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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z35 |
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管理番号 | 1190660 |
審判番号 | 取消2007-301361 |
総通号数 | 110 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-02-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-10-23 |
確定日 | 2008-12-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4446053号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4446053号商標に係る指定商品及び指定役務中の第35類「インターネットによる広告の代理,その他の広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4446053号商標(以下「本件商標」という。)は,「キャビア」の片仮名文字と「cavia」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成11年12月15日に登録出願,第35類「インターネットによる広告の代理,その他の広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」並びに,第9類,第16類,第28類,第38類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品又は指定役務として,同13年1月19日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は,請求人の調査によれば,過去3年以上にわたり,第35類に属する全指定役務に使用されていないことが判明した。よって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,指定役務区分第35類の役務全部について取消しを免れないものである。 (2)答弁に対する弁駁 ア 答弁書において,被請求人は,第35類の役務中「商品の販売に関する企画及び情報の提供並びに経理・財務業務,労務管理,人事管理等の業務の代行及び書類の作成」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が本件審判請求の登録前3年の間に日本において使用されていると主張し,使用事実を証明するものとして提出された書証について説明を行なっているが,いずれも使用の事実を証明するものではない。 イ 被請求人が,本件商標と同一の商標が使用されていると主張した役務中,「商品の販売に関する情報の提供」のみが本件の指定役務に含まれるにすぎず,その他の役務は,本件の指定役務ではないことをまず指摘しておきたい。 ウ 本件商標と同一の商標の使用者であると被請求人が述べた被請求人の関連会社である株式会社キャビアは,添付の「履歴事項全部証明書」(甲第1号証)によれば,以下の事項を業務目的とする企業である。 1.コンピュータソフトウェア及び周辺機器の企画・開発・販売 2.業務用遊戯機器の企画・開発・販売 3.遊戯場の企画及び運営 4.コンピュータ通信及び電話を使用した情報処理の企画・開発・販売・運営 5.前各号に付帯関連する一切の業務 甲第2号証として提出する株式会社キャビアのウエブサイトプリントにも同じ事項が掲載されている。会社は,事業の目的を定めて設立されているので,事業の目的として定款に記載されていない事業をその会社の仕事とすることはできないと解釈されている。したがって,上記事業目的にかんがみて,第35類の役務で株式会社キャビアが行なうことのできる事業は,極めて限られており,「商品の販売に関する情報の提供」以外の事業は,目的の中には入らない事業であるといわざるを得ない。 乙第2号証として提出された「コンサルティング業務契約書」なる書証は,株式会社マーベラスエンターテイメント(「音楽・映像・ゲームソフトの企画・制作・販売・劇場演芸の興行等」を事業内容とする会社:甲第3号証)に株式会社キャビアの社員を派遣し,業務を行なわせる契約書であるが,その第2条に記載の業務内容について本件商標が使用されている事実を証明するものではない。 被請求人がゲームソフトの企画書であると説明している乙第3号証が,「商品の販売に関する企画及び情報の提供」という役務を示す書証であると被請求人は,主張している。被請求人は,この企画書には「侍・剣を扱ったアクションジャンルのゲームソフトの売れ筋情報--」である故に「商品の販売に関する企画及び情報の提供」と説明している。 しかし,これは,乙第4号証との関係においても,株式会社キャビアの指導の下に,ゲームソフト制作を有限会社ケーツーが担当し,販売会社である株式会社マーベラスエンターテイメントへ説明するための,ゲームソフト開発の企画書である。不特定多数の需要者・取引者を対象とする「商品の販売に関する企画及び情報の提供」という役務を示す書証ではない。なお,「商品の販売に関する企画」は,指定役務に含まれていない。よって,「商品の販売に関する情報の提供」に本件商標が使用されているという主張は,成り立たない。すなわち,乙第4号証は,ゲームソフト開発会社である有限会社ケーツーが販売会社である株式会社マーベラスエンターテイメントから受託したゲームソフト開発に関して,株式会社キャビアが相談・指導等に携わる業務委託契約書である。 したがって,乙第4号証と乙第5号証は,何ら本件の役務について本件商標の使用を示すものではない。 乙第6号証についても,上記に述べたように,ゲームソフト開発の企画書にすぎない。 乙第7号証は,株式会社キャビアがその関連会社である株式会社フィールプラスの一般事務の代行を行なっていることを示す書証であるが,これらは,本件商標の指定役務ではない。 3 被請求人の答弁 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める,と答弁し,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む)を提出した。 (1)答弁の理由(第1回) ア 被請求人は,本件商標を第35類に属する役務中「商品の販売に関する企画及び情報の提供並びに経理・財務業務,労務管理,人事管理等の業務の代行及び書類の作成」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求の登録前3年の間に日本国内において使用している。 よって,本件商標は,請求に係る役務について登録を取り消されるべきでない。 イ 本件商標は,「キャビア」のカタカナ文字及び「cavia」の欧文字を二段書きにしてなる文字商標であり,第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を含む複数の役務を指定している。 ウ 本件商標の使用事実 被請求人の関連会社である株式会社キャビアは,ゲームソフトの開発,同分野における市場調査・開発ソフトの売上又利益を最適化するマーケティングプランとその戦略等を提供するコンサルティングサービス及び関連会社又は顧客の事務管理・代行を行っている企業である。株式会社キャビアは,被請求人から本件商標の通常使用権許諾を受け(乙第1号証),上記業務について,商号の要部と同一である本件商標を使用して事業を行っている。 乙第2号証は,本件商標の使用権者である株式会社キャビアがゲームソフト販売会社である株式会社マーベラスエンターテイメントと交わしたコンサルティング業務契約書である。契約内容は,第1条(目的)に明記されているとおり,株式会社キャビアが当該販売業者の広報宣伝活動全般についてコンサルティング業務を行うことである。具体的業務は,同種ゲームの市場調査,ゲーム企画及び見積作成,原作著作権の問題解決,開発委託先の選択,業務委託契約の締結推進,開発の進捗管理などであり,その契約は,同第14条に基づき現在も更新されている。 乙第3号証は,株式会社キャビアが株式会社マーベラスエンターテイメントに企画提案した商品(ゲームソフト)「Princess and the Lone Samurai(用心棒隠密姫絵巻)」の企画書である。この企画書には,侍・剣を扱ったアクションジャンルのゲームソフトに関し同種ゲームソフトの売れ筋情報,開発のポイント,ストーリーやキャラクターなどについて細かく内容を分析し,提案している。その内容は,第35類に属する役務「商品の販売に関する企画及び情報の提供」に該当する。そして,この企画書には,商標「cavia」が付されている。本件商標は,「キャビア」のカタカナ文字及び「cavia」の欧文字を二段書きにしてなるものであるが,「cavia」は,珍味として名高く「キャビア」と称呼される「caviar」とは,サイレントの「r」以外のスペルを同じくするから「cavia」も「キャビア」と称呼されるものである。 したがって,「cavia」の商標は,本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。 乙第4号証は,株式会社マーベラスエンターテイメントから乙第3号証に示すゲームソフトの制作を委託されたゲームソフト制作会社である有限会社ケーツーに対し,株式会社マーベラスエンターテイメントのコンサルタントである株式会社キャビアが株式会社マーベラスエンターテイメントを代行し,当該ゲームソフト開発に関する指示・監督などを行うため締結した業務委託契約書である。 乙第5号証は,乙第4号証に示す業務委託契約に基づく請求書である。この請求書によっても,本件審判請求の登録前3年の間に上記役務行為がなされたこと,また,「cavia」の商標が使用されていることが明白である。 乙第6号証は,乙第3号証と同様に株式会社セガの依頼に基づき使用者が2007年に企画提案した「涼宮ハルヒの憂鬱(仮称)」の企画書である。 乙第7号証は,株式会社キャビアが件外株式会社フィールプラスから経理・財務業務,労務管理,人事管理等の業務について受託していることを示す業務委託契約書である。具体的業務は,「経理事務の代行,財務書類の作成,コンピュータによるファイルの作成,労務管理・人事管理等の代行」などであって第35類に属する役務に含まれていること明らかである。 乙第8号証は,乙第7号証に示す業務委託契約に基づく請求書である。この請求書によっても,本件審判請求の登録前3年の間に上記役務行為がなされたこと,また,「cavia」の商標が使用されていることが明白である。 (2)答弁の理由(第2回) ア 請求人は,本件商標使用者である株式会社キャビアはその定款に記載されている事業目的から第35類に属する役務については「商品の販売に関する情報の提供」以外は入らないと主張する。 しかしながら,商法の判例・通説では,株式会社の事業目的については,公益法人などと異なり付帯関連有益事業を相当幅広く容認しており請求人の主張は当を得ないものである。株式会社キャビアは,その事業目的に「コンピュータソフトウェアの企画・開発及びその付帯関連業務」が含まれている。事業として行う「商品の企画や開発及びそれらの付帯関連業務」は,一般に所謂コンサルティング業務と言われ,当該事業者が培った専門的知識・開発力などを駆使して,顧客企業の商品開発や販売などの事業計画・遂行のための企画・助言・指導を提供する業務である。そして,ゲームソフト販売業者にとってはユーザーの志向に合致したゲームソフトを提供できるか否かが企業の存亡につながることでもあるからゲームソフトの企画及び開発はゲームソフト販売業者にとって経営の中核をなすものであり,その企画を提案し開発の助言・管理する行為は正に経営の指導と言い得る行為である。 したがって,使用者の事業には「商品の販売に関する情報の提供」以外に「経営の指導」も含まれている。 イ 請求人は,乙3号証はゲームソフト開発の企画書であり「商品の販売に関する情報の提供」役務を示す書証ではないと主張する。 確かに,乙3号証はゲームソフト開発の企画書である。この企画書は,使用者が販売業者と取り交わしたコンサルティング業務契約(乙2号証)に基づき,当該販売業者に提案した商品(ゲームソフト)「Princess and the Lone Samurai(用心棒隠密姫絵巻)」の企画書である。この企画書は,実際にゲームソフトの制作を行うゲームソフト制作業者(有限会社ケーツー)と技術的問題を検討した上で,侍・剣を扱ったアクションジャンルのゲームソフトに関し,開発のポイント,ストーリーやキャラクターの特徴,そして,同種ゲームソフトの売れ筋情報や競合製品との差異などについて細かく内容を分析し提案しているものである。そして,使用者は,実際にゲームソフトの制作を行うゲームソフト制作業者に対して,販売業者を代行し制作の指揮・監督をして開発の遂行を期している(乙4号証)。これらの行為は,商品(ゲームソフト)の開発・販売の計画を企画し遂行するためのコンサルティング,すなわち,本件指定役務である「経営の指導」に該当する行為である。 また,請求人は,「商品の販売に関する企画及び情報の提供」の役務が不特定多数の需要者・取引者を対象とする役務に限定されているかのように述べているが,役務として提供される「企画」,「情報」は,性格上必ずしも不特定多数の者を対象とするものばかりでなく特定又は限定された顧客に提供されるものが含まれるのは自明である。特に,契約に基づいて行われる企業間の「企画」,「開発」及び「情報の提供」等の行為はなおさらである。 したがって,当該企画書に添付されている同種ゲームソフトの売れ筋情報(乙3号証)は「商品の販売に関する情報の提供」であり,使用者が本件商標の指定役務「商品の販売に関する情報の提供」を行っていること明らかである。 乙第9号証は,2007年8月17日に使用者がコンサルタント契約しているコンピュータグラフィック,ソフトウエアの制作企業である株式会社アニマの幹部社員に対して使用者役員がプレゼンテーションした「企画の立て方」に関するプレゼン資料である。このプレゼンテーションは,使用者の蓄積ノウハウに基づきソフトウエアの企画立案のポイントを伝授するものであるから「経営の指導」といえる行為である。 ウ 乙第7号証で示す一般事務の代行は,本件登録の指定役務に含まれないと主張する。 乙第7号証は,使用者が件外株式会社フィールプラス(以下「委託者」という。)から経理・財務,人事,法務等の業務及びそれに付随する業務について受託していることを示す書証(業務委託契約書)である。該契約書に列拳している業務の具体的内容は,経理処理全般(委託者の社内決済書類・その証憑の保管,計算書類の作成,取引先への口座振込,小口現金支出精算など),人事採用業務支援(採用募集の受付,面接のセッティング,記録保管),法的文書の作成支援(契約書作成・審査,株主総会・取締役会議事録作成・保管)などであり,本件指定役務「文書のファイリング」業務も含まれているので,新たに,乙第10号を提出し,使用者が「文書のファイリング」業務を行っている事実を証明する。 乙第10号証は,使用者が委託者から委託された経理・財務業務に付随する業務の一環である経理証憑をファイリングしていることを示す書証である。すなわち,乙第10号証の1ないし3は,委託者から振替処理・保管委託された指示伝票・原因証憑及び振替処理伝票の写し(平成17年9月分の一部)。 乙第10号証の4は,乙第10号証の1ないし3で示す指示伝票・原因証憑及び振替処理した振替伝票などの経理証憑をファイリングしているバインダー表紙である。2ヶ月分の証憑を1冊でファイリングしており,証憑は10年間保管する。 乙第10号証の5は,振替処理済み経理記録情報のハードコピー(平成17年9月分) これらにより,使用者が本件商標の指定役務「文書のファイリング」を行っていること明らかである。 4 当審の判断 (1)被請求人提出の乙各号証によれば,以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は,2003年7月1日に被請求人と株式会社キャビアの間で締結された通常使用権許諾契約書(写)と認められるところ,これには,第1条に「被請求人は株式会社キャビアに対し本件商標の商標権の通常使用権を許諾する」旨が記載されている。 イ 乙第2号証は,平成13年11月5日に,株式会社キャビアと株式会社マーベラスエンターテイメントの間で締結されたコンサルティング業務契約書(写)と認められるところ,これには,第1条(目的)に「株式会社キャビアは株式会社マーベラスエンターテイメントの広報宣伝活動全般についてコンサルティング業務を実施する」旨,また,第3条(派遣者)に「株式会社キャビアは本業務を実施するにあたり株式会社キャビアの正社員である『川口政利』を派遣する」旨が記載されている。 乙第4号証は,平成16年1月12日に,株式会社キャビアと有限会社ケーツーの間で締結された業務委託契約書(写)と認められるところ,これには,第1条(本件業務)に「株式会社キャビアは有限会社ケーツーが株式会社マーベラスインタラクティブから受託したゲームソフト『用心棒隠密姫絵巻(仮称)』の開発に関して,1)本件ソフトの企画内容に関するディレクション,2)本件ソフト開発に関する諸資料の作成,3)本件ソフトの開発スケジュール管理,4)本件ソフトに関連する株式会社マーベラスインタラクティブとの交渉,折衝作業及び5)その他の1)ないし4)に付随する業務についての業務を行う」旨が記載されている。 乙第3号証は,ゲームソフト「Princess and the Lone Samurai(用心棒隠密姫絵巻)」の開発のための企画書(写)及びその企画のプロジェクト相関図と認められるところ,そのプロジェクト相関図には,上部に,販売・パブリッシング「(株)マーベラスインタラクティブ」,ゲーム制作「有限会社K2」及びアドバイザリー・コンサル「(株)キャビア」と記載され,右下部に,「MMV」,「cavia」及び「有限会社K2」と記載されている。 また,14頁からなる企画書には,右ヘッダー部分に,「2003/12/02」,「cavia」及び「有限会社K2」と記載され,左フッター部分に,「プレゼン資料」及び「Ver1.02」と記載されている。 これらの記載から,この企画は,乙2号証の「コンサルティング業務契約」及び乙第4号証の「業務委託契約書」に基づき,株式会社キャビアが参画していたことが推認される。 しかしながら,その企画書の記載内容をみると,これは,一部に被請求人の主張する同種のゲームソフトの売れ筋情報の記載はあるものの,主として,侍・剣を扱ったアクションジャンルのゲームソフトに関する開発のポイント,ストーリー及びキャラクターの特徴等ゲームソフトそのものの企画に関する記載がなされており,これからは,乙第4号証の「業務委託契約書」の第1条(本件業務)に記載された「ゲームソフトの開発に関する業務」を行っていることは確認できるとしても,請求人の主張する「商品の販売に関する企画及び情報の提供」を行っているとは認められない。 さらに,被請求人は,乙第3号証の企画書は,ゲームソフトの開発・販売の計画を企画し遂行するためのコンサルティングであって,「経営の指導」に該当する行為である旨主張しているが,そもそも,経営の指導とは,商業,事業,企業経営に関する指導と解されるところ,乙第3号証の企画書の記載内容からは,ゲームソフトそのものの企画に関する提案を行っていることは確認できるとしても,請求人の主張する「経営の指導」を行っているとは認められない。 したがって,上記乙第2号証ないし乙第4号証によっては,取消請求にかかる指定役務に含まれる「商品の販売に関する情報の提供」及び「経営の診断及び指導」を行っているとは認められない。 ウ 乙第6号証は,ゲームソフト「涼宮ハルヒの憂鬱(仮称)」の開発のための企画書(写)及びその企画のプロジェクト相関図と認められるところ,当該プロジョクト相関図には,上部に,アドバイサリー・コンサル「(株)キャビア」の記載,右下部に「cavia」と記載され,また,11頁からなる企画書には,全ての頁の右下部に「cavia」と記載されている。 しかしながら,当該企画書の記載内容をみると,主として,ゲームソフトの概要やゲームの流れを記載したものであって,これにより,請求人の主張する「商品の販売に関する企画及び情報の提供」を行っているとは認められない。 したがって,乙第6号証によっては,取消請求にかかる指定役務に含まれる「商品の販売に関する情報の提供」を行っているとは認められない。 エ 乙第9号証は,「面白そうな企画の立て方」を標題とする資料と認められるところ,その表紙には,株式会社アマニ,2007/08/17,株式会社キャビア及び「cavia」と記載されている。 乙第11号証は,株式会社キャビアと株式会社アマニとの間で締結されたコンサルティング契約書(写)と認められるところ,これには,第1条(目的)に「株式会社キャビアは株式会社アマニのゲームソフト開発業務受託のための提案活動のノウハウ等について経営指導を実施する」旨が記載されている。 被請求人は,乙第9号証の資料は,乙第11号証の「コンサルティング契約」に基づき,株式会社キャビアが株式会社アマニの幹部社員に対し「経営の指導」を行うためのプレゼン資料である旨主張するが,上記のとおり,経営の指導とは,商業,事業,企業経営に関する指導と解されるところ,第11号証の第1条に記載された目的は,企業経営等の指導に当たるものとは認められず,また,乙第9号証の資料にしても,その内容はゲームの企画に関する提案にとどまるものであって,これからは,請求人の主張する「経営の指導」を行っているとは認められない。 したがって,乙第9号証及び乙第11号証よっては,取消請求にかかる指定役務に含まれる「経営の診断及び指導」を行っているとは認められない。 オ 乙第7号証は,株式会社キャビアと株式会社フィールプラスとの間で締結された業務委託契約書(写)と認められるところ,これには,第1条(業務の委託)に「1)株式会社フィールプラスが株式会社キャビアに対し,自己の経理・財務業務,小口現金の管理,労務管理,人事管理,法務業務及び総務業務並びに1)に付随する業務を委託する」旨が記載されている。 乙第8号証は,乙第7号証に示す業務委託契約に基づく請求書(写)と認められるところ,これには,上部に「cavia」,「発行日22-Sep-05」及び「株式会社キャビア」と記載され,その明細欄には,「六本木25森ビル18F貴社負担分」,「建物賃貸料9月分」及び「事務業務委託料9月分」と記載されている。 乙第10号証の1ないし3は,支払伝票及び振替伝票等の伝票類(写)と認められるところ,何れにも株式会社フィールプラスと記載されている。 乙第10号証の4は,バインダー表紙(写)と認められるところ,これには,「第14期証憑書類(平成17年8月?9月又は平成17年10月?11月)」及び「feelplus+」と記載されている。 乙第10号証の5は,仕分帳(写)と認められるところ,これには,上部に「株式会社フィールプラス」及び「平成17年9月1日?平成17年9月30日」と記載されている。 そして,被請求人は,乙第10号証の1ないし5により,株式会社キャビアが,乙第7号証の業務務委託契約に基づき,その契約内容に含まれる「文書のファイリング」の業務を行っていることを立証する旨主張するが,乙第10号証の何れの書類にも株式会社フィールプラスの表示はあるものの,cavia及び株式会社キャビアの表示がなく,これらと株式会社キャビアとの関連性が認められず,株式会社フィールプラスと株式会社キャビアとの間で役務行為が行われたことを確認することができない。 また,バインダーの表紙(写)が提出されているが,この表紙からは具体的に如何なる文書がファイリングされているか確認することができない。 したがって,乙第7号証,乙第8号証及び乙第10号証の1ないし5によっては,被請求人の主張する「文書のファイリング」を行っているとは認められず,取消請求にかかる指定役務に含まれる「文書又は磁気テープのファイリング」を行っているとは認められない。 (2)以上によれば,被請求人提出の乙各号証によっては,被請求人は,本件審判請求の登録日である平成19年11月7日前3年以内の期間内に被請求人の通常使用権者である株式会社キャビアが,本件商標をその請求に係る指定役務に含まれる「経営の診断及び指導,商品の販売に関する情報の提供及び文書又は磁気テープのファイリング」について使用していたことを証明したものということはできない。 その他,本件商標が本件審判請求の登録前3年以内にその請求に係る指定役務について使用されていたことを認めるに足る証拠はない。 (3)したがって,本件商標は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,その請求に係る指定役務である第35類「インターネットによる広告の代理,その他の広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」のいずれについても使用されていなかったものというべきであり,また,その使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められないから,商標法第50条の規定に基づき,上記指定役務についての登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2008-10-14 |
結審通知日 | 2008-10-16 |
審決日 | 2008-10-30 |
出願番号 | 商願平11-114301 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Z35)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 熊谷 道夫 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
小林 由美子 久我 敬史 |
登録日 | 2001-01-19 |
登録番号 | 商標登録第4446053号(T4446053) |
商標の称呼 | キャビア、カビア |
代理人 | 坂上 正明 |
代理人 | 岡田 稔 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 曾我 道治 |
代理人 | 中田 和博 |