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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z03
管理番号 1186053 
審判番号 取消2006-30269 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-02-27 
確定日 2008-09-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第4351144号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件第4351144号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成10年12月7日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き,靴クリーム,靴墨」を指定商品として、同12年1月14日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品,歯磨き」についての登録は、取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、日本国内において今日に至るまで継続して3年以上にわたり、被請求人によって使用されていない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないことのみならず、他に被請求人の許諾を受けてその指定商品について、本件商標を使用している者も見出し得なかった。
したがって本件商標は、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品について使用をしていないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すべきものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)乙第1号証について
乙第1号証の1ないし2は、シャンプー包装用のボトルを撮影したものと思われるところ、いずれも平成18年5月12日に撮影されたものと認められる。
そうであるところ、撮影された物品上には製造年月日若しくは販売年月日を特定する情報は含まれていない。したがって、乙第1号証の1ないし2をもって、本件商標が本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内に使用されたことを証明するものではない。
(イ)乙第2号証について
乙第2号証は、株式会社タカラ(以下「タカラ社」という。)により発行された冊子「TAKATA CONCEPTBOOK 2001」の抜粋であると思われるところ、その最終ページには「発行日 2001年3月22日」の記載が見られる。
そうとすれば、乙第2号証は、本件審判請求の予告登録日から遡ること約5年前に発行されたものであり、したがって、乙第2号証は、本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内に使用されたことを証明するに足りるものではない。
(ウ)乙第3号証について
当該「商品化権契約書」において、契約の対象となる商標は「“LIFEGUARD”」若しくは「米国,国内において、UNITED STATES LIFE SAVING ASSOCIATION(以下U.S.L.A.という)が、ボランティア活動を展開し、日本国内において商標として登録されている“LIFEGUARD”に起因する商標権」と記載されているのみであり、その態様は不明である。そうとすれば、当該商品化権契約の対象が本件商標若しくはそれと社会通念上同一と認められる商標であるとの特定はできない。
さらに、仮に当該契約の対象となる商標が本件商標と同一又は社会通念上同一の商標であるとしても、「商品化権契約書」第2項の記載によれば、当該商品化権契約の契約期間は「2000年9月1日より2002年12月31日まで」であり、同期間は本件審判請求の予告登録日前3年以内には含まれない。
上記を勘案すれば、乙第3号証は、本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内に使用されたことを証明するに足りるものではない。
(エ)乙第4号証について
上記乙第3号証と同様、当該「契約更新覚書」においても契約の対象となる商標の態様が明らかにされていない上、当該契約は「“LIFEGUAED”ブランド」について定めたものであるとの記載が認められる。よって、当該契約更新覚書をもって本件商標若しくはそれと社会通念上同一と認められる商標が使用されていたとの認定はできない。
加えて、当該契約更新覚書により、原契約の契約期間が「2003年1月1日より2003年12月31日まで」に更新されたことがうかがえるところ、これは当該「契約更新覚書」が締結された2002年11月20日の時点において、タカラ社に対象となる商標を使用する意思があったことを推認させるものにすぎない。また、仮に原契約の対象となる商標が本件商標と同ー又は社会通念上同一の商標であり、2003年1月1日以降、契約の対象となる商標を付した商品が製造・販売されていたとしても、タカラ社に契約期間満了まで対象商標を付した商品の販売を行い続ける義務はなく、契約期間中においてそれが中止されることは十分にあり得るのであって、当該「契約更新覚書」が締結されたことのみをもって、対象となる商標を付した商品が実際に本件審判請求の予告登録日前3年以内に製造・販売されたとの認定はできない。
したがって、乙第4号証は、本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内に使用されたことを証明するに足りるものではない。
(オ)乙第5号証について
乙第5号証は、「LIFEGUARD薬粧品/第3次年度」について、被請求人がタカラ社に対して発行した「請求書」であると認められ、被請求人は、これが本件商標を本件審判請求に係る「せっけん類,化粧品」についての最低保証使用料である旨主張する。
しかしながら、乙第3号証ないし同第4号証と同様、当該「請求書」においても、対象となる商標の態様が不明である。また、仮にその対象となる商標が本件商標と同一又は社会通念上同一の商標であると仮定しても、当該請求書に対しタカラ社からの支払いが実行されたかについても明らかではなく、また支払いが実行されていたとしても、既に述べたとおり対象商標を付した商品の販売が実際に行われたかどうかは不明であり、これをもって本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付した商品が本件審判請求の予告登録日前3年以内に製造・販売されたとの認定はできない。
したがって、乙第5号証は、本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内に使用されたことを証明するに足りるものではない。
(3)答弁書(2)、(3)に対する弁駁
被請求人は、平成18年5月15日付提出の審判事件答弁書において提出
した乙第1号証ないし第5号証に加え、乙第6号証ないし乙第22号証を追加提出し、これらが本件商標の審判請求の予告登録前3年以内使用を証明するものであると主張する。
しかしながら、以下に述べるとおり、被請求人の提出に係る書類はいずれ
も本件商標の使用を証明するには不十分である。
(ア)乙第1号証ないし乙第5号証
乙第1号証ないし乙第5号証は、2000年9月1日から2003年12月31日まで本件商標の権利者とタカラ社との間における「LIFEGUARD」に係る「商品化権契約」の存在を示唆するものであったとしても、これらはいずれも本件商標が上記期間内に実際に使用され続けていたことを証明するに足るものではない。
この点につき被請求人は答弁書(2)において「商品化権契約の契約期間が2003年12月31日まで延長更新されていることは事実であり(中略)その間、実際の商品の販売がなされていたことも、乙第16号証、並びに、同第17号証に明らかである」と述べている。しかしながら、後に述べるとおり乙第16号証及び同第17号証はいずれも客観的証拠能力に欠けるものである。そうとすれば、被請求人は商品化契約の存在のみをもって本件商標が使用されていたと主張しているにすぎない。
また、被請求人が乙第3号証として提出する「商品化権契約書」には元より「7.本契約の対象となるプロパティ:“LIFEGUARD”」と欧文宇で示されているのみで、商標登録番号等、対象となる標章を特定できる情報が明示されていないことから、当該商品化契約の対象が本件商標の商標公報に表されたとおりの図案を伴った標章、或いは乙第1号証及び同第2号証に表された商品に付された標章と同一の標章であるか否かは確認できない。
したがって、乙第1号証ないし乙第5号証は本件商標の審判請求の予告登録前3年以内の使用を証明するには足りないものである。
(イ)乙第6号証ないし乙第15号証
乙第6号証ないし乙第15号証のあげられた審決については、いずれも本件とは事案を異にするものであるため、議論は省賂する。
(ウ)乙第16号証
被請求人は、提出された書面はタカラ社(現株式会杜タカラトミー)の在庫商品の出入庫管理を行う基幹システムのデータを打ち出したものであると主張する。しかしながら、このような帳票は作成・変更が容易にできるものである上、乙第3号証に挙げられた「商品化権契約書」同様、使用された標章の態様を特定する情報が含まれていない。したがって、当該帳票をもって本件登録商標が使用されていたものと認定することはできない。
(エ)乙第17号証
提出された「陳述書」によれば、これを作成した大西宜雄氏は、タカラ社が被請求人と取引のあった2000年9月から2003年12月当時、タカラ社側の担当者であったとされている。また、同氏が現在在籍しているとされる株式会杜タルガはタカラ社から分社・独立したいわば関連会社であり、過去に取引のあった取引先の依頼によって陳述書を作成するにあたり、同取引先に有利な陳述を行おうとする意識が働く可能性は高いと言える。 また、どんなに取引に直接関わっていたからといっても、実際の商品の取引にかかる詳しい日付・数量を数年後まで事細かに記億していることはほぼ不可能であり、事実、同氏は「イングラムの求めに応じて」提出された乙第17号証の帳票を見ながら「本件商品は、2003年10月27日に、(中略)264本が出荷された」と述べているのである。そうとすれば、当該陳述書は乙第16号証に示された事項を基に、客観的な裏付けのないままに作成されたものといわざるを得ない。
(オ)乙第18号証ないし乙第20号証
これらに示された画像はいずれも既に提出された乙第2号証の「コンセプトブック」に掲載されたものと見受けられ、作成日等も明らかでないことから、本件商標の使用を証明するものとはならない。
(カ)乙第21号証
提出された「証明書」は、被請求人の作成した書面に株式会社ジャパンコスメニティ(以下「ジャパンコスメニティ」という。)のスタンプと同杜専務取締役とされる定国健一氏のスタンプ印が押されたものである。その証明する内容とは被請求人があらかじめ用意したものであり、証明者が細部まで検討した内容であるとは言えない。よって、当該書面を証拠として採用することは適切ではない。
(キ)乙第22号証
被請求人の主張によれば、当号証はタカラ社が取引先であるジヤパンコスメニティに対し発行した請求書である。適用の欄を見ると、「ライフガード コンデ」「数量 264」の記載がなされている。
請求人の主張によれば、「ライフガード コンデ」とは、「ライフガードコンディショナー」を表すとされるところ、乙第3号証に表された「“LIFEGUARD”プロパティ」の許諾商品のうちに「コンディショナー」の表示は見受けられない。しかしながら、乙各号証に表された当該商品とされる物品の形状、及び許諾商品として挙げられた商品を取り扱う分野での慣例から、コンディショナーとは「リンス」に近いヘアコンディショナーを表すものであることが想定される。そうとすれば、こうした商品は通常シャンプーとともに購入・利用されることが極めて多いと言える。ところが本件「請求書」にはシャンプーの記載はなく、ヘアコンディショナーのみ264本も納入されたことになっている。その数は同「請求書」に記載の他の商品と比較すると突出して多いものである。
ここで、当該「ライフガード コンデ」を入荷したとされるジャパンコスメニティは、被請求人の述べるところによれば大阪府と沖縄県に2店舗を展開する企業である。小売店として規模が大きいとはいえない当社が、ヘアコンディショナーのみをこのように大量に仕入れることは不自然であると言わざるを得ない。
してみれば、乙第22号証の内容の信憑性については全体として疑いを持たざるを得ないものであるから、同号証によっては、被請求人が本件商標を「コンディショナー」について使用していたものと認めることはできない。
(4)むすび
以上述べたとおり、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第22号証は、いずれも本件商標と同?又は社会通念上同-の本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内の使用を証明するに足るものではなく、本件審判請求に係る商標登録は取消を免れない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第28号証を提出した。
(1)答弁の理由
本件商標は、その指定商品中「せっけん類、化粧品」について、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者であるタカラ社により使用されている。
(ア)乙第1号証の1及び2は、本件商標を「せっけん類」に含まれる「シャンプー」について使用していることを証明するための「シャンプー」本体の表面及び裏面の写真であり、そこにおいて本件商標が使用されていることが認められる。また、商標権者(英文字表記)及び、本件商標権についての通常使用権者であるタカラ社の表示を確認することができる。
(イ)乙第2号証は、タカラ社の「コンセプトブック2001」の要部コピーであり、上記「シャンプー」と共に、本件商標を付した商品「せっけん類」に含まれる「コンディショナー」、「薬用せっけん」、「無添加せっけん」、並びに商品「化粧品」に含まれる「日焼け止めローション」、「制汗・防臭性化粧品」が取扱商品として掲載されている。
(ウ)ここで、本権利者とタカラ社との契約(以下「本契約」という。)、すなわち、タカラ社が本件商標権についての通常使用権者であった事実、その許諾されていた商品及び使用許諾対象商標について、乙第3号証の商品化権契約書に基づいて説明する。
本契約は、2000年9月1日には結ばれたものであり、その当初の契約満了日は、2002年12月31日であったが、2002年11月20日付け契約更新覚書(乙第4号証)により、2003年12月31日まで更新されている。
乙第5号証は、上記契約更新に伴う第3次年度(2003年1月1日?2003年12月31日)の最低保証使用料の請求書のコピーである。この最低保証使用料の請求は、上記乙第4号証の覚書から明らかなように、第3次年度の分である。
(2)弁駁に対する答弁
ア 乙第1号証(乙第1号証の1及び同第1号証の2)について
(ア)請求人は、乙第1号証の1及び同第1号証の2に表されたライフガードシリーズのシャンプー(以下、「本件商品1」という)の存在、及び、乙第1号証の1に『赤色の正方形を背景とし、中心線を同じく赤色で表した白抜きの正十字、及び当該図形の下に青色と赤色で表された「LIFE U.S.A/ GUARD」の表示』(以下、「本件標章」という)がなされていることを認め、?方で、「本件商標が本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内に使用されたことを証明するものではない」と主張する。
(イ)本件標章と本件商標とは、相互の図形の表示位置、及び、「U.S、A」の付記の有無で異なるが、両社は社会通念上同一の商標である。この点は、過去の審決(乙第6号証ないし同第15号証)に鑑みても特段の異論はないと考える。そうすると、乙第1号証の1及び同第1号証の2をもって、本件商標の「せっけん類」への使用証明とすることについて(本件標章と本件商標とが社会通念上の同一と認められることについて)は、請求人についても異論はないと考える。次に、資料の作成日、即ち、本件商品1を撮影したのが平成18年5月12日であることは請求人主張の通りである。しかしながら、乙第1号証及び同第1号証の2を提出した趣旨は、現実に本件商品1に、本件商標と社会通念上同一の本件標章が表示されていたことを明確にするために提出したものである。
(ウ)そこで、被請求人は、本件商品1以外にも本件標章が使用されていた事実、及び、それらの商品の使用時期を明確にするために、今般、新たに乙第16号証ないし同第20号証を提出する。
イ 乙第2号証について
(ア)請求人は、乙第2号証の「TAKARA CONCEPTBOOK 2001」の抜粋(以下、「本件抜粋」という)につき、その発行日が2001年3月22日であるから、「平成18年3月14日前3年以内に使用されたことを証明するに足るものではない」と主張する。
(イ)本件抜粋が2001年3月22日に発行されたカタログの一部であることは請求人主張の通りである。しかしながら、だからといって、この時点でカタログの作成・配布が終了したわけではないし、以下に述べるように、この時点で本件標章の使用が中止されたわけでもない。即ち、平成18年5月15日付けの審判事件答弁書(以下、「先の答弁書」という)に記載の通り、本件抜粋に記載されている商品については、2003年12月31日まで販売に関する契約が継続されていた(乙第3号証、及び、同第4号証)。この契約に基づき、本件抜粋についても、2003年度発行の「TAKARA CONCEPTBOOK 2003」まで掲載されていた(乙第17号)。
ウ 乙第3号証について
(ア)請求人は、乙3号証の『「商品化権契約書」による契約の成立の如何についてこれを争うものではない』としつつも、契約の対象となる商標については、「その態様は不明(であり)・・・・当該商品化権契約の対象が本件商標若しくはそれと社会通念上同一と認められる商標であるとの特定はでき(ず)」、当該商品化権契約の契約期間は「2000年9月1日より2002年12月31日まで」であって、「同期間は本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内には含まれない」から、「本件商標が・・・・使用されたことを証明するに足りるものではない」と主張する。(イ)乙第3号証は、「商品化権契約書」と「契約条項」からなる。いずれもー体のものとして2000年9月1日に締結され、当初契約期聞は、2000年9月1日より2002年12月31日と定められていたことは事実である。しかしながら、この契約期間は、2003年12月31日まで延長更新されている。本件商標の通常使用権者である株式会社タカラ(以下、「タカラ」という)は、上記?連の契約に基づき、商品企面を行い、その結果、乙第2号証に記載の各種商品の販売を開始した。乙第3号証の「商品化権契約書」では、通常使用権の指定商品の範囲(許諾商品の範囲)は、「スキンケア商品(ミスト、ローション、洗顔フオーム)、シャンプー、リンス、石鹸、UVローション、タンローション、綿棒」であるが、乙第2号証に明らかな通り、上記許諾商品のうち、「綿棒」を除く全ての許諾商品について、現実に商品化がなされ、販売された。これら商品化がなされた商品全ての広告について、本件標章が使用されたが、その態様も乙第2号証に明らかというベきである。
(ウ)上記許諾商品については、綿棒を除き本件標章が使用されている。本件標章が本件商標と社会通念上同一と認められるべきであることは上述の通りである。そうすると、商品化権契約の対象商品に、本件登録商標と社会通念上同一と認められる本件標章が使用されていたことも特定されるべきである。また、商品化権契約の契約期間が2003年12月31日まで延長更新されていることは乙第4号証に明らかであるから、その契約期間は、本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内に含まれる。この点は、乙第17号証においても明らかにされている。
(エ)なお、この点をさらに明確にするために、上記同様乙第16号証ないし同第20号証を提出する。
エ 乙第4号証について
(ア)請求人は、乙4号証についても、『「契約更新覚書」の成立の如何についてこれを争うものではない』としつつも、「当該契約の対象となる商標の態様が明らかにされていない上、当該契約は「“LIFEGARD”ブランドについて」定めたものであるから、当該契約更新覚書をもって本件登録商標若しくはそれと社会通念上同一と認められる商標が使用されていたとの認定はできない(し)、『原契約の契約期間が「2003年1月1日より2003年12月31日まで」に更新されたことがうかがえる(としても)‥対象となる商標を使用する意思があったことを推認されるものにすぎない』から、『当該「契約更新覚書」が締結されたことのみをもって、対象となる商標を付した商品が実際に・‥平成15年(2003年)3月15日以降、製造・販売されたとの認定はできないと主張する。
(イ)確かに、契約更新覚書上には、対象商品の詳細明細は添付されていないが、商標については「2000年9月1日付けで締結した“LIFEGUARD”ブランド」と明記されている。この点、契約更新覚書という契約の特質から、本契約において特定した内容について変更を伴わない場合には、そのまま更新するのが一般的であるから、本契約の各条項全てについて記載されていなかったからといって、内容の特定ができなくなるわけではない。実際、この契約更新覚書においても、契約存続期間、及び、最低保証料の2項目については変更し、「本覚書第1項、第2項以外の本契約許諾内容について変更・訂正事項がないことを確認し、本契約が存続することを確認する。」と明記されている。
(ウ)そうすると、タカラ社が2000年9月1日締結の「商品化権契約書」に基づき、乙第2号証に記載の商品(スキンケア商品(ミスト、ローション、洗顔フォーム)、シヤンプー、リンス、石鹸、UVローション、タンローション)について販売を開始し、それらの商品全ての広告について、本件標章が使用されていること上述の通りであるから、その表示態様も明らかというべきである。また、本件標章が本件商標と社会通念上同一と認められるべきであることは上述の通りである。
(エ)なお、請求人は、仮に、原契約の対象商標が本件商標と社会通念上同一の商標であったとしても、それは対象商標を使用する意思があったことを推認されるものにすぎないから、契約更新覚書の締結のみをもって、対象となる商標を付した商品が実際に平成15(2003年)3月15日以降、製造・販売されたとの認定はできないと難ずる。しかしながら、商品化権契約の契約期間が2003年12月31日まで延長更新されていることは事実であり(乙第4号証)、加えて、その契約期間は、本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内に含まれる。また、その間、実際の商品の販売がなされていたことも、乙第16号証、並びに、同第17号証に明らかであるから、「対象となる商標を付した商品が実際に‥・平成15年(2003年)3月15日以降、製造・販売されたとの認定はできない」とする請求人の主張は失当である。
オ 乙第5号証について
(ア)請求人は、乙第5号証についても、『「LIFEGUARD薬粧品/第3年度」について、被請求人がタカラ社に対して発行した「請求書」である』ことは認め、?方、その対象商標‥・商品の販売事実が不明であるから、これをもって『本件商標と同-又は社会通念上同一の商標を付した商品が・・・平成15(2003)年3月15日以降、製造・販売されたとの認定はできない』と主張する。
(イ)繰り返しになるが、乙第5号証の請求書は、乙第4号証の契約更新覚書に基づいて発行されたものである。この契約更新覚書によって、「商品化権契約書」は2003年12月31日まで延長されている。そして、この請求書は、商品化権契約書第12条に基づいた商品、即ち、スキンケア商品(ミスト、ローション、洗顔フオーム)、シヤンプー、リンス、石鹸、UVローション、タンローションについての本件商標の最低保障使用料に関するものであるから、対象商標も明確である。
(ウ)また、「対象となる商標を付した商品が実際に・・・平成15年(2003年)3月15日以降、製造・販売された」ことも、乙第16号証、並びに、同第17号証に明らかであるから、請求人の主張は失当である。
カ 乙第16号証ないし20号証について
従来提出の乙第1号証ないし同第4号証に対する弁駁事項についての、被請求人の答弁は上記の通りである。
(ア)乙16号証は、株式会社タカラトミー(以下「タカラトミー」という。)より入手した「入出庫履歴照会」の帳票(以下、「本件帳票」という)である。本件帳票は、陳述書記載の通り、当時の商品の入出庫・販売状況を示す帳票である。本件帳票によれば、ライフガードシリーズのコンディショナー(以下、「本件商品2」という)が、2003年10月27日に、タカラ社の東京コスメ営業課からジャパンコスメニティ社あてに264本販売されている。また、本件商品2のパッケージに表示された商標(本件標章)は、本件商品1のパッケージに表示された商標と同一である(乙第2号証)。従って、本件商標と社会通念上同一である本件標章が、化粧品に実際に使用されていたことも明らかである。2003年10月27日が、本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内であることは明らかであるから、本件標章と実質的同一である本件商標が使用されていたことも認定されるべきである。この点の経緯については、乙第17号証の陳述書においても述べられている。
(イ)乙17号証は、東京都中央区銀座7丁目2番4号に住所を有する、株式会社タルガの取締役大西宜雄氏の陳述書である。同氏は、本件登録商標の通常使用権者であるタカラ社において一貫して商品開発業務に従事し、2003年から2004年頃の状況についても知悉していることから、今般、陳述を得たものである。陳述書では、
(a)タカラ社とイングラムとの石鹸や化粧品に関するビジネス(以下、「本件ビジネス」という)が、2000年9月にスタートし、2003年12月まで継続していたこと
(b)本件ビジネスの対象商品について、2001年ないし2003年まで、コンセプトブックに掲載されていたこと、
(c)本件ビジネスの対象商品は、乙第2号証に示された本件抜粋にに示された商品であるし、その後、これらの商品については、商品パッケージ・容器等のデザインを変更した事実がないこと、
(d)これらを総称して、「LIFE GUARD」ブランドと称していたこと、
(e)「入出庫履歴照会」の帳票(以下、「本件帳票」という)が、タカラトミーの経理部の部員が打ち出したものであり、タカラ社及びタカラトミーの在車商品についての入出康管理に使用され、2001年ないし2003年当時の商品の販売状況を知るための唯-の帳票であること、
(f)本件帳票に記載されたライフガードシリーズのコンディショナー(本件商品2が、2003年10月27日に、タカラ社の東京コスメ営業課からジャパンコスメニティあてに264本が販売されたこと、が陳述されている。
(g)なお、同氏が対象商品のカタログ作成用に作成し保管していた画像を入手したので、参考までに提出する(乙第18号証ないし同第20号証)。乙第18号は、乙第2号証にも掲載されている本件商品2の正面画像である。また、乙第19号証及び同第20号証も、乙第2号証に掲載されている石鹸の正面画像である。
キ 乙第21号証について
(ア)乙第21号証は、本件商品2(ライフガードシリーズのコンディショナー)の販売先である、ジャパンコスメニティ発行の証明書である。第2答弁書記載の通り、本件商標の通常使用権者であるタカラ社は、2003年10月27日にジャパンコスメニティに、本件商品2を264本販売した。かかる事実は、本件帳票(乙16号証の「入出庫履歴照会」)に明らかであるが、乙第21号証は、その販売先における本件商品2を受領したことの事実、及び、本件商品2を2004年3月頃まで販売したことの事実の証明として提出する。本件商品2には、本件商標と社会通念上同一である本件標章が表糸されている。したがって、第2答弁害において主張した通り、本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内に、本件登録商標が使用されていたことも認定されるべきである。
(イ)なお、ジャパンコスメニティは、現時点では、沖縄県那覇市西2丁目1番27号の店舗と、大阪市中央区南船場1丁目11番9号の店舗(本社)とを有しているが、本件商品2は、そのいずれの地域(那覇市、及び、船場の近傍地域)においても販売された。
ク 乙第22号証について
(ア)乙第22号証は、本件商品2を264本販売した際の、タカラ社からジャパンコスメニティ宛に発行された請求書である。この請求書は、ジャパンコスメニティより入手した。
(イ)タカラ社は、営業担当部署より出庫伝票を発行する際、同時に請求書を発行し(平成15年10月24日)、これを同梱して倉庫から現品が発送され(同年10月27日)、これがジャパンコスメニティに納品されている(同年10月29日)。この請求書の「摘要」欄には、「ライフガード コンデ」とあり、264本の請求がなされている。「ライフガード コンデ」が「ライフガードコンディショナー」(本件商品2)を意味し(乙第17号証)、本件商品2は、乙第18号証に表された通りであるから、本件標章は、2003年(平成15年)10月時点においても、使用されていたことが明らかである。
(3)請求人の乙各号証に対する弁駁事項に関する答弁
ア 乙第1号証ないし乙第5号証について
(ア)請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証は、2000年9月1日から2003年12月31日間の「LIFEGUARD」に係る「商品化権契約」の存在を示唆するのみで使用証明には足りず、乙第16号証及び同第17号証は客観的証拠能力に欠けると難ずる。
(イ)しかしながら、被請求人は、従前提出した証拠によって、本件商標の使用態様、及び、使用事実については十分立証されていると考える。即ち、(a)乙第1号証の1及び同第1号証の2の本件商品1には、本件標章が表示されている。(b)本件標章と本件商標とは、社会通念上同一の商標である。(c)これは、乙第2号証の本件抜粋にも商標態様が明らかにされている。また、本件抜粋や実際の商品企両・販売に関しする被請求人とタカラ社の契約内容については、乙第3号証、及び、同第4号証に明らかである。即ち、被請求人は、本件商標の商標権に基づき、タカラ社ヘの商標の使用許諾を行い、かかる許諾に基づいてタカラ社も実際に商品展開を行なった。(d)乙第3号証の「商品化権契約書」では、通常使用権の指定商品の範囲(許諾商品の範囲)が、「スキンケア商品(ミスト、ローション、洗顔フオーム)、シャンプー、リンス、石鹸、UVローション、タンローション、綿棒」と規定されており、「綿棒」を除く全ての許諾商品について、現実に商品化がなされたことも明らかである。これらの商品については、本件抜粋にも明記されているし、当時上記商品の開発業務に携わっていたタカラ社の責任者も事実を確認している。商品化権契約の契約期間が2003年12月31日までであることは既に述べた(乙第4号証)。また、その契約期間が、本件審判請求の予告登録日である平成18年3月14日前3年以内に含まれることも明らかである。
(ウ)乙16号証、及び、同第17号証も、このようなー連の事実をさらに明確にするために、提出した。乙16号証以下の証拠は、本件商品2についての使用証明であるが、本件商品2についても、本件抜粋に明記されているし、商品化権契約の対象商品である。従って、「被請求人は商品化契約の存在のみをもって本件商標が使用されていたと主張しているにすぎない」わけではない。
(エ)なお、乙第16号証、及び、同第17号証「客観的証拠能力」については、請求人の記裁順に倣って、別に述べる。
イ 乙第6号証ないし同第15号証について
(ア)請求人は、乙第6号証ないし乙第15号については、「いずれも本件とは事案を異にするものであるため、議論は省略する」と述べる。
(イ)被請求人も、これらの個々の審決に立ち入って議論をするつもりはない。しかしながら、これらの審決は、いずれも登録商標と使用商標とが、社会通念上同一と認定すべきか否かについて争われているところ、これらの審判の内容に引き比べれば、本件商標と本件標章の同一性についても是認されるべきことが明らかである。 ’
ウ 乙第16号証について
(ア)請求人は、乙第16号証について「このような帳票は作成・変更が容易にできる」し、「標章の態様を特定する情報が含まれていない」から、「本件商標が使用されていたものと認定することはできない」と主張する。
(イ)乙第16号証は、タカラトミーより入手した本件帳票であり、本件帳票は、乙第17号証の陳述書に記載されている通り、当時の商品の入出庫・販売状況を示すものである。おおよそ、企業において発行される入出庫等の帳票は、当該企業において商品管理の目的で自ら作成する以上、記載内容の変更についても不可能ではない。しかしながら、かかる論法に従えば、世上全ての入出庫帳票の証拠能力が否定されてしまう。被請求人は、入出庫の事実を明確にするために本件帳票を提出するのみならず、当時の担当者(責任者)の陳述を得、本件帳票の入手経路を明らかにし、加えて、本件帳票に対応する請求書を提出し(乙第22号証)、更にこれを受領した事実と該当する商品が実際に販売された事実についての証明書も提出した(乙第21号証)。これらー連の証拠に鑑みれぱ、本件帳票が不法に作成されたり、変更されたりしたものではないことは明らかである。かかるー連の事実、即ち、本件帳票が発行された後の事実関係を全て明らかにしているにもかかわらず、本件帳票があたかも偽造されたかのような主張を行なうのは不当である。
(ウ)乙第16号証には、確かに本件標章の全体が表ホされているわけではない。しかしながら、本件帳票には、「ライフガード コンデ」の記載があり、これは本件商品2を表すことは陳述書記載の通りである(乙第17号証)。そして、本件帳票に記載された商品や商標態様は乙2号証や乙第18号証に明らかである。本件商品2の商品パッケージ・容器等のデザインについては、乙第2号証に表されたものから変更されていないし(乙17号証、及び、同第18号証)、この点は、これを販売していたジヤパンコスメニティによっても証明されているのであるから(乙第21号証)、本件標章を特定するに十分と考える。
エ 乙第17号証について
(ア)請求人は、乙第17号証の陳述内容について、「取引先に有利な陳述を行おうとする意識が働く可能性」が高く、「詳しい日付・数量を数年後まで事細かに記億していることはほぼ不可能」であるから、「当該陳述書は乙第16号証に示された事項を基に、客観的な裏づけのないままに作成された」と主張するが、以下の通り事実に反する。
(イ)即ち、(a)陳述者は、かってタカラ社において、本件商品の企画・販売等の責任者であった。従って、当時の状況について最も知りうる立場にある。陳述者に陳述を依頼したのは、かかる事情からである。当然のことながら一方的に「有利な陳述」を依頼したわけではない。また、いうまでもないが被請求人と陳述者とは現在は全く取引関係にないから、陳述者が「取引先に有利な陳述」を行なう必要もない。請求人は、「過去に取引があった」から、被請求人に「有利な陳述」をしていると難ずるようであるが、陳述書の内容を正解しない主張である。(b)即ち、陳述内容は、陳述書記載の通り、陳述者の経歴の概要、被請求人との石鹸や化粧品に関するビジネスの概要といった事実、本件帳票に関する事実のみが述べられている。(c)そもそも、本件帳票は、本件審判の請求がなされ、一方で、タカラ社からの資料の入手が困難な状況であったことから、タカラトミーの経理部に依頼して入手したものである。陳述内容も陳述者に確認できた範囲を記載・作成してもらったものである。被請求人は、タカラ社の販売先まで予め知悉していたわけではないし、予め被請求人に都合が良い「有利な陳述」のみを何らの裏付けもなく陳述依頼をしたわけでもない。繰り返しになるが、陳述内容は、あくまで、タカラトミーの経理部や陳述者の確認に拠っている。
(ウ)確かに、かかる事実を「数年後までこと細かに記憶していることはほぼ困難」であるが、これは多くの事実認識について同様のことが言えるわけで、そのためにこそ書証に重きが置かれることは殊更いうまでもない。そこで、特定商品の入出庫を特定の帳票に基づいて認定をすることも一般的に行なわれているが、被請求人はかかる一般的手順に基づいて事実の証明を行っているのである。単なる陳述者の記億のみに基づいて事実を証明しているのではない。本件帳票には、本件商品2の商品保管楊所、商品名、数量、販売先、計上月が明確になっており、かかる帳票に基づいて事実を陳述し、かつ、その後の事実(出庫した商品が現実にどのように販売されていったかに関する事実)を全て明らかにすることで、客観性は十分担保されると考える。
(エ)参考用に提出した乙第18号証も、かかる確認の途中で発見されたが、現在においても、一定の情報に基づいてカタログ作成用に保管しておいた商品パッケージの画像を呼び出せる状況にあるのであるから、数年前の事実であるからといって、陳述内容の客観性が当然に失われるものではない。繰り返しになるが、かかる陳述に基づいて、その後の本件帳票に対応する請求書、現品の受領・販売の事実、販売者からの証明を入手したことは上述の通りであるから、陳述害内容の客観性についても十分担保されている。
オ 乙第18号証ないし乙第20号証について
(ア)乙第18号証ないし同第20号証の画像は、請求人も認める通り、乙第2号証の「コンセプトブック」に掲載されたものの元画像である。
(イ)残念ながら作成年月日について証明することは現時点ではできないが、乙第2号証に記載の個別商品が、本件商品1や本件商品2以外にも存在したこと、これらの商品を含む多数の商品が2001年ないし2003年までコンセプトブックに掲載されていたこと、これらの商品を含む多数の商品が実際に販売されていたこと、及び、その間、商品パッケージを変更した事実がなかったことは陳述書において述べられている通りであるから、この間の本件商標の使用についても認定されるべきである。
カ 乙第21号証について
(ア)乙第21号証の証明書(以下、「本件証明書」という)について、請求人は、「その証明する内容とは被請求人があらかじめ用意したものであり、証明者が細部まで検討した内容であるとは言えない」から、「当該書面を証拠として採用することは適当ではない」と主張する。
(イ)しかしながら、本件証明書は以下の通り、十分な証拠能力を有する。(a)本件証明書を被請求人が印書したことは認める。しかしながら、本件証明書作成にいたるまでには、ジャパンコスメニティにおいても十分な確認作業が行なわれている。本件証明書は、上記確認作業の結果の事実のみを記載したものであり、十分な証拠能力を有する。上述の通り、本件帳票には、商品保管場所、商品名、数量、販売先、計上月が明確になっていた。そこで、被請求人はジャパンコスメニティ(沖縄営業所)に連絡をとり、本件帳票に基づく本件商品2の受け取りの事実について確認を行なった。(b)その結果、本件商品2は、ジャパンコスメニティ(沖縄営業所)において受領され、沖縄、及び、大阪市の同社店舗において販売されたことが確認できた。そこで、これに対応するジャパンコスメニティの入庫票等の帳票原本や同社のタカラ社ヘの支払い帳票原本等についても確認を依頼したところ、この時期の支払帳票等(原本)については、ジャパンコスメニティの本社(大阪市)に移転されていることが判明した。そこで、被請求人は、同社代表者に対しても同社沖縄営業所に行なったのと同様の依頼を行なった。(c)その結果、ジャパンコスメニティの本社の社内調査によって、乙第22号証が発見されたので、これを被請求人が入手した。乙第22号証は、ジャパンコスメニティの社内支払原票にー緒に綴られていたものである。被請求人は、乙第22号証を入手するまでに約2週間を要しており、その間、ジャパンコスメニティ沖縄営業所、及び、同社本社には、再々依頼の趣旨等を説明した結果乙第22号証の入手に至った。本件証明書に記載された内容は、ジャパンコスメニティ社内での各部署における確認に基づいた事実であって、「細部まで検討した内容」である。本件証明書は、上記一連の作業の結果、タカラが乙第18号証に示す本件商品2を販売したこと、ジャパンコスメニティが本件商品2を246本受領したこと、及び、同商品を2004年3月頃まで販売したこと、を示しているのであって、十分な証拠能力を有すると考える。
(ウ)なお、ジャパンコスメニティと被請求人は、過去から現在に至るまで直接の取引関係は全く無く、「取引先に有利な」証明を得られるような事情はない。また、本件証明書を受領するについては、上記の通りジャパンコスメニティに結果的には約2週間にわたる確認作業を実施してもらうことになった。被請求人は、同社本社に、書面・フアツクス・電話等をもって十分な説明を行なっており、本件証明書の内容についても証明者が細部まで検討した結果のものである。かかる経緯に従って作成された本件証明書の提出が、それでも不当であると主張する理由があるのであれぱ、請求人はその具体的な根拠を示すべきである。
キ 乙第22号証について
(ア)請求人は、『「“LIFEGUARD”プロパティ」の許諾商品のうちに「コンディショナー」の表示が見受けられ(ず)』、『「請求書」にはシャンプーの記載はなく、ヘアコンディショナーのみ264本も納入され・‥「請求書」に記載の他の商品と比較すると突出して多い』こと、及び、ジャパンコスメニティが、「ヘアコンディショナーのみをこのように大量に仕入れることは不自然」であり、『乙第22号証の内容の信憑性については全体として疑いを持たざるをえないものであるから、同号証によっては、被請求人が本件商標を「コンディショナー」について使用していたと認めることはできない』と主張する。
(イ)乙第3号証には、「許諾商品」として「スキンケア商品」以下各種商品が記載されている。これらの商品表記は、必ずしも商標法の標準的な商品表記に則ってはいない。しかしながら、これらの許諾商品は「上記商品の定義は甲の判断によるものとする」と規定され、必ずしも、商標法における標準的な商品表記に従わなければならないわけではない。また、我が国では、一般的にはリンスとコンシショナーは同一のものと取り扱われている。従って、本件商品2が「コンディショナー」として表示されていても、実質的にはリンスと同一である。従って、契約上コンディショナーと記載されていないからといって、直に許諾商品に含まれなくなるわけではない。例えば、花王株式会社では、「リンスとコンディショナーは同じもの」と定義している(乙第23号証)。また、ライオン株式会社でも、リンスとコンディショナーについては、「明確な定義はありませんが、リンスとコンディショナーは同じもの」と記載されている(乙第24号証)。この点は、株式会社資生堂でも、ヘアケア商品としてリンスとコンディショナーは同一のものとして扱われている(乙第25号証)。その他、乙26号証のように、「頭皮をすっきり清潔に保つ炭リンス(コンディショナー)です」といった記載や、コーセーやカネボウの商品紹介のHPのように「コーセーコスメポートの海藻・ミネラルリンス(コンディショナー)」、「カネボウHPのその他のリンス(コンディショナー)」といった記載が多用されており(乙第27号証、及び、同第28号証)、両者は一般的には同一の商品として扱われている。従って、『許諾商品のうちに「コンディショナー」の表示が見受けられ』ず、『本件「請求書」にはシャンプーの記載はな』いことの一事をもって、本件商標が許諾商品について使用されていないと認定するのは不当である。上記の通り、リンスとコンディショナーは同一のものと扱われているからである。
(ウ)なお、本件商品2が請求人の請求にかかる指定商品(化粧品)に含まれることはいうまでもない。
(エ)請求人はシャンプーが同時に販売されずヘアコンディショナーのみが販売されることは「不自然である」と難ずるが、これは本件にとって直接的には関係のない主張である。即ち、たまたま平成15年10月24日の送品分にシャンプーがなかっただけのことであって、それが一般的に「不自然」とはいえない。実際にジャパンコスメニティにおいて、本件商品1が扱われた(販売された)実績もあった。
(オ)ジャパンコスメニティが「小売店として規模が大きいとはいえない」ことは事実である。このため、同社では、原則として商品の発注は、都度発注(商品の販売状況に応じて、在庫商品が不足になる都度商品の発注を行なう)になる。しかしながら、これは小規模会社としては一般的であり、都度発注が商行為として「不自然」とは思われない。その結果、それぞれの関連商品について、常に同一梱包で納品されていないとしても、それが特段不自然というわけではない。また、請求人は、本件商品2の納品数量264本が「突出している」と主張するが、同日の梱包中には、「AAA-ホワイト洗顔フオーム」60個と「クレンジングクリーム」60個も含まれており、かかる数量に比較して、本件商品2の264本が「突出している」とも思われない。
(カ)タカラトミー発行の「入出庫履歴照会」の帳票、株式会社タルガ発行の陳述書、タカラ社の請求書、及び、ジャパンコスメニティの商品の受領・販売等一連の事実に徴すれば、たまたま同一の梱包にシャンプーが含まれておらず、その数量が264本であったとしても、直に乙第22号証の内容の信憑性を否定する理由にはならない。
(4)まとめ
以上の被請求人から提出した証拠に照らせば、本件商標権についての通常使用権者は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標を、本件審判の請求に係る「せっけん類、化粧品」について実際に使用していたことが明らかであり、本件審判の請求が成り立たないことは明白である

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲のとおり「LIFE」の文字と「GUARD」の文字とを二段に表し、その左部に黒色の正方形内に中心線を黒色で表した白抜きの正十字の図形を配してなるものであるところ、被請求人は、本件商標はその指定商品中「せっけん類、化粧品」について、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者であるタカラ社により使用されている旨述べているところ、その事実を明らかにするとして提出した乙第1号証ないし同第5号証から、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証の1は、商品「シャンプー」の容器を正面から撮影した写真であり、その上部には本件商標と社会通念上同一と認められる商標及び撮影日「平成18年5月12日」と撮影者が記載されており、背面を撮影した乙第1号証の2の写真には、「ingram Co.Ltd」及び「発売元」としてタカラ社の名称を表した文字などが表示されていることが認められる。
(イ)乙第2号証は、タカラ社の「TAKARA CONCEPTBOOK 2001」と表示された冊子であり、これには、シャンプー、コンディショナー、せっけんなどの商品が掲載され、発行日として「2001年3月22日」と表示されているものである。
(ウ)乙第3号証は、被請求人とタカラ社の2000年9月1日付け「商品化権契約書」であって、契約期間を「2000年9月1日より2002年12月31日までとする」、許諾商品を「スキンケア商品、シャンプー、リンス」等、許諾の対象商標を「“LIFEGUARD”」あるいは「米国,国内において、U.S.L.A.が、ボランティア活動を展開し、日本国内において商標として登録されている“LIFEGUARD”に起因する商標権」とし、被請求人がタカラ社に対し、許諾の対象商標を許諾商品に独占的に使用する権利を付与するというものである。また、乙第4号証は、上記契約期間を「2003年1月1日より2003年12月31日まで」更新するという「契約更新覚書」である。
なお、「商品化権契約書」における契約の対象商標に本件商標が含まれるとすれば、タカラ社は、契約日より2003年(平成15年)12月31日まで、本件商標の通常使用権者であったものと認められる。
(エ)乙第5号証は、被請求人がタカラ社に宛てた2002年(平成14年)11月30日付けの「請求書」である。
(オ)乙第16号証は、被請求人がタカラ社より入手した2006年11月16日打ち出しの「入出庫履歴照会」であり、「日付 03/10/27」「地番 063 東京コスメ営業課地番」「アイテム 000166039 ライフガード コンデ」「出庫数 264」「相手取引先 903504 (株)ジャパンコスメニテ」と表示されている。
(カ)乙第17号証は、株式会社タルガの取締役大西宣雄の陳述書であり、乙第3号証及び乙第4号証に示された契約書並びに覚書が正しいことと、2003年10月27日にタカラ社の東京コスメ営業課からジャパンコスメニティにコンディショナーが264本出荷されたことを陳述している。
(キ)乙第21号証は、タカラ社がジャパンコスメニティに、出荷した乙第18号証に示す「LIFE GUARD CONDITIONER」を2003年10月29日に受領し、販売したことを証明している。
(ク)乙第22号証は、タカラ社が、ジャパンコスメニティに、平成15年10月24日にコンディショナーを納品した請求書であり、摘要欄に「166039 ライフガード コンデ」、数量欄に「264」と記載されている。
(2)以上の事実から、被請求人提出に係るタカラ社との許諾商品に関する商品化権契約書、契約更新覚書、タカラ社からジャパンコスメニティへの請求書・入出庫履歴照会、ジャパンコスメニティの証明書、株式会社タルガの取締役の陳述書等を総合勘案すれば、被請求人とタカラ社との間には、許諾契約がありタカラ社は通常使用権者と認められ、該通常使用権者であるタカラ社が、本件商標と社会通念上同一と認められる標章を付して、ジャパンコスメニティに商品「コンディショナー」について、2003年(平成15年)10月29日に販売していたことが認められ、また、少なくとも、2003年12月31日までは「コンディショナー」を始め許諾商品を販売していたものと認められる。
(3)請求人は、商品化権契約書及び入出庫履歴照会には、本件登録の態様が特定できず、また、本件商標が実際に使用されていたことを証明するものではないこと、陳述書及び証明書は信憑性に欠けること、請求書に記載のコンディショナーは、許諾商品に掲載されていないこと、コンディショナーのみ264本購入することは不自然である旨主張している。
しかしながら、乙第1号証の1及び2には、該商品が本件審判請求の予告登録前3年以内に製造又は販売されたことを示す表示はないとしても、商品の生産、販売活動を業とする事業者が、当該商品の生産、販売に際して、予め一定の生産、販売計画のもとに生産ライン、流通網を確保し、広告、宣伝のためのカタログ、パンフレット類を製作、頒布し、或いは在庫管理、出庫調整等により需給状況を把握しつつ全体の事業運営にあたっていることは、普通一般に行われる商活動である。そして、該商活動にあって、当初製作された商品カタログ、価格表等は事業指針の一つとして営業活動に資されるのが通例であって、販売計画等に特段変更がなく、かつ増刷等を要しない場合、当該市場流通に供される商品は、当初の製作に係る印刷物よりその商品の型式、種類等特定が行われ、或いは、その受注、発注及び納品等の商活動が行われたとみるのが取引の実情に照らし相当であるから、商品の特定時期における市場流通の存否を問題にする場合、商品カタログ等の印刷物の製作時期のみに拘泥することは必ずしも適切ではなく、前記商活動の実情を併せ考慮の上、個別具体的に判断する事が必要と解される。
かかる実情を踏まえるならば、通常使用権者であるタカラ社が、販売に使用しているとする商品カタログ(2001年3月22日発行)に、本件商標の記載があり、該表示を統一的に用いていること、また、入出庫履歴照会、請求書、証明書の記載よりして、当該取引の対象商品は、「コンディショナー」であること、前記入出庫履歴照会の商品アイテム番号と請求書の販売した商品番号とが符合するものであること、乙第1号証、乙第2号証、乙第18号証ないし乙第20号証の使用商品は、商品現物の写真でありその商品の製造、販売の存在を十分に窺わせるものであり、許諾商品もシャンプー、リンス、石鹸等について許諾されていることは疑問の余地はないものといえること等を総合判断すれば、少なくともコンディショナーが取引に資されたものであろうことも十分推認され、信用性を有するものというべきであるから、証拠力の欠如を述べる請求人の主張は妥当ではなく、採用の限りでない。(4)してみれば、本件商標は、これと社会通念上同一と認められる態様で、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人である商標権者によって本件取消請求に係る商品「化粧品」に含まれる「コンディショナー」について使用されていたといい得るものである。
したがって、本件商標は、取消請求に係る指定商品については、商標法第50条の規定によっては取り消すことができないものである。
よって、結論のとおり、審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2008-04-01 
結審通知日 2008-04-07 
審決日 2008-05-16 
出願番号 商願平10-104799 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川 きみえ
石田 清
登録日 2000-01-14 
登録番号 商標登録第4351144号(T4351144) 
商標の称呼 ライフガード 
代理人 小林 彰治 
代理人 大賀 眞司 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 佐野 弘 

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