取引に供される商品、すなわち、「電子計算機用プログラム」の一と解するのが相当である。
してみると、本件商標の使用に係る上記商品は、その取引目的や内容(品質・機能)等に照らせば、取消請求に係る指定商品「録画済みビデオディスク」に属する商品には該当せず、それとは全く別種の商品といわざるを得ないものである。
(4)被請求人は、JIS規格によれば、当該CD-ROMが「録画済みビデオディスク」に該当することは明らかである旨主張し、さらに、ある製品が商標実務上の2以上の商品概念に属することがあることは経験則の教えるところであるから、本件のCD-ROMがコンピュータプログラムをも含んでいるがゆえに、また、PC上で作動するものであるがゆえに、直ちに、「録画済みビデオディスク」に該当しないということはできない旨主張する。
しかしながら、日本工業規格(JIS)における「ビデオディスク」の用語の定義によって「ビデオディスク」そのものは明らかにし得るとしても、商標法上の商品「録画済みビデオディスク」の概念が直ちに規定されるとまではいえず、「録画済みビデオディスク」は、商取引上、上記(3)に述べたとおりの商品と解するのが妥当というべきである。
また、確かに、コンピュータプログラムを含むことや、PC上で作動することを理由として、「録画済みビデオディスク」に該当しないとまで断ずることはできない。
しかし、本件に係るCD-ROMが、画像データ等をも記録しているからといって、専らにその画像データ等を取引対象とするものであるとは言い難く、また、「録画済みビデオディスク」と「電子計算機用プログラム」が主従の差なく複合した一の商品とみるべき合理的な理由もなく、当該CD-ROMが複数の商品概念に属する商品とみるのが取引実情に沿い妥当であるとすべき的確な証拠もないから、上記(3)のとおり、これらが別種の異なる商品概念に属するものであるとした判断は、上記被請求人の主張によって左右され得ないものである。
(5)しかして、本件商標が使用されたとして提出された証拠をもっては、本件商標が「録画済みビデオディスク」に使用されたとは認められないものである。また、取消請求に係る他の指定商品について、本件商標の使用を窺わせる主張及び立証はない。
(6)以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品に使用されたことを認めることができない。また、他に上記指定商品について本件商標の使用を認め得る証拠はなく、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条に基づき、取消請求に係る指定商品について、その登録の取り消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-07-23 
結審通知日 2008-07-29 
審決日 2008-08-11 
出願番号 商願平8-106206 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (009)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 1998-12-04 
登録番号 商標登録第4217676号(T4217676) 
商標の称呼 ピクセラ 
代理人 藤本 昇 
代理人 白井 里央子 
代理人 一色国際特許業務法人 
代理人 原田 雅章 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ