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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y36
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審判 全部申立て  登録を維持 Y36
管理番号 1179428 
異議申立番号 異議2007-900419 
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-09-03 
確定日 2008-05-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5051685号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5051685号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5051685号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、平成18年9月29日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同19年6月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4357900号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、平成10年5月14日に登録出願、、第16類、第35類、第36類及び第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品・役務を指定商品・指定役務として、同12年2月4日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4500592号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SG オンライン」の文字を書してなり、平成12年5月25日に登録出願、第36類及び第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成13年8月24日に設定登録されたものである。
(2)理由の要旨
本件商標は、以下のアないしカにより、その登録を取り消されるべきでものある。
第4条第1項第15号該当性について
(ア)申立人の使用商標の周知・著名性について
申立人は、1864年にフランス国パリに設立されたヨーロッパ最大級の総合金融サービスグループであり、2007年5月末現在の格付けは、Aa1(ムーディーズ)、AA(S&P’s)と金融機関としてはトップレベルである。申立人は、77ヵ国で金融事業を展開し、113の国籍からなる120,000人の従業員を擁しており、個人顧客は2,250万人にのぼり、わが国においては、30年以上にわたり事業を行っている。
申立人及びその関連会社は、商標「SOCIETE GENERALE」及びその略称である「SG」を、銀行業務、証券業務、投資信託の販売業務、カード業務、リース業務、保険業務等に長年使用している。また、ソシエテ ジェネラルに関して新聞や雑誌などで多数報道されているが、この場合、ソシエテ ジェネラル又はそのグループを指称するものとして、「SG」の略称が相当数使用されている。
これらの事実からすれば、「SG」の語は、ソシエテ ジェネラルの略称又はソシエテジェネラルの使用する商標として、少なくともフランス国内において著名となっており、そのことは、遅くとも本件商標の出願の時に、わが国内の需要者・取引者によって認識されているものと認められる。
また、申立人は、わが国において、関連会社として「SG信託銀行」、「SGアセットマネジメント証券株式会社」等、その社名に「SG」の文字を含む法人を有している。関連会社の1つであるSG信託銀行は、「SG」、「Private Banking」の各文字を二段に横書きしてなる商標を使用して、プライベート・バンキング業務を行っている。また、ソシエテジェネラルアセットマネジメント株式会社は、1999年から現在に至るまで、「SG資産分散ファンド」、「SGロシア東欧株ファンド」等、「SG」の文字を冠した多くの投資信託の運用を行っている。
これらの事実からすれば、「SG」の語は、ソシエテ ジェネラルの略称又はソシエテジェネラルの使用する商標として、本件商標の出願時及び登録査定時はもとより、その後においても、わが国内の需要者・取引者間に広く認識されている。
(イ)本件商標について
本件商標の構成中、「financia1」の語は、「金融の」を意味する、日本人に親しまれた英語であり、本件商標の指定役務の質を表示するにすぎないものである。
また、本件商標は、その構成中に、「Sg」の欧文字と、それより一回り小さい「financial」の欧文字を有するところ、「Sg」の文字部分が顕著である。
したがって、本件商標の要部は、「Sg」の文字部分にあり、「Sg」の文字部分をもって自他役務の識別標識として認識され、または、「Sg」の金融サービスの如く認識されるものである。さらに、申立人は、銀行業務、証券業務、投資信託の販売業務、カード業務、リース業務、保険業務等、広範な金融業務を手がけており、本件商標の指定役務は、それらのサービスを含み、又はそれらと密接な関連を有するものである。
(ウ)役務の出所混同のおそれについて
商標「SG」は、それ自体としても、ソシエテ ジェネラルの略称としても、本件商標の出願時及び登録査定時はもとより、その後においても、世界的な総合金融グループが提供する役務の商標として周知・著名性を獲得しているものである。
本件商標は、その構成中にソシエテ ジェネラルの略称又は同社が使用する商標として著名な「SG」と実質的に同一である「Sg」の文字を有するのみならず、「financial」の文字は、ある企業グループの金融会社を認識させるので、全体として、申立人又はその傘下企業を連想、想起させる構成よりなるものである。
したがって、商標権者が本件商標をその指定役務に使用するときは、需要者・取引者において、その役務が申立人、申立人グループ又はこれらと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。
第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、その構成中、フランス国に本拠地を有する国際的な総合金融グループである申立人の名称「SOCIETE GENERALE」の著名な略称である「SG」と実質的に同一の欧文字を含むものである。したがって、本件商標を指定役務に使用した場合、国際的な金融秩序を乱し、国際信義に反するものである。
第4条第1項第8号該当性について
前記のとおり、本件商標は、申立人の著名な略称を含み、その登録について申立人の承諾を得ていない。
第4条第1項第19号該当性について
申立人の商標「SG」は、世界的な総合金融グループが提供する役務の商標として周知・著名性を獲得しているものである。そして、申立人の商標からは、「エスジー」の称呼が生じ、また、「SOCIETE GENERALE」の著名な略称であることから、「ソシエテ ジェネラル」の観念が生ずるものである。
他方、本件商標の要部は、「Sg」の文字部分にあるから、「エスジーフィナンシャル」の一連の称呼の他に、「Sg」の文字部分に相応し、「エスジー」の称呼及び「ソシエテ ジェネラル」の観念が生ずるものである。
よって、申立人の商標と本件商標とを比較すると、両者は、称呼及び観念を同じくするものであるから、類似の商標である。
そして、わが国においては、金融業者・債権回収業者が、大手金融グループの一員であるかのような印象を需要者・取引者に与えるため、「financial」及び「フィナンシャル」の語に、金融グループ名を冠して、例えば、「三菱東京UFJフィナンシャル」、「住友フィナンシャル」のように称することが多く、これによって、商標権者の信用が著しく毀損されている事実がある。本件商標も、著名な金融グループである申立人の名声を毀損させるものであるから、商標権者が不正の目的をもって使用するものであるということができる。
第4条第1項第11号該当性について
引用商標1は、上半分を赤、下半分を黒で着色した正方形の中に、白抜きで「SG」の文字を配したものであり、その構成文字に相応して、「エスジー」の称呼を生じ、また、「SOCIETE GENERALE」の著名な略称であることから、「ソシエテ ジェネラル」の観念を生ずるものである。
また、引用商標2は、その構成中「オンライン」の文字が「インターネットにつながっている状態」を意味し、「オンラインバンキング」「オンライントレード」のように、金融サービスの提供の方法を表示するので、その要部は、「SG」の文字部分にあるものというべきである。したがって、引用商標2は、「エスジー」の称呼を生じ、また、「SOCIETE GENERALE」の著名な略称であることから、「ソシエテ ジェネラル」の観念を生ずるものである。
他方、本件商標は、「エスジー」の称呼及び「ソシエテ ジェネラル」の観念が生ずるものである。
本件商標と引用商標1及び2とは、称呼及び観念を同じくするものであるから、類似の商標であり、また、同一又は類似の役務について使用するものである。
第4条第1項第10号該当性について
申立人の商標「SG」は、世界的な総合金融グループが提供する役務の商標として周知・著名性を獲得しているものである。そして、申立人の商標からは、「エスジー」の称呼及び「ソシエテ ジェネラル」の観念が生ずるものである。
他方、本件商標も、「エスジー」の称呼及び「ソシエテ ジェネラル」の観念が生ずるものである。
申立人の商標と本件商標とは、称呼及び観念を同じくするものであるから、類似の商標であり、また、同一又は類似の役務について使用するものである。

3 当審の判断
(1)第4条第1項第15号該当について
申立人提出の証拠によれば、申立人はソシエテジェネラルグループとして日本を含め世界77ヵ国で金融事業を展開していること、申立人の関連会社に「SG信託銀行」「SGアセットマネジメント証券株式会社」といった「SG」を冠した名称のものがあること、申立人及び関連会社の取り扱いに係る所謂金融商品に「SGプライベート バンキング」「SG資産分散ファンド」「SGロシア東欧株ファンド」「SGターゲット・ジャパン・ファンド」「SG中国株ファンド」「SG国債ファンド」等といった「SG」を冠した名称のものがあること(これらは2007年10月販売用資料に係るものである。)が認められる。
なお、「ソシエテ・ジェネラル(SG)」と表記して申立人を紹介した日経金融新聞等の新聞記事があるが、引用商標1や2については資料がみいだせず、その使用状況は不明という以外ない。
申立人は、同人の商標「SG」が世界的な総合金融グループが提供する役務の商標として周知・著名性を獲得している旨主張する。
しかしながら、上記事実及び提出された証拠を総合してみても、引用商標や「SG」自体が申立人の業務を表示する商標として、本件商標の出願時に既に、需要者の間で広く認識されるに至っていたとまで認めることはできないものである。
そして、本件商標は、別掲のとおり、図案化して表された「S」と「g」の右に「financial」の文字を連結してなるものであるところ、当該図案化された「S」と「g」は、「g」部分で若干色調が異なるところがあるとはいえ、「financial」の文字と青色の色調を概ね同じにして全体的に纏まりよく表されているものであって、図案化して表した「S」と「g」の部分に限定して、称呼・観念しなければならない格別の理由はないものであるから、本件商標が引用商標や申立人が主張する商標「SG」と商標において類似性の程度が高いとまでは言い難いものである。
しかして、引用商標や「SG」自体の周知性の程度を勘案すれば、本件商標の出願時に、本件商標を指定役務に使用した場合、これに接する需要者が申立人の商標を想起し連想して、当該役務を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る役務と誤認するとは認め難く、役務の出所について混同するおそれがあったと判断することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(2)第4条第1項第7号該当について
本件商標は、その構成自体において、矯激あるいは卑猥等公序良俗を害するおそれがあるものでないことは明らかであるうえ、その出願の過程において著しく社会的妥当性を欠くなどの事情も見いだし得ないものである。さらに、これを指定役務に使用したとしても、直ちに国際的な金融秩序を乱し、国際信義に反するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとは認められない。
(3)第4条第1項第8号該当について
「SG」が、金融等を中心とした業務に関して、申立人を指称する略称として使用されていることがあるとしても、申立人提出の全証拠に徴してみても、申立人の略称としての「SG」が、本件商標の出願時において、申立人を指称する略称として一般に認識され受け入れられる程に、著名なものとなっていたとまでは認められないものである。
したがって、本件商標は、他人(申立人)の著名な略称を含む商標とはいえず、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(4)第4条第1項第11号該当について
本件商標は、別掲のとおり、図案化して表された「S」と「g」の右に「financial」の文字を連結してなるものであるところ、当該図案化された「S」と「g」は「g」部分で若干色調が異なるところがあるとはいえ、「financial」の文字と青色の色調を概ね同じにして全体的に纏まりよく表されているものであって、「エスジイフィナンシャル」の称呼も格別冗長でなく、一気に称呼し得るものである。そして、「financial」の文字が「金融」等の意を表す語であるとしても、一体的に纏まりよく構成された本件商標にあって、図案化して表した「S」と「g」の部分に限定して、称呼・観念しなければならない格別の理由はないというべきである。
したがって、本件商標は、「エスジイフィナンシャル」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせないものというのが相当である。
してみると、本件商標から「エスジイ」の称呼が生じ、「ソシエテ ジェネラル」の観念を生ずるとしたうえで、引用商標1及び2と、称呼及び観念を同じにするから、本件商標は引用商標に類似するとの申立人の主張は、採用し難いものである。他に、本件商標が引用商標に類似するとすべき理由はみいだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(5)第4条第1項第10号及び同第19号該当について
申立人の商標「SG」が、本件商標の出願時に、その需要者の間で広く認識されたものとなっていたとは認められないこと、前記のとおりである。そして、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、商標「SG」と類似するものとは認められないから、当該条項の他の要件に論及するまでもなく、本件商標は、第4条第1項第10号及び同第19号に該当するものとはいえない。
(6)結語
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものと認められないから、その登録は維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標(登録第5051685号商標)



(2)引用商標(登録第4357900号商標)


(色彩については、原本を参照されたい。)



異議決定日 2008-04-24 
出願番号 商願2006-91203(T2006-91203) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (Y36)
T 1 651・ 25- Y (Y36)
T 1 651・ 271- Y (Y36)
T 1 651・ 26- Y (Y36)
T 1 651・ 22- Y (Y36)
T 1 651・ 23- Y (Y36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 2007-06-01 
登録番号 商標登録第5051685号(T5051685) 
権利者 SGホールディングス株式会社
商標の称呼 エスジイフィナンシャル、エスジイファイナンシャル、エスジイ 
代理人 岡田 稔 
代理人 坂上 正明 
代理人 曾我 道治 

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