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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2007300515 審決 商標
取消200331718 審決 商標
取消2007300517 審決 商標
取消2007300522 審決 商標
取消2009301157 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y03
管理番号 1189175 
審判番号 取消2007-301271 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-10-02 
確定日 2008-12-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2603594号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 1 登録第2603594号商標の指定商品中、第3類「せっけん類」については、その登録は取り消す。2 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2603594号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコヴェール」及び「ECOVEIL」の文字を上下2段に横書きしてなり、平成3年8月6日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同5年11月30日に設定登録されたものである。その後、商標権の存続期間の更新登録が同16年1月13日になされ、さらにその後、同年8月11日に指定商品を、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がなされているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論1と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
(審決注:後述するとおり、請求人は、取消請求に係る指定商品を、「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く),及びこれらの類似商品」としていたところ、これを最終的に「第3類 せっけん類」と補正しているので、以下、取消請求に係る指定商品「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く),及びこれらの類似商品」の表記を、「第3類 せっけん類」として取り扱う。)
(1)請求の理由
請求人の調査したところ、少なくとも本件審判請求前3年以内に、継続して日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが、その指定商品中「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く),及びこれらの類似商品」について本件商標を使用していない事実が判明した。
したがって、請求人は、請求の趣旨の通りの審決をいただきたく、ここに本件審判を請求する次第である。
(2)答弁に対する弁駁
ア 請求人による本件商標に対する登録の一部取消審判の請求に係る指定商品のうち、「これらの類似商品」に係る部分は、(旧)第4類中、現在の類似群コード04A01の範囲であることを表示したものであって、従来の審判実務で採用されていた「これらの類似商品」に係る部分を便宜的に付加したものにすぎないものである。
しかしながら、昨今の裁判例等(平成19年(行ケ)第10158号 平成19年10月31日判決言渡し等)に鑑みると、従来の審判実務の表記を改める必要があることを十分理解し、請求人は、「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」が、登録の一部取消審判の請求に係る指定商品であることを、ここに釈明するものである。
そこで、請求人は、本日付同時提出の手続補正書(方式)により、「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」が、登録の一部取消審判の請求に係る指定商品である旨の補正を行った。
イ 被請求人は、本件審判請求に係る指定商品である「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について、本件商標「エコヴェール/ECOVEIL」を使用している事実を立証するために乙第1号証ないし乙第6号証に示す各証拠を提出している。
しかしながら、これら証拠資料は、いずれも本件審判請求に係る上記商品について使用事実を何ら立証するものではなく、商標の使用の客観的、合理的な実質的要件を全く欠いたものであり、その証拠価値において脆弱かつ不備であると言わざるを得ない。
ウ 乙第1号証ないし乙第3号証
乙第1号証は、被請求人のパンフレットであり、乙第2号証の1ないし3は雑誌「BiBa/ビバ」(Vol.2006・Summer)の表紙及び広告の頁の写であり、乙第3号証の1及び2は雑誌「ChouChou/シュシュ」(2006 No.10 5/2→5/15)の表紙及び第49頁の写である。
ここで、被請求人は、本証拠を提示し、平成18年(2006年)6月より、上記パンフレットを需要者に配布し、上記雑誌が平成18年(2006年)5月又は6月に発行されたことをもって、本件商標を「医薬部外品」である商品「ローション」に使用している旨主張する。
しかしながら、上記釈明のとおり、請求人は「請求の趣旨」における「指定商品の範囲」の客観的明確性、及び法的安定性を確保するため、登録の一部取消審判の請求に係る指定商品は「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」であることを申し述べるものである。
したがって、本審判請求の審理の対象となる指定商品の範囲は「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」であり、これら証拠のいずれからも、本件商標を「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について使用している事実を証明する具体的かつ客観的記載は見受けられない。
被請求人が上記証拠で示した「医薬部外品」である商品「ローション」は、「化粧品」に属する商品であり、本件審判請求に係る指定商品「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」と類似する商品ではなく、ましてや同一の商品とは断じて言うことはできないからである。
被請求人が提出した乙第1号証は、被請求人のパンフレットであるが、ここで、被請求人は「ヒノキ肌粧品は医薬部外品のスキンケアシリーズです。」、「COSMEDICS(コスメディックス)ヒノキ肌粧品は、COSMETICS(化粧品)とMEDICINE(薬・医学)を綜合して生まれました。」として、当該パンフレット上の商品が全て「化粧品」であることを明示している。
そして、「STEP6 肌粧水」の欄に表示されている商品の包装容器に「Ecoveil/Lotion」の欧文字が二段に表示され、右部に「日やけのほてりをしずめお肌をひきしめます」との説明書きと共に「エコヴェール/ローション」の片仮名文字が二段に表示されている。本パンフレットは、STEP1「クレンジング」からSTEP8「クリーム」まで、被請求人が提唱するスキンケアの一連の手順に応じて使用される商品を表示しているものである。また、乙第2号証及び乙第3号証においても同一の商品が紹介されているものである。
ここで、「ローション」が如何なるものであるか検討するに、「ローション」とは「アルコールを含んだ化粧水の総称」(甲第3号証)をいい、「化粧水」とは「皮膚に栄養を与え、滑らかにするために用いる液状の化粧品」(甲第4号証)をいう。また、インターネット上の使用例をみても、「ローション」とは、肌に潤いを与えるなどを目的とした化粧品であることは明白である(甲第5号証ないし甲第7号証)。
そして、「ローション」が「化粧品」に含まれる商品であることは被請求人も認めるところであり、特許庁の審査実務においても、「ローション」は「化粧品」(類似群コード04C01)に含まれる商品である(甲第8号証)。
したがって、上記証拠のいずれも、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」に使用している事実を示すものではない。
また、被請求人は、乙第1号証を提示し、商品「ローション」が「せっけん類」と、同一需要者を対象とし、同一の用途、同一の目的に使用される商品である旨主張する。
しかしながら、乙第1号証は被請求人本人のパンフレットに過ぎず、「せっけん類」の主たる取引者・需要者である老若男女の幅広い需要者やスーパーマーケット、薬局等の販売店の商取引の実際を何ら立証するものではない。
また、商品「ローション」が「せっけん類」と、同一需要者を対象とし、同一の用途、同一の目的に使用される類似する商品とは到底言えないことは後述するとおりである。
エ 乙第4号証ないし乙第6号証
乙第4号証の1及び2は、雑誌「MINE/マイン」(1996 November)の表紙と広告の頁の写である。乙第5号証の1及び2は、雑誌「Beauty Bible/ビューティーバイブル」(Vol.4)の表紙と第121頁の写である。乙第6号証の1及び2は、雑誌「Atopyno」(Vol.3 ぱくぱく道場11月号増刊)の表紙と第144頁の写である。
ここで、被請求人は、これら証拠を提示し、被請求人が本件商標に使用する商品「ローション」は、「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びこれらに類似する商品」に含まれるものである旨主張する。
また、被請求人は、被請求人が本件商標を使用している商品は「医薬部外品」の「ローション」が洗顔料、シャンプー等の「せっけん類」と密接な関連があり、その用途、需要者、販売場所が一致しており、同一又は類似の商標が使用されれば需要者は出所について混同を生じる旨主張する。
しかしながら、商品「ローション」は、「せっけん類」とその用途、需要者、販売場所を全く異にし、たとえ同一又は類似の商標が使用されても需要者をして出所について混同を生じることは決してないものである。
第一に、「ローション」とは上記定義のとおりであるが、その用途は、主に女性が行う「化粧」に限定されるものである。よって、本商品は特許庁の審査基準において「化粧品」(04C01)に分類され(甲第8号証)、特許庁の審査基準においても「せっけん類」と「化粧品」は類似しない商品として審査されていることは、被請求人も認めるところである。
それに対し、「せっけん類」は、何らかの洗浄を目的とし、必ずしも人間の顔の洗浄を目的とするものだけではなく、その洗浄するものの対象は多岐にわたるものである。これは、特許庁において、商品区分第3類、類似群コード04A01が付されている商品採択例に「じゅうたんその他の敷物の汚れ落とし用の洗浄剤」、「つや出し効果を有する自動車用洗浄剤」、「ガラスクリーナー」、「クリーニング用清浄剤」等が含まれている事実からも顕著である(甲第9号証)。したがって、「せっけん類」が何らかの洗浄をその用途としているのに対し、「ローション」は化粧、具体的には、「皮膚に栄養を与え、滑らかにする」ことをその用途としており、その用途を全く異にするものである。
被請求人が提出した証拠(乙第4号証ないし乙第6号証)はいずれも、「せっけん類」に含まれる商品のうち、ごく一部の商品、顔の洗浄を目的とする洗顔料等が、化粧を行う際、化粧品と同時に使用されることがあるために、雑誌の記事、広告において同一頁に示されることがあることを証明するに過ぎず、それをもって、商品「ローション」と「せっけん類」がその用途を同一にするとの主張は全く当を失するものである。
第二に、「ローション」はその目的、用途が化粧に限定されるものであるから、主としてその需要者はもっぱら化粧を行う女性、特に成年の女性である。これは、被請求人が提出した雑誌資料(乙第2号証ないし乙第6号証)のすべてが、成年女性向け雑誌であることからも明白である。それに対し、「せっけん類」に含まれる商品は、上述したとおり、その用途が多岐にわたるため、その需要者も一般の老若男女に渡るものである。よって、商品「ローション」は、「せっけん類」とその需要者を同一にするとの被請求人の主張は全く当を失するものである。
第三に、商品「ローション」は上述のとおり「化粧品」であるから、デパート、薬局、スーパーマーケット等の化粧品コーナーにて販売される。それに対し、「せっけん類」に含まれる商品は日用品コーナーにて販売されるものである。化粧品コーナーと日用品コーナーは通常明確に分断されており、化粧品コーナーが専属の販売部員を配置し、成年女性のみを対象とするような陳列等を有しているに対し、日用品コーナーは特に専属の販売部員が配置されることなく、老若男女の顧客のだれもが気軽に商品を閲覧することができるような陳列等を有しているものである。よって、商品「ローション」は、「せっけん類」とその販売場所を同一にするとの被請求人の主張は全く当を失するものである。
オ 被請求人は、本件商標が被請求人の造語であることから、本件審判の請求が成立すれば、市場に混乱が生ずる旨主張する。
しかしながら、本件審判の請求が成立した場合であっても、本件商標にかかる指定商品のうち、「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く)」を除いた商品と請求人の出願(商願2007-100666)に係る指定商品「せっけん類」とは、そもそも全く非類似の商品であるため、市場に混乱が生じる余地は寸分も存在しないのである。
よって、被請求人の主張は全く当を失するものである。
カ したがって、被請求人の提出する各証拠資料は、いずれも本件審判において使用立証の証拠としては採用される余地の全くないものであることは明白であり、本件商標を当該請求に係る指定商品に使用していないことは明らかである。
(3)手続補正
請求人は、平成20年9月19日付手続補正書により、本件商標に対する登録の一部取消審判の請求に係る指定商品を「第3類 せっけん類」とする補正をした。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人の本件商標の使用事実。
被請求人は「医薬部外品」である商品「ローション」の包装用容器に「Ecoveil」の商標を表示すると共に、その商品の広告等の説明には「エコヴェールローション」と表示している。
乙第1号証は被請求人のパンフレットであり、平成18年(2006年)6月より需要者に配布しているものであり、「STEP6 肌粧水」の欄に「エコヴェール/ローション」が示されている。
乙第2号証の1から3は雑誌「BiBa/ビバ」(Vol.2 2006・Summer)の表紙及び広告の頁の写であり、ここには「さっぱり爽やかな肌粧水」として薬用収れん肌粧水「エコヴェールローション」の文字が表示され、商品の容器の写真の表面には本件商標「Ecoveil/Lotion」が表示されている。
乙第3号証の1および2は雑誌「ChouChou/シュシュ」(2006 No.10 5/2→5/15)の表紙および第49頁の写であり、被請求人の「エコヴェールローション」(医薬部外品)が商品の容器の写真と共に紹介されており、商品の表面に「Ecoveil/Lotion」の商標が示されている。
これら乙各号証により本件商標の被請求人による使用時期は、乙第1号証では裏表紙の上部に「0606新」と示されていることから2006年(平成18年)6月から配布されたことが判り、乙第2号証の1は「2006・Summer」、乙第3号証の1には「2006 No.10 5/2→5/15」と記載されていることから、いずれも本件審判請求の登録前であることが立証できる。
(2)商品「ローション」は「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、及びこれらの類似商品」に含まれる事実。
被請求人が本件商標を使用している商品は「医薬部外品」の「ローション」であるが、これは「せっけん類」特に洗顔料、シャンプ、ハンドクリーナー等とは密接な関連があり、その用途、需要者、販売場所が一致しており、同一又は類似の商標が使用されれば需要者は出所について混同を生じることが必至である。
前記乙第1号証の被請求人のパンフレットにおいても、「STEP1からSTEP8」の中の「STEP1および2」に示される「クレンジング」「洗顔」は「せっけん類」に属する商品であり、「STEP8」に示される本件商標を使用した「ローション」は「化粧品」であるが、同一需要者を対象とし、同一の用途、同一の目的を持つ商品であり、両商品が類似する商品であることが明らかである。
さらに同号証の「ヒノキ肌粧品のヘアケア」と題する「STEP1からSTEP4」においても「せっけん類」である「石けん系洗髪料」と「化粧品」である「育毛乳液」が示されており、同一需要者を対象とし、同一の用途、同一の目的に使用される商品であることが判る。
このことは多くの雑誌の記事、広告において「せっけん類」に属する商品と「化粧品」に属する商品は同じ目的の記事、同じ頁に示されており、例示すれば次の通りである。
雑誌「MINE/マイン」(1996 November)の表紙と広告の頁の写(乙第4号証の1および2)
「ハンド・ニークリーム」と「ボディ洗浄料」と「ローション」(乳液)
雑誌「Beauty Bible/ビューティーバイブル」(Vol.4)の表紙と第121頁の写(乙第5号証の1および2)
「ボディソープ」と「ボディローション」と「バスオイル」
雑誌「Atopyno」(Vol.3 ぱくぱく道場11月号増刊)の表紙と第144頁の写(乙第6号証の1および2)
「ボディソープ」と「モイストソープ」と「ヘアートリートメントウオーター」
勿論、特許庁の審査基準において「せっけん類」と「化粧品」は類似しない商品として商標の出願においては審査されているが、申すまでもなく、これは審査の便宜のために推定した基準であり、実際市場において同一又は類似の商標が「せっけん類」に属する「シャンプー」「ボディソープ」、「化粧品」に属する「ボディローション」「肌用のローション」に使用されれば、需要者が出所を混同することは明らかであり、少なくとも被請求人が本件商標を使用する商品「ローション」は、「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びこれらに類似する商品」に含まれるものである。
さらに加えれば、本件商標は省エネルギー等を示す「エコ/ECO」と「ヴェール/VEIL」(ベール、覆い)の語を結合した被請求人の造語であり、これと同一又は類似の商標「エコベール」を出願(商願2007-100666)し、使用しようとする請求人の本件審判の請求が成立すれば、市場における混乱は避け難いものである。
(3)結論
以上のとおり、被請求人は本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を指定商品「ローション」に使用しており、その商品は「せっけん類(薬剤に属するものを除く)及びこれらに類似する商品」であり、本件商標の登録は商標法第50条の規定に該当せず、その登録を取り消されるべきでなく、答弁の趣旨通りの審決を求める次第である。

4 当審の判断
(1)請求の趣旨について
請求人は、前記2のとおり、審判請求書の「請求の趣旨」において、本件商標の指定商品中「(旧)第4類 せっけん類(薬剤に属するものを除く),及びこれらの類似商品」についての登録を取消す旨求めていたが、請求人より取消請求に係る指定商品を「第3類 せっけん類」とする手続補正書が提出されたものである。
しかして、この補正は実質的に要旨を変更すると認められるところはなく、また、本件商標の指定商品は、前記1のとおり、書換登録により、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とされているものであるから、取消請求に係る指定商品が客観的で明確なものになったと認められるものであり、この補正について、被請求人も何ら申し述べていないものであるから、この補正を妥当と認め、以下、取消請求に係る指定商品を「せっけん類」として、審理を進めることとする。
なお、これに基づいて、本件商標の商標登録原簿には、平成20年10月1日付けで、請求の趣旨についての職権更正の登録がなされているものである。
(2)被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出し、本件商標を指定商品「ローション」に使用しており、その商品は「せっけん類」であり、本件商標の登録は商標法第50条の規定に該当せず、その登録を取り消されるべきでない旨主張している。
被請求人提出の証拠によれば、本件商標を使用しているとする商品は、いずれも「医薬部外品」である商品「ローション」であると認めることができる。
しかしながら、本件審判の請求の趣旨は、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類」についての登録の取り消しである。
ところで、社団法人発明協会発行の商品及び役務区分解説(1996年12月25日改訂第3版)によれば、商品区分第3類「化粧品」は、「薬事法(昭和35年法律第145号)に規定する“化粧品”の大部分及び“医薬部外品”のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。」と解説している。そして、商品「ローション」は、洗顔・入浴後等に皮膚を滑らかにするために用いる液状の化粧品である。
これに対して、商品区分第3類「せっけん類」に含まれる商品には、「愛玩動物用シャンプー」、「ガラス用洗浄剤」及び「ドライクリーニング剤」等を含むものであって、何らかの洗浄を目的とし、必ずしも人間の顔の洗浄を目的とするものだけではなく、その洗浄するものの対象は多岐にわたるものである。
そうすると、商品「ローション」は、洗顔・入浴後等に皮膚を滑らかにするために用いる化粧品であり、「せっけん類」は、人間の顔の洗浄を目的とするものだけではなく、何らかの洗浄を目的としているものであるから、両者の用途は、全く異にするものといわなければならない。
(3)被請求人は、「審査基準において『せっけん類』と『化粧品』は類似しない商品として審査されているが、これは審査の便宜のために推定した基準であり、実際市場において同一又は類似の商標が『せっけん類』に属する『シャンプー』『ボディソープ』、『化粧品』に属する『ボディローション』『肌用のローション』に使用されれば、需要者が出所を混同することは明らかである。」旨主張している。
しかしながら、被請求人提出の証拠(乙第4号証ないし乙第6号証)は、いずれも「せっけん類」に含まれる商品のうち、ごく一部の商品が雑誌の記事、広告において化粧品と同一頁に掲載されることがあることを示すにすぎず、該証拠のみをもって、被請求人の主張する如く、需要者が商品の出所を混同するとまではいえないから、この点に関する被請求人の主張は採用できない。
(4)しかして、本件商標が使用されたとして提出された証拠をもっては、本件商標が「せっけん類」に使用されたとは認められないものである。また、取消請求に係る指定商品について、本件商標の使用を窺わせる他の主張及び立証はない。
(5)以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に使用されたことを認めることができない。また、他に前記指定商品について本件商標の使用を認め得る証拠はなく、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、取消請求に係る指定商品について、その登録の取り消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-10-02 
結審通知日 2008-10-08 
審決日 2008-10-22 
出願番号 商願平3-82842 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 1993-11-30 
登録番号 商標登録第2603594号(T2603594) 
商標の称呼 エコベール 
代理人 飯島 紳行 
代理人 稲木 次之 

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