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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 |
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管理番号 | 1189012 |
審判番号 | 取消2007-301129 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-09-05 |
確定日 | 2008-11-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3136634号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3136634号商標の指定商品中「運動用特殊衣服、運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3136634号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年5月26日に登録出願、「エアフロ」の片仮名文字と「AIRFRO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、第25類「被服,ガ?タ?,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同8年3月29日に設定登録、その後、同18年2月21日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。 第2 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、本件商標の結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。 2 請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定役務中「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」のいずれについても使用していない。したがって、本件商標は、その指定役務中「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」について、その登録を取り消されるべきである。 3 答弁に対する弁駁 被請求人は、平成19年11月7日提出の答弁書中6.理由の項において、乙第1号証を提出して、本件商標が本件審判請求の日前3年間に被請求人の通常使用権者が日本国内において使用していた旨主張しているが、その主張は、根拠に欠けるので、以下、その理由を述べる。 確かに、アルファベットの「Airfro」らしきロゴとカタカナ文字「エアフロ」とが併記してなる箇所が乙第1号証の第3ページにある。被請求人は、おそらくそれが当該ページに掲載されている商品の商標として使用されていると主張しているものと思われるが、この場合の「Airfro/エアフロ」 は、前記商品の商標として使用されているものではない。 すなわち、前記商標が表示されている長方形の枠内を見ると、次のように記載されている。 Airfro 「R」(登録商標を意味するマルR。以下同じ。) エアフロ 「R」 約40%の軽量化(※ユニチカ株従来品比)を 実現した新中空スポーツ素材。 繊維側面のマイクロスリットにより、ボリューム感があり ながら従来のポリエステル糸に比べて約40%(※)の 軽量化を実現。 そうすると、「Airfro/エアフロ」なる登録商標は、わざわざ長方形の枠組みで囲い、外部と遮断してあるから、枠内に表示されている新素材の商標として使用されていると看取されると見るのが正鵠を得た観察である。現に、前記「Airfro/エアフロ」なる登録商標の枠外に掲載されている商品「ウインドベスト」「トランクス」「ロングスリーブトップ」及び「ロングタイツ」を見ると、それぞれ独自の商標として、「XTW522」「XTW623」「DERMA CUT『R』TF/デルマカット」及び「DERMA CUT『R』/デルマカット」が各商品の左側面にサイズ・値段等の記述的文言とともに使用されているものである。 さらに、被請求人のホームページを見ても、次のように記事(広告)が掲載されている(甲第2号証)。 エアフロ(R) エアフロ(R)は、仮撚加工が可能なポリエステル系中空糸よりな る軽量素材です。 (中空率40) 染色加工工程で中空を形成させる特殊技術の採用により,従来では得 られなかった軽量感と崇高性を表現することが可能になったユニフォー ムに最適な素材です。 <特長> ・ 軽くてソフト ・ ボリューム感 ・ ストレッチ性(ヨコ伸び) ・ 制電性に優れています。(エピクロス(R)メガーナ(R)) ユニチカホームページ すなわち、被請求人は、本件商標を完成品(ウインドベスト等)の素材の商標として認識し、使用していることが分かるものである。 したがって、「Airfro/エアフロ」なる登録商標の使用の意味するところを前述のように解釈するのが商品取引の通念、慣習に合致する以上、乙第1号証からは、本件商標がその指定商品中「運動用特殊衣服」のいずれにも使用されたことがないものといわなければならない。 このような観察が正しいことは、たとえば、東京高裁平成13年(ネ)第1035事件の判決を見ても十分首肯できる。本件商標も正に完成品の材料(素材)表示として使用されているものであり、完成品の使用ではないと判断されるほかないものといえる。 次に、被請求人の提出する乙第1号証のカタログに掲載されている商品は、請求人が審判請求書中5.請求の趣旨で言及した本件商標権の指定商品中第25類「運動用特殊衣服」の範ちゅうに属する商品とは目されないか、少なくとも疑わしいものである以上、本件商標が適法に「運動用特殊衣服」のいずれかに使用されたものとの確証を得ることは、できないものである。すなわち、単に「ウインドベスト」「トランクス」「ロングスリーブトップ」あるいは「ロングタイツ」と商品名を表示したのでは、「運動用特殊衣服」すなわち「競技用の特殊衣服」と目され難いといわなければならない。現に、特許庁のIPDLで検索すると、「ベスト」「トランクス」「タンクトップ」 は、それぞれ「被服」(17A01)の範ちゅうに属するとものとされている(甲第5号証ないし甲第8号証)。 以上の理由から、本件商標が「運動用特殊衣服」に使用された事実の確証がない。被請求人が本件商標を競技用のウインドベスト・トランクス・ロングスリーブトップ・ロングタイツに使用してきたのであれば、例えば、「エアフロ印」の折りネーム付きの「競技用トランクス」の写真あるいは取引伝票など証拠資料を提出すべきであり、それが容易に可能なはずである。 このように、本件商標は、通常使用権者によって「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」のいずれにも本件審判請求登録前3年間使用されていなかったものというべきである。 第3 被請求人の答弁 1 答弁の趣旨 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。 2 答弁の理由 本件商標は、その指定商品中、本件取消商品について、審判請求日の日前3年間に日本国内において使用しているので、その使用事実についての一部であるが以下に提示する。 被請求人の顧客である株式会社アシックスの「2006-2007AUTUMN&WINTER SPORTS WEAR」カタログの一部を乙第1号証として提出する。 このカタログは、2006年7月に発行されたものであり、日本を代表するスポーツ衣料メーカーである株式会社アシックスが全国のスポーツ用品店向けに、2006年冬と2007年春に店頭販売する商品を一堂に掲載したものであり、掲載商品は本件取消商品と同一又は類似する商品(類似群コード20C01)であるグランドコート、野球ユニフォーム、サッカーユニフオーム、バレーボールユニフォームを始めこれら各種スポーツユニフオームと同じ店頭、同じ売り場で取り扱われるロングタイツやウインドベストなどの商品である。このカタログ中、上記のウインドベスト、ロングタイツのブランドとして本件商標が記載されていることが明白である。なお、当該業界においては、被請求人のような素材提供メーカーが大手スポーツアパレルに対して、自社が保有する登録商標を製品ブランドとして使用許諾することは、販売促進の一環として普通に行われており、その際に「商標使用許諾契約書」などの締結は行わずロ頭にて使用許諾(通常使用権の許諾)していることもまた普通に行われているところである。本件商標についても上述の事情の下、被請求人から株式会社アシックスに対して口頭にて通常使用権を付与しているものである。 上記する乙第1号証からも明らかなように、本件商標は、通常使用権者が登録の態様と同一の態様にて、あるいは、社会通念上同一と認められる態様で本件取消商品の「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」に含まれる商品に使用しているものであり、しかも、本件審判事件の請求前3年以内に使用されていたことが明らかである。 第4 当審の判断 被請求人の提出に係る乙号証によれば、以下の事実を認めることができる。 乙第1号証は、被請求人「商標権者」の通常使用権者とする「株式会社アシックス」が2006年7月に発行した2006年から2007年にかけての秋冬用のスポーツウエアについての商品カタログの写しである。 当該カタログ3頁には、DAILY PERFORMANCE LINE VEST/TRUNKS/SHIRT/TIGHTSのタイトル以下に、「ウインドベスト」、「トランクス」、「ロングスリープトップ」及び「ロングタイツ」等の商品説明(サイズ、素材名、品質、製造地、価格)が掲載されている。そのうち、中段の「DERMA CUT TF(該文字はデザイン化されている。)」の商品説明には、「ロングスリープトップ」、その素材名の欄には「エアフロ ソフト2」と記載されている。 更に、同じ頁の左側下段には青色の長方形状の枠内に、籠文字でデザイン化された「Airfro」と片仮名文字「エアフロ」、「約40%の軽量化(※ユニチカ株従来品比)を実現した新中空スポーツ素材。繊維側面のマイクロスリットにより、ボリューム感がありながら従来のポリエステル糸に比べて約40%(※)の軽量化を実現。」と記載されている。 そして、被請求人は、「カタログ中、上記のウインドベスト、ロングタイツのブランドとして本件商標が記載されていることが明白であること、及び、当該業界においては、被請求人のような素材提供メーカーが大手スポーツアパレルに対して、自社が保有する登録商標を製品ブランドとして使用許諾することは、販売促進の一環として普通に行われており、その際に「商標使用許諾契約書」などの締結は行わずロ頭にて使用許諾(通常使用権の許諾)していることもまた普通に行われているところである。」旨主張している。 しかしながら、前記カタログには、商品名「ロングスリープトップ」の素材名として「エアフロ」が明示されており、同じく商品名「ロングタイツ」の素材名として「ソフト2WAYトリコットWP」と記載されているが、共に「DERMA CUT TF(該文字はデザイン化されている。)」の文字が記載されていることからすれば、ロングスリープトップ及びロングタイツの商品において、「エアフロ ソフト2」と「ソフト2WAYトリコットWP」は素材名を表していることが明らかであり、該「DERMA CUT TF(該文字はデザイン化されている。)」が商標であるとみるのが自然である。 さらに、前記のとおり、同カタログの青色の長方形状の枠内に、籠文字でデザイ化された「Airfro」と片仮名文字「エアフロ」、「約40%の軽量化(※ユニチカ株従来品比)を実現した新中空スポーツ素材。繊維側面のマイクロスリットにより、ボリューム感がありながら従来のポリエステル糸に比べて約40%(※)の軽量化を実現。」と記載されていることからも、「Airfro」、「エアフロ」は、素材の商標として使用されているというべきである。 そうとすると、当該カタログに掲載された使用商標「Airfro」、「エアフロ」は、本件審判の請求に係る商品「運動用特殊衣服」について使用されたものとは認められない。 そして、被請求人は、他に本件商標を審判の請求に係る商品について使用していることを証明する証拠の提出をしていない。 なお、被請求人は、「当該業界においては、被請求人のような素材提供メーカーが大手スポーツアパレルに対して、自社が保有する登録商標を製品ブランドとして使用許諾することは、販売促進の一環として普通に行われており、・・・。」と主張するが、前記認定のとおり、「Airfro」、「エアフロ」は、素材の商標として使用されている以上、被請求人の上記主張は採用できない。 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「運動用特殊衣服」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-05 |
結審通知日 | 2008-09-10 |
審決日 | 2008-09-30 |
出願番号 | 商願平5-52467 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(025)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
伊藤 三男 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 酒井 福造 |
登録日 | 1996-03-29 |
登録番号 | 商標登録第3136634号(T3136634) |
商標の称呼 | エアフロ |
代理人 | 菊地 栄 |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 岸田 正行 |