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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y25
管理番号 1182529 
審判番号 不服2007-28235 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-18 
確定日 2008-07-14 
事件の表示 商願2006-89754拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成18年9月13日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、四角形の右下部を斜めにカットされてなる五角形を実線で描き、その内側に当該実線に沿うように破線で、実線で描かれた図形より上部から五分の一程度短い五角形を描き、その破線の左右の辺の上部に逆三角形を描いた構成よりなる図形からなるところ、これは、指定商品との関係において被服のポケットの形状を表したものと容易に認識・理解されるものであるから、これをその指定商品中のポケットを有する商品(例えば、洋服、コート、ワイシャツ類等)に使用するときは、これに接する需要者・取引者は、当該商品のポケットの形状を表したものと理解・認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないものと判断し、本願商標は、商品の形状、品質を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、縦長四角形の右下部を小さく斜めに切り欠いた五角形を実線で表し、その内側に上辺に間隔を空け他の4辺は実線に沿うように破線を描いたもの及び実線五角形の上部左右内側に破線の逆三角形を小さく描いてなる図形よりなるところ、これは指定商品との関係においては、一見してシャツのポケットの外形とそれを縫い付けるために必要な縫い目を表したものと容易に認識・理解されるものとみるのが自然である。そして、本願商標がポケットの形状であることは、請求人(出願人)も自認するところである。
ところで、指定商品を取り扱う業界において、シャツ等のパッチポケットの形状は、四角形のもの(スクエア)、底部の左右両端を斜めに切り落とした形状のもの(カットオフ)、底部の中央を頂点に深くした左右対称の五角形のもの(ペンタゴン又はホームベース)及び底部の左右両端を丸くしたもの(ラウンド)等が一般に使用されている事実が、例えば、以下のインターネット情報によりうかがうことができる。
(http://www.rakuten.co.jp/hanabishi/455424/404673/411698/)
(http://www.the-shirts.jp/main.php?ID=108)
(http://www.sf-y.com/hpgen/HPB/entries/2.html)
(http://homepage2.nifty.com/customishii/page4.html)
(http://www.tm-dandy.com/order/shirt/detail_index.html)
(http://wwwe.cc/mizutani/Parts.html)
また、左右非対称のデザインは「アシンメトリー」と称して、指定商品を取り扱う業界においては近年の流行とされ、しばしば採択されている実情があると認め得るところである。
そうとすると、本願商標は、その指定商品中「ワイシャツ類」に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、通常用いられるポケットのデザイン2種類(四角形のもの「スクエア」と底部の左右両端を斜めに切り落とした形状のもの「カットオフ」)を組み合わせたポケットを表したもの、すなわち、その一構成部分である「ポケット」の形状を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認識し得ないものと判断するのが相当である。
なお、出願人は、ポケットの形状を表した図形が商標として多数登録されている例を挙げ、その大多数が左右対称の図形であり、本願商標は左右非対称の図形であるから、独特のポケット形状であり、本願商標独自のデザイン形状として自他商品の識別標識たり得る旨述べている。
しかし、出願人の挙げる登録例は、そのほとんどがジーンズのヒップポケットを表したものと認められるものであり、平成11年12月15日付け東京高裁判決「平成11(行ケ)166号」によれば「…五角形の外形が、ジーンズのヒップポケットにおけるありふれた形状であり、その内部に表された形状が要部と認められる…」旨の記載があるように、内部に表された形状により、自他商品識別機能が認められ、登録されたものと理解するのが相当である。
そこで、本願商標についてみるに、本願商標は上述のように、ポケットの外形とそれを縫い付けるために必要な縫い目を表したものと認められるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえない。
また、例え、左右非対称のポケット形状が特異なものだとしても、それは、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施された形状の変更と認められるものであって、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当であるところ、本願商標は、上記のとおり「ワイシャツ類」のポケットとしての機能又は美感をより発揮させるために施されたものと認められるものであり、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲




審理終結日 2008-04-23 
結審通知日 2008-05-09 
審決日 2008-05-22 
出願番号 商願2006-89754(T2006-89754) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 信彦林 圭輔 
特許庁審判長 伊藤 三男
特許庁審判官 佐藤 松江
酒井 福造

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