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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y05 |
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管理番号 | 1186054 |
審判番号 | 取消2007-301124 |
総通号数 | 107 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-11-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-09-05 |
確定日 | 2008-09-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4798990号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4798990号商標(以下「本件商標」という。)は、「グッスミン」の文字を書してなり、平成15年12月8日に登録出願、第5類「薬剤,衛生マスク,ガーゼ,カプセル,眼帯,ばんそうこう,包帯」を指定商品として、同16年9月3日に設定登録されたものである。 また、本件審判の請求の登録は、平成19年9月26日になされている。 第2 請求人の主張 請求人は、「商標法第50条第1項により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 請求人が調査した限りにおいては、本件商標が第5類に属する指定商品「薬剤,衛生マスク,ガーゼ,カプセル,眼帯,ばんそうこう,包帯」に関して商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されている事実を発見することができなかった。 また、商標登録原簿を見ても専用使用権及び通常使用権は設定登録されておらず、許諾を受けた通常使用権者等による使用の事実もない。 さらには、本件商標を使用していないことについての正当な理由も認めることができない。 よって、本件商標は、商標法第50条1項の規定に基づき、その商標登録の取消を請求するものである。 2 答弁書に対する弁駁 (1)証拠方法について 被請求人は、「平成18年3月24日かぜ薬『グッスミンKS』という販売名で奈良県薬務課に医薬品製造販売承認申請中であり、名称として使用している。」と述べ、その申請書類を証拠として提出している。 しかしながら、医薬品製造販売承認というものは、通常これほどの時間を要するものではない。 平成18年3月24日に申請であるならば、既に1年半以上の時間が経過していることから、とうに結論が出ていて然るべきである。本来であれば医薬品製造販売承認書の提出を持って証拠とすべきであり、被請求人の答弁は不自然というほかない。 昨今、医薬品の販売名称の申請に関しては非常に厳しいチェックが行われており、その商品の効能、効果を暗示するような名称は通常却下されているのが実状である。 すなわち、本件商標である「グッスミン」の名称からは「ぐっすり眠れる」等の意味合いが直接的に伝わってくるものであり、対象商品が「かぜ薬」ということを考慮すれば、当局により既に販売名称の変更が指示されている可能性が極めて高いものである。 ここで、もし「グッスミン」の販売名称が当局により却下され、既に名称を変更して別の承認申請をしていた場合には、商標の使用に当たらないことは明白であり、さらに、一時的には商標「グッスミン」の使用を意図していたとしても、既に名称を変更して承認申請しているケースであるため、それは商標「グッスミン」を使用する意思を放棄したに等しいものであり、商標法第50条第2項に規定されている「正当な理由」とは認められないものと考えるのが妥当である。 以上述べたとおり、本来であれば申請の承認が下りて然るべき時期であるにもかかわらず、医薬品製造販売承認書が証拠として提出されず不自然であること、さらに、既に当局より販売名称の変更が指示され、それに応じている可能性が極めて高いことを考慮すれば、被請求人は、かぜ薬「グッスミンKS」についての医薬品製造販売承認書の提出を持って証拠とすべきである。 (2)まとめ 以上より、被請求人により医薬品製造販売承認書が提出されない以上、弁駁の趣旨とおり、商標法第50条の規定により本件商標の登録は取り消されるべきである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する審判事件回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。 1 答弁の理由 被請求人は、平成18年3月24日かぜ薬「グッスミンKS」という販売名で奈良県薬務課に医薬品製造販売承認申請中であり、名称として使用している。 経緯としては、数年前にさかのぼる。一般用医薬品のかぜ薬、鎮咳去痰薬配合有効成分として使用されている塩酸ノスカピン及びノスカピンの市場流通量が激減しており、当該成分を含有する製剤の安定供給が懸念され、国民の健康維持に悪影響を与えかねない状況にあるいうところからで、そのような状況の中、平成17年4月5日奈良県製薬協同組合が産官学三位一体の事業として、新かぜ薬共同研究開発グループによる安全性、有効性に優れたノスカピン抜きのかぜ薬の処方を開発するに至った。被請求人も参画し、名称としての「グッスミンKS」を使用するに至る。 新薬事法の対応を踏まえ、奈良県薬事研究センターの指導のもと新処方によるかぜ薬の開発及び試作、規格及び試験方法の設定、安定性試験等製造販売承認申請に必要な資料を作成すべく着手する。 平成17年7月27日そのグループの構成員により協定書を交わす。平成17年8月26日奈良県薬事研究センターへ受託共同研究事業かぜ薬カプセル負担金を銀行振込する。 平成18年3月24日かぜ薬「グッスミンKS」という販売名で奈良県薬務課に医薬品製造販売承認申請を提出する迄、平成17年4月5日から4月22日、6月28日、7月27日、平成18年3月13日、4月27日この後も数回にわたり奈良県製薬協同組合会議室において会議する。 医薬品製造販売業者は薬事法により、医薬品製造販売承認書を取得しなければ製品化、商品化できないのは周知の事実であるが、業界としても迅速に審査するよう要望しているところである。 しかしながら、承認申請に必要な資料を作成するのにも膨大な資料と対価と時間が必要であり、またそれを審査するにも時間が必要になってくるというのも事実である。 人の生命に関わることであり、薬事法の遵守でもある。要するに医薬品を製造販売するには申請までの準備期間と申請してから医薬品製造販売承認書を取得するまでの承認期間が必要である。薬事法上の準備期間及び承認期間と商標法第50条第1項の規定とはタイムラグ(時間差)がある。 被請求人は、本件商標の登録出願時からもちろん使用する意思を持ち、平成16年9月3日「グッスミン」が登録されてからずっと3年間放置していたわけではなく、平成17年4月5日奈良県製薬協同組合が産官学三位一体の事業として、新かぜ薬共同研究開発グループによる安全性、有効性に優れたかぜ薬の処方を開発してからであり、奈良県製薬協同組合及び奈良県の薬事研究センターという公的機関の関与もあり、グループの構成員も承知しているところである。 また、平成18年3月24日かぜ薬「グッスミンKS」という販売名で奈良県薬務課に医薬品製造販売承認申請中であり、承認が下りていないため製造販売できない状態にある。 これらの事実からも販売できなかったことについて正当な理由があり、請求人のいう主張は明らかに認められない。ゆえに何らこの規定に抵触するものではない。本件審判請求は成り立たない。 2 審尋に対する審判事件回答書 審判長は、「平成18年3月24日付け医療製造販売承認申請書(乙第1号証)の申請書類が、未だ審査継続中であることを証明する書面(たとえば、奈良県による証明書)を提出されたい。」旨の審尋をしたところ、「当該申請書が、未だ審査継続中であることを証明する書面を、乙第11号証として提出する。」旨の回答書及び乙第11号証が提出された。 第4 当審の判断 1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、被請求人から奈良県知事宛の「平成18年3月24日」付けの「医薬品製造販売承認申請書」の写しで、「名称」の欄の下段の「販売名」に「グッスミンKS」の表示、奈良県薬務課の「18.3.24」の表示のある受付スタンプ印がなされている。 (2)乙第2号証は、奈良県製薬協同組合から組合員宛の平成17年3月18日付けの「ノスカピン代替え処方の研究・開発について」の表題のある会議日程のお知らせの写しで、日時として「平成17年4月5日(火)14時?」と記載されている。 (3)乙第3号証は、「平成17年度事業計画(案)」の表題のある「事業計画(案)」の写しで、「1.」ないし「8.」に各事業の計画項目が掲載されている。 (4)乙第4号証は、奈良県製薬協同組合から組合員宛の「平成17年7月18日」付けの「鎮咳剤のノスカピン代替処方の研究・開発について」の表題のある会議日程のお知らせの写しで、日時として「平成17年7月27日(水)15時?」と記載されている。 (5)乙第5号証は、「新かぜ薬共同研究開発グループの構成に関する協定書」の表題のある「協定書」の写しで、第1条から第12条からなり、第3条にグループの構成員が掲載されており、「平成17年7月27日」の日付とともにグループを構成する各製薬会社名と代表者の押印がなされいる。 (6)乙第6号証は、「かぜ薬の処方」の写しで、薬効群、剤型、1日量等が掲載されている。 (7)乙第7号証は、「奈良県薬事研究センター所長」(「奈」の文字が欠落している)からの「納入通知書 兼領収証書」であり、納入義務者として被請求人の記載と、「17.8.26」の表示のある領収スタンプ印がなされている。 (8)乙第8号証は、「平成17年9月9日」付けの厚生労働省医薬食品局及び厚生労働省医政局宛ての「塩酸ノスカピン及びノスカピン含有医薬品の取扱い要望について」の題のある全国家庭薬協議会、全国配置家庭薬協会、日本医薬品直販メーカー協議会、日本漢方生薬製剤協会及び日本大衆薬工業協会からの「要望について」の写しである。 (9)乙第9号証は、日時として「平成17年12月1日(木)午後2時?」と表示されている「17年度第3回役員会議事録」の写しである。 (10)乙第10号証は、「奈良県製薬協同組合」の表示の下に、「ノスカピン代替処方に関する会議日程」の表題のある写しで、日時として、平成17年4月5日、4月22日、6月28日、7月27日、18年3月13日及び4月27日の記載がある。 (11)乙第11号証は、被請求人が奈良県福祉部健康安全局薬務課長に提出した「証明願」の写しであり、日時として「平成20年5月7日」の記載がある。 また、「下記の事項について、医薬品製造販売承認申請中であることにつき証明願います。」の記載があり、「証明事項」として、「1.氏名」の欄に被請求人の名称、「2.住所」の欄に被請求人の住所、「3.品目」の欄に「グッスミンKS」、「4.申請年月日」の欄に「平成18年3月24日」の記載がある。 さらに、「前記のとおりであることを証明する。」、「平成20年5月7日」及び「奈良県福祉部健康安全局薬務課長」の記載がある。 2 乙第1号証(医薬品製造販売承認申請書の写し)、乙第11号証(証明願)及び乙第2号証ないし乙第10号証中における「塩酸ノスカピン及びノスカピン含有医薬品」に関する会議日程、事業計画、協定書、かぜ薬の処方、納入書兼領収証書、要望書、議事録、及びこれらの中における記述等を総合勘案すると、被請求人は、本件審判請求登録前に、本件の請求に係る指定商品中の「薬剤」に属する「風邪薬」の製造許可について奈良県に申請を行い、現在その許可待ちであることが認められる。 一方、医薬品の製造及び販売に際しては、薬事法により国及び都道府県知事の許認可を受けることが義務付けられている。 してみれば、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしたといえるから、本件商標の登録は商標法第50条第2項但し書きによって取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-07-22 |
結審通知日 | 2008-07-28 |
審決日 | 2008-08-15 |
出願番号 | 商願2003-114217(T2003-114217) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y05)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
佐藤 達夫 小川 きみえ |
登録日 | 2004-09-03 |
登録番号 | 商標登録第4798990号(T4798990) |
商標の称呼 | グッスミン |
代理人 | 松浦 恵治 |