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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1190663 
審判番号 取消2007-301663 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-12-17 
確定日 2008-12-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4626527号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4626527号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4626527号商標(以下「本件商標」という。)は、「ITVISA」の欧文字を横書きしてなり、平成13年7月19日に登録出願、第42類「IDの作成・IDの付与・IDの認証・IDカードの発行・IDユーザーの管理・決済システムの管理のためのコンピューター通信用プログラムの提供及び同プログラムによる情報処理並びに保守,電子計算機等を用いて行う情報処理,電子計算機システムに関するコンサルティング,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,個人の身元又は行動に関する調査」を指定役務として、同14年12月6日に設定登録され、その後、同20年7月11日に、本件商標権の抹消の登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べた。
1 請求の理由
審判請求人が調査したところによれば、本件商標はその指定役務について、日本国内において今日に至るまで継続して3年以上にわたり被請求人によって使用されていない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないことのみならず、他に被請求人の許諾を受けてその指定役務について、本件商標を使用している者も見いだし得なかった。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書の理由において、本件商標「ITVISA」が、審判請求の予告登録がされた平成20年1月8日(「4日」は誤記と認める。)より以前の3年の間に、「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」、「個人の身元又は行動に関する調査」及び「国の各種資格取得のための教室で電子計算機(パソコン)等を用いて行う情報処理」に係る役務に使用していると主張し、かかる事実を主張すべく、乙第1号証、乙第2号証及び乙第2号証の2を提出している。
(2)被請求人は、本件商標を使用していることを証する書類として、乙第1号証を提出し、「ダイレクトメール兼申込書(IT VISA協会)」と自ら称する証拠を提出している。
しかし、当該証拠には、書類の作成日(使用日)と、被請求人と「IT VISA協会」との関係を裏付ける内容の記載はなく、使用の日及び被請求人の使用にかかるものであるか否かを特定するものではない。
また、仮に当該申込書が「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」及び「個人の身元又は行動に関する調査」を提供するためのものであったと仮定したとしても、かかる申込書が需要者に実際に配布・配信あるいは閲覧に供されたという事実を証するものではなく、かかる証拠の証拠能力はないといわざるをえない。
また、被請求人は、乙第1号証において、「インターネット上の交際から生じる危険の予防と支援」(乙第1号証 第1行目)、「例えば<出会い系サイト>?中略? それはIDを協会に登録している認証で、メール相手に差し出す信任状となるもの。」等の記載をもって、本件商標が、指定役務「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」あるいは「個人の身元又は行動に関する調査」に使用している旨主張するものと推測するが、上記乙第1号証の記載は、前記指定役務について本件商標を使用しているものと合理的に理解できるだけの内容に乏しく、証拠としての信憑性についても疑いをもたざるを得ない。
被請求人は、「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」あるいは「個人の身元又は行動に関する調査」にかかる役務を需要者に提供するための申込書として乙第1号証を提示するものであると推測するが、当該申込書は、通常の紙によるものと考えられ、また、注意深くこれを見ると、申込書の内容に示された各項目は活字を切り張りして作成したものと推察できる。
被請求人は、乙第1号証の中で、「インターネット上の交際から生じる危険の予防と支援」(乙第1号証 第1行目)や「--会員は、インターネット上で、?」(乙第1号証 第2頁1行目ないし2行目)と表示していることから、仮に、指定役務「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」あるいは「個人の身元又は行動に関する調査」について本件商標を使用していると仮定した場合には、当該役務を提供するための申込書も通常インターネット上において表示され、インターネット上にて申込手続ができると考えるのが自然である。
しかし、上述のとおり、乙第1号証にて示す申込書は、活字を切り張りして作成した紙ベースのものであり、インターネットなど電子的方法にて需要者の用に供されるものとは、到底、推察できず、かかる意味においても証拠としての信憑性に欠けるものである。
さらに、上記申込書に記載された、本件商標の使用態様を見ると、「IT」と「VISA」との間にスペースを設け「IT VISA」としていたり、「IT・VISA」としているものであり、本件商標「ITVISA」とは異なった態様である。
かかる使用態様は、請求人の使用にかかる著名商標「VISA」をひときわ目立たせる態様であり、登録商標の使用とはいえないばかりか、社会通念上同一の商標ともいえないものである。
(3)次に、被請求人は、乙第2号証として、「証明願い申請書」、乙第2号証の2として、「東豊会館使用申込書」を提出する。
乙第2号証の2は、「東豊会館」なる会館の使用申込書のようであり、乙第2号証は、被請求人が、豊中市立東豊会館の会長宛に、同人が、同会館の「教室使用申込書に(IT VISA)の文字を使用している」ことを証明してもらうことを願い出た申請書である。
しかし、これらいずれの証拠についても、被請求人が、本件商標をその指定役務について使用することを証明するものではない。
乙第2号証の2の「東豊会館使用申込書」は、単に、会館の会議室の使用申込書であり、かかる申込書には、団体名「生涯資格教育協会(IT VISA)」及びその使用目的として「国の各種資格取得のための教室」とあるが、かかる「IT VISA」の表示の使用は、指定役務のうちのいずれかについての使用とは考えられず、また、指定役務について本件商標を「商標として」使用するものともいえない。
また、乙第2号証の2の「東豊会館使用申込書」の申込希望日時について見ると、「平成20年2月予定日」のような記載があるが、このように肝心の日付を明記しない会館使用申込書は、不自然である。叙述のとおり、そもそも、乙第2号証の2によっては本件商標の指定役務についての使用と認められるものでないのは、明らかであるが、このように不自然な記載による会館使用申込書は、証拠能力がないといえる。
なお、「IT VISA」の表示の使用態様について、登録商標の使用とはいえないばかりか、社会通念上同一の商標ともいえないものであるとのことは、上記(2)において、既に述べたとおりである。乙第2号証の、「証明願い申請書」では、1.として、「東豊会館の教室使用申込書に(IT VISA)の文字を使用している」とあるが、かかる使用は、そもそも本件商標について、そのいずれかの指定役務について使用することを証するものとはいえない。
被請求人は、審判事件答弁書の中で、本件商標が、役務「国の各種資格取得のための教室で或る計算機(パソコン)等を用いて行う情報処理」について使用していると理由づけており、これは、指定役務中の、「電子計算機等を用いて行う情報処理」についての使用である旨主張しようとするものであるとも推認できるが、被請求人が使用許可を願い出た東豊会館の教室には、電子計算機(パソコン)が設置されているとは考えられず(乙第2号証の2の「視聴覚機材」欄には、貸与を受けることのできる視聴覚機材として、「テレビ ビデオ オーディオ 実物投影機 スライドプロジェクター」の記載はあるが、電子計算機(パソコン)の記載は、見当たらない。)、かかる点からしても、被請求人が、本件商標を「電子計算機等を用いて行う情報処理」をはじめ、いずれかの指定役務について使用しているものとは、到底、考えられない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証、乙第2号証及び乙第2号証の2を提出した。
1 答弁の理由
(1)結婚又は交際を希望する者への異性の紹介。個人の身元又は行動に関する調査(乙1)活動を行っている。(ボランティア)
(2)国の各種資格取得のための教室で、電子計算機(パソコン)等を用いて行う情報処理(乙2)を導入する。

第4 当審の判断
1 不使用取消審判
商標法第50条に規定する商標登録の取消の審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録(本件の場合、平成20〔2008〕年1月8日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 被請求人提出の証拠
被請求人の提出に係る各乙号証を見るに、乙第1号証は、「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介。個人の身元又は行動に関する調査活動を行っている。」とする書面であるが、切り貼りした形跡が認められ、書類が真正なものと認められないばかりでなく、その発行日、実際の役務の取引の態様等が不明であり、これをもって本件商標の使用が請求の登録前3年以内にあったということはできないものである。
乙第2号証は、被請求人から豊中市立東豊会館の会長宛の平成20年1月30日付の証明願い申請書で、その内容は、同人が、同会館の「教室使用申込書に(IT VISA)の文字を使用している」ことを証明してもらうことを願い出た申請書であり、単に、会館の会議室の使用申込書であって、かかる書面では、提供された役務の内容、実際の役務の取引の態様等が不明であり、これをもって本件商標の使用があったということはできないものである。
また、乙第2号証の2は、「東豊会館使用申込書」であるところ、その「日時」欄には、「平成20年2月予定日」の記載があるが、このように肝心の日付を明記しない会館使用申込書は、不自然であるばかりでなく、提供された役務の内容、実際の役務の取引の態様等が不明であり、これをもって本件商標の使用があったということはできないものである。
3 結び
以上によれば、本件商標は、請求に係る指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明したものということができず、また、被請求人は、使用をしていないことについて正当な理由があると述べるものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-10-10 
結審通知日 2008-10-16 
審決日 2008-10-29 
出願番号 商願2001-71697(T2001-71697) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小川 きみえ
佐藤 達夫
登録日 2002-12-06 
登録番号 商標登録第4626527号(T4626527) 
商標の称呼 アイテイビザ、アイテイビサ、アイテイバイサ、イトビザ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 石田 昌彦 

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