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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 019
管理番号 1181123 
審判番号 取消2007-300093 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-01-29 
確定日 2008-07-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第3296689号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3296689号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3296689号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成6年3月9日に登録出願、第19類「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」を指定商品として、同9年4月25日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録が同18年11月7日になされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
調査によれば、本件商標は、その指定商品である「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」について、本件審判請求の日前3年間以上継続して、商標権者又はその使用権者の何れによっても使用されていない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、登録を取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁の要旨
被請求人は、本件商標が、通常使用権者である株式会社ウエスコット(以下「ウエスコット」という。)によって、本件商標の指定商品について使用されている旨主張し、その主張を裏付けるべく乙第1号証、乙第1号証の2、乙第2号証及び乙第4号証を提出している。
また、有限会社パンテックコーポレーション(以下「パンテックコーポレーション」という。)によって、本件商標が、その指定商品について使用されている旨主張し、乙第3号証を提出し、さらに、商標権者自身によって、本件商標がその指定商品について使用されている旨主張して、乙第5号証を提出している。
しかしながら、被請求人の上記主張は到底容認されるべきではない。
(1)ウエスコットによる本件商標の使用について
まず、ウエスコットによる本件商標の使用について述べる前に、請求人である塩田淳二は、ウエスコットの法務担当の社員であることを申し上げておく。請求人がウエスコットの社員であることは、ウエスコットの社員でなければ知り得ない事実を知得していること、及びウエスコットのみが所有する資料を提出していることから明らかであると思料するが、必要がある場合には、ウエスコットの社員であることを証明する用意がある。
次に、被請求人は、本件商標の通常使用権者であるウエスコットによって、本件商標が、その指定商品について使用されている旨主張し、乙第4号証として、BonTerra America,Inc.(以下「ボンテラアメリカ」という。)からウエスコットに送付した1996年1月24日付の手紙を提出している。
しかし、この手紙においてボンテラアメリカがウエスコットに対して認めた「BonTerra」商標の使用許可に関して、1999年にボンテラアメリカが買収されて消滅したことから、1996年にボンテラアメリカがウエスコットに対して認めた使用許可(通常使用権)は無効であることを前提として、被請求人(商標権者)は、ウエスコットに対し、「BonTerra商標の使用を停止しなければウエスコットの排斥を行う」旨を通告してきた(甲第3号証)。
そして、被請求人は、答弁書において、「パンテックコーポレーションによって、本件商標が、その指定商品について使用されている」旨を主張する一方、その4日後の平成19年5月28日に、パンテックコーポレーションに対して、商標権侵害の警告書を送付してきたため(甲第4号証)、同年6月11日に同警告書に対して回答した(甲第5号証)。
被請求人による、このような警告書の送付は、パンテックコーポレーション及びウエスコットが、現在、本件商標の通常使用権者ではないことを前提とするものであり、被請求人がウエスコットに対し、ボンテラアメリカがウエスコットに対して認めた使用許可(通常使用権)は無効であることを前提として、BonTerra商標の使用停止を求めて通告してきた事実を裏付けるものである。
そして、被請求人が、上記のとおり、BonTerra商標の使用停止を求めて通告してきた以上、少なくとも本件審判請求の登録前3年以内においては、「ウエスコットは本件商標の通常使用権者ではなかった」ということになる。
なお、ウエスコットが本件商標の通常使用権者として登録された事実もない(甲第1号証)。
したがって、ウエスコットによって作成・頒布または掲載された乙第1号証および乙第2号証は、審判請求の登録前3年以内における、通常使用権者による使用事実を何ら立証するものではない。
以上より、乙第1号証、乙第1号証の2、乙第2号証及び乙第4号証は、本件商標の通常使用権者による使用事実を何ら立証するものでないことは明らかである。
なお、念のため、これらの証拠について説明すると、乙第1号証は、被請求人自らが指摘しているように、「郵便番号が3桁の時代(1998年)」以前の古い商品カタログであり、同カタログの最後の頁に記載されているウエスコットの住所は旧住所であって、現住所と異なるものである。
また、乙第1号証として提出された旧商品カタログは、本件商標の出願審査において、特許庁から指定商品の説明を求められたため、平成7年3月頃にウエスコットが提供して、特許庁に提出したものである。故に、この点からも現在使用されていない、平成7年3月頃の古いカタログであることを、確認いただけるものと思料する。
この旧商品カタログが現在使用されていないものであることに鑑みると、乙第1号証は、平成19年5月に、被請求人が古い商品カタログの在庫を株式会社ヘイレックス・ジャパンから1部だけ取り寄せたにすぎないものであり、乙第1号証の2として提出された「書類送付のご案内」は、同年5月に、同カタログの在庫を送付した際の送り状にすぎないものであって、このカタログが現在も頒布されていることを何ら裏付けるものではない。
なお、平成19年5月における使用事実を立証しても、本件審判請求の登録日(平成19年2月14日)前3年以内に、本件商標が使用されていた事実を何ら立証するものでないことを付言する。
次に、乙第2号証として提出された「ボンテラ浸食防止マット」と題した証拠は、株式会社ウエスコットのインターネット上のサイトからプリントアウトしたものであるが、同証拠には、右側最下段にプリントアウトの日付である2007年5月9日が示されているにすぎず、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されていた事実を何ら立証するものではない。
この点に関して、被請求人は「種子を吹いた法面にCJ2を施工して10ヶ月が経過しています。」等の記載を根拠に、「少なくとも過去半年?1年程度以上前から実際に消費者に対して販売され、現在に至るまでその効果効用についての宣伝広告がされるとともに、商品の販売を伴う商標の使用がされたことは明らかである。」と主張しているが、過去半年から1年程度以上前から同サイトが継続的に掲載されてきた事実を客観的に示す証拠は何ら提示されていない。
特に、「10ヶ月が経過しています。」等の記載については、10ヶ月以上かけて撮影した写真を、ある特定の日に(例えば、2007年5月9日に)、まとめて掲載しただけであって、10ヶ月間の生育の経過を同サイトにて逐次更新して掲載したものではない。
故に、乙第2号証は、審判請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されていた事実を何ら立証するものではない。
(2)パンテックコーポレーションによる本件商標の使用について
前述したように、被請求人は、平成19年5月28日に、パンテックコーポレーションに対して、商標権侵害の警告書を送付してきており、このような警告書の送付は、パンテックコーポレーション及びウエスコットが、本件商標の通常使用権者ではないことを示すものである。故に、乙第3号証は、本件商標の通常使用権者による使用事実を何ら立証するものではない。
なお、乙第3号証は、パンテックコーポレーションのインターネット上のサイトからプリントアウトしたものであるが、同証拠には、右側最下段にプリントアウトの日付である2007年5月9日または2007年5月21日が示されているにすぎず、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されていた事実を何ら立証するものでないことは明らかである。
また、被請求人は、「パンテックコーポレーションにより日本国で購入され、日本国内で一般需要者へ向けて再販売されている商品は、本件商標についての日本国における使用権を有するBonTerra America,Inc.から輸入している真正商品である」旨を述べているが、上述したように、ボンテラアメリカは1999年に買収されて消滅していることから、「パンテックコーポレーションがボンテラアメリカから真正商品を輸入している」というのは、全く事実に反する主張である。
(3)商標権者による本件商標の使用について
上記(1)及び(2)のことから、商標権者自身による本件商標の使用事実を立証する証拠は乙第5号証のみとなる。
そして、乙第5号証は、被請求人のインターネット上のサイトからプリントアウトしたものと思われるが、同証拠には、右側最下段にプリントアウトの日付である2007年5月17日が示されているにすぎず、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されていた事実を何ら立証するものでないことは明らかである。
また、乙第5号証は、ドイツ語または英語で記載されているが、我が国の需要者が「Organic Geotextiles Erosion Control and Revegetation 」という同資料のタイトルを見ても、乙第5号証に手書きされた日本語訳である「有機布 侵食制御及び植生回復」の意味を直ちに認識しうるものではなく、乙第5号証の写真に示される商品は「単なる布地」程度にしか認識されず、「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」とは認識できないものと考える。故に、乙第5号証は、本件指定商品に関する本件商標の使用事実を何ら立証するものでない。
さらに、日本国内においては、従来から現在に至るまで、ウエスコットが総代理店として、本件商標を使用してきたのであって、ドイツの法人である被請求人は、専ら外国で本件商標の使用をしていたに過ぎない。
このことは、平成7年3月頃に、特許庁へ商品カタログを提出するに際して、被請求人が商品カタログ等を所有していなかったために、ウエスコットが商品カタログを提供して特許庁に提出した事実からも明らかである。
さらには、現在においても、客観的に日付等を特定しうる正式な商品カタログ等を被請求人が所有していないために、ウエスコットが作成した商品カタログ等を、乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証として提出していることからも明らかである。
したがって、乙第5号証によって立証される行為は、日本国内における現実の使用実態のない、単に不使用取消を免れるためだけの名目的な使用行為にすぎず、商標法第50条に規定する「使用」とは認められないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
1 本件商標は、上記の指定商品について本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において使用されているものであるため、請求人の主張は理由がない。以下、上記の事実につき、添付の証拠書類に基づいて説明する。
2 通常使用権者による本件商標の使用状況を示す書面
本件商標は、「BonTerra」のアルファベット文字と、その語頭の「B」の文字の下側から「Bon」の文字の下方に斜めに拡がりながら延びるように記載された碁盤目状の図形と、その図形と一体的な印象を与えるように語頭の「B」の文字に施された碁盤目状の模様とから構成されている。
そして、かかる本件商標の商標使用権者(通常使用権者)の「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」に係る商品カタログ(乙第1号証)には、当該登録商標が明示されている。かかる商品カタログ上での登録商標の使用態様においては、「America」の文字が「Terra」の文字の下方に並記されているが、かかる表示は一般的に産地を示す付記的な品質表示とされているものにすぎず、本件商標の識別性に影響を及ぼすものでは無く、本件商標との同一性を害する変更使用ではあり得ない。
さらに、商品カタログ(2頁目)には、「ボンテラ浸食防止用マットは、リサイクル天然資源である麦わらやココナツ繊維を光分解するネットで束ねたものです。」との商品説明が加えられている。
また、「SJ2」、「SJ1」との商品の材質の説明(3頁目)には、「マット:麦わら100%」「ネット:光分解する軽量材質ポリプロピレン」 結束糸:光分解するポリプロピレン」との記載がされており、「CSJ2」との商品の材質の説明には、「マット:麦わら70%、ココナツ繊維30%」「ネット:光分解する軽量材質ポリプロピレン」結束糸:光分解するポリプロピレン」との記載がされており、商標権者が、「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」の商品概念に含まれる商品を日本国内において使用していたことは疑う余地がない。
なお、かかる商品カタログの日本における配布地及び配布者は、商品カタログの最後の頁に記載されているとおり、東京都中野区中野3-36-10中野ヒルサイドビル4階 ウエスコットであり、かかる配布者(「販売代理店」及び「総輸入元」との記載あり。)は、商標権者の許諾の下、1996年(平成8年)頃から土木工事関連業者に対して商標権者の商品(土壌侵食防止用植生マット)の宣伝・広告・輸入販売を継続して行っているものである(乙第2号証)。
この「ボンテラ 浸食防止用マット」のカタログの原本は、東京都武蔵野市吉祥寺北町1-7-13株式会社ヘイレックス・ジャパンから入手したものであり、郵便番号が3桁の時代(1998年)から現在に至るまで当該カタログが使用されていること、及び当該カタログが広く日本国内にて用いられてきていることが証明されている(乙第1号証の2)。
さらに、「沖縄県宜野湾市大山6-45-10」及び「東京都世田谷区赤堤2-43-11 メゾンRT102」に所在するパンテックコーポレーションは、本件商標をその指定商品について数年前より継続的に使用している(商品の宣伝・広告・販売)ものであり、そのインターネット上のサイトにおいても、本件商標をその指定商品について数年前より継続的に使用している(乙第3号証)。
これらのサイトのインターネット上のアドレスは、印刷物の下端部に記載されているとおり、「http;//www.pantech.co.jp/bonterra/bonterratop./htm」などである。
このパンテックコーポレーションにより日本国で購入され、日本国内で一般需要者へ向けて再販売されている商品は、本件商標についての日本国における使用権を有する商標権者の関連企業(BonTerra America,Inc.)から輸入している真正商品であり、かかる事情を証明する資料については、追って提出の用意がある。
なお、本件商品についての施工事例の写真が各カタログには掲載されており、工事の進行及び植生の再生には少なくとも数ヶ月を要することから、本件について提出のカタログ掲載の複数の写真(パンテックコーポレーションのインターネット上のカタログには、施工の様子を示す写真とともに、「施工中」、「7ヶ月後」、「9ヶ月後」、「6ヶ月後」との記載あり。)により、日本国内にて本件商品が、少なくとも過去半年?1年程度以上前から実際に消費者に対して販売され、現在に至るまでその効果効用についての宣伝広告がされるとともに、商品の販売を伴う商標の使用がされたことは明らかである。
かかる事情を証する文言としては、ウエスコットによるインターネット上の広告表示「種子を吹いた法面にCJ2を施工して10ヶ月が経過している。CJ2の下から植物が顔を出し、緑化している。」との記載からも、明らかである。
ウエスコットのサイトのインターネット上のアドレスは、印刷物の下端部に記載されているとおりである。
3 通常使用権(サブライセンス)の付与について
商標権者によるウエスコット(Wescot Corporation)への商標の使用許諾(通常使用権)の存在については、
(1)商標権者の関連企業(BonTerra America,Inc.)からウエスコットの北山譲治(J.Kitayama)氏に送付した1996年1月24日付けの手紙(乙第4号証)、
(2)その後のウエスコットによる商標の使用継続の事実、
(3)ウエスコットにより継続して使用されている商標の形態(構成態様)が本件商標と物理的に同一のものであること(即ち、ウエスコットが登録商標をそのまま使用していること)、及び、
(4)「BonTerra」商標の文字の下方に記された「America」の文字(即ち、これはウエスコットがBonTerra America,Inc.からサブライセンスを受けていることを表示するものである)から明らかである。
仮に、ウエスコットが通常使用権者でもなく、即ち、無権利者でありながら、その商品について本件商標を使用していたとすれば、それは明らかに本件商標の侵害行為であり、直ちに民事上及び刑事上の責任を問われるべき行為である。
4 商標権者による登録商標の使用
本件商標権者及びその許諾を受けた使用権者は、全世界からアクセス可能なインターネット上のサイト(乙第5号証)においても本件商標をその指定商品の宣伝・広告・販売活動のために使用しており、本件商標はその指定商品について世界的に周知・著名なものとなっている。
5 その他
なお、「BonTerra」、「bonterra」又は「ボンテラ」との商標の使用は、本件商標と称呼・観念において異なるものではなく、かつ、その構成上の特徴は顕著であり、本件商標の識別力を発揮する核心部分であることから、これらの商標の使用も本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当するものと思料する(商標法第50条第1項かっこ書き)。
また、登録商標の色彩のみを変更した(商標全体を黒色から緑色に変更)商標の使用は、登録商標の使用と同一視されるため(商標法第70条第1項)、商品カタログ(乙第1号証)における使用、及び、ウエスコット、パンテックコーポレーション及び商標権者のインターネット上のサイト(乙第2号証、乙第3号証、乙第5号証)における使用は、登録商標の指定商品についての使用であると認められる。
6 まとめ
以上により、本件商標は、その指定商品である「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」について、本件審判請求の日前3年以内に商標権者又はその使用権者によって使用されていたものである。
なお、本件商標がその指定商品について日本国内において使用中であることは、インターネット検索などにより速やかに確認できるものであり、請求人においても明かであるところ、本件商標登録について何らの利害関係も有さないものによるかかる審判請求は、審判請求をする権利の濫用であり、妥当性を欠くものである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)商品カタログ(乙第1号証)には、表紙の左上部に、別掲に示した商標と同様の構成で緑色を施した標章が表示され、その下に「America」の文字が記載され、中央部に「BonTerra」「浸食防止用マット」の表示がある。
そして、2葉目以降には商品の説明が記載され、その記載中の「特色」において、「高浸食防止効果:ネットの強度とランダム(不規則)に重ねた繊維の組み合わせで雨滴の方向を分散させ、みず道から浸食に至る過程を防ぎます。」「表面流下水の減速:密に束ねた毛布状のマットが法面を走る表面流下水を減速させ、法面や植生面を浸食から守ります。」等の記載がある。
また、「種類と用途」の中で、材質として「麦わら」「ココナツ繊維」「ポリプロピレン」が挙げられ、用途例として、「流下水の速度が穏やかな斜面。工事用道路等の仮設的な浸食防止。(SJ1)」「流下水の速度が速い斜面。草で覆われた水路。排水口の流水部。洗堀された法面の復旧。低木の植林地。スキー場のゲレンデ。(CSJ2)」等の記載がある。
さらに、最終頁の右下には、総輸入元として「株式会社ウエスコット」の表示とその住所等が記載されている。
(2)ウエスコットに係るホームページの写し(乙第2号証)には、「ボンテラ浸食防止マット」の表示とともに、その施工事例の写真が掲載されている。そこにおいて「この工法にはボンテラ浸食防止マットCSJ2を使用しています。」との記載がある。さらに、「ボンテラ浸食防止マット」について製品紹介が掲載されている。そして、右下に、打ち出しの日と思われる「2007/05/09」の表示がある。
(3)パンテックコーポレーションに係るホームページの写し(乙第3号証)には、同社のプロフィールが表示され、「ボンテラ水辺緑化製品」として、右上部に、別掲に示した商標と同様の構成で緑色を施した標章が表示され、前記(2)や(3)と同種と認め得る商品の特徴や施行事例が掲載されている。そして、右下に、打ち出しの日と思われる「2007/05/21」や「2007/05/09」の表示がある。
(4)被請求人に係るホームページの写し(乙第5号証)には、前記と同様の商品についての製品紹介や施行事例が写真とともに英文及び独文で掲載され、左上部には、別掲に示した商標と同様の構成で緑色を施した標章が表示され、そして、右下に、打ち出しの日と思われる「2007/05/17」の表示がある。
2 前記カタログに表示されている商標は、別掲に示す本件商標と同一の構成よりなるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
そして、使用に係る商品も、その説明等に照らし、「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」に該当するものと認められる(因みに、同商品は、本件商標の指定商品について願書添付の書面において示された商品と同じのものと認められる。)。
また、ホームページ(乙第3号証及び乙第5号証)にも、同様の商標、商品が掲載されているが、ホームページ(乙第2号証)には、前記の商標は表示されていない。
3 前記のとおり、カタログ等には、本件商標が表示され、また、使用する商品が本件商標の指定商品に係る商品と同じものと認め得る記載等が掲載されている。
しかし、当該商品カタログには、その作成日をはじめとして何ら年月日を明らかにする記載等はみいだせないし、また、これが本件審判請求の登録前3年以内において頒布された時期を特定し推認し得る証拠もない。
また、乙第2号証、乙第3号証及び乙第5号証のホームページの写しは、本件審判請求の登録日よりも後の「打ち出しの日付」が見いだせるに止まるものである。
してみれば、本件商標を表示するとした前記カタログやホームページの記載や表示をもって、本件審判請求の登録前3年以内の時期に行われた本件商標の使用であったと認定することはできないものといわざるを得ない。
4 被請求人は、郵便番号が3桁の時代(1998年)から現在に至るまで乙第1号証のカタログが使用されていること、及び当該カタログが広く日本国内にて用いられてきているという。
しかし、本件商標に関する出願書類に徴すれば、審査の段階において指定商品の商品説明用として乙第1号証のカタログと同様のものが提出されていることから、本件商標の出願当時既に乙第1号証のカタログがあったとはいい得るとしても、これをもって(乙第1号証の2を含め)、それが審判請求の登録前3年の時期にも使用されたとまで認めることはできず、他に上記主張を直接的に裏付ける的確な証左はない。
また、被請求人は、ホームページの記載について、本件商標の使用商品が、工事の進行及び植生の再生には少なくとも数ヶ月を要することから、日本国内にて本件商品が、少なくとも過去半年?1年程度以上前から実際に消費者に対して販売され、現在に至るまでその効果効用についての宣伝広告がされるとともに、商品の販売を伴う商標の使用がされたことは明らかであると主張する。
しかし、商品の効果の発生等に数ヶ月を要する旨の記載等をもって、直ちに、ホームページ掲載日を打ち出し日の半年以上前と推認し得るということはできない。当該期間は、商品の効果の発生等に関する説明上の期間を示すに止まるものというのが相当というべきである。
以上のとおり、被請求人提出の乙各号証によっては、本件商標が本件審判請求の登録前3年の時期に使用をされたことが証明されたとすることはできない。そして、他に、これを認め得る証拠はない。
5 したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものに該当するといわざるを得ないものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条によって、その取消しを免れないものである。
なお、被請求人は、商標登録について何らの利害関係も有さない者による本件審判請求は、権利の濫用である旨主張する。
しかし、商標法は、第50条第1項において「何人も・・・審判を請求することができる。」と規定していること、この規定振りにも拘わらず本件審判請求に限り権利の濫用であるとしなれけばならない格別の理由及び証拠もないことから、被請求人の主張は採用の限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 (本件商標)

審理終結日 2007-09-11 
結審通知日 2007-09-14 
審決日 2007-09-26 
出願番号 商願平6-23350 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (019)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井出 英一郎中束 としえ 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 関根 文昭
久我 敬史
登録日 1997-04-25 
登録番号 商標登録第3296689号(T3296689) 
商標の称呼 ボンテラ、ボンテッラ 
代理人 高荒 新一 
代理人 廣江 武典 
代理人 神谷 英昭 
代理人 松井 茂 
代理人 武川 隆宣 
代理人 西尾 務 

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