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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y36
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y36
管理番号 1184562 
審判番号 不服2007-14703 
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-23 
確定日 2008-09-12 
事件の表示 商願2006- 58768拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「ニーズ細分型自動車保険」の文字を横書きしてなり、第36類「自動車(損害)保険の引受け,自動車(損害)保険に関する情報の提供,自動車(損害)保険についての相談及び助言,自動車(損害)保険契約の締結の代理,自動車(損害)保険に係る損害の査定,自動車(損害)保険料率の算出,自動車(損害)保険契約者に代わってする事故の処理」を指定役務として平成18年6月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は、『顧客のニーズ(需要)に応じて補償内容を細かく分けたタイプの自動車保険』ほどの意味合いを認識させるにとどまる『ニーズ細分型自動車保険』の文字を普通に用いられる方法で表してなるから、これをその指定役務中、前記意味合いに相応する役務に使用するときは、単に役務の内容(質)を記述的に表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は,前記1のとおり,「ニーズ細分型自動車保険」の文字よりなるところ、本願指定役務の保険に関する役務を取り扱う業界において、顧客からの要求を示す語として「ニーズ」が、英語「needs」(必要。要求。需要。)の表音として使用されていること、さらに、多様化する顧客の要求に応えられるよう補償内容を細かく分けて提供することにより、同業他社との優位性を宣伝することは普通に行われているところである。
このことは、「ニーズ」及び「保険」の文字をキーワードでインターネット検索すれば、例えば、「さまざまなお客さまのニーズに合わせた自動車保険」、「お客様ニーズに応えた革新的なサービスで自動車保険」等の掲載例が多数見受けられることからみても容易に確認できるものである。
そこで、本願商標をみるに、各構成文字である「ニーズ」、「細分型」及び「自動車保険」の語の有する意味からすれば、全体として「顧客のニーズに応えられるよう(補償内容を)細かく分けて提供される自動車保険」の意味合いが容易に想起されるものである。
してみれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「様々な条件の項目が細分化されていて、顧客のニーズに応じて選ぶことができる自動車保険」を理解するに止まり、結局、本願商標は、役務の質、内容を表したにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
また、このような表示は、本願指定役務の業界において、何人もその使用を欲するものといえるから、一私人にその独占を認めるのは適当ではないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、平成19年7月12日付の手続補正書(審判請求書)において、本願商標「ニーズ細分型自動車保険」を使用しているのは審判請求人のみであり、需要者(取引者)において、請求人の業務に係る役務の名称として十分に認識されているものであり、特別顕著性(識別力)を有するから、本願商標は、商標法第3条第2項の規定によって登録ができるものであるとして、甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。
しかしながら、商標法第3条第2項の適用を受け、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、使用により識別力を有するに至った商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品・役務と同一の商品・役務に関する場合のみであって、また、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、(a)実際に使用している商標並びに商品・役務、(b)使用時期、(c)使用期間、(d)生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)、(e)広告宣伝の方法、回数及び内容等の事実を総合勘案して判断するものである。
そこで、請求人提出の提出した甲第1号証ないし甲第4号証が、同法の要件を具備するか否かについて検討する。
甲第1号証は、YAHOO!JAPANによる「ニーズ細分型自動車保険」の文字検索結果の写し(上位1000)であり、甲第2号証は、Googleによる同文字の検索結果の写し(検索結果51頁まで)であり、甲第3号証は、gooによる同文字の検索結果の写し(検索結果49頁まで)であり、甲第4号証は、LiveSearchによる同文字の検索結果の写し(検索結果100頁まで)である。
そして、これらの証拠中には、「ニーズ細分型自動車保険」の文字が見受けられものの、該文字の後半部分に「TEN」、「ONE」及び「ONE?do」の文字が加えられているものが多数あり、「ニーズ細分型自動車保険」の文字単独の使用は稀である。
そうすると、「ニーズ細分型自動車保険」の文字が、自他役務の識別標識としての機能を有しないのは上記で述べたとおりであるから、むしろ、付加された文字部分の「TEN」、「ONE」及び「ONE?do」に識別力を有し、かつ、顕著な部分と認められるものであり、本願商標とは異なった態様の商標といわざるを得ない。
また、インターネットの検索結果に多数の「ニーズ細分型自動車保険」(単独の使用は、少数であることは上記で述べたとおり)の文字が見受けられることを否定するものではないが、請求人は、このインターネットによる文字検索による多数の検索結果をもって、需要者が、本願商標を、請求人に係る役務であることを十分に認識できる旨主張している。
しかしながら、同法の適用を受け、使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、(a)実際に使用している商標並びに商品・役務、(b)使用時期、(c)使用期間、(d)生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)、(e)広告宣伝の方法、回数及び内容等の事実を総合勘案して判断するものであるから、インターネットによる多数の検索結果をもって、取引者、需要者に十分認識されている証拠とはなり得ないものであり、この主張は採用できない。そもそもインターネット検索とは、検索する本人が、その必要性、あるいは関心があって行われる行為であるから、その文字にそもそも必要性、関心がない人にとっては全く目にすることがない場合が多いことからすれば、テレビや新聞の宣伝、広告等とは異なり、単に多数の検索結果をもって、需要者間において幅広く認識されているとする根拠としては希薄なものといわざるを得ない。
そうすると、請求人の提出した甲各号証を総合勘案しても、本願商標が使用された結果、自他役務の識別力を獲得するに至ったと認めるに足る充分かつ客観性のある事実を見出せないことから、商標法第3条第2項の要件を具備するものと認めることができない。
なお、請求人は、「ニーズ細分型自動車保険」の文字が、請求人係る役務であることの証拠として、甲第5号証以下の証拠資料を提出する旨述べているが、審判請求から相当の期間を経過する現在に至るも、何ら提出していない。そこで、これ以上、本件の審理を遅滞させるべき理由はないものと認め、審理を進めることとした。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-07-10 
結審通知日 2008-07-16 
審決日 2008-07-29 
出願番号 商願2006-58768(T2006-58768) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y36)
T 1 8・ 17- Z (Y36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 亨子和田 恵美 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 久我 敬史
手塚 義明
商標の称呼 ニーズサイブンガタジドーシャホケン、ニーズサイブンガタ、ニーズサイブン、ニーズ 
代理人 宇高 克己 

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