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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議200290871 審決 商標
無効200589053 審決 商標
異議2013900294 審決 商標
無効200035300 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商品(役務)の類否 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
管理番号 1184472 
審判番号 無効2006-89047 
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-04-17 
確定日 2008-08-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4820876号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成18年12月19日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10042号平成19年9月26日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第4820876号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4820876号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字で「腸能力」と書してなり、平成16年4月5日に登録出願、第29類「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」を指定商品として、平成16年11月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4809624号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおり、毛筆書き風の文字で「腸脳力」と横書きしてなり、平成16年3月8日に登録出願、第16類「印刷物」、第29類「食用油脂、乳製品、食肉、卵、食用魚介類(生きているものを除く。)、冷凍野菜、冷凍果実、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるソーセージ、その他の肉製品、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる水産物の缶詰、その他の加工水産物、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる野菜の缶詰、その他の加工野菜及び加工果実、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる油揚げ、その他の油揚げ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる凍り豆腐、その他の凍り豆腐、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるこんにゃく、その他のこんにゃく、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆腐、その他の豆腐、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるスクランブルエッグ、その他の加工卵、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるカレー・シチュー又はスープのもと、その他のカレー・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるなめ物、その他のなめ物、豆、食用たんぱく」、第30類「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる蒸し菓子、その他の菓子及びパン、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるドレッシング、その他の調味料、香辛料、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、コーヒー豆、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる即席うどんのめん、その他の穀物の加工品、アーモンドペースト、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるぎょうざ、その他のぎょうざ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるサンドイッチ、その他のサンドイッチ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるしゅうまい、その他のしゅうまい、すし、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラビオリ、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、食用の共棲培養した乳酸菌生成エキス、即席菓子のもと、酒かす、米、脱穀済みのえん麦、脱穀済みの大麦、食用粉類、食用グルテン」及び第32類「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるアイソトニック飲料、その他の清涼飲料及び果実飲料、ビール製造用ホップエキス、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる乳清飲料、その他の乳清飲料、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる飲料用野菜ジュース、その他の飲料用野菜ジュース」を指定商品として、平成16年10月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反されて登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定に基づき無効とされるべきものである。
(1)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、「腸能力」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「チョウノウリョク」の称呼を生じる。
これに対して、引用商標は、「腸脳力」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「チョウノウリョク」の称呼を生じる。
そして、両商標を構成する文字は、共に既成語になく、造語というべきものであって、これを称呼するときは、既成語として広く知られ、使用されている「超能力」を想起、連想させるものである。
してみると、本件商標と引用商標は、称呼上類似の商標というべきものである。
(2)両商標の指定商品について
本件商標の指定商品は、豆乳を主原料とする商品であり、引用商標の第29類の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」とは原材料を共通にする類似の商品というべきものである。 とりわけ、本件商標の指定商品は、いわゆる健康食品といわれる商品の範疇に属するものであり、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」も健康食品の範疇に属するものであるから、原材料のみならず用途、用法、需要者をも共通にするもので、両者は、類似の商品というべきである。
2 被請求人の第1回答弁に対する弁駁
引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、「共棲培養した乳酸菌生成エキス」、言い換えれば「乳酸菌の生成物質」を加味したいわゆる健康食品である。
請求人は、ある種の乳酸菌を共棲培養した結果、共棲培養した乳酸菌の生成エキスが人間の腸と脳の健康に極めて良好な結果が得られることから、これを各種商品に応用することを企図して、これに「腸脳力」と命名し、商標出願し、登録を得たところである。
しかるところ、被請求人は、無農薬栽培された国産大豆を原料とした豆乳に、ビフィズス菌など16種類(35株)の選び抜かれた善玉菌を、若い健康な人の腸内コンディションと同じ環境で、独自の方法により共棲培養・強化し、菌群がつくり出す優れた成分をエキスとして抽出・精製した「乳酸菌生産物質」を用いた商品を製造、販売しているものである(甲第3号証)。
そして、本件商標の指定商品は、「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」であり、いわゆる健康食品に位置付けられるものであるが、上記被請求人の創業目的及び現実に出されている商品からみて、本件商標を「共棲培養した乳酸菌生産物質」(言い換えれば「共棲培養した乳酸菌生成エキス」)を加味した「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」に使用することが明白である。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、ともに健康食品に位置付けられるものであり、原材料(豆乳)、加味品(共棲培養した乳酸菌エキス(物質))を同じくし、その効用、効果を共通にするもので、これを求める取引者・需要者を共通にするものであるから、両商品に同一又は類似の商標を使用した場合、需要者が混同を生じるおそれのある類似の商品というべきものである。
なお、特許庁の公開データに付された類似群コードデータは、類似の範囲を推定したもので、類似範囲の確定ではないことからすれば、これによって商品・役務の類否判断がなされるものでないことはいうまでもない。
3 被請求人の第2回答弁に対する弁駁
(1) 本件審判の請求の理由に対して、被請求人は、平成18年6月16日提出の「審判事件答弁書」における答弁の理由は、「本件商標と引用商標の指定商品は類似しない。」とするもので、「商標が類似しない」とする理由は一切述べられていない。このことは、すなわち「商標の類否」は争わず(商標の類似することは認め。)商品の類否のみを争っているといい得るところである。
そして、本件審判事件の審理終結通知がなされた平成18年12月6日までの間、被請求人より、「商標が類似しない」とする理由を述べた答弁書が提出されている事実はない。
そうしてみると、本件審判事件の審決の取消を求めた平成19年(行ケ)第10042号審決取消請求事件の判決後である2007年12月17日付けで提出された「審判事件答弁書」における、本件商標と引用商標との類否を争う主張は採用されるべきでない。(審判便覧「42一00審理の終結及び再開」)
なお、本件においては、審判請求書において「商標の類似」が述べられており、それに対する充分な答弁の機会が与えられており、その期間に「商標の類似」に関する答弁をしていないものであるから、仮に、商標の類否に関する審理再開の申立てがあったとしても認められるべきでない。
また、本件商標と引用商標との類否を争う主張を展開する2007年12月17日付けで提出された「審判事件答弁書」は、手続についての指定期間経過後の不適法な手続というべきものであるから、審判長は、商標法第56条において準用する特許法第133条の2に基づき却下すべきものである。
さらに、本件審判事件の審決の取消を求めた平成19年(行ケ)第10042号審決取消請求事件の判決の「なお書き」において、「なお、本件において、主要な争点は、指定商品が類似するか否かではなく、本件商標と引用商標とが類似するか否かである。そして、商標の類似性に影響を及ぼす取引の実情に係る事実関係と、指定商品の類似性に影響を及ぼす取引の実情に係る事実関係とは、考慮要素において共通する点があるものの、前者の方が後者よりも、多様かつ複雑であり、その審理範囲は広範である。審決が主要な争点である商標の類否について判断を省略し、指定商品の類否についてのみ判断をした点は、審理のあり方として適切さを欠いたものといえる。今後、再開される審判手続においては、本件商標と引用商標との類否について審理することとなるが、その審理に当たっては、単に称呼、外観、観念のみを対比するのではなく、当事者の主張、立証を尽くさせた上で、確立した判例に沿って、「商品に関する具体的取引状況を可能な限り」明らかにして、それらの事実を総合して、両商標の類似性の有無を対比判断すべきである。」と判示されているところ、審決取消請求事件においては、本件審判事件における被請求人の主張、立証に係る手続の経緯が明確でないことから、「当事者の主張、立証を尽くさせた上で」と判示されているものである。
この判決における「なお書き」は、審決取消請求事件において、本件審判事件の手続の経緯(被請求人が商標の類否を争わず、指定商品の類否のみを主張した。)が明らかでなかったことから、当然審判事件において商標の類否も争われていることを前提として、「審決における審理のあり方として適切さを欠いたものといえる。」と判示しているといえるものである。
そうとすれば、本件審判の請求後答弁の機会が指定され、審理終結までの間、商標の類似を争わず(商標の類似することは認め。)商品の類否のみを争っていること明らかな被請求人に対して商標の類否に関する主張、立証の答弁の機会を与えられるべきでない。
(2)つぎに請求人は、念のため2007年12月17日付けで提出された「審判事件答弁書」に対して次の通り弁駁する。
ア 称呼について
本件商標は、「腸能力」の文字よりなるから、構成文字に相応して「チョウノウリョク」の称呼を生じる。これに対して、引用商標は、「腸脳力」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「チョウノウリョク」の称呼を生じるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、「チョウノウリョク」の称呼を同じくする類似の商標である。
イ 観念(連想、想起)について
両商標より生じる「チョウノウリョク」の称呼から誰もが連想、想起されるのは、テレビなどで取り上げられ、広く知られ、使用されている「超能力」である。
次に、本件商標は、「腸能力」の文字を標準文字で一体的に書してなるところ、該文字は成語にはなく、子細にみれば「腸」と「能力」の文字とを連綴したものと見ることができるとしても、「腸」と「能力」の文字とが結合した結果、特定の意味を有する語となったものとは言い難く、むしろ、指定商品及び商標権者の業務との関係においては、共棲培養した乳酸菌(エキス)が腸の活性を高め健康に有効であるとされているところから、「豆乳を主原料とし、これに共棲培養した乳酸菌(エキス)を入れたカプセル状の加工食品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、腸の健康に有用であることを表示するものであるかの如き漠然とした意味合いを認識(観念)させるというべきものである。
そして、引用商標は、「腸脳力」の文字を同書体で一体的に書してなるところ、該文字は成語にはなく、子細にみれば「腸」と「脳」と「力」の文字とを連綴したものと見ることができるとしても、「腸」と「脳」と「力」の文字とが結合した結果、特定の意味を有する語となったものとは言い難く、むしろ、指定商品との関係においては、共棲培養した乳酸菌(エキス)が腸の活性を高め健康に有効であるとされているところから、これをその指定商品中の「共棲培養した乳酸菌(エキス)を加味してなる豆乳」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、腸の健康に有用であることを表示するものであるかの如き漠然とした意味合いを認識(観念)させるというべきものである。
そうしてみると、本件商標と引用商標とは、その称呼において共に「超能力」を想起、連想させ、外観において共に腸の健康に有用であることを表示するものであるかの如き漠然とした意味合いを認識(観念)させるというべきものであるから、観念上も類似するというべきものである。
ウ 外観について
本願商標と引用商標とは、共に3文字よりなるところ、その構成中、看者の注意を強くひく語頭部の「腸」の文字を共通にし、かつ、語尾にあってその商品が効力のあることを表示すると見られる「力」文字を共通にするものであって、わずかに中間において「能」と「脳」の文字を有するに過ぎないから、これに接する取引者、需要者をして、匆々の間、彼此見誤るおそれがある外観上類似の商標といわなければならない。
エ 取引の実情及び需要者について
近年、健康志向の高まりと共に、いわゆる健康食品が医薬品会社、食品会社、研究所等の様々な企業から、各種栄養補助食品等極めて多種の商品が売り出され、一般の薬局、漢方薬の薬局、ドラッグストアー、スーパー等の店頭で売られるばかりでなく、テレビによる通信販売、インターネットによる通信販売、雑誌、新聞、カタログによる通信販売、訪問販売等様々な販売手段で売られているのが取引の実情である。そして、これらの商品の需要者は、健康を志向する者、とりわけ体力に衰えを感じ、或いは健康に不安を感じている中高年に多いとされているところである。そして、商品を購入する際には、自身が衰えを感じ或いは不安を感じていることについての必要とする栄養を補い、或いは余分なもの、例えば中性脂肪を除去・排泄するため等の成分を包含するいわゆる健康食品を購入しようとするところである。
しかるところ、市場には、同種商品があふれ、どれを選択するのが良いのか迷うような状況であり、一つ一つを手にとって確かめるというよりは、とりあえず自身が必要としている栄養を補い、或いは余分なもの、例えば中性脂肪を除去・排泄するため等の成分を包含するいわゆる健康食品を購入するというのが取引の実情である。
特に、高齢者はこのような傾向が強いことから、悪質な表示を付した商品或いは訪問販売等により、深刻な健康被害が生じる事態も出現していることは、テレビ、新聞の報道により広く知られているところである。
オ 取引の実情及び需要者から見た本件商標と引用商標との類似について
本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌(エキス)を加味してなる豆乳」とは、ともにいわゆる健康食品の範疇に属する商品を含む点において共通することに照らすと、両者は商品の性質、用途、原材料、生産過程、販売過程及び需要者の範囲などの取引の実情において共通する商品であり、さらに、仮に商標法第4条第1項第11号にいう「類似する商標」が使用されることを想定した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがないとはいえない程度に共通の特徴を有する商品であると解すべきであるから、それぞれの商品が類似するものである。
そして、両商標は、上述したとおり、その外観、称呼、観念上類似の商標であり、かつ、両商標の指定商品の含まれるいわゆる健康食品の取引の実情及び需要者をも考慮すれば、取引者、需要者が混同を生じるおそれがあるほどに、類似の商標といわなければならないものである。
カ 確定した判例に沿った両商標の類否について
確定した判例によれば、「商標の類否は、対比される両商標が同ー又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所について誤認、混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきところ、その判断に当たっては、商標の称呼、外観、観念によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すべきであり、その商標の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当であるが、商標の称呼、外観、観念の類似の有無とは、本来、その商標を使用した商品についての出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎないというべきであるから、右三点のうち、その一において類似するものであっても、他の二点において著しく相違したり、その他取引の実情如何等によって、商品の出所に誤認、混同を来すおそれの認め難いものについては、これを類似商標と解すべきでない。」(最高裁判所昭和43年2月27日判決・民集22巻2号399頁参照)(平成9年7月29日東京高民6判・平成8年(行ケ)269号)とされているところである。
この確定した判例に沿って考察すれば、両商標は、上述したとおり、その外観、称呼、観念上類似の商標であり、かつ、両商標の指定商品の含まれるいわゆる健康食品の取引の実情及び需要者をも考慮すれば、取引者、需要者が混同を生じるおそれがあるほどに類似の商標といわなければならないものである。
(3)結論
上述したとおり、本件商標と引用商標とは、その指定商品中の所謂健康食品の分野における取引の実情をも考慮に入れて考察すれば、取引者、需要者が混同を生じるおそれがあるほどに類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反されて登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定に基づき無効とされるべきものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 請求人の主張に対する第1回答弁
(1)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品は、「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」で、類似群コード(32F01?04)が付されている、いわゆる健康食品である。
一方、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」は、類似群コード(32F05)が付されている「豆乳」である。
平成14年1月1日から使用されている「類似商品・役務審査基準」〔国際分類第8版対応〕の196頁には、「いわゆる健康食品として採用した第29類『クロレラを主原料とする粒状の加工食品(32F01 32F02 32F03 32F04)』、第30類『食用プロポリス(32F01 32F02 32F03 32F04)』(医療用のものは含まれません。)は、互いに類似する商品として取り扱いますが、たとえば、第29類の『加工野菜及び加工果実』のように『32F04』等のコードのみが付されている商品とは類似しないものとします。」と記載されている。
また、平成14年12月13日に日本弁理士会から配布された「商標委員会からのお知らせ」(乙第1号証)の巻111には、上記「類似商品・役務審査基準」の記載内容の補足として、「いわゆる健康食品を指定したものとして特許庁で認められる表示とは、『主原料(主成分)+形状+加工食品』です。」ということ、巻112には「健康ドリンクのようなもの、例えば『第32類 ビタミンを加味した清涼飲料』と第29類(又は第30類)のいわゆる健康食品は類似しない。」ということが記載されている。
そうしてみると、本件商標の指定商品は、「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」であるから、第29類のいわゆる健康食品を表すものである。
一方、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」は、商品が第29類の「豆乳」であることを表すものである。
したがって、上記のように、いわゆる健康食品と単一の類似群コードのみが付されている商品とは類似しないものであるから、本件商標の類似群コード(32F01?04)が付された「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と引用商標の類似群コード(32F05)が付された「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」とは非類似の商品である。
2 本件判決後における第2回答弁
(1)本件商標
本件商標は、漢字3文字で「腸能力」と標記され、それら各文字を音読みすれば「ちょうのうりょく」という称呼を生ずるものである。
このようにした本件商標そのものは、造語であって国語的には何の意味も持たないが、漢字能力がある一般の看者は、「腸」という用語と、「能力」という熟語の意味を認識して、「腸の能力」という連想を抱かせるものである。それは、本件商標が「腸」という語と、一般的に意味がある「能力」という熟語とを結合したものだからである。
(2)引用商標
引用商標である商標登録第4809624号商標は、漢字3文字で「腸脳力」と標記され、それら各文字を音読みすれば「ちょうのうりょく」と言う称呼を生ずるものである。
この引用商標は、造語であって国語的に何の意味ももたない単に3つの漢字を羅列したものである。しかも、一般的には「腸」と「脳」との関連性がほとんどわからないので、引用商標からはぼう漠とした観念が生ずるのみである。
(3)判例の立場
ア 平成17年(行ケ)第10764号審決取消訴訟事件の事実関係
本件商標と事実関係が類似している平成17年(行ケ)第10764号審決取消訴訟事件の判決書を乙第2号証として提示する。なお、この乙号証の証拠番号は本件審判手続きにおいてのみ連続性を保ったもので、本件に係る審決取消訴訟の証拠番号との連続性は有しない。
そして、この乙第2号証における事実関係は次のとおりである。すなわち、商標権者である被告の商標は「源気」の文字を横書きにし、その上段に「げんき」の文字を振り仮名風に小さく併記し、指定商品を第5類「薬剤」としたものである。
乙第2号証における原告は、次の引用商標を用いて、商標権の無効を主張したものである。すなわち、引用商標は「元気」の文字を横書きにしてなり、指定商品を旧第32類「玄米を粉状にして酵素を培養して顆粒状に顆粒状あるいはミール状にした食品」とするものである。
イ そして、この乙第2号証における裁判所の結論は、指定商品の類否を判断するまでもなく、両商標は非類似であるというものである。
ウ 乙第2号証における裁判所の判決の根拠
(ア)商標の類否に関する一般論
商標の類否に関連して、出所の誤認混同を生じるおそれがあるかどうかについては、要するに、この乙第2号証では、商標の類否を判断する一般論として、当該商標を、外観、観念及び称呼の三点で観察し、その一点でも同一もしくは類似しているからといって、直ちに、当該商標の類否を決定すべきではないと結論付けている。
(イ)「源気」及び「元気」の外観について
「両商標のうち、2文字のうち一文字が著しく異なるものであるから、両商標は、外観において、全く非類似の商標というべきである。」
(ウ)「源気」及び「元気」の観念について
「源気」は、造語であって、その意味するところも、「気(き)の源(みなもと)」といった程度の観念は生じるが、その意味は必ずしも明確ではなく、きわめてぼう漠としたものである。
一方、「元気」は国語辞書にも出ている一般に親しまれた単語で、誰もがその観念を認識しうるものである。
したがって、両商標の観念は相違するというものである。
(エ)「源気」及び「元気」の称呼について
「源気」及び「元気」は、ともにわずか2文字であって、一見して異なる語であることが認識され、しかも、観念も明らかに相違している。そして、称呼において同一であっても、わずか2文字であって一見して把握しやすいもので、外観及び観念において全く非類似であるといいうる場合、取引者・需要者は、両者について、異なった印象を抱き、それが記憶されるのが通常であり、「源気」と「元気」とを誤解する者はいないと見るのが自然である。
(オ)健康食品の特殊事情
健康食品についての特殊事情として、乙第2号証は、次のように述べている。
「健康食品は、一般消費者にとって、自己の健康にかかわる重要なものであるから、その商標が当該商品を示すものとして周知となっているなどといった特段の事情の認められない限り、現物を手にとって慎重に選ぶのが通常であり、単に称呼のみで購入することはまれであると考えられる。そして、本件において、そのような特段の事情を見いだすことはできない。したがって、称呼の同一のみをもって両商標の誤認混同に結び付ける原告の主張は、採用することができない。」
(4)本件と乙第2号証の裁判における事実関係の共通点
ア 指定商品が健康食品である
本件商標が健康食品の分野に属することは、本件判決においてすでに認定されているところである。また、乙第2号証においても、商標の類否判断する上で、健康食品の特殊性を考慮しているところから、当該指定商品が健康食品であることは容易に推定できる。
(5)本件と乙第2号証の裁判における事実関係の相違点
ア 商標を構成する文字数
本件商標および引用商標のそれぞれが漢字3文字で標記されたものであるの対して、乙第2号証においては漢字2文字で標記されたものである。
しかも、乙第2号証において裁判所は、「2文字からなる語句のうち一文字が著しく異なるのであるから、両商標は、外観において全く非類似の商標というべきである」としている。
イ 商標の観念
乙第2号証における商標「源気」はぼう漠とした観念を生じるのみであり、商標「元気」は日本人にとって極めて親しまれている2文字の熟語である。
これに対して、本件商標「腸能力」と引用商標「腸脳力」とは、ともに造語であり、いずれか一方が、日本人にとって極めて親しまれている熟語とは言えない点が相違する。
(6)本件と乙第2号証の裁判における事実関係の相違点の検討
ア 商標を構成する文字数について
本件商標は漢字3文字から構成されるが、3つという文字数は、乙第2号証において裁判所が言う「一見して異なる語であることが認識され」る範囲にあるものといえる。
イ 商標の観念について
本件商標は、「腸能力」と標記され、腸と能力との2つの意味のある単語を並べてなるもので、「腸の能力」といったイメージを連想させるものである。
これに対して、引用商標は、「腸」と「脳」と「力」という全く関連性がない3つの語を単純に並べただけのもので、これら3語の羅列からは、それこそぼう漠とした観念しか生じない。特に、「力」という語が熟語としてではなく単独で用いられた場合に、その「力」の前に位置する語が2語の範囲であれば、看者はその2語を熟語としてとらえ、「企業力」「組織力」などのように、その熟語のパワーを意味するものと認識するのが通常である。
したがって、引用商標の場合にも、「力」の前の語である「腸脳」を熟語としてとらえ、看者は、「腸脳の力」として認識することは容易に想像することができる。しかしながら、「腸脳の力」からは何の観念も生じるものではなく、本件商標のような「腸の能力」というイメージを想起させるものでもない。
また、引用商標が「腸の力」「脳の力」という個別の観念が生じるとしても、それが、指定商品との関係で何を意味するのか看者には読み取ることができない。
ウ 指定商品が健康食品である事情を勘案しての商標の類否について
健康食品の特殊性について、裁判所は、前記したように「一般消費者にとって、自己の健康にかかわる重要なものであるから、その商標が当該商品を示すものとして周知となっているなどといった特段の事情の認められない限り、現物を手にとって慎重に選ぶのが通常であり、単に称呼のみで購入することはまれであると考えられる。」としている。
本件商標が付された健康食品を手にとって慎重に選ぶ際に、看者は、「腸の能力」を連想することは明らかである。したがって、一般消費者は、「腸の活性化」を意図して当該商品を選択するものと容易に推測できる。
これに対して引用商標の場合には、「腸脳の力」あるいは「腸と脳の力」ということで、引用商標が付された商品を選択する際に、当該商品の機能性をイメージすることができない。
このように一般消費者が当該商品を手にとって慎重に選ぶ際には、漢字3文字の中の一文字しか相違しないとしても、それらから連想されるものが明らかに相違する以上、両商標を誤認混同するおそれは全くないものである。
したがって、本件審判の請求人の主張は受け容れられないものである。
(7)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

第5 当審の判断
1 請求人は、「本件審判の請求後答弁の機会が指定され、審理終結までの間、商標の類似を争わず(商標の類似することは認め。)商品の類否のみを争っていること明らかな被請求人に対して商標の類否に関する主張、立証の答弁の機会を与えられるべきでない。」旨主張しているので、まず、この点について判断する。
被請求人が、本件審判の請求後から審理終結までの間、商標の類似を争わず商品の類否のみを争っているとしても、このことをもって、商標の類否に関する主張、立証の答弁の機会を与えられないとする合理的理由はないものであるから、請求人の主張は採用できない。
2 本件商標と引用商標の類否について
最高裁昭和39年(行ツ)第110号判決によれば、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。・・・商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、前記3点のうち、その1において類似するものでも、他の2点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない。」と判示されている。
以下、この判例に沿って、商品に関する具体的取引の実情を総合して、本件商標と引用商標の類否について判断する。
(1)指定商品の類否について
商標法第4条第1項第11号において、指定商品が相互に類似するか否かを判断するに当たっては、それぞれの商品の性質、用途、形状、原材料、生産過程、販売過程及び需要者の範囲など取引の実情、さらに、仮に、同号にいう「類似する商標が両商品に使用されたと想定した場合これに接する取引者需要者が商品の出所について誤認混同を来すおそれがないか否かの観点を含めた一切の事情を総合考慮した結果を基準とすべきである。
上記の観点から、本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」の商品の類否について、以下検討する。
請求人の提出した甲各号証からは、以下の事実が認められる。
ア 本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」は、豆乳が原料であり、商品形状がカプセル状であることに照らすならば、指定商品は、健康に効果があるとして、又は効果が期待されるとして製造販売される、いわゆる健康食品の範疇に入るものであると理解して差し支えない(甲3?32)。
イ 引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」は、乳酸菌と酵母等の共棲培養物から抽出された物質を加味した食品である。世情、乳酸菌及び酵母の培養物を濃縮、抽出等することにより得られる物質を添加するなどして製造される健康食品は数多く存在することに照らすと、上記指定商品も、健康に効果があるとして、又に効果が期待されるとして製造販売される、いわゆる健康食品の範疇に入るものを含むと理解するのが自然である(甲27?29)。
ウ 我が国では、大手・中小の食品メーカー・飲料メーカーは同一の企業が、生鮮食料品を加工した食料品や通常の飲料を製造販売するとともに、いわゆる健康食品も製造販売している例が数多く存在すること(甲4?26)、豆乳を主原料とする食品としては、液状の調整豆乳(パック入りのもの)が健康食品としても製造販売されているが、そればかりではなく、顆粒状あるいはタブレット状の健康食品も製造販売されていること等の取引の実情がある(甲30?32)。
以上の事実によれば、本件商標の指定商品「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」及び引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」は、いずれも、豆乳を主原料とし、健康に効果があるとして、又は効果が期待されるものとして製造販売される、いわゆる健康食品の範疇に属する商品を含む点において共通することに照らすと、両者は、商品の性質、用途、原材料、生産過程、販売過程及び需要者の範囲などの取引の実情において共通する商品であり、さらに、仮に商標法4条1項11号にいう「類似する商標」が使用されることを想定した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがないとはいえない程度に共通の特徴を有する商品であると解すべきである。
以上のとおりであるから、本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、それぞれの指定商品が類似する。
(2)商標の類否について
ア 称呼について
本件商標は、「腸能力」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「チョウノウリョク」の称呼を生ずるものである。
これに対して、引用商標は、毛筆書き風の「腸脳力」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「チョウノウリョク」の称呼を生ずるものである。
イ 外観について
本件商標と引用商標とは、いずれも、漢字3文字を横書きしてなるところ、語頭の「腸」の文字と、語尾の「力」の文字を共通にするものであり、中間部において「能」と「脳」の文字において異なるとしても、中間部の文字は、語頭及び語尾に比べ印象の薄いものと言い得るものである。
そうしてみると、本件商標と引用商標とは、商標全体としてみた場合に、その印象を全く異にするものとはいえず、外観上類似性があるというべきである。
ウ 観念について
本件商標と引用商標とは、共に特定の意味をもって親しまれた熟語とはいえないが、表意文字である漢字で表されている。
本件商標は、「腸」「能」「力」の各語を組み合わせてなるところ、その構成中「能力」の文字は、「はたらき」を意味する語(広辞苑第5版)であるから、全体として「腸の能力(はたらき)」程の観念を認識させるものである。
一方、引用商標からは、「腸」「脳」「力」の各語を組み合わせてなるところ、その構成中「力」の文字は、「能力」を意味する語(広辞苑第5版)でもあるから、全体として「腸と脳の力(能力)」程の意味合いを認識させるものである。
そうとすると、観念上においても、両商標は、「腸の能力(はたらき)」の意味合いにおいて、類似性があるというべきである。
(3)健康食品の取引の実情
被請求人が引用する審決取消訴訟事件の平成17年(行ケ)第10764号によれば、「健康食品の取引の事情」として、「健康食品は、一般消費者にとって、自己の健康にかかわる重要なものであるから、その商標が当該商品を示すものとして周知となっているなどといった特段の事情の認められない限り、現物を手にとって慎重に選ぶのが通常であり、単に称呼のみで購入することはまれであると考えられる。」と判示している。
ところで、近年の健康志向を背景に、多種多様の健康食品が、食品会社、医薬品会社等から製造販売され、薬局、ドラッグストアー、コンビニ、健康食品店等による店頭販売のみならず、テレビ、インターネット、雑誌、新聞等の種々の媒体を介して通信販売等が行われているのが実情である。
そうとすると、健康食品は、一般消費者にとって、自己の健康にかかわる重要なものであるから現物を一つ一つ手にとって慎重に選ぶということを否定し得ないとしても、上記したとおり、健康食品が、店頭販売のみならず、種々の媒体を介して通信販売等が行われている実情からすれば、健康を志向する需要者が、多種多様の健康食品の中から商品を購入する際には、健康に不安を感じていることについて効果がある成分が包含されている健康食品を、容易に、かつ、手軽に購入しがちな傾向にあるものと言い得るものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、ともにいわゆる健康食品の範疇に属する商品を含む点において共通することに照らすと、両者は商品の性質、用途、原材料、生産過程、販売過程及び需要者の範囲などの取引の実情において共通する商品であり、さらに、仮に商標法第4条第1項第11号にいう「類似する商標」が使用されることを想定した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがないとはいえない程度に共通の特徴を有する商品であると解すべきであるから、それぞれの商品が類似するものである。
そして、本願商標と引用商標とは、上記のとおり、その称呼、外観、観念において類似するものであり、かつ、健康食品の取引の実情を考慮すれば、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等が異なるものとはいえない。
そうしてみると、両商標は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、類似の商標というのが相当である。
3 被請求人の主張について
被請求人は、本件商標と事実関係が類似している平成17年(行ケ)第10764号審決取消訴訟事件の判決書を乙第2号証として提出し、本件商標もこの判決同様に、指定商品が健康食品である事情を勘案し、称呼が共通するのみで外観・観念上が相違する以上、両商標を誤認混同を生じるおそれは全くない旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標がその外観、称呼、観念において類似するものであることは前記したとおりであり、また、被請求人の挙げた上記判決は、その対比する商品がいわゆる健康食品の範疇に属する点において共通にするものの、対比する商標の構成態様が簡潔な漢字2字よりなり、極めて親しまれている熟語「元気」とぼう漠とした観念を生ずる「源気」において本件とは異なるものであるから、その存在をもって本件における類否判断が左右されるものではない。
したがって、被請求人の請求は認められない。
4 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標


審理終結日 2006-12-01 
結審通知日 2006-12-06 
審決日 2006-12-19 
出願番号 商願2004-31763(T2004-31763) 
審決分類 T 1 11・ 261- Z (Y29)
T 1 11・ 263- Z (Y29)
T 1 11・ 262- Z (Y29)
T 1 11・ 264- Z (Y29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡辺 理恵子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小川 きみえ
佐藤 達夫
登録日 2004-11-26 
登録番号 商標登録第4820876号(T4820876) 
商標の称呼 チョーノーリョク 
代理人 嶋 宣之 
代理人 吉武 賢次 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 小泉 勝義 

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