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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1184513 
審判番号 不服2007-34089 
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-12-18 
確定日 2008-09-05 
事件の表示 商願2007- 12156拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「チンスコウショコラ」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成19年2月15日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における同年10月15日付け提出の手続補正書により、第30類「ちんすこう菓子」に補正されたものである。

第2.原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『チンスコウショコラ』の文字を書してなるところ、これは、沖縄名産の菓子で、砂糖、ラード、小麦粉をこね合わせ、木型で抜き取って焼き上げた菓子を指称するのに慣用されている標章である『ちんすこう』の片仮名表記『チンスコウ』の文字と、チョコレートを意味する『ショコラ』の文字よりなるものと容易に理解できるから、これを本願指定商品中、例えば『チョコレートを加味した、砂糖、ラード、小麦粉をこね合わせ、木型で抜き取って焼き上げた菓子』に使用しても、商品についての慣用標章と商品の原材料を表示するにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審において通知した審尋
1 本願商標は、『チンスコウショコラ』の文字よりなるところ、原審においては、これを本願指定商品中、例えば『チョコレートを加味した、砂糖、ラード、小麦粉をこね合わせ、木型で抜き取って焼き上げた菓子』に使用しても、商品についての慣用標章と商品の原材料を表示するにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないから、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶したものである。しかしながら、当審においては、『小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした沖縄名産の焼き菓子』を指称する『ちんすこう』の片仮名表記である『チンスコウ』の文字と『チョコレート』の意味を有する『ショコラ』の文字とを一連に『チンスコウショコラ』と表した本願商標は、全体として『チョコレートを加味した(例えば、チョコレートでコーティングした)ちんすこう』程の意味合いの商品の品質、原材料を表示したものとして認識されるにすぎないものというのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認める。
2 ところで、食品業界においては、近時、チョコレートでコーティングしたお菓子が多数販売され、それらを「○○ショコラ」と称して販売されていることが、次の(1)ないし(10)の新聞記事情報及びインターネット情報によっても裏付けられる。
(1)2000年2月6日付け読売新聞(大阪朝刊)の27頁には「[はぐくむ食]現地からの報告(38)邑智-あんぽ柿(連載)=島根」の見出しの下に「外は雪。しかし、邑智町粕淵にある御菓子司(おかしつかさ)『寿恵久仁(すえくに)屋』の工場は、バレンタインデーを控え、フル回転で熱気がムンムン。若主人の末國欣司さん(43)が考案した『あんぽ柿(がき)』にチョコレートをかけた新商品『柿ショコラ』の生産に追われているのだ。」との記載がある。
(2)2006年12月7日付け読売新聞(大阪朝刊)の33頁には「奈良漬新レシピ 奈女大生が15品目 あす試食会、出版も=奈良」の見出しの下に「奈良女子大生活環境学部の学生らが、特産品で地域の活性化をと『奈良漬プロジェクト』をつくり、奈良漬を使ったクッキーやチョコレートなど計15品目を考案した。・・・このうち、『奈良漬ショコラ』は、オレンジピール・チョコレートをイメージして考案。薄く切った奈良漬をチョコレートでコーティング。甘さとアルコールの風味が合うと評判。」との記載がある。
(3)「アーモンドショコラの作り方とレシピ アーモンドホールを飴がけした後 チョコレートでコーティングしたお菓子です。カリッとした香ばしい食感も楽しめるチョコレートです。」との記載がある。(http://www.la-fontaine.co.jp/tukuro_amande_chocolat.html)
(4)「マカロンショコラ チョコレート専門店『ショコラティエ マサール』のホワイトデー限定商品! フランスの伝統菓子マカロンを自慢のチョコレートでコーティングしたパティシエの自信作!」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/hokkaido-omiyage/masale007/)
(5)「日本を代表するショコラティエ、土屋公二さんが作る『マロンショコラ』は、大粒の栗をまるごとひと粒チョコレートでコーティング。」との記載がある。(http://www.bidders.co.jp/sweets/gouttemps/index.html)
(6)「『オレンジショコラ』はオレンジの皮を砂糖で煮込み、熟成した頃にスィートチョコレートをコーティングして、ココアをまぶして出来上がります。」との記載がある。(http://www.spacelan.ne.jp/~k.koshino/youfu.html)
(7)「居留地アップルショコラ(ギフトBOX入り))【250g入り】もぎたての林檎をカルバドスの洋酒の効いた蜜にたっぷり漬け込み最後に最高級のチョコレートでコーティングしてみました。」との記載がある。(http://store.shopping.yahoo.co.jp/frantz/choco-dragee-01-boxl.html#)
(8)「プラムショコラ10個入り 種を抜いたプラムの中にココナッツ入りの生チョコをつめました。さらにそのあとまわりをチョコレートでコーティングした贅沢なチョコレートです」との記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/rorian/623549/627495/)
(9)「(ドライ)マンゴーショコラ 先日、知り合いの和菓子屋さんからわけてもらった、フィリピンのドライマンゴーをスティック常にカットして、ベルギーのフリューベルというところの、スイート56%ですから、甘さ控えめの、どちらかというと大人向けのビターなチョコレートでコーティングしました。」との記載がある。(http://blog.livedoor.jp/panier/archives/50350027.html)
(10)「沖縄南国パインがおいしい!『パイナップルショコラ』 沖縄生まれのココボート!県産の完熟パイナップルにこだわりました。パインの甘み、風味がたっぷり詰まったフルーツクリームをサックサクに焼き上げたタルトでサンド。更にチョコレートでコーティングしました。」との記載がある。(http://store.shopping.yahoo.co.jp/hbc-okinawa/hbc4956191132340.html)

第4 審尋に対する請求人の回答
本願商標は、その構成全体より、沖縄名産の菓子に慣用されている商標である「ちんすこう」の片仮名表記「チンスコウ」の文字と、チョコレートを意味する「ショコラ」の文字よりなるものとの如き意味合いを暗示させることがあるとしても、これが、直ちに補正後の指定商品の品質、内容、特性等を直接的かつ具体的に表示したものとはいえず、むしろ、構成文字全体をもって一種の造語よりなるものとして認識されるというのが相当である。
また、「菓子及びパン」或いは「チョコレート菓子」を指定商品とする、下記の登録があることからも上記のような認識が一般的な判断として妥当である。
1)登録第4535390号「ショコラプリッツ」
2)登録第4602895号「お餅のショコラ」
3)登録第4938022号「マロニエ ショコラ」
4)登録第4364153号「メレンゲ ショコラ」
これらの登録商標は、「ショコラ」以外の部分は、慣用商品名・食材名・植物名などであり、識別力に乏しいものであり、「ショコラ」と一連、一体的に表示されることで識別力を有し登録となったものである。
本願商標は、出願人である(株)ファッションキャンディのみが使用しているものであり、一般的な原材料名ではなく、沖縄地域に限定した伝統菓子である「ちんすこう」の通常ではあまり表記されないカタカナの「チンスコウ」とカタカナの「ショコラ」を一連、一体的に組み合わせた、新しい造語として認識でき、自他商品の識別力を有するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「チンスコウショコラ」の文字よりなるところ、構成中の「チンスコウ」の文字は、「ちんすこう」の片仮名表記であると認められ、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」によれば、「琉球王朝時代から沖縄県で作られている伝統的な菓子の1つ。小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子として知られている。」と記載されている。また、「ショコラ」の文字は、「チョコレート」(コンサイス外来語辞典第3版 株式会社三省堂)の意味を有する外来語(仏語)として、広く一般に使用されているものである。
ところで、菓子を取り扱う業界において、チョコレートでコーティングしたお菓子を「○○ショコラ」と称して製造・販売されていることが、前記第3の2(1)ないし(10)に記載の事実より窺い知ることができる。
そうすると、「チンスコウショコラ」の文字よりなる本願商標は、全体として「チョコレートを加味した(例えば、チョコレートでコーティングした)ちんすこう」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。 してみれば、本願商標を補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「チョコレートを加味した(例えば、チョコレートでコーティングした)ちんすこう菓子」であること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、上記第4において、本願商標は、出願人のみが使用しているものであり、通常ではあまり表記されないカタカナの「チンスコウ」とカタカナの「ショコラ」の文字を一連に書してなるから、指定商品の品質、内容、特性等を直接的かつ具体的に表示したものではなく、その構成全体をもって一体不可分の造語であると認識されるべきであり、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得る旨主張しているが、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」から、たとえ、一連一体で表されたカタカナの「チンスコウショコラ」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、原材料を表示するものとして使用されている事実が存在しなくとも、本願商標が商品の品質、原材料を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
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審理終結日 2008-07-04 
結審通知日 2008-07-07 
審決日 2008-07-25 
出願番号 商願2007-12156(T2007-12156) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
商標の称呼 チンスコウショコラ、チンスコーショコラ 
代理人 島袋 勝也 

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