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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y30
管理番号 1182786 
異議申立番号 異議2007-900334 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-09-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-07-13 
確定日 2008-07-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5039565号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5039565号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5039565号商標(以下「本件商標」という。)は、「きなこもち」の平仮名文字を縦書きしてなり、平成18年3月14日に登録出願、第30類「きな粉を使用したアイスクリーム」を指定商品として、同19年4月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲23号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標を構成する「きなこもち」の文字は、「きなこをまぶした餅,安倍川餅」を意味するものと認められるところ(甲第1号証,甲第2号証)、菓子を取り扱う分野においては、かかる「きなこもち」を入れたとされる商品やその風味を付したとされる商品が少なくない(甲第3号証ないし甲第9号証)。
本件指定商品であるアイスクリームについても、「きなこ」を使用するとともに「餅」を使用し、又は餅風の食感とすることにより「きなこもち」のような風味としたとされる商品の販売例が数多くみられ、これらの商品にあっては、「きなこもち味」,「きなこもち風」と称するものや、その包装等に「きなこもち」,「きなこ餅」等の文字を表示したものも少なくない(甲第10号証ないし甲第22号証)。
そうとすると、「きなこもち」の文字は、本件指定商品との関係上、当該商品が「きなこもち」のような風味であるということの表示と理解されるにすぎず、本件商標をその指定商品に使用するときは、需要者,取引者をして当該商品の品質を表示したものと認識されるにとどまる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、同法第15条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 取消理由通知
当審は、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成20年3月27日付けで通知した商標登録の取消しの理由の要旨は、次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第1号証の「広辞苑」には、「きなこもち(黄粉餅)」は、「きなこをまぶした餅。安倍川餅。」等と記載されている。
(イ)甲第3号証の「日経トレンディ(2007年8月号)」及び甲第4号証の「女性セブン(平成19年7月19日発行)」には、’05年9月発売の米菓「ふんわり名人/きなこ餅」(越後製菓製)の紹介記事が掲載されており、また、甲第5号証の岩塚製菓株式会社のホームページには、甲第6号証により遅くとも2006年6月4日には販売されていたと認められる米菓「にほんの味/きなこ餅」(おせんべい)が掲載されている。
さらに、甲第7号証の「週刊東洋経済(2006年2月4日発行)」には、「中心部に餅のようなグミが入ったきなこ味のチョコレート」として、2003年11月発売の「チロルチョコ きなこもち」(チロルチョコ株式会社製)を紹介した記事が掲載され、甲第8号証のノーベル製菓株式会社のホームページには、甲第9号証により遅くとも2005年9月29日には販売されていたと認められる「きなこもちキャンディー」が掲載されている。
(ウ)甲第10号証は、商標権者のホームページであって、2006年9月8日付のプレス・リリースであり、該ホームページには、きなこ風味アイスの中に、やわらかい餅が入り、周りにきなこチョコをコーティングしたとされる商品「きなこもち」が掲載されている。
(エ)甲第11号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)は、いずれも株式会社アイスクリーム流通新聞社(東京都新宿区所在)発行に係るアイスクリーム業界紙「アイスクリーム流通新聞」であるところ、それぞれにおいて、下記のような記事が記載され又は商品が掲載されている。
(a)甲第11号証の「2002年11月15日第63号第11頁」には、「2002秋/九州市場/主要メーカー最近の販売情勢」の見出しのもとに、商標権者製の商品中に「きなこもち」、弘乳舎製の商品中に「きなこもちバー」とそれぞれ記載されている。
(b)甲第12号証の「2004年4月10日第116号」は、「2004年春夏新製品総特集」をその内容とするものであり、第18頁の「名糖産業」欄において、「…きな粉の風味が特徴のバーマルチ『きなこもち』を新発売。…」と記載されている。
(c)甲第13号証の「2004年9月25日第133号第7頁」には、「《セイカ食品》/秋冬向け新商品5品を新発売」の見出しのもとに、商品「きなこもちとつぶあん最中」について「きなこ餅アイスに柔らか餅、バニラアイスに小豆あんという、ひとつの最中に2つの味を詰め込んだモナカアイス。」と記載されている。
(d)甲第14号証の「2005年2月5日第147号第15頁」には、松尾製菓製の商品中に「きなこもち(60円)」、「きなこもちマルチ(380円)」と記載されている。また、甲第15号証の「2005年3月15日第151号第6頁」には、「《松尾製菓》/“おいしさ たのしさ”テーマに」の見出しのもとに、前記「きなこもち」及び「きなこもちマルチ」について、「柔らかい餅を入れたバニラアイスを、きなこチョココーティングしたバーアイス。…」と記載されている。
(e)甲第16号証の「2005年4月10日第154号第11頁」の商標権者の広告欄に、「和菓子アイスシリーズ」として商品「きなこもち」が掲載されており、また、甲第16号証-2の「同第20頁」には、松尾製菓製の商品の紹介にかかる甲第15号証とほぼ同じ内容といえる、「きなこもち」及び「きなこもちマルチ」について、「柔らかい餅を入れたバニラアイスを、きなこチョココーティング。60円」「柔らかい餅を入れたバニラアイスを、きなこチョココーティングしたバーアイスマルチパック。380円」と記載されている。
(f)甲第17号証の「2005年10月20日第174号第15頁」には、商標権者の広告欄に、甲第16号証と同じ「和菓子アイスシリーズ/きなこもち」の広告が掲載されている。
(g)甲第18号証の「2006年3月5日第188号第5頁」には、「《ロッテスノー》/商品の本質魅力を徹底的に追求」の見出しのもとに、ロッテスノー株式会社製「トルコ風アイス/きなこもち味」が紹介されており、そこには「ブルーベリーヨーグルト味、バニラ(れん乳仕立て)」と記載されている。
(h)甲第19号証の「2006年4月10日第192号第9頁」には、甲第18号証と同じ内容のロッテスノー株式会社製「トルコ風アイス/きなこもち味」が紹介され、また、甲第19号証-2の「同第11頁」には、甲第16号証及び甲第17号証と同じ商標権者による「和菓子アイスシリーズ/きなこもち」の広告が掲載されている。
(i)甲第20号証の「2006年4月15日第193号第3頁」には、「ロイヤル食品/『お客様を大切に』」の見出しのもとに、「昔から人気の和素材「きなこ」を使用したカジュアルなアイスバーで、もちソース入りきなこアイスをきなこ味のチョコでコーティングしたもの。」とされる商品「きなこもち(きなこ餅)」が掲載されている。
(j)甲第21号証の「2006年10月15日第211号第3頁」には、「《ロイヤル食品》/和菓子、洋菓子の本物をアイスに!/きなこもち、玉露、レアチーズケーキ等」の見出しのもとに、「きなこアイスと餅ソースをきなこチョコレートで包んだひとくちアイス。」として「ひとくちきなこもち」が紹介されているとともに、「国産大豆100%のきなこをベースに作り上げたきなこアイスを和風の丸型もなかでサンド。…」として「きなこもちもなか」が紹介されており、また、甲第21号証-2の「同第6頁」には、前記商標権者製「和菓子アイスシリーズ/きなこもち」の広告が掲載されている。
(オ)甲第22号証の2005年9月15日付「森永乳業株式会社 ニュースリリース」には、「きなこもちソースを入れたバニラアイスを、きなこチョコレートでコーティングしたモナカではさんだ」とする商品(和風アイス)を「きなこもち風もなか」と称して、申立人により新販売されると記載されている。
(2)以上のとおり各甲号証によれば、菓子を取り扱う分野において、「きなこもち」のような風味をつけたとされる商品は少なくなく、本件商標の指定商品であるアイスクリームの分野においても、きなこを使用するとともに、餅を使用するか、又は餅風の食感とすることにより「きなこもち」のような風味をつけたとされる商品が、本件商標の登録査定前において、商標権者及び申立人ばかりでなく、弘乳舎、名糖産業、セイカ食品、松尾製菓、ロッテスノー、ロイヤル食品の各会社により販売されていた事実を認めることができる。
(3)申立人主張の理由及び前記の認定事実を総合すると、「きなこもち」の語は、我が国において少なくも本件商標の登録査定時には、本件商標の指定商品の分野において、きなこを使用するとともに、餅を使用するか、又は餅風の食感とすることにより「きなこもち」のような風味をつけたとされるものとして、普通に使用されていたといえるものである。
(4)しかして、本件商標は、前記のとおり「きなこもち」の文字からなるものであるから、本件商標に接する取引者、需要者は、これより「きなこを使用するとともに、餅を使用するか、又は餅風の食感とすることによりきなこもちのような風味とした商品」であることを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。
(5)してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、商品の品質を表したにすぎないものというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものである。

4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。
5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録したといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2008-06-12 
出願番号 商願2006-22798(T2006-22798) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (Y30)
最終処分 取消  
前審関与審査官 福島 昇 
特許庁審判長 伊藤 三男
特許庁審判官 藤平 良二
酒井 福造
登録日 2007-04-06 
登録番号 商標登録第5039565号(T5039565) 
権利者 丸永製菓株式会社
商標の称呼 キナコモチ 
代理人 梶原 克彦 
代理人 河野 茂夫 

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