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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y31
管理番号 1186171 
審判番号 不服2007-35007 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-27 
確定日 2008-10-10 
事件の表示 商願2006- 49547拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Dr.Fish」の欧文字と「ドクターフィッシュ」の片仮名文字を上下二段に書してなり、第31類「生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,果実,コプラ,麦芽,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。) ,蚕種,種繭,種卵,うるしの実,未加工のコルク,やしの葉 」を指定商品として、平成18年5月30日に登録出願され、指定商品については、原審において同19年10月2日付け手続補正書により、第31類「ガラ・ルファ(食用のものを除く。)」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『Dr.Fish』の文字と『ドクターフィッシュ』の文字とを併記したもので、当該語に関して、次のような事実が認められる。

(1)1991年6月22日の読売新聞西部夕刊10頁には、「[ひまわり]ベラ」を見出しとする記事中、「魚屋の店頭にベラが並んでいた。」「ベラの仲間は数百種いるが、中には変わった習性を持つものがいる。日本にもいるホンソメワケベラもその一つで、他の魚の体についている寄生虫などをえさにしている。魚の掃除屋、英語でドクターフィッシュとも呼ばれ、わざわざ近づいてきて寄生虫を取ってもらう魚もいる。」との記述。
(2)2005年4月29日の朝日新聞大阪朝刊35頁には、「(青鉛筆)珍魚『ガラ』を展示 神戸市立須磨海浜水族園」を見出しとする記事中、「コイ科で体長約14センチ。人の体に寄ってきて、古くなった皮膚を食べる習性がある。トルコでは皮膚病の治療に利用されており、『ドクターフィッシュ』の別名も。」との記述。
(3)2005年5月5日の読売新聞大阪朝刊28頁には、「『皮膚病に効果』”医者の魚”展示 神戸の須磨海浜水族園で=兵庫」を見出しとする記事中、「神戸市立須磨海浜水族園(須磨区)で、人間の皮膚の表面を食べ、皮膚病に効果があるとされることから『ドクターフィッシュ』と呼ばれる魚・ガラが大型連休に合わせて展示されており、親子連れらでにぎわっている。」との記述。
(4)2005年7月17日の北海道新聞朝刊地方29頁には、「『魚のお医者さん』登場*登別マリンパーク*『ガラ』特別展示」を見出しとする記事中、「『ドクターフィッシュ』の異名を持ち、人間の皮膚をつつくという特徴を持つ魚、ガラが十六日、登別マリンパークニクス(登別東町)に初登場した。」との記述。
(5)2005年8月5日の毎日新聞地方版/兵庫24頁には、「ガラ・ルファ:皮膚病を治してくれる!?ーー須磨海浜水族園で公開中」を見出しとする記事中、「人の皮膚をつつく奇妙な習性を持つ魚『ガラ・ルファ』が、神戸市立須磨海浜水族園(同市須磨区)で夏休み期間中に公開され、子どもたちの人気者になっている。西アジアに生息するコイの仲間。トルコでは、川などに湧(わ)く温泉で、入浴者に寄って来て病気になった皮膚を食べると言われ、『ドクターフィッシュ』とも呼ばれている。」との記述。
(6)2005年8月24日の北国・富山新聞には、「ドクターフィッシュ『ガラ』登場 のとじま臨海公園水族館、きょうから 温泉入浴者つつき皮膚病治す」を見出しとする記事中、「のとじま臨海公園水族館(七尾市)は二十四日から、トルコの温泉にすみ入浴者の皮膚をつついて代謝を高め皮膚病を治すと考えられているドクターフィッシュ『ガラ』の展示を始める。」との記述。
(7)2006年3月4日の朝日新聞東京地方版/神奈川34頁には、「皮膚病治す?魚『ガラ・ルファ』、水族館で展示中 新江ノ島水族館/神奈川県」を見出しとする記事中、「新江ノ島水族館(藤沢市片瀬海岸2丁目)で、人間の皮膚をついばんで皮膚病を治療してくれるというドクターフィッシュ『ガラ・ルファ』が展示されている。31日まで。ガラ・ルファは西アジアに広く分布するコイ科の魚で、成長すると体長10センチほどになる。雑食性で、トルコなどではぬるめの温泉にすみ、入浴者の皮膚をついばんで老廃物をとってくれることから、『皮膚病を治療してくれる魚=ドクターフィッシュ』として知られる。」との記述。
(8)2006年3月24日の読売新聞東京朝刊33頁には、「ドクターフィッシュ 下田海中水族館に登場=静岡」を見出しとする記事中、「下田市の下田海中水族館で、『ドクターフィッシュ』と呼ばれるガラ・ルファが展示され、人気を呼んでいる。ガラ・ルファは、西アジア地域に生息するコイの仲間。トルコでは、温泉で入浴者の皮膚をつついて皮膚病を治すとされ、ドクターフィッシュという別名がある。」との記述。
(9)2006年4月14日の読売新聞東京夕刊8頁には、「水族館で皮膚病治療!? 北見、札幌でドクターフィッシュ公開へ=北海道」を見出しとする記事中、「人の皮膚をつついて食べ、皮膚病に効くとされるユニークな魚『ガラ・ルファ』(通称・ドクターフィッシュ)が、16日から今季営業を始める北見市留辺蘂町の『山の水族館』(佐藤一弘・管理者)にお目見えすることになった。」「ガラ・ルファは、西アジア一帯に生息するコイ科の淡水魚で体長5?10センチ。トルコでは、30?37度の温泉でも生息し、入浴者の皮膚をつついて角質を食べ、代謝を促すとされることからドクターフィッシュの別名がある。」との記述。
(10)2006年4月18日の毎日新聞地方版/神奈川26頁には、「箱根小涌園ユネッサン:足元いい気持ち? その訳は・・・ドクターフィッシュ /神奈川」を見出しとする記事中、「温泉テーマパークの箱根小涌園ユネッサン(箱根町二ノ平)に『ドクターフィッシュ風呂』が登場した。深さ35センチほどの足湯に、利用客が足を漬けると、体長5センチほどの魚が来てまとわりつき、足をツンツンつつく。コイ科の淡水魚で、名前は『ガラ・ルファ』。人間の古い角質を集中的につつくので、トルコの温泉地などでは『ドクターフィッシュ』と呼ばれる。高温に強く、水温37度ぐらいまで生存する。歯はないが、雑食性のせいか皮膚をついばむ。」との記述。
(11)2006年5月21日のFujiSankeiBusiness i.1頁総合B1面には、「温泉も『お魚天国』 ドクターフィッシュが美肌効果演出」を見出しとする記事中、「『ドクターフィッシュ』と呼ばれる魚が泳ぐ温泉施設が、四月に相次いでオープンした。」との記述。
(12)2006年6月17日のスポーツ報知27頁には、「ドクターフィッシュが関西初登場 話題沸騰で皮膚病治療や美肌効果も期待」を見出しとする記事中、「皮膚の古い角質を食べてくれると話題沸騰の『ドクターフィッシュ』が、関西初登場。京都市右京区嵯峨野のスーパー銭湯『さがの温泉 天山の湯』(京福電鉄有栖川駅近く)では『ドクターフィッシュ』の足湯が20日営業開始。正式オープンを前に16日から、ドクターフィッシュの泳ぐ水槽に手を入れられる無料体験が始まった。」との記述。
(13)2006年10月26日の西日本新聞朝刊29頁には、「九州情報ハイウエー=角質食べてもらい肌ツルツル『ドクターフィッシュ』登場 長崎市の水族館」を見出しとする記事中、「長崎市宿町の長崎ペンギン水族館が、西アジアに生息する学名ガラ・ルファという淡水魚と触れ合う体験コーナーを設置した。ガラ・ルファは別名『ドクターフィッシュ』と呼ばれるコイ科の魚。普段は水中のコケや虫などを餌にしているが、人が水の中に手や足を入れると、皮膚をつついて古い角質を食べる習性があるため、エステ店などでも飼育されているという。」との記述。
(14)2006年11月10日の朝日新聞大阪地方版/広島28頁には、「魚つんつん肌つるつる 広島・南区の銭湯 /広島県」を見出しとする記事中、「人間の肌の古い角質やけがをした皮膚を食べることから、『ドクターフィッシュ』と呼ばれる魚を使った足湯が9日、広島市南区のスーパー銭湯『宇品天然温泉ほの湯』に登場した。」との記述。
(15)2006年12月5日の中国新聞朝刊ワイド広島圏域には、「宇品の温浴施設 ドクターフィッシュで足湯」を見出しとする記事中、「宇品の温浴施設 ドクターフィッシュで足湯 人間の古い角質や皮膚を食べる西アジアの淡水魚ガラ・ルファを使った足湯が、広島市南区宇品東三丁目の『宇品天然温泉ほの湯』で人気を集めている。通称ドクターフィッシュというコイの仲間。フロアの一角にある深さ三十センチの水槽二つに体長二?四センチの黒っぽい色の幼魚約千匹が泳ぎ、足湯などを楽しむ人の皮膚をついばんでいる。刺激は低周波マッサージに似る。」との記述。
(16)2007年1月1日に株式会社集英社から発行された「imidas2007」1155頁には、「ドクターフィッシュ」について「トルコの温泉などに生息するコイ科の淡水魚。ガラ・ルファの通称。人間の古い角質を食べる習性があり、アトピー性皮膚炎・乾癬(かんせん)などの皮膚疾患に効果があるという。足湯ブームの日本でも日帰り入浴施設などに取り入れられ、フィッシュテラピーとして話題になっている。」との記述。

こうした事実を考慮すると、「ドクターフィッシュ」(「ガラ・ルファ」の別名)という語は、西アジア一帯に生息するコイ科の淡水魚で体長5?10センチで30?37度の温泉でも生息でき、人の皮膚をつつく奇妙な習性をもつ魚として、我が国においても1991年6月頃に新聞によって報じられ、一般に極めてよく知られるようになったものと認める。
そうとすると、本願商標は、「Dr.Fish」の文字と「ドクターフィッシュ」の文字とを併記したものであり、上記の魚を理解させるにすぎず、補正後の商品「ガラ・ルファ(食用のものを除く。)」に使用した場合には、商品の品質を表示したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、出願人は、本願商標の使用による特別顕著性を獲得した旨を主張しているが、上記の事実に加え、意見書の中で出願人は「確かに『Dr.Fish』『ドクターフィッシュ』の文字は、コイ科の淡水魚である『ガラ・ルファ』の通称として現実に使用されている」と述べていること、参考資料3、同4、同8、同10及び同11(出願人が、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであることを証明すべく提出した資料)に関し「ドクターフィッシュ」の語が出願人の商標であることを示している事実が見出せないこと等を総合的に考慮すると、出願人がその業務で長年に亘り、通称「ドクターフィッシュ」と呼ばれる魚に関わってきたとしても、その使用された「ドクターフィッシュ」という表示はコイ科の淡水魚である「ガラ・ルファ」の通称として理解・認識されてきたにすぎず、自他商品識別力を有したものとは認めるに足りない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、上記1のとおりの構成よりなるところ、これを構成する「ドクターフィッシュ」の片仮名文字は、上記2における新聞記事等における記述、及び、請求人の提出に係る参考資料1及び2によると、コイ科の淡水魚である「ガラ・ルファ」を指称する語として、一般的に使用されているものと認められ、そして、「Dr.Fish」の文字は、単に「ドクターフィッシュ」の片仮名文字に照応する英語表記と見るのが相当である。さらに、原審における平成19年8月20日付けの拒絶理由通知中の1)として提示した「・・・、中には変わった習性をもつものがいる。日本にもいるホンソメワケベラもその一つで、他の魚の体についている寄生虫などをえさにしている。魚の掃除屋、英語でドクターフィッシュとも呼ばれ、・・・」の記述よりすれば、前記の「ガラ・ルファ」以外の魚についても、その魚の習性に因んで「ドクターフィッシュ」と称している事実も認められる。
そうとすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としては機能し得ないものといわなければならず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認める。
なお、請求人は、本願商標は商標法第3条第2項に該当する旨主張し、これを立証するために参考資料1ないし12を提出しているので、これについて検討する。

(1)参考資料1:集英社版imidas2007目次及び第1155頁の写し及び参考資料2:現代用語の基礎知識2007目次及び第1696頁の写しについて
「ドクターフィッシュ」の項には、各々「トルコの温泉などに生息する「トルコの温泉などに生息するコイ科の淡水魚。ガラ・ルファの通称。」、「トルコなどに生息するコイ科の淡水魚・ドクターフィッシュが、・・・」との記載がされていることから、「ドクターフィッシュ」の文字が「ガラ・ルファ」を指称する語として一般的に使用されていることが認められる。

(2)参考資料3ないし12について
ア 参考資料3:夕刊フジ平成18年6月10日第15頁の写しについて
右上、「人気急浮上!ドクターフィッシュの効能は?」のタイトルの下に、「●ドクターフィッシュ」とタイトルし、「学名はガラ・ルファ。トルコ、シリアなどの西アジアに生息するコイ科の淡水魚で37度の温水でも生存できる。」の記事がある。

イ 参考資料4:HealthLifeBUSINESS平成18年7月1日第23頁の写しについて
本文に、「ドクターフィッシュは学名『ガラ・ルファ』というコイ科の河川に生息する淡水魚」との記載を確認することができる。

ウ 参考資料5:「TOKYO GUARANTEE GUARANTEE プラス VOL.03」第6頁乃至第7頁の写しについて
「『ドクターフィッシュ』は、人の古くなった皮膚(角質)を吸い取るようについばむ習性をもつ、学名『ガラ・ルファ』というトルコ原産のコイ科の淡水魚です。」との記載を確認することができる。

エ 参考資料6:「大江戸温泉物語」ウェブサイトの写しについて
「ドクターフィッシュ・セラピーを足湯で」のタイトルの下、「ドクターフィッシュは皮膚の古い角質をついばむことで肌をきれいにしてくれる魚です。」の記載を確認することができる。

オ 参考資料8:「HEALTH&BEAUTY健康美容EXPO」ウェブサイトの写しについて
「エコマネジメント/人の肌をケアする魚”ドクターフィッシュ”」のタイトルの下、「・・・、人などの角質を食べることでピーリング効果や皮膚疾患の治癒効果をもたらす魚”・・・」、「ドクターフィッシュは、学名ガッラ・ルファ・オブトゥサ。トルコ原産で、水温37度でも生育が可能だ。・・・」の記載を確認することができる。

カ 参考資料9:「FM沖縄」ウェブサイトの写しについて
本文中、写真の上部に「ドクターフィッシュ」の文字、その下に説明として「ドクターフィッシュという魚をご存じでしょうか?学名を”ガラ・ルファ”といいます。・・・(中略)・・・。しかしドクターフィッシュは、水温37度くらいの水中でも生きることができます。なぜ、ドクターフィッシュという愛称がついているかと言いますと・・・」との記載を確認することができる。

キ 参考資料10:「足湯ガイド」ウェブサイトの写しについて
「ドクターフィッシュとは(フィッシュセラピーとは)」のタイトルの下に「ドクターフィッシュ(学術名ガラ・ルファ)は西アジア地方に生息するコイ科の淡水魚です。」、「ドイツでは『ドクターフィッシュ協会』が設立され、・・・」の記載を確認することができる。

ク 参考資料11:「NewsAsiaBiz」ウェブサイトの写しについて
本文中には「・・・日本国内では初の皮膚科医によるドクターフィッシュ(学名ガラルファ)による皮膚疾患の臨床試験を実施し、・・・」との記載が確認することができる。

上記、アないしクで示したとおり、当該資料3ないし6及び同8ないし11においては、そのいずれも、学名「ガラ・ルファ」の語あるいは、これと同趣旨で用いられる「ガッラ・ルファ・オブトゥサ(参考資料8)」、「ガラルファ(参考資料11)」と共に併記され、その説明をする際に指称するために「ドクターフィッシュ」の語が使用されているとみるのが相当である。
また、学名「ガラ・ルファ」の併記が見られない資料6においても、その記載によれば、当該魚の習性に関する説明と認識されるに止まるものである。
してみれば、これら資料に記された「ドクターフィッシュ」の記載は、いずれも単に前記の「ガラ・ルファ」を指称する語として使用しているにすぎないものであり、請求人の業務に係る商品について商標として使用しているものとは認められず、ついては、本願商標を需要者が請求人の業務に係る商品について商標として認識するに至っていることを証しているものと認定することはできない。
したがって、本願商標について、商標法第3条第2項に該当するとする請求人の主張については、上記各資料の記載内容からすれば、その主張は採用することができない。
よって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当であって取り消すべきでなく、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-07-31 
結審通知日 2008-08-08 
審決日 2008-08-20 
出願番号 商願2006-49547(T2006-49547) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 馬場 秀敏
杉山 和江
商標の称呼 ドクターフィッシュ、フィッシュ 
代理人 橘 哲男 

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