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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101
管理番号 1182517 
審判番号 取消2006-31414 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-11-15 
確定日 2008-07-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2286289号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第2286289号商標(以下「本件商標」という。)は、「ECOSYL」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年4月6日に登録出願、第1類「農業用薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年11月30日に設定登録され、同12年12月5日に商標権の存続期間の更新登録がされた後、商標法第50条に基づく商標権の一部取消審判により、指定商品中「溶剤、その他の化学剤」については、登録は取り消す旨の審決が同13年12月5日に確定登録し、「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」については、登録は取り消す旨の審決が同15年7月30日に確定登録し、その後、同15年9月17日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「農業用薬剤(植物成長調整剤類を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。

2.請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め。その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査では、被請求人は、取消を求めた商品については、過去3年以上にわたって、我が国において本件商標を使用していないことが判明した。また、本件商標には専用使用権の設定はなく、通常使用権者により使用されている事実もみられない。
よって、本件商標は商標法50条の規定により取り消されるべきである。
(2)弁駁の理由
本件商標の使用されている商品は、飼料に供する化学剤の一種であり、「植物成長調整剤類」、「農業用薬剤」ではない。「植物成長調整剤類」、「農業用薬剤」であれば、農薬取締法2条により、農林水産大臣の登録を受ける必要があるが(甲第2号証、甲第3号証)、本件商標の使用に係る商品はこのような登録を受けていない。これを、本件商標が、「植物成長調整剤類」、「農業用薬剤」について使用されていると主張するのであれば、商標権者自らが、農薬取締法違反を自白していることになる。
法律に違反する使用行為が、商標法50条における適法な使用にならないことは、裁判所も認めるところであるから(甲第4号証)、仮に、本件商標の使用されている商品が農薬に該当する可能性があったとしても、本件商標は、商標法50条における使用に該当しないことは明らかである。
請求人の2007年6月26日の明治飼糧株式会社への電話インタビューでも(〒130‐0021 東京都墨田区緑1‐26‐11製品問い合わせダイアル フリーダイヤル0120 49 9l41)、本件商標の使用にかかる商品について、「薬剤ではない。乳酸菌であり、飼料の乳酸発酵を促進するために使用するものである。」と回答している。
以上より、本件商標の使用に係る商品は、飼料に供する化学剤であり、植物の成長を助けるための「植物成長調整剤類」でもないし、害虫を駆除するための「農業用薬剤」でもない。
商標権者は、米国において、本件商標と同一の商標を国際分類1類の「Biological silage additive for use in horticulture and agriculture」とし、「貯蔵性牧草の添加剤」として登録している(甲5号証)。
また、明治飼糧株式会社作成の商品カタログ写しにある(乙第15号証)、商標「ECOCORN」は、本件商標の使用に係る商品「サイレージ調製剤」で共通するが、「植物成長調整剤類」、「農業用薬剤」については、登録されておらず、1類の「化学品」、31類の「飼料」についてのみ登録されている(甲第6号証)。
以上より、本件商標が、指定商品の何れにも、使用されていないことはあきらかであるから、本件商標は、速やかに取り消されるべきである。

3.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出している。
〔答弁の理由〕
(1)本件商標は、以下に述べるように、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において商標権者、通常使用権者がその請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていたものである。
(2)被請求人(商標権者)であるエコサイル プロダクツ リミテッドと、三菱商事株式会社及び明治飼糧株式会社は、2004年4月1日に、被請求人の製造する牧草調製剤に関する日本における独占的な輸入販売契約を締結した。この契約は、締結日より2年間有効であり、その後自動更新され、現在も有効に存続している(乙第1号証ないし乙第3号証)。
なお、被請求人の住所について、商標登録原簿等(乙11)では「ノースヨークシャー」と表記され、契約書(乙1)では「ミドルスブラ」と表記されているが、これはノースヨークシャー群ミドルスブラを表しており、同一の住所である。
(3)インボイス(乙第4号証ないし乙第10号証)によれば、本件審判請求の予告登録日である平成18年(2006年)12月5日(乙第11号証)前3年以内である2004年4月30日から2006年3月30日にかけて、被請求人から、三菱商事株式会社に製品名「Ecosyl Liquid Japan」「Ecosyl Dry Japan 20Kg」が輸出されている。
(4)製品名「Ecosyl Liquid Japan」は、被請求人が日本を仕向地として製造するボトル入りの製品であり、そのラベルには「ECOSYL」及びそのカタカナである「エコサイル」の文字が明確に付されている(乙第12号証)。
また、「Ecosyl Dry Japan 20Kg」は、被請求人が日本を仕向地として製造する袋入りの製品であり、そのラベルには「ECOSYL」及びそのカタカナである「エコサイル」の文字が明確に付されている(乙第13号証)。
(5)また、明治飼糧株式会社による商品チラシには「ECOSYL」及びそのカタカナである「エコサイル」の文字が明確に付されている(乙第14号証及び乙第15号証)。
(6)三菱商事株式会社及び明治飼糧株式会社は、被請求人との間で締結された独占的な輸入販売契約に基づいて、日本国内において本件商標が付された商品の輸入又は販売を行っているから、被請求人の許諾のもとに本件商標を日本国内において使用した。
(7)被請求人は、2006年11月に、日本において被請求人の製品に関するプレゼンテーションを行った。本プレゼンテーションは、被請求人の製品の説明及び広告を内容とするものであり、この中で「ECOSYL」及びそのカタカナである「エコサイル」の文字が明確に付して展示されている(乙第16号証)。
(8)「Ecosyl Liquid Japan」 「Ecosyl Dry Japan 20Kg」は、品質を調整するために牧草に散布して使用される薬剤であり(乙第12号証ないし乙第16号証)、「植物成長調整剤類」ないし「農業用薬剤(植物成長調整剤類を除く。)」に該当する。
(9)以上によれば、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において商標権者又は使用権者がその請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていたことは明らかである。
よって、本件商標に取り消されるべき理由はない。

4.当審の判断
本件審判において被請求人より提出された乙第1号証は、被請求人と(「買い手」としての)三菱商事株式会社及び(「販売代理店」としての)明治飼糧株式会社との間で2004年4月1日に交わされた契約書及び訳文(写し)と認められるところ、この契約書は、製品「牧草調整剤(silage additives)及びその散布器」の販売に関する契約書であり、その中で製品名として「エコサイル33tボトル」及び「エコサイル40t袋」と記載され、その仕様が示されている。また、契約期間は、同日(上記)から2年間有効とする旨が記載されていることが認められる。
同じく乙第4号証ないし乙第10号証は、被請求人から三菱商事株式会社宛てのインボイス(写し)及び訳文(抜粋)と認められるものであり、これらの書類は、発送日を2004年4月30日から2006年3月30日とする計7回のものであり、製品名欄には「Ecosyl Liquid」(エコサイルリキッド)及び「Ecosyl Dry」(エコサイルドライ)が、製品コード、数量、単価等と共に記載されていることが認められる。
さらに、乙第14号証及び乙第15号証は、印刷日が明記されていないが、前記した明治飼糧株式会社発行の製品カタログ(抜粋写し)と認められるものであり、製品のボトルと袋詰め(ドライ)の実物写真が掲載されており、いずれの製品にも「ECOSYL」の商標が大きく表示されていて、特に、袋詰め製品の下部に「サイレージ調製用細粒剤」と表示され、その下に発売元として明治飼糧株式会社とその住所が記載されていることが認められる。又、中頁(乙第15号証)には、本製品は「一本を100リットルの水に希釈、33tの作物に散布して処理」(ボトル)、「粒剤をそのまま散布、40tの作物に散布して処理」(袋)と説明されていることが認められる。
しかして、乙第14号証及び同第15号証に掲載されている「サイレージ調製用細粒剤」及び前記契約書中の「牧草調整剤(silage additives)」は、これらカタログに記載されている商品説明、写真等からみて、本件指定商品中の「植物成長調整剤類」に属する商品と認め得るものであり、そして、上記乙各号証に表示されている商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といい得るものである。
また、上記の三菱商事株式会社及び明治飼糧株式会社は、その契約内容からみて被請求人(本件商標権者)から本件商標について通常使用権を許諾された者とみるのが相当であり、かつ、被請求人から三菱商事株式会社宛てのインボイス(乙第4号証ないし乙第10号証は写し)の各発送日の年月日からすれば、本件審判請求の登録(平成18年12月5日)前3年以内に本件商標の指定商品に属する上記商品についての使用と認めることができる。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者及び通常使用権者により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標をその指定商品中の「植物成長調整剤類」に使用されていたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-02-14 
結審通知日 2008-02-19 
審決日 2008-03-04 
出願番号 商願昭63-38758 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (101)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 薫 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 石田 清
小川 きみえ
登録日 1990-11-30 
登録番号 商標登録第2286289号(T2286289) 
商標の称呼 エコシル、エコサイル 
代理人 坂上 正明 
代理人 恩田 博宣 
代理人 曾我 道治 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 岡田 稔 
代理人 中田 和博 
代理人 恩田 誠 
代理人 足立 泉 

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