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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 129
管理番号 1189104 
審判番号 取消2007-301173 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-09-13 
確定日 2008-09-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第2332857号商標の登録取消審判事件について次のとおり審決する。 
結論 登録第2332857号商標の指定商品中「肉製品,加工水産物,加工卵,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2332857号商標(以下「本件商標」という。)は、「DOMO」の欧文字を書してなり、昭和63年7月11日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年9月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらにその後、平成14年8月14日に第29類「スッポン卵・無臭ニンニク・サフラワーオイルを主材料とするカプセル状・錠剤状・顆粒状・粉末状・液状の加工食品,肉製品,加工水産物,加工卵,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
請求人が調査するも、本件商標がその指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工卵,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」について、少なくとも過去3年以内に日本国内において、被請求人により使用されている事実を発見することはできなかった。また、被請求人から本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の許諾を受けて、被請求人以外の者が本件商標をその指定商品中、上記商品について過去3年以内に日本国内において使用している事実も見出せなかった。なお、甲第2号証として提出する商標登録原簿によれば、専用使用権及び通常使用権の設定登録はされていない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、上記商品について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても継続して3年以上にわたり日本国内において使用されている事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標が「加工卵」について使用されている旨主張し、乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているが、乙各号証をそれぞれ検討すると、以下の点を指摘することができ、本件商標が本件審判による取消を免れるための使用事実が十分に証明しているとはいえないものである。
(1)乙第1号証
乙第1号証の上段の写真は、作業員が粉末状の商品を袋に詰めている様子を写しており、下段の写真は作業員が袋詰めした当該商品をさらにアルミ包装している様子を写しているが、いずれの写真からも当該商品がスッポンの「加工卵」であることを認識することはできない。
また、当該商品を包装する袋及びアルミ包装にはいずれも本件商標は付されておらず、製造日等の日付の表示もない。
したがって、乙第1号証は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品中「加工卵」について本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって日本国内で使用されていた事実を証明していないものである。
(2)乙第2号証
乙第2号証の写真においても、商品がスッポンの「加工卵」であるかは明らかではなく、商品を包装する袋及びアルミ包装にはいずれも本件商標は付されておらず、また製造日等の日付の表示もないことは乙第1号証と同様である。
したがって、乙第2号証は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品中「加工卵」について本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって日本国内で使用されていた事実を証明していないものである。
(3)乙第3号証
被請求人は、答弁書において、平成19年(2007年)2月1日にダンボール包装用容器に詰めた「加工卵」とする商品を各取引先に送付したことを単に主張するのみで、この事実を証明する証拠書類を提出しておらず、真に「商取引の対象として流通させて」いるかを証明していない。
また、ダンボール包装容器側面に表示されたシッピングマークは、白色の長方形を背景にした本件商標「DOMO」をちょうど囲むように配置されたひし形の図形の下に三段書きで上から順に「C/NO」「MADE IN TAIWAN」及び「R.O.C.」の英文字を同じ大きさの太文字で配置するという構成であるが、本件商標のみがダンボール地とは思われない白地に比較的細く小さい文字で表示されており、シッピングマーク全体の構成から見て明らかに不自然であり、写真に何らかの加工を施したものとの心象を持たざるを得ない。
さらに、乙第3号証の写真においても商品がスッポンの「加工卵」であるかは明らかではなく、商品を包装する袋及びアルミ包装にはいずれも本件商標は付されておらず、また製造日等の日付の表示もないことは乙第1号証と同様である。
したがって、乙第3号証は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品中「加工卵」について本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって日本国内で使用されていた事実を証明していないものである。
(4)乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が、本件商標の審判請求の日前3年以内に「DOMO」という商標によって包装された「加工卵」を商取引したことを証明する被請求人の主要な取引先である株式会社三協の証明書である。
思うに、取引先は被請求人と経済的に密な関係にあり、取引先の証明書はそれ自体は証拠力が弱いか若しくは無いに等しいものであり、請求書、納品書、注文書等の取引書類や商品のカタログや広告等と併せて提出されることによって初めて証拠として採用されるべきものであると思料する。
しかるに、被請求人は商標権者であれば容易に入手できるはずのこれらの取引書類や広告等を提出していない。
したがって、乙第4号証は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品中「加工卵」について本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって日本国内で使用されていた事実を証明していないものである。
3 以上、述べたところにより、乙各号証はいずれも本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって本件審判請求に係るいずれかの指定商品について使用された事実を証明するに足るものではなく、本件商標は、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。
なお、被請求人は、答弁書において、「審判の上で別途必要な使用証明があれば、具体的なご指示頂ければ提出可能であるので、ご指示頂きたい。」と述べているが、そうであるならば、答弁書提出時にあわせて提出すべきであり、被請求人は誠実に本件商標の使用の事実を立証しようとしているとは到底考えられない。さらに商標権者であるならば、当然に容易に入手でき、商標の使用の事実を証明する証拠方法として最も一般的ともいえる注文書、請求書等の取引書類やカタログ、広告等を提出せずに証拠力に欠ける商品の梱包作業の写真(乙第1号証ないし乙第3号証)や容易に作成することのできる取引先の証明書類(乙第4号証)を提出しているという事実に鑑みると、被請求人は、本件審判による本件商標の取消を免れるために本件商標の使用事実を偽っているとの心象を持たざるを得ないことを附言する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を答弁書及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
1 答弁の理由
まず、初めに本件商標権者の住所が旧住所のままであったので、本答弁書と同日付けで提出の「移転による登録名義人の表示変更登録申請書」により新住所である「東京都中央区銀座3丁目10番6号マルイト銀座第3ビル7階」へとする住所変更を申請した。
次に、被請求人は、本件商標を本件取消商品について、本件審判の請求の登録前3年間に日本国内において使用しているので、その使用事実についての一部であるが以下に提示する。
そこで、被請求人についての簡単な業務説明等を行った上で、使用している事実を列記していくこととする。
被請求人は、企業理念に「健康」を掲げ、いかにして多くの人々を健康に導くかを常に考えて行動し、健康食品製造販売・サプリメント製造販売に加えてリゾートホテル、オーガニックレストランの運営等も事業として運営している。
その被請求人が製造販売する主要な健康食品中、スッポンの卵を加工しカプセル状に包んで販売しているものがある。今日、この健康食品は、「REMAIN YOUNG:リメイン ヤング」と称してブランド展開し市場に当該商品を流通している。当該商品は、業界需要者に多くの認識と愛顧を頂く商品となっており、被請求人の主要な収益源となっているものである。この健康食品の加工プロセスで生じたスッポンの「加工卵」を別途有効活用するため商取引の対象として流通させており、次のとおり加工プロセスを経て、最終的に商品「加工卵」として生成されている。
その加工プロセスは、まず、はじめにスッポンの卵を採取し、それを洗浄及び殺菌して殻ごと粉砕し、真空冷凍乾燥を施して、加えて繊細で痛みやすい性質から袋詰めした上でアルミ包装をし、ダンボールによって包装され需要者等に届けることになる。
そして、乙第1号証は、上記のように生成された「加工卵」を従業員が包装する作業現場を撮影した写真である。
乙第2号証は、上記のように生成されダンボールによって包装される前の「加工卵」の写真である。上段の写真2枚は、生成された「加工卵」をアルミ包装した状態の写真である。下段の写真2枚は、生成された「加工卵」そのものの写真である。
乙第3号証は、平成19年(2007年)2月1日に前記株式会社三協を含めた各取引先に「加工卵」を送付するダンボール包装用容器の写真である。上段は、そのダンボール包装用容器自体を撮影したものである。そして、下段は、乙第1号証の従業員が「DOMO」の商標の付されたダンボール包装用容器に詰めいれる瞬間を撮影したものである。
乙第4号証は、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に「DOMO」という商標によって包装された「加工卵」を商取引したことを証明する被請求人の主要な取引先である株式会社三協の証明書である。
乙第5号証は、「加工卵」の詳細な作成工程の写真である。
2 本件商標の使用について
上述するように、本件商標が、その指定商品中「加工卵」に、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人が日本国内において使用していたことは乙第1号証ないし乙第5号証により明らかである。
請求人の請求する商品中の一部について、本件商標を商品の標識として使用しているから請求人の請求は、成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証は、従業員がある商品を袋詰めしている写真、乙第2号証は、その包装用袋の拡大写真であるところ、本件商標「DOMO」の表示は見当たらない。また、黄色の粉状の商品らしきものとは把握できるが、それがいかなる商品であるかまでは確認できない。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、包装用段ボール箱の写真であるところ、上蓋部分に「水濡厳禁」の文字が、また、横長側面の上部菱形マーク内の白地の短冊内に、「DOMO」の文字が、その下に「C/NO」、「MADE IN TAIWAN」及び「R.O.C.」の各欧文字が上下三段に表示されている。
(3)乙第4号証は、平成19年11月29日(「29」の部分のみ手書き)付けの株式会社三協宛の被請求人の「証明願」であるところ、その中央部に、「《商標》/「DOMO」が印刷表示され、その下に「上記商標は、弊社株式会社ドーモコーポレーションが、日本国内において、過去3年以内に、商品『加工卵』に使用しており、かつ、貴社との商取引において使用されていたことを証明願います。」と表記され、さらにその下に「?証明書? 上記について、事実に相違ないことを証明致します。平成19年11月29日(「29」の部分のみ手書き)、株式会社三協の住所、名称及び担当者と思しき者の氏名と押印」がなされている。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は、5枚の写真から成るところ、1枚目の写真が「卵」らしきものの写真、2枚目が、黄色い液体を柄杓からシートに注いでいる写真、3枚目は、冷凍乾燥された黄色い粉を検査ないし粉を延ばしている写真、4ないし5枚目は、乙第1及び第2号証と同様の作業を行っているところの写真である。
2 そこで検討するに、まず、乙第1号証及び乙第2号証の写真によれば、黄色の粉状と思しき商品であることは確認できるものの、具体的商品としての「加工卵」であるとまでは確認できない。かつ、その商品を包装した袋及びアルミ包装には、いずれも本件商標が付されておらず、製造日等の日付の表示もない。
乙第3号証の写真によれば、包装用段ボール箱の横長側面の菱形マーク内には、白地の短冊内に、本件商標である「DOMO」の文字が表示されていることは認め得るが、段ボール箱に最初から直接印刷されていた文字というよりは、単に白地の汎用紙に「DOMO」の文字を印刷して短冊形に切り抜き、それを菱形マーク内に貼ったものとしか言わざるを得ず、その文字の種類・大きさ・線の太さ等なども、他の欧文字と比べて、いかにも不自然である。
乙第4号証は、あらかじめ被請求人が作成し用意したものに証明者が日付を記入し、名前の上に捺印する形式の、いわゆる定型の証明書であって、商品「加工卵」の使用について、「上記について、事実に相違ないことを証明致します。」とのみ記述されているものである。しかも、証明書は、わずか1通のみが提出されているに止まるものである。
むしろ、被請求人は、実際に使用しているならば容易に提出できるはずの、本件商標「DOMO」を表示した商品「加工卵」を製造、販売していることを証する、例えば、注文書、納品書、収支報告書等の具体的証拠は、何ら提出しているものではない。
最後に、乙第5号証は、「加工卵」の詳細な作成工程の写真であるが、何れの写真にも、本件商標の表示はなく、かつ、製造日や写真撮影日等の日付もないものである。
3 そうすると、乙第1号証ないし乙第5号証を総合しても、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品中の「加工卵」について使用されていたとは認めることはできない。
また、他に、商標権者ないし使用権者が、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において請求に係る指定商品について使用していたものと認め得る証拠は見当たらない。
4 以上のとおりであるから、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品中「肉製品,加工水産物,加工卵,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできず、また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、上記請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-07-03 
結審通知日 2008-07-08 
審決日 2008-07-28 
出願番号 商願昭63-79340 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (129)
最終処分 成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小川 きみえ
佐藤 達夫
登録日 1991-09-30 
登録番号 商標登録第2332857号(T2332857) 
商標の称呼 ドモ 
代理人 遠藤 祐吾 
代理人 中村 政美 
代理人 早津 貴久 
代理人 村橋 史雄 
代理人 朴 暎哲 

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