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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 12425
管理番号 1189172 
審判番号 取消2007-301623 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-12-10 
確定日 2008-12-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第1755611号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1755611号商標(以下「本件商標」という。)は、「スリーピングビューティ」の片仮名文字及び「SLEEPING BEAUTY」の欧文字を上下二段に表してなり、昭和57年7月8日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同60年3月25日に設定登録され、その後、平成18年3月29日に指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がなされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成19年12月27日である。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項により、取り消されるべきである旨主張している。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、通常使用権者である株式会社ワコール(以下「ワコール」という。)が、本件審判の請求の登録前3年以内に、商品「タオル、パジャマ、ブラジャー」について使用しているものである。したがって、本件審判により、本件商標の登録を取り消すことはできない。
(2)本件商標の通常使用権
被請求人は、平成14年11月1日付締結の契約(以下「旧契約」という)により、ワコールに本件商標の通常使用権を許諾した。この事実を証するために、乙第1号証として旧契約書を提出する。
また、本件商標の指定商品の書換登録後、契約内容の正確性を期するために、被請求人は、平成18年11月1日付締結の契約(以下「現契約」という)により、旧契約を解約すると共に、ワコールに本件商標の通常使用権を再許諾した。この事実を証するために、乙第2号証として現契約書を提出する。
この現契約が現在でも有効であることは、乙第3号証として提出する平成19年11月26日付け請求書から明らかである。当該請求書は、被請求人からワコールに対して発せられたものであり、本件商標の商標使用料に関するものである。
以上のことから、平成14年11月1日から現在に至るまで、ワコールが本件商標の通常使用権者であることが明らかである。
(3)本件商標の使用
ア 商品「タオル」における商標の使用
ワコールは、本件商標を表示した商品「タオル」を販売している事実がある。乙第4号証は、その上半部にワコールの販売に係る商品「タオル」を示し、下半部に該「タオル」に取着された下げ札の内面表示部を示すものである。また、乙第5号証は、前記下げ札を広げた状態の表面を示すものである。
これらの証拠から明らかなように、下げ札の表面に、手書き風に表した「Sleeping Beauty」の文字よりなる商標が表示されている。該使用商標は、本件商標と片仮名「スリーピングビューティ」が併記されていないこと及び書体が異なることにおいて相違するとしても、本件商標における上段の片仮名「スリーピングビューティ」と下段の欧文字「SLEEPING BEAUTY」とは同一の称呼及び観念が生じるものであるから、一方の文字を省略しても本件商標との同一性を損なうものではなく、また、本件商標における欧文字「SLEEPING BEAUTY」と使用商標における手書き風の「Sleeping Beauty」とは書体のみの相違であるから、結局、上記使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明らかである。なお、使用商標において「Sleeping」と「Beauty」との間に小さい鳥の図形が配されているが、これは下げ札の背景として表されている鳥の図形をあしらったに過ぎないものであり、「Sleeping Beauty」の商標が表示されていることには変わりはない。
また、下げ札の内面表示部には、販売者として「株式会社ワコール」が表示され、商品の品番「EY8711」が表示されている。
当該品番の商品が現実に販売されたことは、乙第6号証として提出する納品書から明らかである。当該納品書は、ワコールからワコールの直営店である「ブールマルシェ」(所在地:東京都渋谷区神南1-15-5神南プラザビル1階)に対してのものであり、本件審判の請求の登録前3年以内である平成18年7月19日に品番「EY8711」の商品が納品された事実を示すものである。
以上のことから、本件商標は、その通常使用権者であるワコールが、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品中の商品「タオル」について使用していたことが明らかである。
イ 商品「パジャマ」における商標の使用
ワコールは、本件商標を表示した商品「パジャマ」を販売している事実がある。乙第7号証は、その上半部にワコールの販売に係る商品「パジャマ」を示し、下半部に該「パジャマ」に取着された下げ札を示すものである。また、乙第8号証は、商品「パジャマ」をハンガーに吊り下げて展示する際に使用するハンガータグの表面を示すものである。
これらの証拠から明らかなように、ハンガータグの表面に、手書き風に表した「Sleeping Beauty」の文字よりなる商標が表示されており、下げ札の表面にも、これを拡大して示す前記乙第5号証から明らかなように手書き風に表した「Sleeping Beauty」の文字よりなる商標が表示されている。これら使用商標は、上記アの商品「タオル」について述べたように、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明らかである。
また、下げ札には、商品の品番「EP7362」が表示されており、この品番「EP7362」は乙第9号証として提出する納品書にも表示されていることから、当該品番の商品が現実に販売されたことが明らかである。
当該納品書は、ワコールから株式会社平和堂アル・プラザ京田辺店(所在地:京都府京田辺市田辺中央五丁目2番地1)に対してのものであり、本件審判の請求の登録前3年以内である平成19年11月16日に品番「EP7362」の商品が納品された事実を示すものである。
さらに、乙第10号証は、「ブールマルシェ」(所在地:東京都渋谷区神南1-15-5神南プラザビル1階)のウェブサイトにおいて2007年8月の「ブールマルシェ便り」に掲載された広告である。当該広告には、商品「パジャマ」の写真が掲載されると共に、「まさに、そんな夢の中の世界をイメージした『スリーピングビューティー』ブールマルシェでも大好評のナイティシリーズです。」の記載があり、「フェア期間中、『スリーピングビューティー』のナイティをお買い上げの方にオリジナルのコースター4枚セットと油取り紙をプレゼントしちゃいます!」の記載がある。また、乙第11号証は、2007年11月の「ブールマルシェ便り」に掲載された広告である。当該広告には、商品「パジャマ」の写真が掲載されると共に、「ブールマルシェで大人気のとびきり可愛いパジャマブランド『スリーピングビューティ』のパジャマたちを、たっぷり用意しました♪♪」の記載がある。これらの証拠から、ワコールの販売する商品「パジャマ」が商品の宣伝広告において「スリーピングビューティ」と指称されていることが明らかである。
以上のことから、本件商標は、その通常使用権者であるワコールが、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品中の商品「パジャマ」について使用していたことが明らかである。
ウ 商品「ブラジャー」における商標の使用
ワコールは、本件商標を表示した商品「ブラジャー」を販売している事実がある。その商品(品番:EY8396)を撮影した写真を乙第12号証の1及び同号証の2として提出する。
乙第12号証の1に示す商品「ブラジャー」には、その商品タグの表面に示されているように「Sleeping」と「Beauty」とが上下二段に構成してなる商標が表示されている。該商標は、縦長のタグ紙面の大きさの関係で上下二段に構成したものであり、該商標はたとえ上下二段構成であっても、「スリーピング」あるいは「ビューティ」のみの称呼が生ずることなく、常に「スリーピングビューティ」と称呼されるものであるから、外観的な相違はあるとしても本件商標と社会通念上同一の商標である。
乙第12号証の2は、上記商品の商品タグの裏面を撮影したものであり、該裏面には上記商品の品番「EY8396」と通常使用権者である「株式会社ワコール」の表示とが示されている。当該品番の商品が現実に販売されたことは、乙第13号証ないし乙第15号証の取引書類から明らかである。乙第13号証には平成17年2月8日に前記品番の商品がワコールウイング(株式会社ワコールのファミリーブランドの名称)から株式会社長崎屋八戸店(所在地:青森県八戸市江陽2-14-1)へ納品されたことが示されている。また、乙第14号証には平成17年2月8日に前記品番の商品「ワコールウイング(株式会社ワコールのファミリーブランドの名称)から株式会社長崎屋柏崎店(所在地:新潟県柏崎市東長浜町4-15)へ納品されたことが示されている。さらに、乙第15号証には平成17年2月24日に前記品番の商品が株式会社ワコールからユニー株式会社アピタ田富店(所在地:山梨県中央市山之神1383-9)へ納品されたことが示されている。
以上のことから、本件商標は、その通常使用権者であるワコールが、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品中の商品「ブラジャー」について使用していたことが明らかである。
(4)まとめ
以上詳述したように、本件商標は、被請求人が許諾した通常使用権者により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について使用されていることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではなく、請求の趣旨の通りの審決を求める旨主張している。

4 請求人の弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。

5 当審の判断
被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)通常使用権者について
ア 乙第1号証は、商標使用許諾契約書と認められるところ、平成14年11月1日に、商標権者とワコールとの間で、本件商標に係る権利の内、商品「パジャマ、ナイトウェア、婦人下着」について、本件商標の日本国内における通常使用を許諾していることが認められる。
イ 乙第2号証は、商標使用許諾契約書と認められるところ、本件商標の指定商品の書換登録後、契約内容の正確性を期するために、平成18年11月1日に、商標権者とワコールとの間で、国際分類第24類及び第25類の商品について、本件商標の日本国内における通常使用を許諾していることが認められる。
ウ 乙第3号証は、2007年11月26日付けの商標権者からワコール宛の請求書及び同日付けのワコールから商標権者宛の支払通知書と認められるところ、「商標使用料(供与)24,25類 スリーピングビューティー/SLEEPINGBEAUTY」の文字及び請求金額合計等が記載されている。
してみれば、ワコールは、本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第4号証は、商品「タオル」及び下げ札の写真と認められるところ、下げ札の表面に表示された商標は、「Sleeping」の文字と「Beauty」の文字との間に小さな鳥の図形を有するものの、文字部分は「スリーピングビューティ」の称呼及び(眠り姫)の観念を同じくする本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。また、下げ札の裏面には、「日本製・株式会社ワコール」の文字、品番「EY8711」、バーコードの番号「4903726018365」及び価格が記載されている。
イ 乙第5号証は、下げ札の表面の写しと認められるところ、前記(2)アと同様の商標が記載されている。
ウ 乙第6号証は、2006年7月19日付けのKKワコール ウイングジギョウブからWINGチョクエイテンのブールマルシェへの納品書と認められるところ、品番「EY8711」、商品コードがバーコードの番号と同一の「4903726018365」及び売単価が記載されており、この売単価は、乙第4号証の価格と一致している。
エ 乙第7号証は、商品「パジャマ」、ハンガータグ及び下げ札の写真と認められるところ、ハンガータグ及び下げ札の表面に表示された商標は、「Sleeping」の文字と「Beauty」の文字との間に小さな鳥の図形を有するものの、文字部分は「スリーピングビューティ」の称呼及び(眠り姫)の観念を同じくする本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。また、下げ札の裏面には、品番「EP7362」及び価格が記載されている。
オ 乙第8号証は、ハンガータグの表面の写しと認められるところ、前記(2)エと同様の商標が記載されている。
カ 乙第9号証は、2007年11月16日付けのワコールからヘイワドウへの納品書と認められるところ、品番「EP7362」及び売単価が記載されており、この売単価は、乙第7号証の価格と一致している。
キ 乙第12号証の1は、商品「ブラジャー」及び下げ札の写真と認められるところ、下げ札の表面には、「Sleeping」の文字と「Beauty」の文字が上下二段に表されており、この商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
ク 乙第12号証の2は、商品「ブラジャー」及び下げ札の写真と認められるところ、下げ札の裏面には、品番「EY8396」が記載されている。
ケ 乙第13号証は、2005年2月8日付けのワコールウイングからナガサキヤのハチノヘ店への納品書と認められるところ、品番「EY8396」が記載されている。
コ 乙第14号証は、2005年2月8日付けのワコールウイングからナガサキヤのカシワザキ店への納品書と認められるところ、品番「EY8396」が記載されている。
サ 乙第15号証は、2005年2月24日付けのワコール ウイングブランド事業本部からユニーカントウへの納品書と認められるところ、品番「EY8396」が記載されている。
(3)まとめ
ア 乙第4号証ないし乙第6号証によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が指定商品中「布製身の回り品」に属する「タオル」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと推認することができる。
イ 乙第7号証ないし乙第9号証及び乙第12号証の1ないし乙第15号証(枝番号を含む。)によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が指定商品中「被服」に属する「パジャマ」及び「ブラジャー」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-07-08 
結審通知日 2008-07-14 
審決日 2008-07-28 
出願番号 商願昭57-60112 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (12425)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 杉山 和江
平澤 芳行
登録日 1985-03-25 
登録番号 商標登録第1755611号(T1755611) 
商標の称呼 スリーピングビューティ、スリーピング 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 蔦田 璋子 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 蔦田 正人 

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