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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない Y16
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y16
管理番号 1182644 
審判番号 不服2006-19634 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-09 
確定日 2008-08-01 
事件の表示 商願2005-101124拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「おとなの休日」の文字を横書きしてなり、第16類「印刷物」を指定商品とし、平成17年2月10日に出願された商願2005-15934に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年10月14日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、同18年6月5日提出の手続補正書により、「新聞,雑誌」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4578489号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成13年6月1日に登録出願、第16類「印刷物」、第39類「鉄道による輸送,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ」及び第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」を指定商品・指定役務として、同14年6月21日に設定登録されたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、前記1のとおり、「おとなの休日」の文字からなるものであり、この構成文字から自然に「オトナノキュウジツ」の称呼が生じ、また、「大人の休日」の観念が生じるものである。
一方、引用商標は、別掲のとおり、両側に翼が付いた旅行鞄の図形の下に、四角形で囲まれた「大」「人」「の」「休」「日」の各文字を配してなるものである。しかして、当該旅行鞄の図形と四角形で囲まれた文字部分とは、構成態様上、常に不可分一体の標章として捉えるべき格別の理由はみいだせず、また、両部分は独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。
そして、下段の文字部分は、その構成中の「大人の休日」の文字が手書き風の書体で表されているけれども、上記文字として容易に判読できるうえ、纏まりよい概念を同じ書体をもって表現した一連の文字列として把握され得るものである。
しかして、上段の図形部分からは特定の称呼や観念が生じないこととも相俟って、引用商標に接する者は、下段に表された「大人の休日」の文字に着目し、これより生ずる称呼や観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当である。
したがって、引用商標は、当該文字部分に相応して自然に「オトナノキュウジツ」の称呼を生ずるものであり、また、当該「大人の休日」の文字に相応して「大人の休日」の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「オトナノキュウジツ」の称呼を共通にし、「大人の休日」の観念を共通にするものである。
なお、外観をみると、図形と文字とからなる引用商標と文字のみからなる本願商標とは、全体として外観構成が相違するものである。
しかして、前記の外観上の違いを有するとしても、本願商標と引用商標とは、「オトナノキュウジツ」の称呼及び「大人の休日」の観念を共通にする商標であって、時と処を異にする取引の実際にあっては、これらを同一又は類似の商品に使用すれば、平均的な需要者の注意力を基準としてみた場合、その共通性から受ける印象・記憶・連想等により、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ないから、本願商標は、引用商標に類似の商標と判断されるものである。
また、本願商標の指定商品「新聞,雑誌」は、引用商標の指定商品「印刷物」に包含されていることが明らかである。
したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、引用商標について、一体不可分なものとして把握しなければならない標章であるというべきであり、図形、文字がそれぞれ独立して自他商品の識別機能を有する場合ではないから、本願商標との類似性は否定されるべきである旨主張する。
確かに、商標は構成部分全体によって識別すべく考案されたものであり、みだりにその構成部分の一部を抽出して類否を判定すべきではない。しかしながら、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念されることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁・昭和38年12月5日第1小法廷判決・判例時報366号26頁以下参照)。
そして、引用商標は、翼が付いた旅行鞄の図形と四角形で囲まれた「大人の休日」の文字部分とが視覚上明らかに分離し、かつ、両部分を分離して把握することが観念上から不自然であるともいえないから、これらを分離して観察することが取引上不自然と認められるほどに、両部分が不可分一体に結合された商標とは言い難いものというべきである。
また、請求人は、本件において、図形部分と文字部分の結合商標である引用商標にあって図形のもつ情報伝達力は正当に評価されるべきであり、原審の判断はこれに反する旨主張し、判決例(東京高裁平成7年3月29日民事13部判決)を引用している。
確かに、結合商標において図形部分の持つ情報伝達力が、文字部分と同様、正当に評価されるべきものであることは、引用の判決例の説示するところと解される。
しかし、引用商標において、「オトナノキュウジツ」の称呼や「大人の休日」の観念が生ずるものであるところ、それらは常に翼が付いた旅行鞄の図形や四角形で囲まれた「大人の休日」の文字部分とともに想起されるものであるとは到底言い難いところである。本件において、称呼及び観念を共通するにも拘わらず、総合的全体的に考察して両商標を類似しないものとしなければならないほどに、図形部分の持つ情報伝達力が、これら共通性を凌駕するものとはいえないというべきである。
なお、本件は、本願商標及び引用商標ともに、称呼及び観念を共通にする事案であり、「称呼が類似することのみを理由に商標を類似するものと判断した」とされた請求人引用の判決例とは、事案を異にするものというべきである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)結語
以上のとおり、引用商標をもって本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原審の判断は妥当であるから、原査定を取消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標




審理終結日 2008-05-26 
結審通知日 2008-05-30 
審決日 2008-06-12 
出願番号 商願2005-101124(T2005-101124) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (Y16)
T 1 8・ 262- Z (Y16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
商標の称呼 オトナノキュージツ 
代理人 河野 敬 

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