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審決分類 審判 査定不服 商3条1項1号 普通名称 登録しない Y2931
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y2931
管理番号 1182582 
審判番号 不服2007-1132 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-12 
確定日 2008-07-22 
事件の表示 商願2006- 8668拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「金時草」の文字を書してなり、第29類及び第31類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成18年2月3日に団体商標として登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、原審において、同年10月25日付け提出の手続補正書により、第29類「スイゼンジナを原材料とした加工野菜,スイゼンジナを原材料とした冷凍野菜,スイゼンジナを原材料としたスープのもと,スイゼンジナを原材料としたふりかけ」及び第31類「スイゼンジナ,スイゼンジナの種子,スイゼンジナの苗」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、野菜の一種である『金時草』の文字を書してなるものであるから、これをその指定商品中『スイゼンジナ,スイゼンジナの種子,スイゼンジナの苗』に使用するときは、商品の普通名称を表してなるにすぎないものと認められ、また、本願商標を、その指定商品中『スイゼンジナを原材料としたスープのもと,スイゼンジナを原材料としたふりかけ』に使用するときは、商品の品質を表してなるにすぎないものと認められる。加えて、『金時草』は、和名を『水前寺菜(スイゼンジナ)』と称して、野菜(金時草)として栽培されていることから、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第1号及び同法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第1号及び同法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成20年3月17日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の対応
前記「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もない。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「金時草」の文字を標準文字で書してなるところ、前記3で述べた事実からすれば、「金時草」の文字は、野菜の一種である「水前寺菜(スイゼンジナ)」の別称を表した文字であって、かつ、野菜の名称を表す文字として、広く使用されているといい得るものである。 そして、野菜の名称を表したものと認められる「金時草」が、各種商品の原材料等に用いられている実情を窺い知ることができるものである。
してみれば、本願商標を、その指定商品中「スイゼンジナ」に使用するときは、単に商品の普通名称を表してなるにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第1号に該当するというべきである。
また、本願商標を、その指定商品中「スイゼンジナを原材料とした加工野菜,スイゼンジナを原材料とした冷凍野菜,スイゼンジナを原材料としたスープのもと,スイゼンジナを原材料としたふりかけ,スイゼンジナの種子,スイゼンジナの苗」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「金時草を原材料とした加工野菜,金時草を原材料とした冷凍野菜,金時草を原材料としたスープのもと,金時草を原材料としたふりかけ,金時草の種子,金時草の苗」であると容易に理解し、単に商品の原材料、品質を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであって、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第1号及び同法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 証拠調べ通知の内容
第1 「金時草」の文字に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1「水前寺菜(スイゼンジナ)」が、野菜の名称として、書籍に掲載されている事実。
(1)「広辞苑 第五版」において、「すいぜんじな【水前寺菜】」の項によれば、「(熊本市水前寺に栽培したからいう)キク科の多年草。モルッカ諸島原産。熱帯で広く栽培、日本でも野生化。高さ約50センチメートル。葉は長楕円形、柔らかく厚い。裏面は紫色。夏、黄色の頭花をつける。観賞用。葉は食用。ハルタマ。木耳菜。」との記載。
(2)「世界大百科事典 14」(1993年印刷 発行所 平凡社)において、「スイゼンジナ 水前寺菜」の項によれば、「若芽および葉を食用とするキク科の多年草。熱帯アジアの原産で、奄美大島、九州南部には野生化している。(略)周年採取できるが、早春の野菜である。若芽を摘んで汁の実、浸し物、あえ物にして利用する。また観賞用にも栽植される。」との記載。 (3)「原色日本野菜図鑑」(昭和57年4月1日全改訂新版発行 株式会社保育社)において、「スイゼンジナ」の項によれば、「日本では奄美大島、九州南部に野生化している。経路は不明であるが、熊本市の水前寺で古くから栽培され有名である。(略)葉を煮ると粘性を生じ、三杯酢、浸し物、汁の実、和え物などにする。」との記載。
2「金時草」の文字が、野菜の名称を表す「水前寺菜(スイゼンジナ)」の別称として、書籍に掲載されている事実
(1)「花図鑑 野菜」(平成8年10月7日第1刷発行 発行所 株式会社草土出版)において、「スイゼンジナ 水前寺菜」の項によれば「和名:金時草(きんじそう)」との記載。
(2)「日本の野菜 青葉高著作選1(1はローマ数字)」(2000年6月30日初版第1刷発行 発行所 株式会社八坂書房)において、「スイゼンジナ」の項によれば、「わが国では南九州のほか石川県の金沢市付近でも金時草と呼び、株を保温下で越冬させて栽培している。」との記載。
(3)「都道府県別 地方野菜大全」(2003年5月31日第4刷発行 発行所 社団法人農山漁村文化協会)において、「水前寺菜」の項によれば、「水前寺菜は別名『ハルタマ』『金時草』『ハンダマ』ともいわれ、九州・沖縄・台湾に分布するキク科の多年草である。」との記載。また、「金時草(スイゼンジナ)」の項によれば、「金時草の正式名称は『水前寺菜』である。」との記載。
(4)「家庭菜園レベルアップ教室 葉菜1」(2005年9月20日第1刷発行 発行所 社団法人農山漁村文化協会)において、「スイゼンジナ」の項によれば、「●水前寺菜 ●キク科多年草 ●別名:金時草 ハルタマ ハンダマ」との記載。
(5)「FOOD‘S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編」(2006年9月1日初版第6刷発行 発行所 小学館)において、「スイゼンジナ〔水前寺菜〕」の項によれば、「●スイゼンジソウ、金時草」「熊本、石川などでは金時草の名で小規模に栽培される。」との記載。また、「金時草〔きんじそう〕」の項によれば、「●スイゼンジナ、紅鳳菜」との記載。
3「金時草」の文字が、野菜の名称を表す文字として、新聞、インターネットに掲載されている事実
(1)「うまいぞ!地の野菜(43)熊本県現地ルポおもしろ野菜発見『水前寺菜』」の見出しのもと、「熊本古来の野菜として知られているのが、水前寺地方の清らかな湧水を利用して栽培されていた水前寺菜、水前寺のり、水前寺もやし。(略)水前寺菜は熱帯アジア原産のキク科の多年草。東南アジア、南中国、台湾などで栽培され、日本では九州の水前寺菜をはじめ、金沢の金時草、沖縄のハンダマが同じ品種で栽培されている。」との記事(2002.08.05 日本外食レストラン新聞)
(2)「『金時草』特産に 簡単で高齢者向き/岐阜・美濃加茂市の野田さん」の見出しのもと、「岐阜県美濃加茂市の農家、野田十九男さんは、地域の特産にしようと、熱帯アジア原産の多年草『金時草』の普及に力を入れている。今年4月に野田さんは1万株を植えた。今月初めには生産組合を設立して栽培農家を募集、栽培に意欲を示す地元企業も現れた。地元市場に定期的に出荷しており、1パック(200グラム)70円前後で取引されるという。野田さんは『価格が良い上、繁殖力が旺盛なので高齢者でも簡単に栽培できる』とPRしている。(略)売り先は主に地元直売所と可茂公設地方卸売市場(可児市)。可茂市場には連日7ケース(1ケース25パック入り)出荷しているが堅調。野田さんは『金時草は安定した需要があり、品質を高めればもっと好値が期待できるはず。市やJAにも協力を求めて、産地化を図っていきたい』と意気込んでいる。」との記事(2004.09.10 日本農業新聞42頁ブロック東海)。
(3)「[@むら/まち 情報のプロに聞く](8)食べてもらうのを第一に 産地が自己主張を」の見出しのもと、「◇ホシノ・アグリ・コミニュケーション研究所 星野康人さん
--消費者にアピールする効果的な方法はありますか。
どんな情報を求めているかを知ることが先決だ。そのためには消費者5?7人に集まってもらい、じっくりと話を聞く。その手法を重ねると本音がよく分かる。
--そうした要望を生産、販売にどう反映させますか。
例えば米の『コシヒカリBL』は連続戻し交配で複数のいもち病レースに抵抗性を持たせた品種だが、遺伝子組み換え品種と勘違いする恐れが指摘された。そこでその違いを説明し、『減農薬になって生産コストが下がり、環境にも優しい』と訴えた。また、大型で『家庭のごみが増える』と敬遠された『金時草』も小型サイズに改良してうまくいった。」との記事(2008.01.12 日本農業新聞40頁ワイド北関東)。
(4)「農林水産省」のホームページにおいて、「消費者の部屋 消費者相談Q&A」の項に、「Qキンジソウとは、どういった野菜ですか。」の質問のもと、「Aキク科のスイゼンジナ(水前寺菜)は、熊本、石川県などではキンジソウ(金時草)の名で、小規模に栽培されています。」との記載(http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/qa/alt/altqa050802.html)。
(5)「沖縄県農林水産部流通政策課」のホームページにおいて、「おきなわ伝統的農産物データベース」の項に、品目「ハンダマ」について、「和名 すいぜんじな」「別名 金時草」「農産物区分 野菜(葉茎菜類)」との記載
(http://traddb.pref.okinawa.jp/dentou/showNousanbutsuGuest.do?action=action_Show&nousanbutsuid=25handama)。
(6)「独立行政法人農畜産業振興機構」のホームページにおいて、「野菜図鑑」の項に、「すいぜんじな」について、「熊本市水前寺周辺で栽培されてきた。若い茎葉を汁の実、おひたし、あえものにする。金沢では金時草(きんじそう)ともいい、中国名は紅鳳菜(アンホルツァイ)。」との記載(http://alic.vegenet.jp/panfu/dentou/dentou.htm)。
(7)「飛騨美濃ブランド農産物百選2005」(岐阜県農政部農政課担当)のウエブサイトにおいて、「百選候補品目参考リスト」中、「分類 野菜」「ブランド名 金時草」との記載
(http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11411/hyakusen/100.pdf)。
(8)「中京テレビ」のホームページにおいて、「食卓の秘密」の項に、「色鮮やかな野菜 金時草とは?」の見出しのもと、「最近、食べやすくて美味しい野菜が次々と登場し、注目を集めています。そしてこちらの“金時草(きんじそう)”も、そのひとつ。(略)そんな金時草は、愛知県十四山村で水耕栽培されています。昨年の春に出荷を始めてから、徐々に売上もアップしているという金時草。」との記載(http://plus1.ctv.co.jp/bangumi/02tue/2005/04/01/01.html)。
(9)「デリカフーズ株式会社」のホームページにおいて、「おすすめ食材の紹介 当日紹介させて頂いた野菜たち」の見出しのもと、「金時草(豊橋産)」との記載(http://www.delica.co.jp/seminar/n_17.htm)。
(10)「フーズバラエティすぎはら」のホームページにおいて、「当店の『野菜』は国内産に限りご提供しております。」との見出しのもと、「静岡産 金時草 1袋 198円」との記載(http://www.f-sugihara.com/ha1.htm)。
(11)「日光種苗の楽天ショップ」のウエブサイトにおいて、「加賀野菜苗」の項に、「金時草」との記載(http://www.rakuten.co.jp/nikkoseed/525907/527234/)。
(12)「株式会社大田種苗」のホームページにおいて、「葉菜・キャベツ・ハクサイ・レタス等・その他」の項に、「金時草」との記載(http://www.otaseed.co.jp/)。
4野菜の一種である「金時草」が、各種商品の原材料に用いられている事実。
(1)「三幸食品株式会社」のホームページにおいて、「金時草茶」「金時草麺」との記載(http://www.dashi.co.jp/ocya.html)。
(2)「金時草畑」のウエブサイトにおいて、「金時草ドレッシング」「金時草まんじゅう」との記載(http://www.kinjisoubatake.jp/)。
(3)「金沢屋」のウエブサイトにおいて、「金時草手延べうどん」との記載
(http://www.kanazawa-ya.com/cgi-bin/WebObjects/Kanazawaya.woa/wa/product?id=6135)。
(4)「株式会社ルバンジュ」のホームページにおいて、「金時草エキス配合の
入浴剤」との記載(http://www.revanche.jp/goods/ishikawa/kinjisou/)。

第2 以上の事実よりすれば、本願商標は「金時草」と標準文字で書してなるところ、該文字は、野菜の一種である「水前寺菜(スイゼンジナ)」の別称を表した文字であって、かつ、「金時草」の文字は、野菜の名称を表す文字として、広く使用されているといい得るものである。
そして、野菜の名称を表したものと認められる「金時草」が、各種商品の原材料等に用いられている実情を窺い知ることができるものである。
してみれば、本願商標を、その指定商品中「スイゼンジナ」に使用するときは、単に商品の普通名称を表してなるにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであるから、商標法第3条第1項第1号に該当するというべきである。
また、本願商標を、その指定商品中「スイゼンジナを原材料とした加工野菜,スイゼンジナを原材料とした冷凍野菜,スイゼンジナを原材料としたスープのもと,スイゼンジナを原材料としたふりかけ,スイゼンジナの種子,スイゼンジナの苗」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「金時草を原材料とした加工野菜,金時草を原材料とした冷凍野菜,金時草を原材料としたスープのもと,金時草を原材料としたふりかけ,金時草の種子,金時草の苗」であると容易に理解し、単に商品の原材料、品質を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであって、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するといわざるを得ない。


審理終結日 2008-05-16 
結審通知日 2008-05-23 
審決日 2008-06-05 
出願番号 商願2006-8668(T2006-8668) 
審決分類 T 1 8・ 11- Z (Y2931)
T 1 8・ 13- Z (Y2931)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
岩崎 安子
商標の称呼 キンジソー、キントキソー、キントキグサ 
代理人 渡邉 知子 
代理人 日高 一樹 
代理人 日高 一樹 
代理人 渡邉 知子 

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