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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 Y0619
管理番号 1184354 
審判番号 不服2007-10775 
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-13 
確定日 2008-09-03 
事件の表示 商願2006- 20225拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「かくれんぼ」の文字を標準文字で表してなり、第6類及び第19類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月7日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年11月20日付け、当審における同20年7月28日付け手続補正書により、最終的に、第6類「建築用又は構築用の金属製耐火被覆材,建築用又は構築用の金属製断熱材,その他の建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット,鉄及び鋼」及び第19類「石綿セメント・石綿・セメントを主原料として含まない繊維混入珪酸カルシウム製の建築用耐火被覆材,れんが製建築用耐火被覆材,陶磁製建築用耐火被覆材,合成樹脂製建築用耐火被覆材,ゴム製建築用耐火被覆材,石灰製建築用耐火被覆材,石こう製建築用耐火被覆材,木製建築用耐火被覆材,ガラス製建築用耐火被覆材,ロックウール製建築用耐火被覆材,石綿セメント・石綿・セメントを主原料として含まない繊維混入珪酸カルシウム製建築用断熱材,その他の石綿セメント・石綿・セメントを主原料として含まない繊維混入珪酸カルシウム製の建築用又は構築用の専用材料,リノリューム製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,建築用又は構築用の非金属鉱物,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),木材,建築用ガラス」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、当該商標権は、現に有効に存続している。
(1)登録第2689765号商標(以下「引用商標1」という。)は、「かくれん棒」の文字を横書きしてなり、平成3年10月29日登録出願、第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年7月29日に設定登録され、その後、同16年7月27日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、同18年3月1日に指定商品を第6類、第9類、第19類及び第21類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第3034979号商標(以下「引用商標2」という。)は、「かくれんぼ」の文字を横書きしてなり、平成4年7月20日登録出願、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年3月31日に設定登録され、その後、同17年9月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 当審において通知した審尋(要旨)及び請求人の対応
(1)平成20年2月28日付け審尋
請求人は、平成18年11月20日付けの意見書の「意見の内容」において、引用商標2(登録第3034979号)の指定商品と抵触している本願指定商品を、同日付けの手続補正書により削除した旨述べているが、その補正後の指定商品中、第19類「珪酸カルシウム製の建築用耐火被覆材,珪酸カルシウム製建築用断熱材,その他の珪酸カルシウム製の建築用又は構築用の専用材料」は、その内容において「石綿セメント」を含んでおり、いまだ引用商標2の指定商品中の第19類「セメント及びその製品,樹脂コンクリ?ト及びその製品」と類似の関係にあると認められるので、本願指定商品を補正する意思があれば、回答書に代わる手続補正書により、削除されたい。
これに対して請求人は、平成20年4月14日付けで回答書及び証拠資料第11号ないし第18号を提出し、「請求人の商品は、『繊維混入けい酸カルシウム』に該当するものであり、その主原料において、石綿セメントもしくは石綿およびセメントは含まれていない。」旨述べた。
(2)平成20年6月17日付け審尋
本願の指定商品中、第19類「珪酸カルシウム製の建築用耐火被覆材,珪酸カルシウム製建築用断熱材,その他の珪酸カルシウム製の建築用又は構築用の専用材料」の表示は、その商品の内容及び範囲を明確にするため、該商品表示を適切なものに補正することが必要であるとの判断に至った。よって、本願の指定商品を補正する意思があれば、回答書に代わる手続補正書により、その商品表示中に、「石綿セメント・石綿・セメントを含まない」との補正を行った手続補正書を再度提出されたい。
これに対して請求人は、平成20年7月28日付け手続補正書によって、指定商品を前記1のとおり補正した。

4 当審の判断
(1)本願商標及び引用商標1との類否について
本願商標は、前記1のとおり、「かくれんぼ」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「カクレンボ」の称呼、及び「子供の遊戯である隠れん坊(鬼を定め、他は物かげに隠れ、それを鬼が探し出し、最初に見つけられたものが次の鬼となる。)」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の観念を生ずるものと認められる。
引用商標1は、前記2のとおり、「かくれん棒」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「カクレンボウ」の称呼を生ずるものであり、特定の語義を有するものではないから、一種の造語からなるものと認められる。
ところで、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、前記3点のうちその1において類似するものでも、他の2点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない(最高裁、昭和39年(行ツ)110号、昭和43年2月27日判決参照)。
そこで、これを本件についてみるに、まず、外観についてみると、本願商標は、「かくれんぼ」の文字を書してなるものであるのに対し、引用商標1は、「かくれん棒」の文字よりなるものである。
してみると、本願商標は平仮名5文字よりなるのに対し、引用商標1は、平仮名4文字と漢字1文字を結合したものであることから、本願商標と引用商標1とは、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。
次に、観念についてみると、本願商標を構成する「かくれんぼ」の文字からは、「子供の遊戯である隠れん坊(鬼を定め、他は物かげに隠れ、それを鬼が探し出し、最初に見つけられたものが次の鬼となる。)」の観念を生ずるものであるのに対し、引用商標1は、一般に知られている語とはいえないことから、特定の観念を有しないものと認められる。
してみると、本願商標と引用商標1とは、観念上比較することができない。
さらに、称呼についてみると、本願商標は、「カクレンボ」の称呼を生ずるものである。これに対して、引用商標1は、「カクレンボウ」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標から生ずる「カクレンボ」の称呼と、引用商標1から生ずる「カクレンボウ」の称呼とを比較するに、両者は、語頭から続く「カクレンボ」の音を共通にし、語尾における「ウ」の有無という差異を有するにすぎず、しかも、該差異音「ウ」についても、その前音である「ボ」の音の母音「o」(オ)の音との二重母音となって、「ボ」の母音に吸収されやすく聞き取りにくい音であるから、それが語尾に位置することと相俟って、該差異音が各称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両者をそれぞれを一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、互いに相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
してみると、本願商標と引用商標1とは、称呼において類似する商標と判断すべきである。
これらを総合して、出所の混同についてみると、本願商標から生ずる「カクレンボ」の称呼と引用商標1から生ずる「カクレンボウ」の称呼においては類似性を認め得るものとしても、実際の取引の場において、両商標に接する取引者、需要者は、上記の外観上及び観念上の明白な相違を念頭において両者を別異のものとして識別し得るものというべきである。
そして、これらの称呼、外観、観念に基づく印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察し、さらに、本願商標の指定商品の取引において、本願商標に対する取引者、需要者の注意力、印象の度合等が、他の商品の取引の場合と特段異なるものとは認められないことを併せ考えれば、本願商標及び引用商標1がそれぞれの指定商品に使用されたとしても、取引者、需要者が、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標1とは、その外観、称呼及び観念を観察し、総合的に考察すると、本願商標と引用商標1は、商品の出所について誤認混同をきたすおそれのないものであって、全体として類似する商標とみることはできないというのが相当である。
(2)本願商標及び引用商標2との類否について
本願の指定商品は、前記1のとおり補正された結果、引用商標2にかかる指定商品と同一又は類似の商品について、すべて削除された。
その結果、本願商標と引用商標2とは、商標の類否について論ずるまでもなく、指定商品において互いに抵触しないものとなった。
したがって、引用商標2について、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
(3)結び
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものでなく、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2008-08-18 
出願番号 商願2006-20225(T2006-20225) 
審決分類 T 1 8・ 262- WY (Y0619)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 安達 輝幸
前山 るり子
商標の称呼 カクレンボ 
代理人 岩井 智子 
代理人 中川 博司 
代理人 松本 康伸 
代理人 松本 尚子 

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