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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
管理番号 1187523 
審判番号 不服2007-26678 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-28 
確定日 2008-10-24 
事件の表示 商願2006- 89024拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「レンズしっとり」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成18年9月25日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品中『薬剤』等との関係において『(目の)レンズがしっとりする』という意味合いを容易に看取させる『レンズしっとり』の文字を標準文字で表してなるところ、これを本願指定商品中の『目薬等の薬剤,眼帯』に使用しても、取引者・需要者に『(目の)レンズがしっとりする目薬等の薬剤・眼帯』を認識させるにとどまり、自他商品を区別するための識別標識としての機能を有しないものであり、単に商品の品質・効能を表示するにすぎないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記文字に相応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

本願商標は、「レンズしっとり」の文字よりなるところ、その構成中の「レンズ」の文字部分は、指定商品中、例えば「目薬,コンタクトレンズ用洗浄保存液,コンタクトレンズ装着液」等を取り扱う業界においては、「コンタクトレンズ」を指称する語として一般に使用されているものであり、「しっとり」の文字部分は、「軽くしめり気を含んでいるさま。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する語として一般に親しまれているものである。
そうとすれば、本願商標は全体として「コンタクトレンズが軽くしめり気を含んでいるさま」程の意味合いを容易に理解、認識されるものである。
また、指定商品を取り扱う業界において、コンタクトレンズの乾きを防ぐため、コンタクトレンズをしっとりさせる成分(装用感を快適にする涙液補助成分、生体適合物質、ヒアルロン酸ナトリウム等)が配合されている目薬、コンタクトレンズ用洗浄保存液、コンタクトレンズ装着液等が販売されている実情にある。
かかる実情は、以下のインターネットの記事情報からも裏付けられるところである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、コンタクトレンズをしっとりさせる成分が配合されている商品、例えば「目薬,コンタクトレンズ用洗浄保存液,コンタクトレンズ装着液」等に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認識、把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというべきであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

「レンズしっとり」の文字及び「レンズ」、「しっとり」の各文字について1 「目薬」に関して
(1)「楽天市場 くすりのぴよぴよほんぽ」のウェブサイトにおいて、「スマイルコンタクト ソフトなさし心地」の見出しの下「<特徴>●涙液補助成分配合でレンズしっとり●2種のアミノ酸成分配合目の疲れを癒します。●潤いプラス栄養補給。1本で2つの働きの目薬です。発売元:ライオン株式会社」との記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/piyopiyo/162169/240441/276635/242877/#234523)
(2)ロート製薬のウェブサイトにおいて、「レンズしっとり&うるおいとどまる ドライアイ(目の乾き)にも」の見出しの下に「なめらか成分[ブドウ糖]配合で、レンズのはりつきなどの不快感にも優れた効果を発揮します。角膜保護成分配合のとろみのある液がじんわり広がるので、ドライアイ(目の乾き)の方にもおすすめ。レンズをしっとり包み込むうるおいベール・ポロクサマー【溶解補助剤】配合。」との記載があり、請求人も商品の品質表示として、目薬に使用している。(http://www.rohto.co.jp/c3/prod_mmc.htm)
2 「コンタクトレンズ用洗浄保存液」に関して
(3)「爽快ドラッグ」のウェブサイトにおいて、「ホヤ シンプルワン」の見出しの下に「●O2ハードコンタクトレンズ用洗浄保存液●洗浄・保存・タンパク除去はこれ1本+●新素材MPCポリマー(生体適合物質)のはたらきでレンズしっとり、くもりを防止●MPCポリマーとは・・・医療用具や化粧品に使用されている高分子新素材で、レンズにうるおいを与え、くもりや汚れの付着を防止します。発売元又は製造販売ホヤ」との記載がある。(http://www.soukai.com/P6577/p.html)
(4)「爽快ドラッグ」のウェブサイトにおいて、「オーツーハードワン」の見出しの下に「●酸素透過性ハードコンタクトレンズ用●生体適合性物質『MPCポリマー』配合。だから…レンズにしっとりうるおい 曇りを防止、クリアな視界 酵素の力をしっかりキープ 発売元又は製造販売大洋製薬」との記載がある。(http://www.soukai.com/P451747/p.html)
(5)「爽快ドラッグ」のウェブサイトにおいて、「バイオクレン モノケア」の見出しの下に「●すべてのO2・ハードレンズに・・・●ずっと続くうるおい感・ハード用1本ケアで始めてのヒアルロン酸入り、ヒアルロン酸ナトリウムをO2・ハード用1本ケアで初めて配合。レンズをしっとり包み込み、うるおい長時間キープします。発売元又は製造販売元 オフテクス」との記載がある。(http://www.soukai.com/P8016802/p.html)
(6)「株式会社シード」のウェブサイトにおいて、「O2レンズ用『ピュアティモイスト』」の見出しの下に「うるおい成分「リピジュア(R)」配合で、レンズしっとり快適。」との記載がある。(http://www.seedcontact.jp/care_top.shml)
(7)「株式会社サンコンタクト」のウェブサイトにおいて、「酸素透過性ハードコンタクトレンズ用酵素洗浄保存液(しっとりケアマイルド)」の見出しの下に「しっとり成分配合で、レンズの装用感が向上します。使用後は水滴がレンズ表面に平らに広がり『しっとり』しているのがわかります。」との記載がある。(http://www.sun-con.com/products/shittori/index.htm)
(8)「楽天市場 ドラッグユタカ」のウェブサイトにおいて、「ロートCキューブ ベースソリューション」の見出しの下に「レンズしっとり うるおい成分配合。すべてのタイプのコンタクトレンズに使えます。防腐剤無添加。・うるおい成分『ポロクサマー』潤いの水ベールが、しっとり心地よくレンズを包み、瞳へのやさしさも実現しました。発売元 ロート製薬」との記載があり、請求人も商品の品質表示として、コンタクトレンズ用洗浄保存液に使用している。(http://item.rakuten.co.jp/drugyutaka/4987241106646/)

3 「コンタクトレンズ装着液」に関して
(9)「株式会社オフテクス」のウェブサイトにおいて、「コルティア うるおいフィット」の見出しの下に「有効成分ポリビニルアルコールがレンズと瞳の間でクッションの働きをし、さらに保湿成分ヒアルロン酸ナトリウムがレンズにうるおいを与え、しっとりとした装着感を実現。レンズ装着時の異物感を軽減し、快適な装用感を保ちます。」との記載がある。(http://www.ophtecs.co.jp/products/both/ct/index.html)

第4 証拠調べ通知に対する意見の要点
請求人は、「証拠調べ通知書に記載の使用例はいずれも本願商標『レンズしっとり』が『コンタクトレンズが軽くしめり気を含んでいるさま』を表わすものとして普通に用いられていることを示す実例とは言えず、本願商標『レンズしっとり』は、全体から漠然とした意味合いを暗示させる場合があるとしても、指定商品の品質等を直接的かつ具体的に表示したものとして一般に理解されるものとはいい難いものである。したがって、これを本願指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。」旨述べている。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「レンズしっとり」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「レンズ」の文字部分は、指定商品中、例えば「目薬,コンタクトレンズ用洗浄保存液,コンタクトレンズ装着液」等を取り扱う業界においては、「コンタクトレンズ」を指称する語として一般に使用されているものであり、「しっとり」の文字部分は、「軽くしめり気を含んでいるさま。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する語として一般に親しまれているものである。
そして、本願指定商品との関係においては、コンタクトレンズ装用時の不快な症状であるコンタクトレンズの乾きを防ぐため、コンタクトレンズをしっとりさせる成分(装用感を快適にする涙液補助成分、生体適合物質、ヒアルロン酸ナトリウム等)が配合されている目薬、コンタクトレンズ用洗浄保存液、コンタクトレンズ装着液等が製造・販売されているところである。
これらのことは、前記第3の証拠調べ通知において示したインターネットの記事情報において、「レンズしっとり」、「レンズ」及び「しっとり」の文字が、上記の意味合いで使用されている事実からも首肯することができる。
そうすると、「レンズしっとり」の文字よりなる本願商標は、全体として「コンタクトレンズが軽くしめり気を含んでいるさま」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。
してみれば、本願商標は、その指定商品中、コンタクトレンズをしっとりさせる成分が配合されている商品、例えば「目薬,コンタクトレンズ用洗浄保存液,コンタクトレンズ装着液」等に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「コンタクトレンズをしっとりさせる商品」であること、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、また、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-08-21 
結審通知日 2008-08-26 
審決日 2008-09-08 
出願番号 商願2006-89024(T2006-89024) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y05)
T 1 8・ 272- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 杉山 和江
平澤 芳行
商標の称呼 レンズシットリ、シットリ、レンズ 
代理人 特許業務法人山田特許事務所 

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